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論文

核破砕中性子源水銀標的容器の材料劣化評価に対する押込み試験技術の適用

涌井 隆; 斎藤 滋; 二川 正敏

実験力学, 24(4), p.212 - 218, 2024/12

J-PARCの核破砕中性子源水銀ターゲット容器の寿命を決定する主要な要因の一つは照射損傷である。使用済み容器の材料劣化を把握するため、使用済み容器の構造材料に対する押込み試験と数値実験による逆解析を用いた評価を行う予定である。照射量の異なる2種類のイオン照射材料に対して、この評価手法を適用した。照射量の増加に伴い、引張強度が増加し、全伸びが減少することが確認された。これらの傾向は、ばらつきを考慮した微小試験片の引張試験によって報告されている材料劣化挙動と同等である。さらに、容器は繰り返し熱負荷を受け、定格最大ビーム出力では容器の温度が140$$^{circ}$$Cを超えると推定されるため、温度上昇に伴う全伸びと照射材料の疲労強度の低下について検討した。

論文

キャビテーション損傷進展挙動に及ぼす入力強度の影響に関する検討

涌井 隆; 高岸 洋一*; 二川 正敏

材料, 73(6), p.520 - 526, 2024/06

キャビテーション損傷は、高強度パルス中性子源の水銀ターゲット容器の構造耐久性を予測する上で重要な因子の1つである。水銀ターゲット容器の運転条件を模擬した入力強度でのピット形状の数値解析と基礎実験の比較に基づいて、キャビテーション気泡の崩壊は、衝撃速度160$$sim$$200m/sのマクロジェットが発生し、衝撃圧力3$$sim$$4GPaが負荷していることが推定された。また、キャビテーション気泡の攻撃性、成長した気泡の最大径の分布及び水銀中の気泡の空間的分布を考慮すると、入力強度のおよそ4乗に比例することが統計的に理解することができた。

論文

Spin dependence in the $$p$$-wave resonance of $$^{139}$$$overrightarrow{textrm{La}}$+$overrightarrow{n}$

奥平 琢也*; 中部 倫太郎*; Auton, C. J.*; 遠藤 駿典; 藤岡 宏之*; Gudkov, V.*; 井出 郁央*; 猪野 隆*; 石角 元志*; 神原 理*; et al.

Physical Review C, 109(4), p.044606_1 - 044606_9, 2024/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)

We measured the spin dependence in a neutron-induced p-wave resonance by using a polarized epithermal neutron beam and a polarized nuclear target. Our study focuses on the 0.75 eV $$p$$-wave resonance state of $$^{139}$$La+n, where largely enhanced parity violation has been observed. We determined the partial neutron width of the $$p$$-wave resonance by measuring the spin dependence of the neutron absorption cross section between polarized $$^{139}$$La and polarized neutrons. Our findings serve as a foundation for the quantitative study of the enhancement effect of the discrete symmetry violations caused by mixing between partial amplitudes in the compound nuclei.

論文

High sensitivity of a future search for effects of $$P$$-odd/$$T$$-odd interactions on the 0.75 eV $$p$$-wave resonance in $$overrightarrow{n}$$+$$^{139}overrightarrow{textrm{La}}$$ forward transmission determined using a pulsed neutron beam

中部 倫太郎*; Auton, C. J.*; 遠藤 駿典; 藤岡 宏之*; Gudkov, V.*; 広田 克也*; 井出 郁央*; 猪野 隆*; 石角 元志*; 神原 理*; et al.

Physical Review C, 109(4), p.L041602_1 - L041602_4, 2024/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)

Neutron transmission experiments can offer a new type of highly sensitive search for time-reversal invariance violating (TRIV) effects in nucleon-nucleon interactions via the same enhancement mechanism observed for large parity violating (PV) effects in neutron-induced compound nuclear processes. In these compound processes, the TRIV cross-section is given as the product of the PV cross-section, a spin-factor $$kappa$$, and a ratio of TRIV and PV matrix elements. We determined $$kappa$$ to be 0.59 $$pm$$ 0.05 for $$^{139}$$La+n using both (n, $$gamma$$) spectroscopy and ($$overrightarrow{n}$$+$$^{139}overrightarrow{textrm{La}}$$) transmission. This result quantifies for the first time the high sensitivity of the $$^{139}$$La 0.75 eV $$p$$-wave resonance in a future search for $$P$$-odd/$$T$$-odd interactions in ($$overrightarrow{n}$$+$$^{139}overrightarrow{textrm{La}}$$) forward transmission.

