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中村 美月; 出雲 沙理; 小川 理那; 仲田 久和; 天澤 弘也; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2022-025, 73 Pages, 2022/12
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分事業の実施主体として、浅地中処分の実施に向けた検討を進めている。研究施設等廃棄物の埋設処分事業では埋設施設の操業中の安全評価として、ピット施設、トレンチ施設及び受入検査施設からの直接線及びスカイシャイン線による敷地境界での実効線量が、「第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」に規定された50Sv/y以下となることを示す必要がある。直接線及びスカイシャイン線による実効線量が50Sv/y以下とするためには、各施設から敷地境界までの距離を120m以上とすることが、概念設計の結果に基づき立地基準案では示された。一方、令和元年に埋設対象廃棄体の物量調査を行い、その結果、トレンチ処分対象の廃棄体等本数が概念設計時に比べて増加し、トレンチ施設に係る施設規模等の設計が変更された。そこで、本報告書では2次元Sn輸送計算コードDOT3.5を用いて、設計変更後のトレンチ施設からの距離に応じた敷地境界でのスカイシャイン線量評価の感度解析を実施した。各トレンチ施設1基あたりの評価及び各トレンチ施設の重畳評価の結果、どちらの評価結果においても各施設から120m離れた敷地境界でのスカイシャイン線による実効線量が50Sv/y以下となることを確認した。
笠原 茂樹; 橘内 裕寿*; 知見 康弘; 茶谷 一宏*; 越石 正人*; 西山 裕孝
Journal of Nuclear Materials, 480, p.386 - 392, 2016/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)BWR炉内構造物用オーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射温度は、炉の起動時に室温近傍から約290Cに遷移するのに対し、近年のJMTRを用いたBWR模擬照射では、150C程度まで昇温した後に照射を開始する制御方法が採用されている。このような温度履歴の違いがステンレス鋼のミクロ組織変化と機械的特性に及ぼす影響を検討するため、BWR起動時の温度履歴を模擬したJMTR照射材と昇温後に照射を開始した材料に対して、290Cでの引張試験、室温でのビッカース硬さ試験、及びFEG-TEMを用いたミクロ組織観察を行った。その結果、温度履歴の相違は格子間原子クラスターの形成に影響し、特にBWR温度履歴模擬材のフランクループ径は昇温後に照射した場合に比べて大きいことが判った。また温度履歴の相違の影響は、0.2%耐力と硬さの上昇よりもひずみ硬化能と延性低下において明確に観察された。以上の結果から、原子炉起動時の温度履歴の相違は損傷量1 dpa以上のステンレス鋼においても認められ、特にフランクループとマクロな変形挙動の関係を考慮する必要性が示唆された。
Xu, Y.; 鳴海 一雅; 宮下 喜好*; 楢本 洋
Surface and Interface Analysis, 35(1), p.99 - 103, 2003/01
被引用回数:9 パーセンタイル:24.96(Chemistry, Physical)イオンビーム蒸着法により、高温でSi基板上に形成したナノサイズのSiCドットの原子間力顕微鏡観察に関する報告である。100eVのCをSi(111)基板上に、摂氏800-950度で蒸着して、AFMによる形態観察及びXPSによる結合状態の確認を行った。その結果、Siのステップに沿って、30nm程度のSiCドットが形成されることを明らかにした。さらに、摂氏850度以下の温度領域では、SiCドットは、ステップに沿って規則的に配列する自己組織化現象も観察された。シンポジウムでは、これらのことを中心に講演する。
森岡 篤彦; 逆井 章; 正木 圭; 石田 真一; 宮 直之; 松川 誠; 神永 敦嗣; 及川 晃
Fusion Engineering and Design, 63-64, p.115 - 120, 2002/12
