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星屋 泰二; 近江 正男; 松井 義典; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 258-263(PT.B), p.2036 - 2040, 1998/00
被引用回数:13 パーセンタイル:70.60(Materials Science, Multidisciplinary)遠隔操作及び補修技術の観点から要素迅速交換技術として形状記憶合金を利用した応用技術が着目されている。しかしながら、同合金の照射挙動に関するデータは少なく、同合金を利用した継手の締結機能に及ぼす中性子照射効果には不明な点が多い。高速中性子照射量1.410mまで照射したTi-Ni系形状記憶合金及び合金継手試料の照射後引張、衝撃試験、継手内径測定試験を実施した。323Kで照射した継手試料の加熱冷却時に生じる温度履歴は503Kで照射した同試料の履歴の1.5倍であり、これは照射による変態温度低下及び変態温度区間の拡大に起因する。二方向継手試料では、内径の可逆変化量は照射により減少したものの、未照射試料の変化量の7割を保持した。二方向付けのために同合金継手に導入された応力場は、照射により生ずる残留歪と密接に関連し、照射効果が低減したと予想される。
星屋 泰二; 後藤 一郎; 近江 正男; 安藤 弘栄; 江南 和幸*; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 212-215, p.818 - 822, 1994/00
被引用回数:3 パーセンタイル:35.66(Materials Science, Multidisciplinary)原子力関連機器設計において、構成材料の弾性力を利用した構成要素の拘束・支持機構の設計が数多くなされてきた。最近、こうした構造材料の弾性力が、照射中に急激に低減・消滅する照射誘起応力緩和現象の存在が深刻な課題となっている。母相の弾性力を形状回復力として利用する形状記憶合金においても、同現象は不可避の問題である。本報告では、JMTRにおいてTiNi及びTiPd系形状記憶合金の中性子照射実験を実施し、照射誘起応力緩和機構を解明するとともに、TiPd系合金の中性子照射挙動について明らかにすることを目的とした。照射後の応力緩和実験結果から、照射下における形状記憶合金の応力緩和機構は、格子間原子以外の空孔の挙動に大きく左右され、空孔依存型の現象であること、さらに、環境温度を制御することによって、この応力緩和が抑制できることを見出した。
星屋 泰二; 島川 聡司; 市橋 芳徳; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1070 - 1074, 1992/00
被引用回数:10 パーセンタイル:67.46(Materials Science, Multidisciplinary)TiNi形状記憶合金の形状記憶特性を利用した原子力関連機器分野への応用開発が進められているが、形状記憶合金に及ぼす中性子照射の影響については明らかではない。照射環境下におけるTiNi形状記憶合金の使用条件を見出すため、3種類のTiNi形状記憶合金を様々な中性子フルエンス条件下で照射し、照射後等温・等時焼鈍後の電気抵抗測定を実施して、変態特性を調べた。さらに照射後の変形挙動を明らかにするために低温引張試験を行った。照射温度が520Kの場合、損傷量にかかわらずM温度の変化は小さく、未照射材のM温度に殆ど一致した。また323Kで照射すると、M温度は急激に低下したが照射後に523Kで焼鈍すると、照射前の変態温度に回復した。この回復温度は極めて低いHomologous温度(T/Tm;Tm融点)0.33に相当する。これら形状記憶合金特有の照射効果は照射下の規則-不規則変態に関する検討結果によって説明出来る。
星屋 泰二; 島川 聡司; 市橋 芳徳; 西川 雅弘*; 渡辺 健二*
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.1119 - 1122, 1991/00