論文

Cavitation damage prediction in mercury target for pulsed spallation neutron source using Monte Carlo simulation

涌井 隆; 高岸 洋一*; 二川 正敏

Materials, 16(17), p.5830_1 - 5830_16, 2023/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

水銀ターゲット容器は、陽子ビームの入射に伴い、キャビテーション損傷を受けるため、キャビテーションバブルの位置や衝撃圧力分布の不確実さを考慮して、モンテカルロ・シミュレーションを用いたキャビテーション損傷を予測する手法を提案した。本手法では、個々のキャビテーション気泡の崩壊に起因する衝撃圧力の分布はガウス分布とし、衝撃圧力の最大値の確率密度分布は3種類の分布: デルタ関数、ガウス分布、ワイブル分布と仮定した。衝撃圧力の分布を記述する方程式の2つのパラメータについて、実験から得られたキャビテーション損傷の分布とシミュレーションから得られた累積塑性ひずみの分布を比較し、ベイズ最適化を使用して推定することができた。また、ワイブル分布を用いて得られた結果が、他の結果に比べて、実際のキャビテーションエロージョン現象を再現することが分かった。

論文

Effect of inner wall cracking on the cavitation bubble formation in the mercury spallation target at J-PARC

有吉 玄; 猿田 晃一; 粉川 広行; 二川 正敏; 前野 航希*; Li, Y.*; 筒井 喜平*

Proceedings of 20th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-20) (Internet), p.1407 - 1420, 2023/08

水銀を核破砕標的とするパルス中性子源では、陽子線励起圧力波による標的容器のキャビテーション損傷が問題視されている。このような損傷の抑制手法として、旋回流式気泡注入器で水銀中に微小He気泡を混合し、その圧縮性効果を用いる手法や、標的容器内側に流路壁を追加した二重壁流路構造を設ける手法が採用されている。本研究では、二重壁流路体系において内壁部に生じ得るキャビテーション由来の貫通損傷を標的容器外部から検出する異常診断技術の確立を目指す。本論文では、貫通損傷が生じた場合の水銀流れを有限要素法に基づく流動解析で明らかにし、流体励起・音響振動の観点から、損傷の影響を評価した結果を報告する。

論文

モンテカルロ・シミュレーションによる核破砕パルス中性子源水銀標的容器におけるキャビテーション損傷予測

涌井 隆; 高岸 洋一*; 二川 正敏; 田邉 誠*

実験力学, 23(2), p.168 - 174, 2023/06

核破砕中性子源の水銀ターゲット容器において、陽子ビームが水銀に入射することにより、容器内面にキャビテーション損傷が生じる。気泡核の位置や衝撃圧力分布のばらつきを考慮して、モンテカルロ・シミュレーションを用いたキャビテーション損傷の予測方法を提案した。実験より得られたキャビテーション損傷の分布とシミュレーションより得られた積算ひずみの分布を比較し、ベイズ最適化を用いた逆解析により、衝撃圧力の分布を評価した。ガウス分布を仮定した最大衝撃圧力の平均値及び広がりはそれぞれ3.1GPa及び1.2$$mu$$mであった。シミュレーション結果は実験結果を再現しており、本評価手法が有効であると言える。

論文

Status report of the n_TOF facility after the 2nd CERN long shutdown period

Patronis, N.*; 木村 敦; 他130名*

EPJ Techniques and Instrumentation (Internet), 10, p.13_1 - 13_10, 2023/05

During the second long shutdown period of the CERN accelerator complex (LS2, 2019-2021), several upgrade activities took place at the n_TOF facility. The most important have been the replacement of the spallation target with a next generation nitrogen-cooled lead target. Additionally, a new experimental area, at a very short distance from the target assembly (the NEAR Station) was established. In this paper, the core commissioning actions of the new installations are described. The improvement in the n_TOF infrastructure was accompanied by several detector development projects. All these upgrade actions are discussed, focusing mostly on the future perspectives of the n_TOF facility. Furthermore, some indicative current and future measurements are briefly reported.

