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三島 嘉一郎*; 齋藤 泰司*
JAERI-Tech 2002-014, 83 Pages, 2002/03
シビアアクシデント時の溶融燃料プールと冷却水との液液界面における熱伝達の把握を目的として、溶融ウッズメタルと蒸留水とを用いた定常及び非定常熱伝達実験を行った。定常実験では、自然対流領域から膜沸騰領域に至る沸騰曲線を取得するとともに、沸騰挙動を高速度ビデオにより観察した。非定常実験では、高温の溶融金属上に蒸留水を注入し、冷却過程における沸騰曲線を得た。得られた沸騰曲線を、固液系及び液液系に対する既存の相関式や実験データと比較し、以下の結論を得た。(1)界面の揺動が無視でき、かつ、界面に酸化膜に形成される場合には、液液系の沸騰曲線は、固液系の核沸騰及び膜沸騰領域の熱伝達相関式並びに限界熱流束相関式により概ね予測できる。(2)液液界面に酸化物が存在しない場合には、Novakovicらの水銀を用いた実験結果と同様、液液系の沸騰熱伝達は固液系の沸騰曲線により高過熱度側に移行する。(3)非定常状態における膜沸騰において、熱伝達率は、固液系の膜沸騰に対する推算値より約100%程度大きい値を示した。これは、界面全体の激しい揺動のために、みかけの熱伝達率が増大したものと考えられる。
阿部 豊*
JAERI-Tech 2002-011, 70 Pages, 2002/03
本研究は、軽水炉のシビアアクシデント時において発生する可能性のある蒸気爆発のトリガー機構の解明を目的に、膜沸騰状態で素混合している高温粒子表面での蒸気膜の崩壊挙動について実験により検討したものである。実験では、溶融液滴を模擬した高温粒子表面上に形成した蒸気膜を圧力波によって崩壊させ、圧力波による蒸気膜の微視的崩壊過程を、最大撮影速度40,500fpsのハイスピードビデオカメラを用いて撮影すると同時に、鋼球表面温度ならびに鋼球周辺圧力の高速同時測定を行った。得られた画像データを計算機処理することによって、蒸気膜崩壊時における、(1)気液界面厚さのスカラー量としての変化,(2)粒子像相関流速法(PIV)によって気液界面の2次元変動のベクトル量を、さらに(3)ディジタル相関法を用いることによって蒸気膜崩壊時のより詳細で微視的な気液界面変動を評価した。また得られた鋼球表面温度,液相温度並びに蒸気膜平均厚さを境界条件として熱伝導解析を行うことにより、気液界面温度を評価した。これらの結果より、圧力波が到達した時刻付近において膜厚が減少し、同時に蒸気膜内が白濁する現象がすべての条件において観察され、この白濁現象の発生する時刻において、気液界面温度が飽和温度より低くなる結果が熱伝導解析より得られた。このことは、蒸気膜崩壊のきっかけが、圧力波による直接的な外力の作用によってではなく、蒸気膜内での相変化によって発生する負圧によって低温液が駆動されて膜厚が減少し、蒸気膜の崩壊に至る可能性を示唆するものであることを示し、粗混合からトリガーに至る現象の解明に対する新たな知見を与えるものである。
大貫 晃; 秋本 肇
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(11), p.1021 - 1029, 1999/11
被引用回数:1 パーセンタイル:13.53(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究所で実施した大型再冠水試験では高出力集合体での熱伝達が促進した。ある半径方向出力分布のもとでの炉心熱伝達の促進はPWR-LOCAにおける安全裕度を定量化するうえで非常に重要である。本研究では、多次元二流体モデルコードREFLA/TRACにより大型再冠水試験の結果を解析することにより熱伝達促進現象を引き起こす物理機構を分析した。熱伝達の促進は炉心内循環流の形成により生ずる局所液流速の増加に起因し、その循環流は半径方向出力分布により形成されるクエンチフロント下側での水頭の半径方向分布により生ずる。熱伝達促進現象を高精度に予測するための解析上の指針を提示した。
大貫 晃; 秋本 肇
Proc. of 5th Int. Topical Meeting on Nuclear Thermal Hydraulics,Operations and Safety, 00(00), p.1 - 6, 1997/04
