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鈴木 哲; 江里 幸一郎; 廣瀬 貴規; 佐藤 和義; 吉田 肇; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.93 - 103, 2006/02
被引用回数:13 パーセンタイル:64.88(Nuclear Science & Technology)本論文では、核融合発電実証プラントのプラズマ対向機器である第1壁及びダイバータの原研における研究開発の活動について報告する。核融合発電実証プラントはITERのような実験炉に比べ、運転期間が長期にわたるため、プラズマ対向機器は厳しい中性子照射及び熱・粒子負荷を受ける。現状の設計では、核融合発電実証プラントのプラズマ対向機器の構造材としては、中性照射を考慮して低放射化フェライト鋼(F82H)が候補材となっている。一方、その表面保護材料としては、スパッタリング損耗に対する耐久性及び低トリチウム吸蔵特性からタングステン材料が候補材となっている。このような材料を組合せたプラズマ対向機器を実現するために、原研では、(1)高性能冷却構造の開発,(2)表面保護材料の開発,(3)F82H鋼とタングステンに対する接合技術の開発及び(4)構造健全性の評価を行うなど精力的な開発を行っている。本稿では、これらの開発活動に関する最新の成果として、高性能冷却管(スクリュウ冷却管)の開発,単軸圧縮による拡散接合法の開発,ダイバータ構造の熱疲労寿命評価法の開発及び表面保護材料のスパッタリング評価用低エネルギーイオン照射装置の開発について報告する。
古谷 一幸
JAERI-Research 2004-013, 165 Pages, 2004/09
本研究の目的は、これまでのHIP接合に関する基礎研究成果をブランケットの構造体部分(第一壁)の製作に応用した場合の問題点を明らかにし、その対処法を提案することにある。主な成果は次の通り。(1)低放射化フェライト鋼F82Hによる第一壁の矩形冷却配管を、一般的な配管製造法(角ダイス引き抜き法及び角ロール成型法)により製造可能であることを実証した。(2)第一壁の部分実規模モックアップをHIP接合法により製作し、接合部の引張り特性が母材部と同等であることを明らかにするとともに、衝撃特性が大幅に劣化する問題を有していることを明らかにした。(3)靭性劣化の要因は、接合部における結晶粒の粗大化,脆性破壊、及びボイドの成長不足であることを明らかにするとともに、これらを生じさせる因子には、初期ギャップ,不適切な表面粗さ,初期ギャップに起因する元素の拡散不足、及び表面の汚れがあり、これら因子が靭性劣化に複合的に寄与していることを見いだした。(4)劣化した靭性を大幅に改善可能な再熱処理法を見いだすとともに、靭性劣化因子の排除により母材部と同等の靭性が得られることを実証した。(5)接合部の引張り特性はITERレベルの約2dpaまでは大きく劣化しないことを明らかにした。
榎枝 幹男
高温学会誌, 30(5), p.256 - 262, 2004/09
ITERの真空容器内構造物の一つである遮蔽ブランケットの製作技術開発について報告する。遮蔽ブランケットの第一壁はベリリウム(アーマー),銅合金(熱シンク),ステンレス鋼(構造材)の3種類の金属から成っており、これらを接合するために高温等方圧加圧(HIP)法を適用した異種金属大型複雑構造物の接合技術を開発した。スクリーニング試験によるHIP条件選定及び選定条件によるHIP接合材の強度データ取得を行うとともに、第一壁部分モックアップの高熱負荷試験を行い除熱及び耐熱疲労特性が良好であることを確認した。また電磁力低減用として重要な第一壁及び遮蔽ブロックの深スリットに対して、ウォータージェットと放電加工を適用した施工技術を開発した。これらの技術を用い、第一壁パネルのプロトタイプモデル及び遮蔽ブロックの1/2部分モデルを試作して各々の製作手順を確立するとともに、第一壁の遮蔽ブロックへの組込が良好に行えることを確認して実機製作への見通しを得た。
鈴木 哲
高温学会誌, 30(5), p.243 - 247, 2004/09