報告書

水銀ターゲット容器内壁のキャビテーション損傷観察に関する技術資料,1; 遠隔操作対応試験片切出し装置の開発

直江 崇; 木下 秀孝; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋

JAEA-Technology 2022-018, 43 Pages, 2022/08

JAEA-Technology-2022-018.pdf:7.84MB

大強度陽子加速器研究施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置されている核破砕パルス中性子源水銀ターゲットでは、高エネルギー陽子線入射時に水銀中に発生する圧力波が引き起こすキャビテーションによって、ステンレス鋼製のターゲット容器内壁に激しい壊食損傷が生じる。陽子線強度の増加と共に攻撃性が高くなるキャビテーションが引き起こす壊食損傷によって、熱応力を低減するために厚さ3mmで設計されたターゲット容器先端部では、長時間の運転により壊食痕からの水銀漏洩や、壊食痕を起点とした疲労破壊などが生じる懸念がある。これまでに、高出力での長期的な安定運転を実現するために、キャビテーションによる壊食損傷を低減するための取り組みとして、容器内壁への表面改質の適用や、水銀中への微小気泡注入によりキャビテーションの発生源である圧力波の抑制、先端部の2重壁構造化を進めてきた。損傷低減化技術の効果を確認するために容器内壁に形成された損傷を観察する必要があるが、中性子源の運転中に内部を観察することは不可能であるため、運転を終えたターゲット容器の先端部から試験片を切出し、内壁の観察を実施している。ターゲット容器の破損による水銀の漏洩を防ぎつつ、運転出力によって変化する適切な容器の交換時期を検討するためには、運転出力と損傷の関係を明らかにすることが必要である。これまでに、高放射線環境で遠隔操作可能な試験片切出し装置を開発し、実機水銀ターゲット容器からの切出しを通じて、遠隔操作性や、より確実に試験片を切出すための切削条件の検討や切出し手法の改良を重ねてきた。本報では、実機ターゲットでの作業経験、及びモックアップ試験の結果に基づいて改良した遠隔操作による水銀ターゲット容器先端部からの試験片切出し手法に加えて、これまでに実機から試験片を切出した結果の概要についてまとめる。

論文

J-PARCにおける加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発,3; 鉛ビスマスターゲット技術

佐々 敏信

プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.211 - 215, 2022/05

鉛ビスマス共晶合金(LBE)が、その核的・化学的特性から、次世代原子炉の冷却材や加速器駆動システム(ADS)の核破砕ターゲットとして有望視されている。LBEは重金属であり、核破砕ターゲットとしても長寿命放射性核種の核変換システムの冷却材としても良好な特性を有している。一方、その利用の大きな課題の一つである構造材との共存性を向上するための様々な技術開発とともに、ADSによる核変換技術の早期実用化を目指して進めている、LBEの高温運転、耐腐食性確保のための酸素濃度制御など最新の研究成果を紹介する。

