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湊 和生; 荒井 康夫
原子核研究, 47(6), p.31 - 38, 2003/06
長寿命核種の分離変換技術に関して、マイナーアクチノイドを主成分とする窒化物燃料と溶融塩を用いた高温化学再処理に基づく、核変換専用燃料サイクル概念を提案している。核変換専用窒化物燃料及び高温化学再処理技術の特長,研究開発状況、及び今後の展望について述べる。
林 博和; 小林 紀昭; 小川 徹; 湊 和生
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.624 - 627, 2002/11
窒化物燃料の再処理に溶融塩を用いた高温化学法を適用することによって、高価なN-15をリサイクルすることができる。この概念の検証を目的として、ウラン窒化物(UN及びUN
)を塩化リチウム-塩化カリウム共晶溶融塩中で塩化カドミウムと反応させることによって溶解し、放出される窒素ガスを定量した。その結果、大部分の窒素がN
として放出されることが確認された。窒素ガス放出の見られる温度は、これまでの報告にあるTRU窒化物の模擬物質として使われた希土類窒化物の場合よりも高温であった。
林 博和; 湊 和生
JAERI-Conf 2001-016, 181 Pages, 2001/12
溶融塩技術を利用した物質の分離や合成は、新たな物質科学の分野を展開していくものとして、近年、調査・研究が精力的に行われてきている。原研物質科学研究部アクチノイド科学研究グループは、日本原子力学会再処理・リサイクル部会と共催で、2001年7月18日に原研東海研において、本ワークショップを開催した。本ワークショップでは、溶融塩の構造や物性から乾式再処理技術と計算シミュレーションに至る、溶融塩技術の基礎から応用までの広範囲にわたる11件の講演が行われるとともに、活発な討議が行われた。
小川 徹; 湊 和生
Pure and Applied Chemistry, 73(5), p.799 - 806, 2001/05
被引用回数:15 パーセンタイル:53.83(Chemistry, Multidisciplinary)照射済燃料からアクチノイドを回収する新技術として乾式法が提案されている。原研では、消滅用のTRUを含有する窒化物に対して溶融塩プロセスを応用する手法を検討している。研究の過程で、M-N-Cl系の高温化学、酸素不純物の効果、ランタノイド・アクチノイドの通常の三価のほかの二価の存在の影響について、実験及び解析を進めてきた。溶融塩中の核燃料物質の溶解と析出の過程について、熱力学的解析と電気化学測定の結果を比較した。
小川 徹; 小林 紀昭; 佐藤 忠; R.G.Haire*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.347 - 354, 1998/00
被引用回数:16 パーセンタイル:67.56(Chemistry, Physical)最近のNpN、AmNに関する知見を加えて、アクチノイド-窒化物の蒸発挙動の系統的理解が可能になった。また、U-N-Cl系の電気化学的測定により、ハロゲンを含む三元系の挙動が明らかになってきた。アクチノイド-窒化物の高温蒸発過程他の様々な化学平衡関係は、窒素副格子上の空孔を考慮した副格子モデルで記述できる。
小川 徹
消滅処理研究の現状; 新しい原子力技術の可能性を求めて, 0, p.117 - 124, 1994/08
マイナーアクチノイド消滅処理における燃料挙動解析上の着眼点とデータベースの現状について、酸化物、窒化物、合金、溶融塩の各系について概観した。
加藤 義夫; 荒木 信幸*; 平田 哲也*; 勝田 博司
Thermal Conductivity,Vol.19, p.279 - 287, 1988/00
抄録なし
古川 和男; 塚田 甲子男*
JAERI-M 83-050, 43 Pages, 1983/03
溶融塩ターゲットとブランケツトを加速器増殖炉に利用することが検討された。この塩の中にはThF,UF
が高い濃度で含まれる。この方式の利点は、ターゲットの製作、設計、照射損傷、熱除去、安全性、経済性に関連する。LiF-BeF
-ThF
,LiF-NaF-ThF
,LiF-BeF
-UF
などをターゲット・ブランケット兼用で使うならば、予期以上の中性子発生効率がえられることが、ニュトロニックスから示された。この加速器溶融塩増殖炉(AMSB)の概要、特性、炉化学問題点が紹介された。また、エネルギー戦略上の位置付け、特にトリウムサイクル実現化における貢献などか諭じられた。
大野 英雄; 五十嵐 一男*; 岩館 泰彦*; 新島 高幸*; 古川 和男; 持永 純一*
1st Int. Symp. on Molten Salt Chemistry, J-204, p.345 - 348, 1983/00
溶触NaNOの構造についてX線回折法を用い詳細な測定解析を行い、すでに報告されているX線および中性子線解析結果と比較し、検討した。1個のNO
イオンの近傍には約2個のNa
イオンが存在し、最近接Na-N,Na-OおよびNa-Na原子対の原子間距離は、それぞれ2.50,2.35および3.90
であった。本研究により、パルス中性子線回折法で得られたNa-N原子間距離2.178