核融合炉-主としてITER-における炉壁をプラズマ対向材及びその開発という観点から解説する。ダイバータでは、CFC材がインボード側及びアウトボード側垂直ターゲットの下部の表面材料として採用されており、その他の部分はすべてタングステンが採用されている。この理由としては、垂直ターゲットの下部における熱流束が非定常時において最大20MW/mに達し、より高熱伝導性の材料の採用が望ましいためである。ITERでは常温における熱伝導率が純銅を超えるような高熱伝導性のCFC材料を開発して採用している。一方、ダイバータの他の部分に入射する熱流束は5MW/m
以下であり、スパッタリングによる損耗が、表面材料の損耗の主因となる。したがって、タングステンのようにスパッタリング率の低い材料が好適である。また、第1壁は炉壁全面の約80%を占めるため、その表面材料にはプラズマとの適合性が強く求められる。また、第1壁への熱流束はプラズマからの放射熱が主であるため、ITERでは第1壁の表面材料として、粒子負荷等によるスパッタリングによってプラズマへ表面材料粒子が混入しても、プラズマへの影響が小さい低原子番号材料であるとともに、酸素不純物を低減する性質を有するベリリウムが採用されている。
秋場 真人; 石塚 悦男; 榎枝 幹男; 西谷 健夫; 小西 哲之
プラズマ・核融合学会誌, 79(9), p.929 - 934, 2003/09
原研における超臨界圧水を冷却水に用いた核融合発電プラント用ブランケットの設計,開発の現状に関するレビュー論文である。原研では超臨界圧水を用いた核融合発電プラントの概念設計を進めた結果、システムの発電効率として40%以上が得られる見通しを得た。この成果に基づき、発電プラント用ブランケットのより詳細な構造検討を実施した。まず2次元コードを用いてブランケット内の固体増殖・増倍材の温度分布を評価し、各々の充填層の厚さを決定した。これに基づいて2次元輸送コードを用いてトリチウム増殖比の評価した結果、局所で1.4以上、全体で1以上のTBRを得られる見通しを得た。さらに複雑な構造の製作手法として高温等方加圧法を採用して第一壁の模擬試験体を製作し、5000回以上の熱サイクルに耐えることを実証した。
正木 圭; 杉山 一慶*; 田辺 哲朗*; 後藤 純孝*; 飛田 健次; 三代 康彦; 神永 敦嗣; 児玉 幸三; 新井 貴; 宮 直之
日本原子力学会和文論文誌, 2(2), p.130 - 139, 2003/06
JT-60UのW型ダイバータ及び第一壁タイル内に残留したトリチウムをイメージングプレート法及び燃焼法により測定した。両者の測定結果は良い一致を示し、ドーム頂部で最もトリチウム濃度が高く、運転時の表面温度が高いダイバ-タ部では低い値を示した。タイル表面の堆積層の厚さを、走査型電子顕微鏡による断面観察により測定した結果、トリチウム分布と堆積層との相関は認められなかった。DD反応で生成される高エネルギートリトンの軌道損失を、軌道追跡モンテカルロコードで計算した結果、計算結果とイメージングプレート法及び燃焼法によるトリチウム分布の測定結果はよく一致した。また、計算結果と燃焼法測定結果との比較から、ダイバータターゲットタイルに取込まれたトリチウムは、タイル表面の温度上昇により放出されたことがわかった。これらのことから、JT-60Uのダイバ-タ及び第一壁タイルのトリチウム分布は、DD反応で生成される高エネルギートリトンのトロイダル磁場リップルによる損失を反映し、生成時のエネルギーが損失されずに壁に深く入射されていることがわかった。さらに、ダイバ-タタ-ゲットにおいては、タイル表面温度上昇の影響を受け、トリチウムが放出されていることがわかった。
古作 泰雄; 黒田 敏公*; 秦野 歳久; 榎枝 幹男; 三木 信晴*; 秋場 真人
JAERI-Tech 2002-078, 58 Pages, 2002/10
ITER-FEATの遮蔽ブランケットでは、放射性廃棄物量の低減と製作コスト低減のために分離第一壁型の構造を採用し、電磁力を低減するために、多様なスリット構造を必要とする。本報告では、これまでに明らかにされていない、Be/DSCu/SS第一壁パネル及びSS遮蔽ブロックへのスリット加工技術についての技術開発、及び冷却チャンネル内蔵ベリリウムの第一壁パネル部分モックアップへの接合実証と、それらの成果を用いた実規模の分離型第一壁パネルの製作実証の結果を報告する。
秦野 歳久; 榎枝 幹男; 黒田 敏公*; 秋場 真人
JAERI-Tech 2002-075, 59 Pages, 2002/10
