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Lukash, V.*; 杉原 正芳; Gribov, Y.*; 藤枝 浩文*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 47(12), p.2077 - 2086, 2005/12
被引用回数:10 パーセンタイル:33.50(Physics, Fluids & Plasmas)ITERのディスラプション時における垂直移動の方向を、幅広い条件のもとでDINAコードにより調べた。(1)電流減衰率,(2)熱クエンチに伴う内部インダクタンスの変化量,(3)初期の垂直位置の三つの要因が、移動方向を決定する主要因であることを示し、移動方向を規定するパラメータ領域を明らかにした。これにより装置中心から55cm上方に設定された現在の標準配位においては、電流減衰率が200kA/msより大きく、内部インダクタンスの変化量が0.2より小さい場合には上方に移動することがわかった。
杉原 正芳; Lukash, V.*; 河野 康則; 芳野 隆治; Gribov, Y.*; Khayrutdinov, R.*; 三木 信晴*; 大森 順次*; 嶋田 道也
プラズマ・核融合学会誌, 79(7), p.706 - 712, 2003/07
トカマクのプラズマディスラプション時の電流減衰波形に関して、JT-60の実験解析を行い、ITER設計の物理ガイドラインを導出した。速い電流減衰は指数関数的波形でよく表され、遅い電流減衰は直線的波形でよく表される。
中村 幸治; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(8), p.1471 - 1481, 2002/08
被引用回数:13 パーセンタイル:40.21(Physics, Fluids & Plasmas)軸対称MHDシミュレーションによって、ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を支配している新しい機構を明らかにした。単一ダイバータ・プラズマで急激なプラズマ電流分布の平坦化が起きると、プラズマはダイバータ側に向かって大きく引き寄せられ、その際のダイバータ配位に応じて上下偏ったVDEが発生しやすくなる。リミター配位のプラズマは本来ダイバータを持たないため、この引き寄せ効果が存在せず、VDEは常に上下方向等しい確率で発生する。この新しい効果は、 ASDEX-Upgradeの実験でも確認することができ、これとこれまでの研究で明らかにしてきた「中立平衡点」による効果によって、ディスラプション挙動の全体像を初めて明らかにした。
中村 幸治; 芳野 隆治; Granetz, R. S.*; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
プラズマ・核融合学会誌, 78(4), p.347 - 355, 2002/04
トカマク・ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を回避するうえで有利な「中立平衡点」を、国際共同研究によって、JT-60U,Alcator C-Mod及びASDEX-Upgrade トカマクで調べた。米国のAlcator C-Modトカマクでは、キラー粒子を入射することで強制的にディスラプションを発生させ、VDEの様子を調べた。その結果、計算機シミュレーションの結果通り、赤道面から数cm上に「中立平衡点」が存在することを確認した。一方、ドイツASDEX-Upgradeトカマクのディスラプション・データベースを解析し、トカマク装置によってVDEに個性があり明確な「中立平衡点」が存在しないことがわかった。その原因を計算機シミュレーションで調べた結果、ディスラプションの最中生じているプラズマ電流分布の変化が垂直移動現象に強く影響していることを明らかにした。
中村 幸治
プラズマ・核融合学会誌, 77(9), p.843 - 856, 2001/09
ディスラプションを無害化するうえで重要な、プラズマ対向機器の損傷と深く関わっている垂直移動現象(VDE: Vertical Displacement Event)の研究について、現状を解説した。まず、VDEがハロー電流の発生と深く関わるディスラプションの主要現象であることを述べている。さらに最近、VDEの発生機構が明らかにされ、またVDE回避に有利な中立平衡点と呼ぶプラズマ配置がJT-60Uで見つかったことを述べている。同時に、原研とAlcator C-ModやASDEX-upgradeとの間で、VDE回避に関する国際協力関係が進んでいることにふれ、今後期待されるVDE回避の研究について、将来を展望している。
芳野 隆治; D.J.Campbell*; E.Fredrickson*; 藤沢 登; N.Granetz*; Gruber, O.*; T.C.Hender*; D.A.Humphreys*; N.Ivanov*; S.Jardin*; et al.