報告書

核破砕標的循環試験装置(IMMORTAL)の開発

大林 寛生; 八巻 賢一*; 吉元 秀光*; 北 智士*; Wan, T.*; 佐々 敏信

JAEA-Technology 2021-035, 66 Pages, 2022/03

JAEA-Technology-2021-035.pdf:4.26MB

大強度陽子加速器施設(Japan Proton Accelerator Research Complex; J-PARC)では、加速器駆動システム(Accelerator-Driven system; ADS)による核変換技術の実現に資する研究開発を行うため、核変換実験施設(Transmutation Experimental Facility; TEF)の建設を計画している。2つの施設で構成されるTEFの内、ADSターゲット試験施設(TEF-T)では、溶融鉛ビスマス合金(Lead-Bismuth Eutectic alloy; LBE)を核破砕ターゲットおよび冷却材として用いるターゲットシステムを導入して陽子ビームを照射することにより、照射環境下でのLBEとADS構造材料候補材との共存性等のADS特有の課題に関する研究開発を行う。冷却材としての側面から見たLBEは、他の液体金属冷却材と同様に伝熱特性に優れ、ナトリウムに比べ化学的活性が低く水や空気と接触した際に火災などの事故に繋がる危険性がない。一方、一般に広く用いられるステンレス鋼等の構造材料に対し腐食性を示す他に、TEF-Tターゲットでは最大500$$^{circ}$$Cに達する温度域で使用される等の理由から適応する計装や機器が限られる。このため、LBE用の機器について個別に研究開発や設計を進めてきた。LBEターゲットシステムの実現においては、これらの機器を統合して単体の大型装置として運用した際の機能や性能評価が重要である。本報告書では、LBEターゲットの一次冷却系および二次冷却系の実証試験の他、LBE用機器や計装の性能評価、遠隔によるメンテナンスを考慮した際の機器配置に関する課題抽出、さらに将来的にTEF-T施設で行う照射後試験に向けた非照射サンプルの供給を目的とした実規模試験ループである核破砕標的循環試験装置(Integrated Multi-functional MOckup for TEF-T Real-scale TArget Loop; IMMORTAL)の概要について報告する。

論文

Development of the high-power spallation neutron target of J-PARC

羽賀 勝洋; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 若井 栄一; 二川 正敏

Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 13 Pages, 2022/03

J-PARCではMWクラスの核破砕中性子源を実現するために水銀ターゲットの流路構造としてクロスフロー型ターゲットを開発し、流路構造の改良を継続してきた。高出力の短パルス陽子ビームが水銀ターゲットに入射すると、急激な水銀の発熱と体積膨張により最大40MPaにも達する圧力波が誘起され、ターゲット容器にキャビテーション損傷を生じさせる。このため、水銀流路にマイクロバブル生成器を配置し、バブルの収縮により水銀の体積膨張をクッションのように吸収することで圧力波を低減する技術や、陽子ビームが入射する容器壁に内壁を設けて、狭隘流路に形成される速い水銀流れの大きな速度勾配を利用してキャビテーション損傷を低減する技術などを水銀ターゲット容器の流路構造に導入した。これらの技術開発により、2020年には36.5時間の1MW連続運転を成功させ、2021年4月から最大740kWの高出力で長期の安定な利用運転を達成した。本報告は、主に水銀ターゲット容器の熱流動設計に関して1MW運転を実現するまでの技術開発をまとめたものである。

報告書

J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)及び関連設備の現状と高度化戦略

勅使河原 誠; 中村 充孝; 金正 倫計; 曽山 和彦

JAEA-Technology 2021-022, 208 Pages, 2022/02

JAEA-Technology-2021-022.pdf:14.28MB

J-PARCの定格出力1MWの物質・生命科学実験施設において、今後の具体的かつ現実的な高度化戦略を展開するため、線源性能に大きく影響する加速器技術(リニアックおよびRCS)、線源技術、中性子・ミュオン輸送技術、検出技術、そしてそれらが結実する中性子・ミュオン ビーム利用装置等の現状(所期設計値に対する到達度)について整理した。さらに、現状分析に基づき出力増強に向けた改良点等について報告する。

論文

Great achievements of M. Salvatores for nuclear data adjustment study with use of integral experiments

横山 賢治; 石川 眞*

Annals of Nuclear Energy, 154, p.108100_1 - 108100_11, 2021/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.40(Nuclear Science & Technology)