PWR-LOCA再冠水期の熱伝達促進現象は、被覆管最高温度を予測する上で重要な現象である。原研で実施した大型再冠水試験では高出力バンドルでの熱伝達が促進された。本研究では、大型再冠水試験でのデータを使い、熱伝達促進現象に対する多次元二流体モデルコードREFLA/TRACの予測性能を評価した。炉心内での循環流の形成が予測され、高出力バンドルでの液上昇流速は低出力バンドルでのものより高くなった。高液上昇流速により熱伝達促進が予測され、その程度は半径方向出力分布形状によらず良くデータと一致した。REFLA/TRACコードの多次元モデルはPWR-LOCA再冠水期の熱伝達促進現象の予測に適用できる。
八木 理公*; 安部 豊*; 安達 公道*; 小林 朋能*; 山野 憲洋; 杉本 純
JAERI-Research 96-032, 152 Pages, 1996/06
熱的デトネーションモデルに基づく蒸気爆発進展過程の予備的シミュレーションを行った結果、膜沸騰を崩壊させるために必要となる蒸気爆発素過程の移行条件としての圧力条件が蒸気爆発発生の有無に極めて重大な影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、高温の炭素鋼球またはステンレス鋼球表面上に膜沸騰を形成させ、圧力波による強制的な膜沸騰の崩壊挙動を観察し、膜沸騰崩壊条件に関する基礎的な実験を実施した。特にステンレス鋼球の実験の場合、鋼球表面温度は圧力波の通過により急激に降下し、圧力波が通過した直後の鋼球の表面温度変化から、膜沸騰の崩壊挙動が膜沸騰の非崩壊、崩壊、崩壊後再発生の3パターンに分類できることを確認した。また、本実験条件の範囲においては膜沸騰の崩壊させるのに必要となる圧力が鋼球の初期温度に強く依存することを確認した。
八木 理公*; 阿部 豊*; 安達 公道*; 山野 憲洋; 杉本 純
JAERI-Research 94-041, 64 Pages, 1994/12
原子炉のシビアアクシデント時における蒸気爆発のメカニズムを解明する上で、粗混合状態での膜沸騰の連鎖的崩壊条件を明らかにすることが不可欠である。本研究においては、この条件を明らかにする第一段階として、粗混合状態において高温融体表面に形成される膜沸騰の崩壊過程を明らかにすることを目的とした。実験では、高温融体を模擬した鋼球を融点を越さない範囲で加熱した後、水に冠水させることで鋼球表面に膜沸騰を形成させ、そこに衝撃波を当て、その時の鋼球表面温度やその周囲の圧力の過渡変化を測定した。その結果、鋼球表面温度は初期の圧力ピークを境にして数回に分けて非連続的に降下し、その時の鋼球表面温度降下の度合は衝撃波圧力および初期鋼球表面温度の条件に応じて、大きく分けて3つのパターンに分けることができた。
大貫 晃; 秋本 肇; 井口 正; 村尾 良夫
JAERI-Research 94-012, 59 Pages, 1994/08
PWR-LOCA時再冠水過程における炉心内熱水力挙動をこれまで1515型模擬燃料集合体を用いて調べてきた。これまでの知見の実炉解析への適用性を評価するためには、燃料集合体形状(15
15型と17
17型との違い)及び燃料棒構造(被覆管材質・ギャップの有無)の影響を明らかにする必要がある。本研究では、小型再冠水試験装置による試験結果の比較及び15
15型に適用可能であるREFLA/TRACコードの解析結果を仲介として、上述の各パラメータが炉心内熱水力挙動に与える影響を検討した。その結果、いずれの効果についても基本的な熱水力挙動は15
15型で得られたものと変わらず、15
15型模擬燃料集合体で得られた知見は実炉の燃料熱特性の体系にも適用できることがわかった。
大貫 晃; 秋本 肇; 村尾 良夫
JAERI-M 93-139, 85 Pages, 1993/07
PWR-LOCA時再冠水過程での圧力容器内熱水力挙動に対するTRAC-PF1/MOD1コードの予測性能を評価するために、平板炉心試験装置(SCTF)を使い急峻、あるいは平担の各炉心半径方向出力分布により行った二つの試験に対する試験後解析を行った。TRACコードは被覆管温度の遷移に対し、出力の違いにより生ずる半径方向の分布を含め良く予測した。しかしながら、炉心内及び上部プレナム内でのボイド率の予測に対しては良くなかった。TRACコードはボイド率の半径方向の分布に対し、炉心内ではSCTF試験ではみられなかった特殊な分布を予測し、上部プレナム内では測定結果に対しより平担な分布を予測した。本予測性能評価に基づき、水力及び熱伝達モデルに対し改良すべき点を示した。