被引用回数:12 パーセンタイル:60.28(Nuclear Science & Technology)JT-60の超伝導トロイダルコイル化に伴う改修計画において、放射線遮へい,核発熱,線量の評価を行った。超伝導コイルの核発熱を数種の真空容器を模擬して評価した。その結果、コイルの核発熱への影響が少ない真空容器の構造を決定した。真空容器の構造は、ステンレス鋼の2重壁構造で内部には中性子線を遮へいするために厚さ100mmの水層を、そして、2重壁の外側には線を遮へいするために厚さ26mmのステンレス鋼を設置する構造とした。また、DD放電に伴い放射化による真空容器内の線量について評価した結果、真空容器内にフェライト鋼を採用することで、ステンレス鋼を用いたときに比べて30%近く、放射化量が低減できることがわかった。
研究業務評価検討アドホック委員会
JAERI-Review 2002-019, 139 Pages, 2002/08
原研では、政府の「特殊法人等合理化計画」策定に先立つこと約半年前の、平成13年7月に「原研研究業務評価検討アドホック委員会」を設立し、民間シンクタンクの協力や所外有識者による助言を得つつ、(1)原子力エネルギー研究開発,(2)放射線利用技術開発と応用及び(3)原子力基礎基盤の確立の3研究開発分野を評価対象とした定量評価を実施した。定量評価が現時点では困難と判断される国の施策への貢献等の分野では定性評価を実施した。費用対効果では、例えば、「軽水炉技術の確立」にかかわるこれまでの研究開発成果を、新たな電力供給源としての市場創出への貢献として定量評価し、その投資効果率を1.5と試算した。また「放射線利用研究」については、その投資効果率を1.0と資産した。本定量評価の試みは、折しも平成13年12月19日の閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」において示された「研究成果をできる限り計量的な手法(貨幣換算)で国民にわかり易く示すこと」等の方針にも応えるものとなった。
中尾 誠*; 竹村 守雄*
JNC TJ9440 2000-005, 157 Pages, 2000/03
JASPER実験シリーズで最も基本的な多重層構成からなる半径方向遮蔽体透過実験の代表的実験体系について、2次元Sn輸送計算コードDORTおよび遮蔽解析用標準群定数ライブラリーJSSTDL-300(JENDL-3.2ベース)を用いた実験解析を実施した。従来これらの体系はDOT3.5コードおよびJSDJ2(JENDL-2ベース)で実験解析が実施されていたが、最新の解析手法でのボナーボール応答計算値(C)は、群定数ライブラリー更新では高く、Snコード更新では低く変化し、最終的に実測値(E)に近づくとともに検出器間でのC/E値の変動幅が小さくなっている傾向を確かめた。またギャップストリーミング実験のコンクリート層透過体系について、前年度課題となっていたJASPER実験解析(DORT/JSDJ2)を良く再現できない原因を解明し、最新手法の適用を行った。この結果、同様なライブラリー更新効果をコンクリート体系についても確かめた。また今回解析を実施した体系の入力データをデータベースに追加し、さらに既存登録データの改訂も行い、解析標準入力データベースの充実を図った。また実験解析に適用している各種処理ルーチン等の入力マニュアルの作成およびその一連のテスト問題の編集を行うとともに、これらを登録し実験解析のデータベースとしてユーザが使いやすくすることを図った。
Huang, Z.*; 大橋 弘史; 稲垣 嘉之
JAERI-Tech 2000-022, p.30 - 0, 2000/03
日本原子力研究所では、高温ガス炉、高温工学試験研究炉(HTTR)から供給される核熱(10MW,1178K)を利用し、天然ガス(主成分: メタン)の水蒸気改質反応により水素を製造する、HTTR水素製造システムを計画している。このため、HTTRとの接続の前に、安全性、制御性及び水蒸気改質システムの性能を明らかにすることを目的として、通電式加熱器を用いて中間熱交換器以降を模擬する、水素製造量に関して1/30スケール(100Nm/h)の炉外技術開発試験を計画し、試験装置の建設を行っている。一酸化炭素と水素から成る合成ガスを製造する天然ガスの二酸化炭素改質反応(CO改質)は、近年、温室ガスの低減技術として期待されており、炉外技術開発試験装置における試験の実施が検討されている。