Fusion Energy 2000 (CD-ROM), 4 Pages, 2001/05
ITER物理R&Dの専門家会合においてまとめたディスラプションの諸特性(熱消滅、電流消滅、ハロー電流、逃走電子、ディスラプション頻度、等)のデータベース群とそれに基づくITERでのディスラプション特性の予測を示す。加えて、最近、顕著な研究成果の得られているディスラプションの回避・緩和の研究について報告する。
高橋 良和; 布谷 嘉彦; 西島 元; 小泉 徳潔; 松井 邦浩; 安藤 俊就; 檜山 忠雄; 中嶋 秀夫; 加藤 崇; 礒野 高明; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 10(1), p.580 - 583, 2000/03
被引用回数:20 パーセンタイル:68.63(Engineering, Electrical & Electronic)超伝導コイル開発において、導体ジョイントは、最も重要な技術の一つである。46-kA NbSn導体を拡散接合により接続する技術を開発した。このサンプルを製作し、性能評価試験を行った。その結果、非常に秀れた性能を有することが確認された。この技術は、ITERモデル・コイルに用いられ15か所のジョイントがすでに製作された。これらの性能評価試験結果を中心に報告する。
芳野 隆治
プラズマ・核融合学会誌, 75(12), p.1337 - 1374, 1999/12
ディスラプションは、トカマクプラズマがその熱と磁気エネルギーを短時間で放出する現象であり、その放出する過程を外部より制御することはかなり難しい。このためディスラプションによりトカマク装置の受ける影響を評価するために、その特性を評価することは炉設計における最重要課題の1つになっている。緊急停止も一種のディスラプションがあるが外部より能動的に発生させること、トカマク装置の受ける影響を大きく緩和することを狙いとする点が大きく異なる。炉の緊急停止シナリオはディスラプションの研究から生み出されたものであり、炉の運転稼動率を大きく高めるために極めて重要である。加えて、ディスラプションの発生確率を大きく低減するには、ディスラプションの回避が必要である。この回避は、燃焼制御の1つと考えてよく、今後の研究課題として重要である。
芳野 隆治; 中村 幸治; 閨谷 譲
Nuclear Fusion, 37(8), p.1161 - 1166, 1997/00
被引用回数:8 パーセンタイル:30.72(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、プラズマ電流消滅時に発生する垂直移動現象(Vertical Displacement Event,VDE)は、垂直位置の実時間モニタの精度劣化に起因することを突き止めている。そこで、モニタ精度を向上させた結果、世界で初めて、プラズマ電流消滅時の垂直位置制御を実現し、VDEを回避することに成功した。この時、さらに、プラズマと真空容器第一壁との相互作用を回避する(又は、ダイバータプラズマ配位を維持する)には、X点の高さを維持することが必要と判明したため、プラズマ電流に対するダイバータコイル電流の比率を一定に制御した。以上により、トカマク型核融合炉にて危惧されているディスラプション中のVDEとプラズマと壁の相互作用は、適切な平衡配位制御を行えば回避できることを実証した。
芳野 隆治; JT-60チーム
Proc. of 36th IEEE Conf. on Decision and Control, 4, p.3709 - 3714, 1997/00
JT-60Uにて実証したプラズマ制御実験について示す。(1)定常・非定常状態における多変数非干渉制御によるプラズマ位置・形状の能動制御。(2)消滅速度の遅いプラズマ電流消滅における、能動的なプラズマ位置・形状制御によるプラズマと壁の相互作用の回避。(3)プラズマ電流消滅時に大半のプラズマ電流が高速の電子(逃走電子)で駆動される場合のプラズマ電流の低減とプラズマ位置・形状制御。(4)消滅速度の速いプラズマ電流消滅における、受動的に真空容器等に流れるトロイダル渦電流を用いたプラズマ位置制御(中立平衡点にプラズマの電流中心を設定すれば位置移動が発生しない。)(5)DD核融合反応で発生する中性子の発生率のフィードバック制御などの試み。