ITER第一壁は、ベリリウムのアーマータイル,銅合金の熱シンク,ステンレス鋼の冷却管と後壁により構成され、それらを高温等方加圧(HIP)法を用いて接合する。本研究では、銅合金とステンレス鋼並びにベリリウムとの各接合に対するスクリーニング試験を実施して最適な接合条件を選定した。さらに第一壁の部分モデルを試作するとともにその熱負荷試験を行って、製作性を実証し、かつ熱機械特性を評価した。特に、ここでは低コストと高靭性の利点から、従来のアルミナ分散強化銅に代わるクロムジルコニウム銅の適用性について検討した。スクリーニング試験の結果、ステンレス鋼とクロムジルコニウム銅のHIP温度として1050を選定した。これにより接合体の破壊靭性値は~276kJ/m
とアルミナ分散強化銅の接合体に比べて非常に高い値を示した。ベリリウムとの接合では温度を555
として時効処理を兼ねたが、接合後のクロムジルコニウム銅は受け入れ材に比べてやや軟化する傾向を示した。これらによりHIP接合条件及び熱処理条件を絞り込むことができた。さらに第一壁の部分モデルを試作し、その高熱負荷試験を行い除熱性能及び熱疲労特性が良好であることを確認した。以上の結果からクロムジルコニウム銅の第一壁への適用に見通しを得ることができた。
古作 泰雄; 黒田 敏公*; 榎枝 幹男; 秦野 歳久; 佐藤 聡; 秋場 真人
JAERI-Tech 2002-063, 98 Pages, 2002/07
ITER-FEATの遮蔽プランケット設計では、放射性廃棄物量の低減と製作コスト低減のために分離第一壁型の構造を採用している。さらに、ディスラプションの際の電磁力低減のために渦電流を低く抑えるために、多様なスリット構造を必要とする。このような構造を実現するためには、ベリリウムアーマーと銅合金,銅合金とステンレス鋼の接合技術と第一壁及び遮蔽ブロックへのスリット施工技術等の大規模コンポーネントに対する有効性を実証すること、スリット施工技術を確立すること、などである。本報告は、これらの技術実証を目的として、ITER EDA延長期間中に、タスク合意G 16 TT 108 FJ (T420-2)に基づいて、プロトタイプの製作を行った。その結果、実規模のモジュールで、異種金属接合,スリット施工,遮蔽ブロック間電子ビーム溶接,異種金属接合部非破壊検査基礎データ取得を行い、基本的な製作性の実証を達成した。
ディスラプション・プラズマ制御・MHDグループ; 高エネルギー粒子加熱及び電流駆動専門家G; 計測専門家グループ
Nuclear Fusion, 39(12), p.2577 - 2625, 1999/00
ITERの設計建設のために必要なトカマクプラズマの運転についての物理基準を示した。日、米、露、欧の4極の専門家グループを中心に世界中のITER物理R&Dの成果をレビューし、第一壁の調整、トリチウムの第一壁への吸蔵とその排出、プラズマの位置形状制御、燃焼制御、プラズマの着火、プラズマの立ち上げと立ち下げ、プラズマの急速消滅、圧力分布と電流分布の制御、先進トカマク運転、等のプラズマ運転に関する指針を示した。
中山 武*; 阿部 充志*; 田所 孝広*; 三浦 幸俊; 鈴木 紀男; 佐藤 正泰; 仙石 盛夫
プラズマ・核融合学会誌, 74(3), p.274 - 283, 1998/03
核融合炉構造材の候補材として、低放射化材であるフェライト鋼が有力視されている。しかし、フェライト鋼は強磁性体であるために、磁場閉じ込め装置であるトカマク装置の真空容器として用いると、大きな誤差磁場を発生することが懸念されている。この研究では、フェライト鋼であるF82Hを日立製作所所有の小型トカマクHT-2装置に組み込み、フェライト鋼の作る磁場を実測するとともに3次元磁場解析コードMAGFiCで評価した。フェライト鋼のポート開口部付近の磁気軸で作る主半径方向磁場は約50Gと評価される。この磁場は、トロイダル磁場リップルを打ち消す方向の磁場である。
佐藤 聡; 秦野 歳久; 古谷 一幸; 黒田 敏公*; 榎枝 幹男; 高津 英幸
JAERI-Research 97-092, 80 Pages, 1998/01