高速炉のような新型炉の設計において、核特性の予測精度を向上させることは重要な課題である。炉定数調整法(核データ調整法)はこの課題に対する有力な方法論の一つである。炉定数調整法の考え方は1964年に初めて提案されたが、その実用化に向けては長期間に亘って研究が行われている。理論式の確立に約10年間を要したが、実用化に向けては半世紀以上に亘って研究開発が行われている。この分野の研究活動は依然として活発であり、新しい原子炉を開発するためには予測精度の向上が必要不可欠であることを示唆している。2020年3月に逝去されたMassimo Salvatores氏は炉定数調整法の最初の提案者の一人であるとともに、実用化に向けて偉大な貢献を行った研究者である。この分野における同氏の業績をレビューすることは、炉定数調整法の方法論の歴史をレビューすることとほぼ同じことを意味する。われわれはこのレビューがこの分野において今後何を開発すべきかを示唆するものになると期待する。このレビューは、a)炉定数調整法の方法論の確立と、b)実用化に関する成果の二つのテーマで構成される。更に、前者については、炉定数調整法の理論と炉定数調整法の適用必要となる感度係数の数値解法に関する研究の観点からレビューを行う。後者については、積分実験データの利用、不確かさの定量化と設計目標精度の評価、核データ共分散開発の促進の観点からレビューを行う。

論文

Study of neutron-nuclear spin correlation term with a polarized Xe target

酒井 健二; 奥 隆之; 奥平 琢也; 甲斐 哲也; 原田 正英; 廣井 孝介; 林田 洋寿*; 加倉井 和久*; 清水 裕彦*; 広田 克也*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011116_1 - 011116_6, 2021/03

中性子基礎物理学において、パリティ非保存(PNC)項や時間反転非保存項と干渉する中性子スピン$${bf s}$$と標的核スピン$${bf I}$$の相関項$${bf s}cdot{bf I}$$は重要な研究テーマである。中性子共鳴ピーク付近でPNC項の増大が測定され、スピン交換光ポンピング(SEOP)法により$$sim 10^{-1}$$の偏極が得られるキセノン(Xe)は、本研究にとって興味深い原子核である。我々は小型SEOPシステムを用いた偏極Xe標的を開発し、核破砕中性子源で得られる大強度の熱外中性子ビームを利用した$${bf s}cdot{bf I}$$項の研究を計画している。その第一段階として、我々は$$^{129}$$Xeの9.6eV共鳴ピーク付近でのXe偏極時と非偏極時の中性子透過率比の変化$$Delta R$$を捕らえることで、$${bf s}cdot{bf I}$$項に起因する中性子偏極能力の測定をJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)のBL10で試みた。実験では、本測定系がドップラーブロードニングの影響($$Delta R_{rm DB} , {approx},10^{-2}$$)を検知できることを実証した上で、初期結果として有意な$$Delta R$$の値を得ている。現在は$$Delta R$$をより詳細に評価するために、核磁気・電子スピン共鳴法によるXe偏極度の導出を進めている。

論文

A Plan of materials irradiation facility at J-PARC for development of ADS and high-power accelerator facilities

前川 藤夫

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011042_1 - 011042_6, 2021/03

加速器駆動核変換システム(ADS)開発にあたり、ビーム窓(BW)材料の開発は主要課題の1つである。BWは高エネルギー陽子及び核破砕中性子に、また約500$$^{circ}$$Cの腐食性のある高温鉛ビスマス共晶(LBE)合金に曝される。また最近では、加速器施設の高出力化にあたり、高出力加速器のみならず高出力標的が放射線損傷や熱除去の点で律速となっている。ADSを含む高出力加速器施設のBW及び標的材料の放射線損傷研究に資するため、J-PARCのLinacにより供給される400MeV 250kWの陽子ビームを利用した材料照射施設の検討を行っている。標的にはADSの標的兼冷却材である流動LBE合金を用いる。標的中で鋼材を1年間照射下場合の放射線損傷は最大で10dpaとなり、これはADSのBWの年間放射線損傷量に相当する。現時点での施設概念では、本施設で効率的に照射後試験を行うためのホットラボを付設する。発表では、本施設の概要について述べる。