中村 幸治; 西尾 敏; 芳野 隆治; C.E.Kessel*; S.C.Jardin*
プラズマ・核融合学会誌, 72(12), p.1387 - 1396, 1996/12
TSCコードを用いてITER-EDAトカマクにおけるディスラプション時のVDE挙動とその加速機構を調べた。ITERトカマクでは、急激なコラプスが生じてもVDEが発生しないことを示した。コラプスに続いて生じるプラズマ電流クエンチによって引き起されるVDEは、プラズマに作用する上下の不平衡電磁力が主因であること、さらに、ITERの工学設計の標準配置において、この不平衡電磁力が小さいことを明らかにした。これらの機構解明によって、ITERでは急激なVDEが発生しないことを示した。
中村 幸治; 芳野 隆治; N.Pomphrey*; S.C.Jardin*
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(8), p.609 - 619, 1996/08
被引用回数:9 パーセンタイル:61.70(Nuclear Science & Technology)非円形トカマクのディスラプション放電において頻繁に観測されている垂直移動現象(VDE)をトカマクシミュレーションコードを用いて調べた。プラズマ圧力の急減(崩壊)やこれに引き続いて起こるプラズマ電流のクエンチ(Iクエンチ)などのディスラプション現象が、VDEを安定化すると考えられていた抵抗性シェルによって不安定化作用を生じ、この逆効果を通じてVDEを加速することを示した。Iクエンチが上下非対称なシェルを有するトカマクで生じると、垂直方向にアンバランスな吸引力が生じ、これによって更にVDE加速が起こることを示した。シェルの幾何学的配置がVDE挙動を特徴付けること、VDEの成長率が崩壊の規模、Iクエンチの速度、更にディスラプション直前の外部磁場のn指数に強く依存することを示した。JT-60Uの実験において、ディスラプションが起こる前のプラズマ垂直位置を最適化することで、Iクエンチ駆動型のVDEを緩和することに成功した。
芳野 隆治; 中村 幸治; 閨谷 譲
Nuclear Fusion, 36(3), p.295 - 307, 1996/00
被引用回数:35 パーセンタイル:72.19(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでのディスラプションにおいて、プラズマ電流の消滅速度が遅いときに、プラズマ電流の急速な停止現象が発生する。このとき、同時に、プラズマの垂直方向への移動現象(VDE)が起きるときは、ハロー電流が励起され、真空容器や真空容器内構造物に対して発生する電磁力が増大し、装置の健全性を大きく損なう。これは、トカマク型核融合炉の設計において克服すべき大きな課題となっている。これに対して、VDEの成長率が、初期の垂直位置に依存し、成長率が最小(ゼロ)となる中性点が、真空容器の水平面より15cm上に存在することを実験的に明らかにした。以上の結果より、(1)プラズマ電流消滅開始時の垂直位置の調整と(2)垂直位置の積極的な制御によりVDEを回避した。さらに、ネオン・アイス・ペレット(不純物ペレット)を入射し、プラズマを急速に消滅させれば、VDEを回避できることを実証した。
芳野 隆治; 閨谷 譲; 伊世井 宣明; 小出 芳彦; 河野 康則; A.Tanga*; Campbell, D. J.*; M.F.Johnson*; L.Rossi*
IAEA-CN-60/A5-8, 0, p.685 - 695, 1995/00
主ディスラプションは、トカマク型核融合炉を開発する上で大きな問題であり、大型トカマク装置JT-60UとJETでは、主ディスラプションの緩和を目的とした研究を進めてきている。本論文は、これら両装置における最新の実験成果について報告し、ITERなどの大型トカマク炉におけるディスラプション回避とその緩和策について指針を与えることを目的としている。特に、以下の3点についての実験結果を示す。(1)主ディスラプションの緩和と回避(2)プラズマ電流クウェンチ中の垂直位置不安定性と逃走電子の抑制(3)ロックモードディスラプションの回避
