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樋川 智洋; Peterman, D. R.*; Meeker, D. S.*; Grimes, T. S.*; Zalupski, P. R.*; Mezyk, S. P.*; Cook, A. R.*; 山下 真一*; 熊谷 友多; 松村 達郎; et al.
Physical Chemistry Chemical Physics, 23(2), p.1343 - 1351, 2021/01
被引用回数:15 パーセンタイル:78.83(Chemistry, Physical)An(III)/Ln(III)分離用抽出剤であるヘキサニトリロトリアセトアミド(HONTA)の、SELECT (Solvent Extraction from Liquid waste using Extractants of CHON-type for Transmutation)プロセス条件下における放射線影響を、米国INLが有する溶媒テストループを用いて調べた。HPLC-ESI-MS/MS分析の結果、放射線照射により、HONTAが線量に対して指数関数的に減衰し、ジオクチルアミンをはじめとする多様な分解物が生じることがわかった。またHONTAの減衰及び分解物の生成により、アメリシウム及びユーロピウムの抽出及び逆抽出挙動が低下する結果が得られた。パルスラジオリシス実験からは、このHONTAの減衰は、溶媒であるドデカンのラジカルカチオンとの反応((HONTA + R) = (7.61 0.82) 10 M s)によることがわかった。一方、アメリシウムやユーロピウムとの錯形成により、反応速度定数は増加した。この反応速度の増加は、錯形成によって異なる経路の分解反応が生じた可能性を示唆している。最後にナノ秒の時間分解測定からHONTAの直接効果,間接効果共に100ns以下の短い寿命を持つHONTAラジカルカチオンとマイクロ秒以上の長い寿命を持つHONTA励起三重項状態が生じることを明らかにした。これらの活性種はHONTAの分解における重要な前駆体となると考えられる。
樋川 智洋; 村山 琳*; 熊谷 友多; 山下 真一*; 鈴木 英哉; 伴 康俊; 松村 達郎
UTNL-R-0501, p.24 - 25, 2020/12
東京大学大学院工学系研究科が有するライナック研究施設を利用して平成31年度に得られた成果をまとめたものである。マイナーアクチノイド(MA)の分離プロセスで利用が見込まれるジグリコールアミド抽出剤について、ドデカン及びオクタノール溶液中における放射線分解過程をパルスラジオリシスにより調べた。その結果、アルコールを添加することにより、ジグリコールアミド抽出剤の放射線分解過程は、これまで考えられてきたラジカルカチオンを経由するドデカン単一溶媒中での分解過程とは異なることが示唆された。
吉田 陽一*; Yang, J.*; 近藤 孝文*; 関 修平*; 古澤 孝弘*; 田川 精一*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 南波 秀樹
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.183 - 185, 2006/01
シングルフォトンカウンティングシステムを用いて重イオンパルスラジオリシス技術を開発した。このシステムでは、溶液試料入射前に置かれた薄膜シンチレータにイオンを照射した時にシンチレータから発した光を溶液試料中に生成する初期活性種の検出光源として用いた。このシステムを用いて水中における水和電子の時間過渡吸収の測定が達成でき、これにより本技術の有用性が示された。
河西 俊一; 萩原 幸; 勝村 庸介*; 田畑 米積*; 田川 精一*
Radiation Physics and Chemistry, 26(6), p.705 - 713, 1985/00
芳香族化合物を高分子に添加した時、放射線安定性が増す。この作用機構を解明するために、アセナフテン(At),アセナフチレン(Ay)を添加したEPDMゴムで、ピコ秒パルスおよび定常電子線照射による発光挙動を測定し、系中の励起エネルギー移動過程を調べた。AtまたはAyの添加によって、非常に速い速出で高分子の励起エネルギーを移動し、効率よく光として放出するAT発光バンドを生成することがわかった。さらに芳香環を有するDCPで架橋すると、400nmにメルバンドを生成し安定性が増す。また重合性のAyの場合、AgのエキシマーバンドがXu,ATより低いレベル(450nm)に生成し、高分子鎖にグラフト重合することによるエネルギー移動の効率が良くなることと合わせて、Atよりも耐放射線性助剤としてすぐれていることがわかった。
樋川 智洋; 村山 琳*; 熊谷 友多; 山下 真一*; 松村 達郎
no journal, ,
高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイドを分離する際に用いるジグリコールアミド(DGA)抽出剤の放射線分解挙動解析は非常に重要である。これまでにドデカン中でのDGA抽出剤の放射線分解挙動はよく調べられてきた。しかし実際の分離では、第三相の発生を抑制するために、ドデカン中にアルコールを添加する手法が採用されつつある。そこで、本研究ではN, N, N', N'-tetraoctyldiglycolamide (TODGA)を対象に、オクタノール/ドデカン混合溶媒中でのTODGAの放射線分解挙動をパルスラジオリシス法により観察し、その反応機構およびアルコール添加による影響を検討した。アルコールを添加することで、TODGAの放射線分解反応機構は、ドデカン単一溶媒中での分解反応機構とは大きく変化することを示唆した。
樋川 智洋; 熊谷 友多; 山下 真一*; 鈴木 英哉; 松村 達郎
no journal, ,
マイナーアクチノイド分離プロセスでの利用が見込まれるアミド系抽出剤の放射線分解過程を、東京大学パルスラジオリシスシステムを利用して、時間分解観測した。ナノ秒からマイクロ秒領域にかけて存在する過渡種が抽出剤の直接イオン化のみでなく、溶媒抽出時に希釈剤として用いられるドデカンのイオン化によっても間接的に生成することを明らかにした。
岩松 和宏; 山下 真一*; 田口 光正; 木村 敦; 倉島 俊; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線であるイオンビームは低LET放射線である線や電子線などとは異なる照射効果を引き起こす。その照射効果はイオンビームの飛跡にそった高密度かつ不均一な活性種分布に由来する。イオンビームの照射効果の解明を目的に、低LET放射線での蓄積から放射線分解の挙動がよくわかっている水を媒体として研究を行った。水分解生成物のうち生成量も多く強力な酸化剤である水酸化(OH)ラジカルに着目し、そのプローブとしてBrイオンを用い時間分解光吸収測定実験を行った。イオン種としては19.2MeV/uのH、11.4MeV/uのHe、15.8MeV/uのC、12.8MeV/uのNeを用いた。OHラジカルとBrとの反応で過渡的に生成するBrの光吸収が375nm([Br]=9000Mcm)の波長で観測され、照射直後から2分子反応により減少した。吸光度から生成収率(個/100eV)を求めたところ、照射直後の収率は、原子番号の増加とともに1.8から0.6まで減少した。原子番号が大きくなるにつれ、トラック内のラジカル初期密度が増加し、ラジカル同士が反応し、その結果Brと反応したOHラジカルが減少したためと考えられる。Brの減少速度は原子番号の増加とともに早くなった。これは、二分子反応で消滅するBrの濃度が、LETすなわち原子番号の増加に伴い増加したことが原因と考えられる。現在、トラック構造モデルに基づいた3次元化学反応解析を進めている。