ITERブランケットへの適用を目的に、HIP接合によるDSCuとSUSの接合技術を開発した。DSCu/DSCu及びDSCu/SUS、SUS/SUSを同時に接合することを考慮したスクリーニング試験の結果、HIP処理条件としては、温度1050Cが最適であると結論づけられた。DSCu/SUS接合片を用いて、引張り、衝撃、ひ労、き裂進展、破壊靱性試験を行った。一部、高温の試験条件で特性が下がるものはあるものの、ほぼ母材と同程度の特性であった。加えて、SUS円管を有するDSCu/SUS接合モックアップを用いた機械試験を行った。初期き裂は、解析において得られた最大歪みの発生位置と一致した。HIP接合により、第一壁パネル部分モデルの試作に成功した。高熱負荷試験を行った結果、熱サイクルによる除熱性能の劣化は確認されなかった。HIP接合面に対してUT試験を試み、検出可能な欠陥の大きさを評価した。
秦野 歳久; 鈴木 哲; 横山 堅二; 鈴木 隆之*; 戸上 郁英*; 喜多村 和憲*; 黒田 敏公*; 秋場 真人; 高津 英幸
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.363 - 370, 1998/00
被引用回数:20 パーセンタイル:81.02(Nuclear Science & Technology)本研究は、ITER遮蔽ブランケット第一壁部分を模擬して製作した高熱負荷試験用試験体を用いて熱サイクル試験を実施し、構造体の熱応力による疲労強度を評価することを目的とした。試験は平均熱流束5.0MW/mと7.0MW/m
でそれぞれ1000サイクルと1500サイクルで実施した。試験を通して除熱性能に大きな変化は見られず、試験体外観も正常であった。この試験結果より構造体の熱応力による疲労寿命はステンレス母材の設計疲労寿命より長寿命であることが確認された。
古谷 一幸; 佐藤 聡; 秦野 歳久; 戸上 郁英*; 喜多村 和憲*; 三浦 秀徳*; 伊藤 裕*; 黒田 敏公*; 高津 英幸
JAERI-Tech 97-022, 113 Pages, 1997/05
支持脚のバックプレートへの接続を溶接接合構造としたITER遮蔽ブランケットに対し、モジュール支持概念電磁力及び熱・強度解析等による特性評価、製作手順等に関する設計検討を行った。構造設計においては、遮蔽増殖ブランケットへの交換を考慮し、パージガスライン等の設計概念を反映させた。熱応力解析では、BPPにおけるプラズマ立ち上げ~炉停止までの一連のモードにおいて十分な設計強度を有することを確認すると共に、電磁力解析においては、プラズマディスラプション時にブランケットに発生する応力に対する設計裕度に一部不足がみられるなど、一部設計改善の余地があることを明らかにした。またCu/Cu,ss/ss,及びCu/ssの同時HIP接合方法によるモジュール製作手順等も検討した。
神保 龍太郎*; 西堂 雅博; 中村 和幸; 秋場 真人; 鈴木 哲; 大楽 正幸; 中川 師央*; 鈴木 康隆*; 千葉 秋雄*; 後藤 純隆*
Journal of the Ceramic Society of Japan, International Edition, 105, p.1179 - 1187, 1997/00
C/C材の次世代のプラズマ対向材料として、BCと炭素繊維から成る複合セラミックスを作り、電子ビームとJT-60のプラズマによる熱負荷試験を行って、耐熱性を評価した。高熱伝導性の縦糸と高強度で折れ難い横糸の炭素繊維から成る平織り布にB
Cを含浸後に、渦巻状にして加圧焼結した複合セラミックスで作ったタイルは、22MW/m
の電子ビーム照射(5秒,2500
C)によっても破損しなかった。さらに、JT-60のダイバータに設置し、中性粒子入射加熱(30MW,2秒)を含む15秒のプラズマ放電を繰り返し(572回)行っても、クラックの発生は見られなかった。
喜多村 和憲*; 小松崎 学*; 西尾 敏; 小泉 興一; 高津 英幸
JAERI-Tech 96-031, 16 Pages, 1996/07
核融合実験炉(ITER)におけるプラズマ崩壊時のブランケットモジュールに発生する電磁力低減対策の一環として、モジュール第一壁表面の銅合金製熱シンク材にトロイダルカット(スリット)を設け熱シンク材とトロイダル方向渦電流と電気的にカットする構造概念の有効性について検討した。その結果、以下の結論が得られ、第一壁銅合金へのトロイダルスリット構造のプラズマ崩壊時における第一壁の渦電流、および電磁力低減に効果的であることが分かった。(1)第一壁材料の銅合金からSUS材への変更、SUS材の板厚低減は第一壁電磁力を低減させ、SUS材板厚50mm以下の領域でその効果は大きい。(2)第一壁銅合金のトロイダルスリット構造により第一壁の電磁力は低減する。インボードモジュールでは実機相当寸法(1mmギャップ長、スリット数17)まで、増加することにより、第一壁内渦電流の60%がSUS材に流れる。