しかし、水蒸気改質のために設計された炉外技術開発試験装置を用いて、CO改質を行うにあたり、熱・物質収支計算による改質器性能の事前解析が必要である。そこで、本研究では、CO改質及び二酸化炭素と水蒸気を同時に供給し、CO改質と水蒸気改質を同時に行う場合(CO+HO改質)について、数値解析による改質器性能解析を行い、圧力、温度、原料ガス組成等の転化率及び生成ガス組成に対する影響を明らかにした。数値解析の結果、設定した定格運転時(改質器入口He温度1153K)のCO改質及びCO+HO改質のメタン転化率は、各々1085,1100Kにおける平衡転化率と等しい0.36,0.35であった。これらの結果より、炉外技術開発試験装置がCO改質及びCO+HO改質にも使用可能であることを明らかにした。
岩下 充成*; 有金 賢次; 岸本 克己; 青木 義弘*; 福村 信男*; 三尾 圭吾*
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.372 - 378, 2000/03
JRR-2は平成8年12月に原子炉を永久停止し解体届を提出した後、平成9年8月に原子炉の解体工事に着手した。原子炉の廃止措置を行うにあたっては内部の誘導放射能による作業中の被曝を低減するため遮蔽措置とその評価が必要になる。本発表においては、原子炉直下の重水配管の遮蔽措置を行うにあたって実施した遮蔽計算の方法とその評価を発表する。遮蔽計算は、DOT3.5を使用し、群定数はAMPX48群ライブラリを用いたANISNにより作成し、放射化計算は固定線源問題とした。計算結果を炉体各部の実測値と比較した結果、原子炉直下配管貫通部においてファクター2程度で一致した。
壺阪 晃; 野村 靖; 川辺 俊明*; Zharkov, V. P.*; Kartashev, I. A.*; Netecha, M. E.*; Orlov, Y. V.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.610 - 615, 2000/03
国際科学技術センター(ISTC)のプロジェクトとして「原子炉放射線の大気中散乱(スカイシャイン)実験研究」が、中性子と線との混在場でのスカイシャインベンチマーク問題の設定を目的にロシアのRDIPE(原子炉研究開発機構)、カザフスタンのIAE NNC RK(カザフスタン国立原子力センター核エネルギー研究所)及び日本原子力研究所により行われた。本発表は、実験に使われた研究炉RA炉及びIVG.1M炉から大気中に漏洩する放射線をモンテカルロコードMCNP及びSnコードDOT3.5で解析し、測定値と比較することによりコードの適用性を確認したものである。RA炉は深層透過体系の、IVG.1M炉はストリーミング体系の典型的な遮蔽構造をしており、MCNP及びDOT3.5コード使用上での種々のオプション、例えば断面積ライブラリー、分散低減法、メッシュ数、Sn分点数等をパラメーターにした解析を行い測定値と比較した。また、スカイシャイン解析のための等価線源設定法について検討した。
佐藤 聡; 飯田 浩正; Plenteda, R.*; Valenza, D.*; Santoro, R. T.*
Fusion Engineering and Design, 47(4), p.425 - 435, 2000/01
被引用回数:9 パーセンタイル:53.69(Nuclear Science & Technology)2次元及び3次元解析により、ITER/NBIポート周辺の遮蔽解析を行い、運転停止10秒後の生体線量率を評価した。運転中の2次元S解析、2次元放射化解析及び運転停止後の線に対する2次元S解析を行い、高速中性子束及び生体線量率分布を求めた。それらの値から、高速中性子束から生体線量率への変換係数を評価した。その結果、クライオスタット近傍では、1.5~410Sv/hour/(cmsec.)であることがわかった。トーラスの1/4を忠実にモデル化した。3次元モンテカルロ解析により、クライオスタット近傍の高速中性子束を求めた。分散低減技法の工夫により、統計誤差の小さい解が得られた。その結果、クライオスタット近傍の生体線量率は、20~100Sv/hourとなり、ITER/EDAの設計目標である100Sv/hourを満足することがわかった。
佐藤 聡; 高津 英幸; 関 泰; 内海 稔尚*; 山田 光文*; 飯田 浩正; Plenteda, R.*; Santoro, R. T.*; Valenza, D.*; 小原 祥裕; et al.