は短すぎることが明らかとなった。Na-N距離=2.50
はNa
-NO
イオン間の様々な幾何学的配置における静電ポテンシャルエネルギーの考察からも矛盾しない値である。
三宅 通博*; 鈴木 喬*; 森川 日出貴*; 大野 英雄; 古川 和男
First Inter.Symp.on Molten Salt Chem.Technol.,J-207, p.354 - 357, 1983/00
溶融アルカリ硫酸塩RSO
(R=Li,Na,K,CsおよびAg)の構造を、融点直上におけるX線解析法により考察した。これらすべての溶融塩において、結晶状態で存在するSO
四面体が溶融状態においても存在することが明らかとなった。溶融Na
SO
,K
SO
およびCs
SO
においては、カチオンは主としてSO
四面体の頂点あるいは面位置に存在する確率が高いことを示している。一方、溶融Ag
SO
においては、カチオンの存在確率が高い位置はSO
四面体の頂点あるいは積位置である。溶融Na
SO
,K
SO
,Cs
SO
およびAg
SO
におけるイオンの長距離配列はCaF
型に類似(Ca位置にSO
、F位置にカチオン)しており、溶融Li
SO
の場合はTiO
型配置に類似(いづれも
=10
以内における考察ではあるが)していることが明らかとなった。
大野 英雄; 古川 和男
First Inter.Symp.on Molten Salt Chem.Technol.,J-315, p.449 - 452, 1983/00
イオン性液体中でのイオンの分極・変形効果(可変形イオン模型-deformable ion modelと呼んでいる)は、アニオン・カチオン半径の和(r+r
)およびそれらの比(r
/r
)とならんでアルカリハロゲン化物液体の構造・物性を支配する重要因子の一つである。すでに、融点における体積変化ならびに動径分布函数の第1ピーク位置に関して、イオンの分極・変形効果の重要性を証明してきた。本稿では、イオン性液体の動的挙動を最もよく代表し、また測定精度が高い電気伝導度に関して、最近の新しいデータをもとに考察を試みた。
大野 英雄; 古川 和男; 高木 隆三*; 五十嵐 一男*; 持永 純一*
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,1, 79, p.463 - 471, 1983/00
溶融塩の物性データ予測法を確立するには、その構造論的知見が必要である。本研究ではX線回折および計算機実験(molecular dynamics法-shell model)を行い、溶融KBrの構造を解析した。これらの結果は、ペアポテンシャルを用いた計算機実験は理論的にも不完全であるとの我々の主張(可変形イオン模型-deformable ion model)を裏付けるものであった。
大野 英雄; 古川 和男; 五十嵐 一男*; 持永 純一*
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 78(5), p.1555 - 1560, 1982/00
溶融塩の物性データ予測法を確立するには、その構造理論的知見が必要である。本研究では、詳細なX線回析実験を行ない、溶融LiBrの構造を解析した。最近接Li-Br間距離は0.265nmとなり、計算機実験で得られた値0.24nmより僅かに大きな値となる。この傾向はすべてのアルカリハライド液体に共通であり、pair potentialを用いた計算機実験が理論的にまだ不十分であること裏付ける結果である。また最近接Li-Br対の数は約3.8個となり、Levyら(ORNU)の結果(約5個)と異なるが、これはLevyらの測定にはかなりの誤差が含まれるためであろう。またこれは、古川の理論的予言(1961)を裏付ける結果である。
大野 英雄; 古川 和男
日本化学会誌, (6), p.934 - 941, 1982/00
本論文は回析実験から求められた溶融アルカリハライドの構造(我々が最近X線回析法で行なった未発表の研究を含む)に関し、計算機実験結果との比較ならびに安定同位元素を利用した中性子線回析法の問題点等をのべたものである。動径分布函数における第一ピーク位置は、X線あるいは中性子線回析結果と計算機実験結果では僅かではあるが明きらかな差(0.1~0.3が存在する。これは、イオンがお互いに近づきあった付近で、electron-shellに非対称的な変形(液体の本質を示す)がおこっているためと考えられ、球対称を維持したまま中心の偏極(分極)しうるelectron-shellを仮想するだけでは十分でないことを示している。安定同位元素を利用した中性子線回析法はX線回析法では得にくい、部分相関函数を直接求めることができるが、現在得られている結果には誤差が多く含まれているものもあり、精度をあげた再測定が必要と考えられる。
綱脇 恵章*; 大野 英雄; 勝田 博司; 古川 和男
日本化学会誌, 6, p.956 - 960, 1982/00
Na,
Fをトレーサーとする毛細管浸漬法により、溶融NaBeF
(融点372
C)中のナトリウム、フッ素の自己拡散係数D(m
,sec
)の測定を行い、次の結果を得た。DNa=7.80
10
exp〔(-4.2
5.6)
10
/RT〕(420~560
C) DF=4.93