論文

New design of high power mercury target vessel of J-PARC

涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平*; 羽賀 勝洋; 島田 翼*; 鹿又 研一*

Materials Science Forum, 1024, p.145 - 150, 2021/03

J-PARCの大強度ビーム運転を実現するために、保護容器で覆われた水銀ターゲット容器の新規構造の開発を行ってきた。まず、500kWの安定運転の実現を目的とした第1段階では、初期構造を踏襲した構造で、水銀容器と保護容器の接続方法を改良し、約8か月の500kW利用運転を実現した。1MWの安定運転の実現を目的とした第2段階では、容器の後端のみで接続した新規構造を検討した。新規構造では、熱応力を低減するための水銀容器冷却や内圧に対する保護容器の剛性を増加するための板厚の増加を実施した。その結果、各容器に発生する応力は、日本産業規格の圧力容器規格の許容応力以下となり、1MWビーム運転が可能であることを確認した。

論文

Measurement of thick target neutron yield at 180$$^{circ}$$ for a mercury target induced by 3-GeV protons

松田 洋樹; 岩元 大樹; 明午 伸一郎; 竹下 隼人*; 前川 藤夫

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 483, p.33 - 40, 2020/11

 被引用回数:3 パーセンタイル:30.06(Instruments & Instrumentation)

大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて、3GeV陽子入射による水銀標的から180度方向に放出される中性子のエネルギースペクトルを測定した。得られた結果は、粒子輸送計算コードPHITSによる計算結果と明らかな差異が見られ、その傾向はインジウムやニオビウムの放射化箔を用いた反応率実験の結果と一致することがわかった。鉛標的に対するGeV領域陽子入射中性子二重微分断面積の後方角におけるエネルギースペクトルの実験データとPHITSの核反応モデルを比較したところ、この差異は3GeV付近における核反応モデルによる中性子生成あるいは弾性散乱外断面積の記述に起因していることが示唆された。

論文

Measurement of displacement cross-sections of copper and iron for proton with kinetic energies in the range 0.4 - 3 GeV

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(10), p.1141 - 1151, 2020/10

 被引用回数:15 パーセンタイル:80.72(Nuclear Science & Technology)

加速器駆動型核変換システム(ADS)等の陽子ビーム加速器施設におけるビーム窓などの構造材の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(dpa)が損傷指標として広く用いられる。dpaの評価は弾き出し断面積に基づいて行われるものの、20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対する弾き出し断面積の実験データは乏しく、計算モデルの間でも約8倍の差が存在している。このため、弾き出し断面積を実験的に取得するのは計算に用いるモデルの評価のために重要となる。弾き出し断面積の取得のため、J-PARCの加速器施設において、0.4-3GeVにわたる陽子エネルギー領域における銅と鉄の断面積を測定した。弾き出し断面積は、損傷を保持するために極低温に冷却された試料における、陽子ビームに金する抵抗率変化により得ることができる。本測定で得られた実験結果を元に、計算モデルの比較検討を行った。広く用いられているNorgertt-Robinson-Torrens (NRT)モデルは、実験値を3.5倍過大評価することが判明した。一方、近年の分子動力学に基づく非熱的再結合補正(arc)モデルは実験値をよく再現したため、銅と鉄の損傷評価にはarcモデルを使うべきであると結論づけられた。

論文

Recent status of the pulsed spallation neutron source at J-PARC

高田 弘; 羽賀 勝洋

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081003_1 - 081003_7, 2020/02

大強度陽子加速器施設J-PARCの核破砕中性子源では、設計を見直した水銀ターゲット容器を使用して2017年10月から2018年7月までの間、500kWの陽子ビームで運転を行うとともに、1MW相当のビーム強度で1時間の運転も行った。このターゲット容器では、ビームが入射する尖頭部でのキャビテーション損傷を抑制する対策として微小気泡注入器を装備するとともに、尖頭部では流路幅2mmの狭隘流路に水銀流れを形成する形状を採用した。運転終了後の観察の結果、厚さ3mmの容器尖頭部の損傷は17.5$$mu$$mより浅い程度に抑制できたことがわかった。

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