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松本 太郎; 内藤 裕志*; 徳田 伸二; 岸本 泰明*
Nuclear Fusion, 45(11), p.1264 - 1270, 2005/11
被引用回数:14 パーセンタイル:43.56(Physics, Fluids & Plasmas)核融合プラズマの中心部のような高温になると電気抵抗が小さくなるとともに、電子慣性等の非衝突効果(運動論的効果)が磁気再結合過程に深くかかわる。本研究では、これらプラズマの粒子性を物理的に忠実に取り扱う観点から、ジャイロ運動論的粒子モデルを用いた3次元シミュレーションにより、反転磁気シア配位トカマクにおける磁気再結合を伴うMHD不安定性に対する運動論的効果の解明を目的とした。反転磁気シア配位において二つの共鳴面の距離が近いと、互いの共鳴面における摂動が結合し、ダブルテアリングモード(DTM)と呼ばれる内部モードが生じる。高温プラズマにおいて電子慣性により誘起される運動論的DTMは、抵抗性モデルにより予期されるものより、速い内部崩壊を引き起こし得ることが明らかとなった。さらに、内部崩壊により掃き出された電流は、DTMが作り出した静電ポテンシャルに導かれて凹型に再集中し得ることが明らかになった。本研究は、低ベータ負磁気シア実験におけるディスラプション機構の一端を示しており、またDTMを経た電流分布の再分配により負磁気シア配位を再構築し得ることを示唆している。
松本 太郎; 内藤 裕志*; 徳田 伸二; 岸本 泰明
Physics of Plasmas, 12(9), p.092505_1 - 092505_7, 2005/09
被引用回数:2 パーセンタイル:6.85(Physics, Fluids & Plasmas)磁気流体力学(MHD)不安定性の研究は、プラズマを閉じ込める磁気面の保持/再生にかかわる、トカマク炉心プラズマ研究の中心課題である。核融合プラズマの中心部のような高温になると電気抵抗が小さくなるとともに、むしろ電子慣性,有限ラーマ半径等の非衝突効果(運動論的効果)が磁気再結合過程に深くかかわる。本研究では、ジャイロ運動論的粒子モデルを用いた3次元シミュレーションにより、磁気再結合を伴うMHD不安定性に対する運動論的効果の解明を目的とした。電子慣性の特徴的長さは電子スキン長であるが、それと比較して磁気再結合にかかわる他の素過程の特性長(イオンラーマ半径,抵抗層の厚さ等)が小さい場合、キンクモードは主として電子慣性によって誘起されると考えられる。しかし、このような電子慣性が支配的な運動論的キンクモードに対して、磁力線方向の電子圧縮性がわずかに存在する場合は、磁気再結合点近傍の電流構造を非線形的にY型からX型に変化させる。それゆえ、線形成長過程において電子慣性により支配されていたモードは、非線形的に成長率を加速させ、ある一定以上の成長率に達して内部崩壊に至ることが明らかとなった。また、このような非線形加速は、DTM等の内部モードに共通して現れる現象であることも判明した。
岸本 泰明
プラズマ・核融合学会誌, 79(5), p.460 - 463, 2003/05
「異なった時空間スケールが関与する多階層シミュレーション研究」の視点に基づいて、プラズマが本質的役割を果たす基礎学術分野,磁場核融合分野,レーザー核融合分野,宇宙・天体分野の多階層シミュレーション研究の現状と今後の展開に関して、大規模計算機を中心とした計算科学の視点を含めてレビューしたものである。
H.-W.Bartels*; 功刀 資彰; A.J.Russo*
Atomic and Plasma-Material Interaction Data for Fusion, Vol. 5, 0, p.225 - 244, 1994/00
本論文は、IAEAのAtomic and Plasma-Material Interaction Data for Fusionのシリーズ第5巻に特集されるMaterial properties data compendium for fusion reactor plasma facing componentsに寄稿されたものであり、核融合炉プラズマディスラプション時に発生する可能性のある逃走電子(Runaway Electron)のプラズマ対向壁への影響について、これまで実施された研究の成果をレビューしたものである。
竹田 辰興; 谷 啓二; 常松 俊秀; 岸本 泰明; 栗田 源一; 松下 智*; 中田 登志之*
Parallel Computing, 18, p.743 - 765, 1992/00
被引用回数:2 パーセンタイル:48.31(Computer Science, Theory & Methods)核融合炉開発計画に必要な理論的データベースを充実するためにプラズマ・シミュレータMETISが設計されプロトタイプ・プラズマ・シミュレータProtoMETISが製作された。METISは250台のプロセッサ要素からなる分散メモリ型MIMDタイプ並列計算機として設計されトカマク・プラズマの非線形MHD挙動および磁場リップルによるアルファ粒子損失の計算を行うよう最適化されている。ProtoMETISを用いて、上記問題に対するMETIS構成の性能を評価して満足すべき結果を得た。また、自由電子レーザーのシミュレーション及びトカマク・プラズマのMHD平衡計算もプラズマ・シミュレータ上で効率よく実行できることが確認できた。
竹田 辰興; 常松 俊秀; 徳田 伸二; 栗田 源一; 滝塚 知典
Computational Mechanics 86;Theory and Applications, p.9 - 3, 1986/00
トカマク中の核融合プラズマ挙動を解析する為のMHD計算について述べた。特に、限界ベータ値の解析に関連して線形理想安定性解析に伴う大規模固有値問題及びディスラプションの解析に関連して自由境界非線形抵抗性MHD解析の為の擬真空モデルについて詳しく記した。
斉藤 誠次*; 杉原 正芳; 藤沢 登
Journal of Nuclear Materials, 121, p.199 - 204, 1984/00
被引用回数:20 パーセンタイル:85.98(Materials Science, Multidisciplinary)核融合実験炉(FER)におけるダイバータの運転条件を検討した。ダイバータ内スクレイプオフプラズマを電磁流体方程式で記述し、イオン化と荷電交換による中性粒子との相互作用を数値シミュレーションした。中性粒子の輸送はモンテカルロ法を用いて求めた。定常問題を扱い、遂次近似による収束解を求めることにより、スクレイプオフプラズマと中性粒子の輸送を矛盾なく解いた。数値シミュレーションの結果、FERダイバータ内のプラズマは、10cm程度に高密度に、また10eV以下の低温となることがわかった。また、ダイバータ内の中性粒子からの輻射損失は、40~50%におよぶことがわかった。このことから、ダイバータ板のスパタリングによる損耗率および熱負荷の低減が期待できることを示した。また、DIII装置におけるダイバータ実験を数値シミュレーションした結果、定性的に一致する結果が得られることがわかった。
井戸村 泰宏
no journal, ,
近年のペタスケール計算機によって第一原理に基づく核融合プラズマシミュレーションの適用範囲が広がり、既存の重水素プラズマ実験に対する乱流輸送の実証研究が飛躍的に進展した。そのような核融合プラズマシミュレーションの状況を反映し、ITERにおける燃焼プラズマのプラズマ閉じ込め特性の評価、予測が求められつつある。本講演では核融合炉の燃焼プラズマ数値実験に向けた将来のロードマップを物理モデル、数値計算法、計算機科学の観点から議論する。