大貫 晃; 秋本 肇; 村尾 良夫
JAERI-M 93-138, 55 Pages, 1993/07
PWR-LOCA時再冠水過程での、圧力容器内における二次元挙動を含む熱水力挙動に対するTRAC-PF1/MOD1(MOD1)及びTRAC-PF1/MOD2(MOD2)コードの予測性能を評価するために、炉心半径方向に傾斜した出力分布をもつ平板炉心試験に対する試験後解析を行った。本報告では、MOD2コードの予測性能MOD1コードのものに比べ改良されたか否かを主に評価した。評価した結果、以下のことがわかった。(1)上部プレナム内の蓄水特性は測定結果と異なったものの、圧力容器内の水力挙動に対するMOD2コードの予測性能はMOD1コードのものより定性的には改善された。(2)炉心熱伝達に対するMOD2コードの予測性能はMOD1コードのものより劣化した。(3)数値解法の変更により、MOD2コードの計算速度はMOD1コードに比べ約1.5倍となった。
秋本 肇; 大貫 晃; 菊田 充孝*; 村尾 良夫
JAERI-M 93-032, 190 Pages, 1993/03
加圧水型原子炉冷却材喪失事故再冠水時の炉心内熱水力挙動に対するTRAC-PF1コードの予測性能を評価するために、円筒炉心試験と平板炉心試験から選んだ6試験に対する試験後解析を行った。計算結果と測定結果を比較した結果から、TRAC-PF1コードにより予測されるボイド率及び炉心蓄水量と測定結果との量的な一致は悪いこと、並びに、被覆管温度履歴におけるターンアラウンド時間・ターンアラウンド温度及びクエンチ時間は良好に予測されていることがわかった。TRACコードの問題点を明確にするために、界面剪断応力モデルと壁面熱伝達モデルについて検討した。その結果から、再冠水時の炉心内熱水力挙動をより精度よく予測するためには、気泡流/スラグ流領域及びチャーン流から環状噴霧流への流動遷移点の界面剪断応力モデル並びに膜沸騰領域の壁面熱伝達モデル等を改良する必要のあることがわかった。
大貫 晃; 秋本 肇; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(3), p.187 - 202, 1993/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)REFLAコード炉心熱水力モデルのPWR1717型燃料集合体への適用性を評価した。同モデルは従来15
15型燃料集合体に対し開発されてきたものである。15
15型と17
17型燃料集合体とでは、(1)集合体形状及び(2)支持構造が異なる。(1)及び(2)の効果を実験的に調べると共に、そのデータを使い適用性を評価した。REFLAコードの膜沸騰熱伝達及びボイド率モデルは各モデルの誤差範囲内(
30%)で17
17型燃料集合体へ適用できることがわかった。支持構造の違いは、ターンアラウンド温度には影響しなかったがクエンチ速度には影響した。17
17型の支持構造の場合にはクエンチ速度は低くなり熱伝達率の増加するのが遅れたため、REFLAコードにより評価モデル(EM)条件における被覆管最高温度(PCT)に及ぼす支持構造の効果を評価した。その結果、支持構造の違いはEM条件でのPCTに影響しない事がわかった。
村尾 良夫; 井口 正; 杉本 純; 秋本 肇; 岩村 公道; 大久保 努; 大貫 晃
Proc. of the 6th Int. Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics,Vol. 1, p.723 - 732, 1993/00
円筒炉心試験装置(CCTF)と平板炉心試験装置(SCTF)による試験において、クエンチフロント上方への明瞭な蓄水と良好な炉心冷却が観測された。これらの試験と原研の小規模試験の結果に対する現象論的分析により明らかになったボイド率、熱伝達率並びに、クエンチの進行に及ぼすグリッドスペーサの効果、逆スラグ流領域での液相速度効果について述べている。また、観測された蓄水と炉心冷却の促進の関係について議論している。更に、原研小規模試験データによる相関式の改良に基づいて、グリッドスペーサ効果を除き、再冠水モデルの改良を行った。この再冠水モデルをREFLA/TRACに組み込み、CCTFとSCTFのデータを用いてモデルの評価を行った。これらの改良モデルとその評価結果について述べている。