Fusion Technology, 34(3), p.1002 - 1007, 1998/11
3次元モンテカルロ及び2次元S解析により、ITER/NBIポート周辺の遮蔽解析を行った。ITERトーラス全体の1/4(90分)を詳細にモデル化し、MCNP及びDOTを用いて解析を行った。NBIポート周辺の超電導コイルの核的応答を評価すると共に、2次元解析においては、運転中の中性子及び線輸送解析に加えて、放射化解析及び停止後の線輸送解析も併せて行い、停止後生体線量率の評価も行った。これらの核的応答の評価に加えて、詳細な3次元モンテカルロ解析により、2次元S解析に対する誤差評価も行った。モデル化の詳細な概要及び解析結果等を、本発表において報告する。
三浦 俊正*; 石田 紀久; 平尾 好弘*
JAERI-Tech 98-030, 38 Pages, 1998/08
改良舶用炉MRXでは炉外核計装用中性子検出器を格納容器外側から原子炉容器周辺の所定の位置まで挿入するため検出器案内管を配置する。案内管は遮蔽欠損部なので放射線の透過やストリーミングのため格納容器外側の線量率を高める原因となる。そこで案内管部の最適遮蔽設計に資することを目的として同部分の遮蔽計算を行った。計算には二次元輸送計算コードとモンテカルロ計算コードの接続計算手法を用いた。ストリーミングに関するモンテカルロ計算では統計精度をあげるため案内管の近傍のみを解析した。この方法の信頼性はJRR-4における実験を解析することにより確かめた。MRXの遮蔽計算の結果、案内管出口での線量率は設計基準に近い値であった。線量率を下げるには案内管は線源部が直視できないように湾曲させればよいことが明らかとなった。
佐藤 聡; 高津 英幸; 内海 稔尚*; 飯田 浩正; 森 清治*; R.Santoro*
Fusion Engineering and Design, 42, p.213 - 219, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:14.93(Nuclear Science & Technology)ITERメンテナンス及びテストモジュールポートに対する2次元遮蔽解析を行った。これらのポート周辺のトロイダル及びポロイダルコイルの核的応答を計算した。これらのポートには遮蔽プラグが設置されており、遮蔽プラグ(あるいはテストモジュール)とブランケットとの間には、数10mmのギャップが存在する。20mm幅のギャップに対して、設計目標値を満足させる為には、メンテナンスポートの場合には540mm厚さの遮蔽プラグが、テストモジュール(500mm厚さのテストモジュールを仮定)ポートの場合には150mm厚さの遮蔽プラグが要求される。また50mmギャップの場合には、各々、750mm及び390mm厚さの遮蔽プラグが必要であることが判った。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 和田 政行*; 池田 裕二郎; 前川 洋; 春日井 好己; M.Z.Youssef*; A.Kumar*; M.A.Abdou*
Fusion Engineering and Design, 42, p.267 - 273, 1998/00
被引用回数:2 パーセンタイル:24.33(Nuclear Science & Technology)超伝導電磁石(SCM)に含まれる核種が核パラメーターに及ぼす影響を調べるために、超伝導電磁石模擬実験を行った。SCMの構造は層状に模擬し、導体部の組成は予備解析をもとに核的に設計に近いものを選んだ。SCM領域の前には遮蔽ブランケットと真空容器を模擬したSUS/水層を設置した。1MeV以下の中性子スペクトル、反応率、線スペクトル、線発熱率をSCM領域内で測定した。また、BC/Pb補助遮蔽体をSCMの前に設置した体系でも実験を行った。実験解析は、MCNP4AとDOT3.5コードで行い、JENDL Fusion File とFENDL/E-1.0の核データライブラリーを用いた。MCNP及び自己遮蔽補正を考慮したDOTの計算は実験と40%以内で一致したが、自己遮蔽補正をしていないDOTの計算は、SCM内で実験値を大幅に過小評価した。また、SCM内の核発熱で、微量の重核による寄与が大きいことを計算で示した。
前川 藤夫; 今野 力; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 和田 政行*; 宇野 喜智; Y.M.Verzilov*; 前川 洋
Fusion Technology, 30(3(PT.2B)), p.1081 - 1087, 1996/12
国際熱核融合実験炉ITERで使われようとしているSS316と水で構成される遮蔽体に対して、ITER/EDA R&Dのタスクの1つとして14-MeV値による遮蔽実験が原研FNSで行われた。本研究では、この実験の解析によりITERで用いられている遮蔽設計手法、つまり核データベースと輸送計算法、の妥当性評価を行った。核データとしてJENDL Fusion FileやFENDL/E-1.0を使用したMCNP計算では設計パラメータを20%以内の十分な精度で予測できる。しかし多群S輸送計算コードを使用する場合、従来の設計で使用されてきた粗いエネルギー群構造や無限希釈断面積の計算条件下では設計パラメータを数10%以上過小評価する傾向のあることが分かった。
佐藤 聡; 高津 英幸; 真木 紘一*; 関 泰
J. Fusion Eng. Des., 30(3), p.1076 - 1080, 1996/12
国際熱核融合実験炉(ITER)排気ダクト周囲のトロイダルコイル(TFC)に対する遮蔽解析を、2次元SN放射線輸送解析コードDOT3.5を用いて、ダイバータ遮蔽体が無い場合と有る場合に関して行った。ダイバータ遮蔽体が無い場合、排気ダクト周囲のTECの核的応答を1桁減少させるには、排気ダクトの壁厚を約160mm増加させる必要があり、TFCの遮蔽設計目標値を満足するには、約480mmの厚さの排気ダクト壁が必要である。140mm幅のスリットを有する480mm厚さのダイバータ遮蔽体を、排気ダクト入口の前に設置することによって、TFCの核的応答は、約1/16になった。ダイバータ遮蔽体が有る場合には、TFCの遮蔽設計目標値を満足するには、約290mm厚さの排気ダクト壁が必要である。
中島 宏; 中尾 徳晶*; 田中 俊一; 中村 尚司*; 秦 和夫*; 田中 進; 高田 弘; 明午 伸一郎; 中根 佳弘; 坂本 幸夫; et al.