被引用回数:17 パーセンタイル:83.83(Materials Science, Multidisciplinary)形状記憶合金は遠隔操作を用いた要素迅速交換技術に極めて有用であるが、実用上最も問題となる高速中性子照射挙動については明らかではない。高速中性子炉JMTR及び14MeV中性子源オクタビアンにおいてTiNi形状記憶合金の照射実験を実施した結果、中性子照射による特異な照射挙動、(1)電気抵抗の負の温度依存性(2)5%までの回復弾性歪(3)高破断応力及び(4)損傷回復挙動の存在が明らかになった。この損傷回復はT/T=0.33(T:融点、T=523k)という極めて低い温度で生ずる。この現象を利用すれば、照射環境温度を制御することにより照射損傷の影響を最小限に抑制することが可能となる。規則構造を有するTiNi形状記憶合金は変位損傷、変位損傷率や照射温度など中性子照射環境因子に対して、速応答性であると同時に高感受性でもあるため、耐照射型機能材料となり得る可能性を有している。
星屋 泰二; 高田 文樹; 市橋 芳徳; H.R.Pak*
Mater. Sci. Eng., A, 130, p.185 - 191, 1990/00
TiNi形状記憶合金の形状記憶特性を利用した原子力関連機器分野への応用開発が進められている。照射環境下におけるTiNi形状記憶合金の使用条件を見出すため、3種類のTiNi形状記憶合金を様々な中性子フルエンス条件下で照射して、照射後等温・等時焼鈍後の電気抵抗測定を実施した。523Kで焼鈍すると、照射材の電気抵抗温度依存性は、未照射材のそれと殆ど同じになる。この温度は極めて低いHomologous温度(T/T;T融点)0.33に相当する。これら照射材から得られた結果を照射によって生成される損傷と照射後焼鈍によって起こる構造変化の観点から説明した。
星屋 泰二; 高田 文樹; 木崎 實; 田昭 治*; 須藤 健次; 坂倉 敦; 市橋 芳徳
JAERI-M 89-205, 68 Pages, 1989/12
相変態材料に関する照射後物性データは、相変態挙動研究に必要な遠隔操作型温度可変式物性測定装置が開発されていないため殆ど報告されていない。このため形状記憶合金特有の形状特性と密接に関連する照射後変態特性変化を解明する目的で、温度可変式の遠隔操作型電気抵抗測定装置を初めて開発した。更にその装置を用いた形状記憶合金の照射後等時焼鈍実験及び等温焼鈍実験(照射後試験)を実施した。その結果、本装置に用いた単純試料駆動方式による温度制御方法はガンマ線感受性の高い半導体や温度センサーを使用しないため操作性及び信頼性の点からも遠隔操作型物性測定装置に最適であり、他の遠隔操作型装置への応用も可能であることが判明した。遠隔操作型電気抵抗測定装置は照射後の物性測定を行ううえで簡便な実験手段であり、構造敏感(structure sensitive)であるため中性子照射感受性の高い相変態材料の研究に有用である。
星屋 泰二; 高田 文樹; 西川 雅弘*; 渡辺 健二*; 市橋 芳徳
Proc. Int. Workshop on Intelligent Materials, p.283 - 288, 1989/03
Ti-Ni形状記憶合金は形状記憶効果や擬弾性と呼ばれる特異な効果を有するため、実用的な見地からも注目されている。これらの特性を利用すれば、中性子照射環境において、中性子壁負荷の大きな材料の交換・補修という原子力工学分野に不可欠な要素迅速交換技術へも適用可能であるため、炉設計や遠隔補修の立場からも本材料実用化の意義は極めて大きい。しかしながら、実用化のための基礎データとなるTi-Ni形状記憶合金の照射挙動については殆ど明らかにされていない。本報告では、中性子照射Ti-Ni形状記憶合金の(1)電気抵抗の負の温度依存性、(2)異常な弾性挙動、(3)高歪形態の母相、(4)損傷回復効果の原因について調べた。
星屋 泰二; 田昭 治*; 伊藤 治彦; 伊丹 宏治; 高村 三郎
Proceedings of International Conference on Martensitic Transformations, p.685 - 690, 1986/00
優れた機能性を有するため原子力分野において様々な応用が期待されるTiNi形状記憶合金は、中性子照射等の照射特性が明らかでないことから、実用に供された例は少ない。原研JMTRでは初めてTiNi合金の中性子照射実験を行ない、新たに開発した遠隔操作型電気抵抗測定装置を用いて得られた電気抵抗測定及び低温引張試験データをもとにTiNi合金の変態特性や変形挙動に及ぼす中性子照射の影響を調べた。その結果、(1)変態点(Ms点)が照射と共に80K以下に低下した。 またマルテンサイト変態の前駆状態に対応する変態点(M's点)はMs点に比べ照射により受ける影響は少ない。(2)応力-歪線図から、破断応力及び破断歪は大きく変化し、1300~1700MPa,6~8%を示した。(3)形状記憶効果は、照射により示さなくなったが、530Kの焼鈍で回復した。以上のことから形状記憶合金の照射に対する感受性の大きさは、照射により生成した不規則領域が影響している。