丹沢 貞光; 小林 晋昇; 藤城 俊夫
JAERI-M 91-215, 40 Pages, 1992/01
本報告書は、反応度事故条件下の燃料挙動に及ぼす冷却材/燃料比の影響を調べるために、大気圧室温及び静水条件下で試験燃料のまわりに冷却材の流路を設けて行なった燃料照射実験の結果をまとめたものである。実験は、大気圧カプセルを使用し、単一試験燃料棒のまわりに円形または四角形の流路管を取り付け、試験燃料と接触する冷却材を制限することにより行なった。実験条件としては、冷却材/燃料比を変えるために14mm、16mm及び20mmの円筒形あるいは対面距離14mmの四角筒形の流路管を取り付け、発熱量は約150cal/g・UOから400cal/g・UO
まで変化させた。この結果、試験燃料に流路管を取り付けた場合、流路管を取り付けない標準条件における実験の場合と比較して、被覆管表面の最高温度はあまり変わらないが、下流側では膜沸騰持続時間が長くなり、また、破損しきい値が約30cal/g・UO
低くなる等、冷却材/燃料比が反応度事故条件下の燃料挙動に大きな影響を与えることが判明した。
熊丸 博滋; 久木田 豊
ANS Proc. 1991 National Heat Transfer Conf., Vol. 5, p.22 - 29, 1991/00
圧力:3~12MPa、質量流束:20~410kg/ms、入口クオリティ:0.4~0.9の条件下で、ロッドバンドル内での水-蒸気二相流のドライアウト後の熱伝達実験を行った。最初に、本ドライアウト後熱伝達実験データを、噴霧流域に対するいくつかの熱伝達相関式及び最近の理論モデルと比較した。しかし、相関式及びモデルは実験データをよく予測しなかった。従って、次に、ドライアウト点での液滴エントレインメントについての簡単な考察に基づき、実験データを蒸気流冷却に対するいくつかの熱伝達相関式と比較した。比較の結果、Dittus-Boelterあるいは、Heineman相関式などの蒸気流冷却に対する熱伝達相関式は、噴霧流域に対する相関式より、むしろ本実験データをよく予測することが明らかになった。
大貫 晃; 秋本 肇; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 27(6), p.535 - 546, 1990/06
再冠水過程での膜沸騰熱伝達に及ぼす液相流量の効果を調べるため、実発熱長を有する66のロッドバンドルを使い、幅広い炉心冠水速度の範囲のもとで実験を行った。冠水速度は2cm/sから30cm/sの範囲であった。村尾・杉本の熱伝達率相関式の評価・改良を通じ、得られたデータを解析した。村尾・杉本の式は10cm/sまでの炉心冠水速度のもとでの熱伝達率をよく予測した。しかしながら、冠水速度が10cm/sより高い場合は熱伝達率を過小評価した。村尾・杉本の式に対する実験的な補正係数を本実験データに基づき提案した。この補正係数は他の大きなスケールの試験に対しても通用可能であることを確認した。
G.Xu*; 熊丸 博滋; 田坂 完二
JAERI-M 89-178, 35 Pages, 1989/11
原研の単一燃料棒実験装置において、再冠水実験を行った。主なパラメータは、再冠水速度、初期表面温度及び線出力である。実験は全て1MPaで行った。また、全て飽和水を注入した。実験は、0.01~0.18m/sの再冠水速度、677K~903Kの初期表面温度、及び0~2.712kW/mの線出力をカバーしている。実験では、クエンチ速度と再冠水速度の比が0.204より0.744まで変化した。高再冠水速度実験の結果は、蒸気流中にかなりの量のエントレインメント液体が存在していることを示した。クエンチ温度は、633Kより708Kまで変化し、その変化は狭い範囲、約75K以内であった。また、実験結果は、低再冠水速度及び低線出力で得られたデータを除けば、同じLo(クエンチフロントよりの距離)の値に対して、膜沸騰熱伝達係数は狭い範囲で変化することを示した。