芳野 隆治; 閨谷 譲; 伊世井 宣明; 松川 誠; 細金 延幸
プラズマ・核融合学会誌, 70(10), p.1081 - 1101, 1994/10
JT-60Uで観測されるディスラプションは、その原因により6つのタイプに分類できる。それらは、密度限界、誤差磁場、崩壊、低l、高l、垂直位置不安定性である。本論文では、これらのディスラプションの原因について解明するとともに、それらを回避する運転シナリオについて示している。これらの回避法は、JT-60Uで開発されたものであり、トカマク型核融合炉に対しても有効であると考えられる。さらに、ディスラプションの研究において得られた新しい知見についても示している。
芳野 隆治; 閨谷 譲; 細金 延幸; S.W.Wolfe*; 松川 誠; 二宮 博正
Nuclear Fusion, 33(11), p.1599 - 1612, 1993/00
被引用回数:34 パーセンタイル:71.28(Physics, Fluids & Plasmas)ディスラプションにおける、プラズマ電流低減速度の緩和(低速化)と、逃走電子の抑制に関わる一般的手法の開発を目的として、JT-60Uダイバータプラズマにおける電流クウェンチを調べた。その結果、1)エネルギークウェンチ時の不純物発生の軽減、2)その不純物の主プラズマへの混入の抑制、及び、3)電流クウェンチ時の電子温度の高温化が、プラズマ電流低減速度を緩和するのに有効であることを明らかにした。具体的な手法としては、エネルギークウェンチ直前の蓄積エネルギーを下げることにより、不純物発生量を低減できること、実効安全係数を増大することにより、不純物の主プラズマへの混入を抑制できること、さらに、電流クウェンチ時のNB加熱により、電子温度の低減を抑制できることを示した。一方、逃走電子の発生は、エネルギークウェンチ直前の電子密度を増大することにより、回避できることを明らかにした。以上の結果を用いて、-6MA/sのプラズマ電流の急速低減を実証した。
大貫 晃
JAERI-M 92-150, 134 Pages, 1992/10
本研究では、PWR-LOCA時の熱水力挙動を最適予測コードにより高精度に予測する際、その予測精度に問題のある低流速の二相流に関する課題を取り上げ、研究を行った。その課題とは、(1)再冠水期における高出力集合体での熱伝達促進現象の予測、(2)従来の再冠水期炉心内熱水力モデルの1717型集合体への適用性の評価、及び(3)ホットレグ内対向流制限現象のモデル化、であった。得られた成果は以下のとおりである。(1)(1)に関しては、まず熱伝達促進現象の解析に必要となる液流速効果を考慮した膜沸騰熱伝達モデルを開発し、このモデルを組み込んだ最適予測コードREFLA/TRACによる解析により同現象の定性的なメカニズム及び定量的に予測するための問題点を明らかにした。(2)(2)に関しては、従来の各モデルの誤差範囲内で適用可能であることを示した。(3)(3)に関しては、実炉スケールにまで適用可能な界面せん断力モデルを開発した。
阿部 豊; 傍島 真; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(5), p.415 - 432, 1986/00
被引用回数:4 パーセンタイル:47.88(Nuclear Science & Technology)加圧水型原子炉の冷却材喪失事故時再冠水過程においては、上昇蒸気流によって上部プレナム内に飽和水が蓄積される。この飽和水は、上昇蒸気流の存在下で炉心へ落下し、炉心上方から下方へのクエンチを進行させる。この気液対向二相流条件下におけるクエンチ進行に及ぼす上昇蒸気流の影響を上部プレナム落下水伝熱流動試験装置を用いて実験的に調べた。そして、このクエンチ進行に対して、発熱体側の熱伝導だけでなく、流体側の質量およびエネルギーの保存則を考慮したモデルを適用したところ、気液界面でのせん断応力の効果とクエンチフロント近傍での蒸気流の流路縮少の効果を考慮することにより、実験データを良く説明することができた。以上の実験結果ならびに考察をもとに、上昇蒸気流の存在下における落下水によるクエンチ進行を予測するための式を導いた。