佐藤 聡; 古谷 一幸; 黒田 敏公*; 倉沢 利昌; 戸上 郁英*; 秦野 歳久; 高津 英幸; 大崎 敏雄*
16th IEEE/NPSS Symp. on Fusion Engineering (SOFE '95), 1, p.202 - 205, 1996/00
1m及び400mmスケールの、冷却配管内蔵第一壁構造体を、HIP接合により製作した。製作した第一壁構造体は、アルミナ分散強化銅とオーステナイト・ステンレス鋼から構成されている。その構造体は、今後熱負荷試験に用いられる。本論文では、試作及び熱負荷試験のための予備解析の結果を報告する。
佐藤 聡; 高津 英幸; 橋本 俊行*; 倉沢 利昌; 古谷 一幸; 戸上 郁秀*; 大崎 敏雄*; 黒田 敏公*
Journal of Nuclear Materials, 233-237(PT.B), p.940 - 944, 1996/00
被引用回数:34 パーセンタイル:91.77(Materials Science, Multidisciplinary)核融合実験炉ブランケット第一壁は、拡散接合の一種であるHIP接合を用いて、DSCuとSUS316及びSUS316同士を接合することによって製作される。HIP接合により製作した試験片を用いた各種の機械強度試験(引張試験、衝撃試験、疲労試験、かたさ試験、クリープ試験)及び金相観察を行い、HIP接合面に関する機械特性データの取得を行った。その結果、本試験で用いたHIP条件(温度1050C、圧力150MPa、保持時間2時間)により製作されたDSCu/SUS316及びSUS316/SUS316のHIP接合材料は、健全であることが判った。但し高温条件での試験においては、DSCu/SUS316のHIP接合材料の強度特性が若干低下しており、今後は更に強度データを蓄積することにより、DSCu/SUS316のHIP接合材料の健全性に関するより精度の高い評価を行う必要がある。
佐藤 聡; 高津 英幸; 倉沢 利昌; 橋本 俊行*; 小泉 興一; 喜多村 和憲*; 伊藤 裕*; 小沢 義弘*; 多田 栄介; 中平 昌隆; et al.
JAERI-Tech 95-019, 129 Pages, 1995/03
本レポートは、国際共同設計チームとの密接な協力の下に、1994年の1年間に日本ホームチームが行った、ITER遮蔽ブランケット/第一壁の概念設計活動の成果を纏めたものである。本設計作業は、国際共同設計チームと日本ホームチームとの間で結ばれたITER1994年設計作業契約に基づいてなされた。高い表面熱流速、高い中性子壁負荷及びディスラプション時の電磁力の下で信頼性の高い遮蔽ブランケット/第一壁の設計を実現すると共に、信頼性の高い組立保守性を達成するために、本設計では、分離第一壁、モジュール構造を有する遮蔽ブランケット、分離後壁から成る層状構造の遮蔽ブランケットを提案した。本報告では、構造設計の概要、製作性や保守性の検討、及び熱機械、電磁構造解析の結果を報告する。
小泉 興一; 渋井 正直*; 中平 昌隆; 高津 英幸; 多田 栄介; 関 昌弘; 常松 俊秀
Fusion Engineering and Design, 27, p.388 - 398, 1995/00
核融合実験炉の炉内機器の設計には遠隔保守との整合性を有することが要求される。特にプラズマからの高熱負荷と粒子負荷、ディスラプション時の巨大電磁力を受ける第一壁の場合には局所的な熱負荷のピーキングにより損傷を受ける可能性が大きく、遠隔保守によって容易に交換可能な構造が不可欠である。この要求を満足する概念として原研では大型・大重量構造物であるブランケットから機械的に分離された第一壁構造を提案している。本構造の特徴は、(1)軽量で組立・分解時の取扱いが容易、(2)休止時間の短縮が可能、(3)高い熱流束から分離してブランケットの熱応力が低減できる、(4)ブランケットより高温で第一壁の運動が可能である事である。構造は、フェイル・セーブ機能をもつ金属メッシュが挿入された信頼性の高い二重壁シェル構造を基本としており、0.3MW/m以上の高熱負荷条件でも低熱応力で運転が可能である。現在SS316のキルティング構造について検討を進めているが、Cu合金の採用も可能でありディスラプション時の電磁力低減のための電気接続にも効果的である。