岩村 公道; 安達 公道; 傍島 真; 大貫 晃; 大久保 努; 阿部 豊; 村尾 良夫
NUREG/CP-0082 Vol.4, p.429 - 444, 1987/00
平板炉心試験装置(SCTF)を用いた再冠水試験により、炉心半径方向の出力分布が存在すると、高出力バンドルにおけるクエンチフロント上方での熱伝達は促進されることが明らかとなった。このような2次元熱伝達挙動は、局所圧力損失測定値の2次元分布と密接な相関関係にあった。液滴分散流モデルに基づくと、熱伝達率は、輻射項、液滴衝突項、及び蒸気強制対流項の3項の和として表現できる。本モデルにより計算した熱伝達率は、クエンチ発生直前を除けば、SCTF、円筒炉心試験装置(CCTF)、及びFLECHT-SEASET等のデータと比較的良く一致した。従来のBromleyタイプの膜沸騰熱伝達率相関式では、SCTF試験で観察されたような2次元熱伝達挙動を予測することはできなかったが、本モデルを用いると、高出力バンドルにおける熱伝達促進を予測することができた。
岩村 公道
JAERI-M 86-135, 89 Pages, 1986/09
軽水炉の流量低下事故時における燃料棒のバ-ンアウト現象の特性を調べるため、実験及び解析的研究を実施した。実験は、加熱長さ800mmの一様加熱垂直円管および環状流炉テスト部を用い、実験範囲は、系圧力0.1~3.9MPa、流速減少率0.44~770%/sである。局所流動条件は、分離流モデル及びCOBRA/TRACコ-ドにより計算した。本研究の結果 以下の知見が得られた。流速減少率が増大するほど、バ-ンアウト時の入口質量流量が減少し、系圧力が高いほど過渡効果は小さくなった。これは沸騰境界の移動が入口流量の急激な減少に追随できない為、入口流量が定常バ-ンアウト流量に達してからも蒸気流量は増加を続け、加熱面上の液膜流を保持する事による。また、本実験のみならず他の研究者による実験についても、局所条件バ-ンアウトモデルにより予測したバ-ンアウトに至る時間は、実験結果と良い一致を示した。
岩村 公道
JAERI-M 86-075, 35 Pages, 1986/05
PWR-LOCA時再冠水過程において見られる液滴分散流及び遷移流領域における膜沸騰熱伝達率を調べる為、0.6~0.95のボイド率範囲において定常膜沸騰実験を実施した。この領域内での膜沸騰熱伝達は、熱輻射、蒸気強制対流及び加熱面への液滴衝突の3種類のメカニズムが重畳しているものと考えられる。輻射及び強制対流熱伝達率は、それぞれSeefan-Boltzmannの式とDittus-Boelterの式により評価した。強制対流熱伝達モ-ドでは熱力学的非平衡を考慮した。液滴衝突による熱伝達率についてはForslund-Rohsenowのモデルに基づいて新しい相関式を導出した。本相関式は、蒸気と水の流速、ボイド率、流体物性値及び壁面加熱度の関数である。本相関式では、実験により求めた熱伝達率と良い一致を示した。
刑部 真弘; 数土 幸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(2), p.115 - 125, 1984/00
被引用回数:2 パーセンタイル:30.46(Nuclear Science & Technology)PWR-LOCA時再冠水過程において、クエンチフロントの直上に、膜沸騰熱伝達領域が存在すると考えられている。この領域の飽和膜沸騰モデルとして、two-region modelと呼ばれるモデルを開発し、試験データと比較した。再冠水時には、クエンチフロントの上に存在する激しい二相流が、蒸気膜内の乱流化を促進すると考えられる。このモデルでは、乱流境界層である蒸気膜が、二相流のmixture coreでかこまれているとした。このモデルを、平板炉心再冠水試験(SCTF)データと比較した結果、次のことが明らかになった。クエンチフロントからの距離が小さいとき、その場所の膜沸騰熱伝達は、蒸気膜とmixture coreの境界面で、剪断力Ti=Oとしたときのモデルとよく一致する。クエンチフロントからの距離が大きくなるに従い、データは境界面での速度Ui=Oとしたモデルに近づいてくる。一方、熱伝達はmixture coreのボイド率に強く依存し、低いボイド率では、高い熱伝達が得られた。