Nuclear Science and Engineering, 124(2), p.243 - 257, 1996/00
被引用回数:41 パーセンタイル:94.10(Nuclear Science & Technology)43及び68MeV陽子のLi(p,n)反応により疑似単色中性子源を用いて、鉄遮蔽体を透過した中性子のエネルギースペクトルを測定し、DLC119群定数と遮蔽計算コードMORSE-CG及びDOT3.5による計算値、さらに、粒子輸送計算コードHETC-KFA2による計算値との比較を行った。その結果、MORSEによる計算値は全体的に実験値を良く再現したが、軸以外の散乱角が大きい中性子に支配される点で過小評価し、群定数におけるルジャンドル展開近似に問題があることを示した。DOTによる計算値も比較的良く再現したが、微小角散乱による寄与を過小評価し、離散角度分点近似の問題点も明らかとなった。また、HETCの計算値は軸上で過大評価した。そこで、HETCに改良を加えたところ、計算値は軸上で比較的良く実験値を再現したが、中心軸以外の点で過小評価し、弾性散乱角度分布の取り扱いに問題が残されていることを示した。
今野 力; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 山口 誠哉; 津田 孝一; 小迫 和明*; 前川 洋; 中川 正幸; 森 貴正; 中村 知夫; et al.
Fusion Technology, 28(2), p.273 - 295, 1995/09
核融合炉ブランケット中性子工学に関する原研/米国DOE共同研究の第2段階として、閉鎖ブランケット体系を用いた中性子工学実験を行った。基本となる実験体系は、ブランケット試験領域へ入射する中性子スペクトルを実際の核融合炉のものに近づけるため、D-T中性子源とブランケット試験領域である酸化リチウム層を炭酸リチウム層で囲んだもので、試験領域内のトリチウム生成率、放射化反応率、中性子スペクトルを測定した。更に、基本体系の試験領域及びその対向側へベリリウムの中性子増倍層を設置した5体系についても実験を行い、基本体系の実験データとの比較から、ベリリウムでの中性子増倍、反射の効果を明らかにした。JENDL-3/PR1,PR2を用いたDOT3.5によって実験の解析を行い、ベリリウム層の近傍を除いて、10%以内で実験を再現できることがわかった。
前川 藤夫; 今野 力; 和田 政行*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 宇野 喜智; Verzilov, Y.*; 前川 洋
JAERI-Research 95-018, 112 Pages, 1995/03
国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(EDA)の一環として、D-T中性子照射された大型SS316/水体系におけるバルク遮蔽実験が原研FNS施設で行われ、実験の詳細が本レポートの別刷である第1部に述べられている。本レポート、第2部では、この実験解析の方法とその結果、および計算結果と実験値との比較をまとめたものである。解析には2つの輸送計算コードMCNP-4とDOT-3.5、およびJENDL-3.1とJENDL-3.2に基づく断面積ライブラリを用いた。その結果、SS316/水遮蔽体の中性子、2次線の双方に対する遮蔽能について、JENDL-3.2を使用したMCNP計算、自己遮蔽を考慮したDOT計算(中性子125群+線40群)により、14MeV~熱エネルギーまでの中性子束、線核発熱を約20%以内の精度で予測できることがわかった。
前川 藤夫; 大山 幸夫; 今野 力; 池田 裕二郎; 前川 洋
Fusion Engineering and Design, 28, p.753 - 761, 1995/00
核融合炉の超伝導磁石での核発熱は、ITER等の次期核融合装置の主要遮蔽設計パラメータであり、これには銅の2次線データが深く係わる。そこで銅体系についてD-T中性子場での積分実験を行い、線スペクトル、核発熱を測定した。また、輸送計算コードMCNP,DOTとJENDL-3.1を使った解析を行い、JENDL-3.1の銅の2次線データの検証を行った。その結果、D-T中性子によるしきい反応からの2次線データは妥当であるが、低エネルギー中性子の捕獲反応により放出される線については、そのスペクトルの形とエネルギーバランスに問題があることがわかった。