10
exp〔(-79.6
6.5)
10
/RT〕(440~600
C)Rの単位はJ.mol
.K
である。この結果は、溶融LiBeF
,LiBeF
中のリチウム、フッ素の結果と同様な傾向を示す。これはすでに報告しているフッ素の交換と回転を伴う拡散機構模型と矛盾しないと言える。
古川 和男; 大野 英雄; 高木 喜樹*
日本化学会誌, (6), p.942 - 946, 1982/00
溶融塩のエネルギー工学への利用をはかる場合、その密度は最も基本的な物性値の一つである。液体の密度はその構造と密接な関連があり、今まで液体構造に関する情報が不足しており密度推定等は困難であった。しかし最近のX線あるいは中性子線回析実験等による溶融塩構造化学に関する研究の進歩により密度推定が可能となった。本論文では、融点Tmにおける分子容Vmを各構成イオンの最密充填させたと仮定して求めた理論的イオンモル体積Vi,電子分極率i,ならびに電荷Ziおよびイオン半径riの比Zi/riを用い解析した。錯イオンを形成しない単純イオンからなる溶融塩は
10%以内の巾で最適化曲線の上によく集まり、密度推定に利用できると思われる。しかし、錯イオンを形成する場合は複雑で、錯イオンの実効体積ならびに有効な電子分極率の評価にはさらに検討を要する。
大野 英雄; 古川 和男
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 77, p.1981 - 1985, 1981/00
溶融NaCl中の最近接Na-Cl間距離は、X線解析および同位元素を用いた中性子線解析によりそれぞれ2.75および2.6
と異った報告がなされている。この差は明らかに実験誤差をこえており、また以前から同位元素を用いた中性子線解析には、試料の量、測定データの補正方法に問題がある事が指摘されていた。 精度を上げた本研究により、最近接Na-Cl間距離は2.73
となり、同位元素を用いた中性子線解析結果の取扱いには注意を要することが明らかとなった。 またPair Potentialを用いたComputer Simulationは理論的に不完全であるとの我々の主張(deformable ion model)を裏付ける結果でもあった。
森川 日出貴*; 三宅 通博*; 岩井 津一*; 古川 和男; A.Revcolevschi*
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 77(2), p.361 - 367, 1981/00
VO
は急冷によりガラス化される物質の一つであるが、急冷によりガラス化される酸化物中においては、陽イオンのまわりの陰イオン配位数は4以下であることが知られている。X線解析の結果、V
O
結晶ではV原子のまわりの原子数は5個であるが、液体状態では約4個に減少する。従ってV
O
融体の構造はVO
四面体を基本単位にしたランダムな系であると考えられ、このため急冷によりガラス状態が実現されるものと思われる。
梅咲 則正*; 綱脇 恵章*; 大野 英雄; 岩本 信也*; 古川 和男
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 77, p.169 - 175, 1981/00
最も典型的な溶融フッ化物の一つとして、LiF-NaF-KF(46.5-11.5-42.0mol%entectic)を取上げ、その中のすべてのイオン種の自己拡散係数を測定したものである。Na,K,Fに対してはmass number 24,42,18の放射性同位元素をtracerとすることにより、LiはLiを用いることにより測定された。毛細管法によったが、その詳細は、Li-Be-F系,Na-Be-F系に対して行ったものと同様である。その結果はAnhenius equationsで整理でき、activation energyは30~37J/mol.Kという比較的低い値であって、単純なアルカリハライド溶融塩の値と同程度である。これらかも、我々が過去に示したfluoroberyllate溶融塩におけるFの異常拡散測定の正当性が裏付けられたと考えられる。
古川 和男; 塚田 甲子男*; 中原 康明
Journal of Nuclear Science and Technology, 18(1), p.79 - 81, 1981/00
被引用回数:25 パーセンタイル:95.38(Nuclear Science & Technology)今世紀末の核分裂性物質不足解消のために、Th(もしくは劣化U)に高速陽子を当てる加速器増殖炉方式の利用が考えられる。これは苛酷度(1)照射損傷、(2)熱除去、(3)target物質のshufflingなどの困難を持つが、工学的実現性の高い最初の炉概念設計を提示することができた。これはtargetおよびblanketに一種類のTh(またはU)含有溶融弗化物を使用するもので、(a)中性子物理的計算結果は軽原子の影響が殆ど無視できる優れたものである。(b)上記三問題は心配ない。(c)spallation productsの化学処理も量が少なく大きな問題とはならない。(d)必要電力は充分自給できる。(e)構造極めて単純、未臨界系で化学的不活性物質であるから安全性高い。 大容量加速器(1GeV 300mA)の開発が完成すれば、現実化は容易であろう。