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武内 伴照; 大塚 紀彰; 中野 寛子; 飯田 竜也*; 小沢 治*; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*; 土谷 邦彦
QST-M-16; QST Takasaki Annual Report 2017, P. 67, 2019/03
福島第一原子力発電所事故の教訓から、過酷事故が発生した軽水炉の状況下でも使用可能な監視システムの技術開発を実施している。本システムの開発の課題として、耐放射線性カメラや可視光無線伝送システムで使用する撮像素子や電源IC等の耐放射線性が挙げられる。本研究では、耐放射線性カメラ撮像素子に対する線の積算線量の影響を調べるため、異なる積算線量時においてフォトゲート(PG)駆動電圧に対する取得画像輝度のダイナミックレンジの違いを調べた。また、カメラ及び可視光無線伝送システムにおいて共通して使用する電源ICについて、線環境下における出力電圧をモニタリングし、積算線量に対する変化を調べた。撮像素子は、PG駆動電圧調整ユニットに接続した簡易的なカメラシステムを照射室内に設置し、出力画像をモニタで観察した。その結果、ダイナミックレンジを最大とするPG駆動電圧の最適値は積算線量に影響することが分かり、PG駆動電圧の変更によって実質的な耐放射線性を向上させたカメラシステムの可能性を見出した。一方、電源ICは、入力電圧を発生する定電圧電源を接続し、出力電圧とともに、絶縁破壊による短絡発生の有無を調べるため、熱電対で測定したIC表面温度データをデータロガーで収集した。その結果、出力電圧は比較的低い積算線量で一時的に減少した後に復帰し、その後はほぼ安定することが分かり、あらかじめ照射したICを用いること等により放射線環境下においても安定した出力を得る見通しを見出した。
大塚 紀彰; 武内 伴照; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
Proceedings of 2017 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC 2017) (Internet), 3 Pages, 2018/11
原子力発電所の監視システム高度化の一環として、過酷事故時に使用済み燃料プール内の温度,水位などの測定データを送受信できる水中無線伝送システムの開発を行っている。過酷事故時における水中環境を想定した本システムは、使用済燃料から放出される放射線及び熱に対する耐性を有するとともに、気泡、濁り及び障害物を伴う水中環境での伝送精度の向上が要求される。本研究では、高い耐熱性及び耐放射線性を有する本システムの構成部品の選定を行い、気泡,濁り及び障害物の影響を補正するためのインターリーブとトラッキングを用いた画像解析手法の開発も行った。これらの要素開発に基づいたシステムを試作し、その性能を評価した。その結果、試作したシステムは100Cの環境下で100時間及び照射量1MGyまで使用可能であった。また、気泡,濁度及び障害物の下でも測定データを高精度に伝送できることが分かった。
武内 伴照; 柴田 裕司; 大塚 紀彰; 上原 聡明; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
IEEE Transactions on Nuclear Science, 63(5), p.2698 - 2702, 2016/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.28(Engineering, Electrical & Electronic)福島第一原子力発電所事故の教訓から、耐放射線性を有する水中無線伝送システムの開発を開始した。本研究では、線照射下におけるLEDとフォトダイオード(PD)の発光及び受光素子としての適用性を調べた。この結果、市販のLED及びPDに対する1MGyまでの線照射試験から、光学的特性の劣化主因は、半導体部の照射損傷ではなく、樹脂レンズ部の放射線着色であることが示唆された。一方、使用候補であるLED及びPDを用いた水中5mにおける光伝送を検討したところ、光吸収や1MGy時の暗電流増加を考慮しても受光が可能な信号レベルであると見積もられた。以上より、LED及びPDを用いた耐放射線性を有する水中無線伝送システムの構築に見通しが得られた。
武内 伴照; 大塚 紀彰; 渡辺 恭志*; 上柳 智裕*; 駒野目 裕久*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦
Proceedings of Decommissioning and Remote Systems 2016 (D&RS 2016) (CD-ROM), p.263 - 264, 2016/07
福島第一原子力発電所事故の教訓から、耐放射線性を有する監視カメラシステムの開発を開始した。本研究では、耐放射線性向上のために、イメージセンサの開発及び線照射特性を調べた。イメージセンサの構造として、3トランジスタかつフィールドプレート(3TPD)及びフォトゲート(3TPG)型と、4トランジスタかつフォトゲート(4TPG)型の3種類を設計・試作した。これらのセンサをコバルト60照射施設で室温において約1kGy/hで70kGyまで照射した。この結果、照射後画像の劣化要因である暗電流は、50kGy以上では4TPGが最も大きく、3TPG型が最も小さかった。その結果、4TPGでは暗電流の急増によって感度がほとんど消失した。一方、3トランジスタ型では、50kGy以上でも使用可能な感度を有しているとともに、3TPD型よりも3TPG型の感度が高かった。以上から、3種のイメージセンサのうち、3TPG型が暗電流及び感度特性において線照射による劣化が最も抑制できる可能性が示された。
大塚 紀彰; 武内 伴照; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*; 土谷 邦彦
Proceedings of Decommissioning and Remote Systems 2016 (D&RS 2016) (CD-ROM), p.277 - 278, 2016/07
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、過酷事故時における使用済燃料プールの監視を目的とした、2次元のLEDマトリックスとカメラから成る水中無線伝送システムの開発を行っている。本研究では、構成部品である表面実装型LED(赤・青・緑)及び水密ケース窓材(石英)に対して線照射試験を実施し、線が各試料の光学的特性に与える影響を調べた。また、気泡が存在する水環境下における伝送試験を実施し、気泡がLEDマトリックスによる光通信に与える影響を調べた。1000kGyまでの線照射試験の結果、各LEDの全光束が線量と伴に低下したが、赤色光LEDは最も低下量が小さく、1000kGy時において未照射時の約0.8倍であることがわかった。また、波長450800nmでは、線照射により、石英の透過率はほぼ変化しないことがわかった。次にLEDマトリックスを用いた伝送試験では、気泡による水面等の乱れ、泡の個数と光信号の伝送精度が低下することを確認した。以上のことより、赤色光表面実装型LED及び石英が本システムの構成部品として適していること、及び水中の泡が光信号の伝送精度に影響を与えることを明らかにした。
大塚 紀彰; 武内 伴照; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
no journal, ,
原子力発電所における監視システム高度化の一環として、使用済燃料プール内の温度、水位等の情報を送受信可能とするLEDを用いた光無線伝送システムの開発を行っている。本研究では、伝送システムの送信機に用いる表面実装型LEDについて、線照射による影響を調べた。発光波長が465nm(青), 522nm(緑)及び635nm(赤)の発光波長をもつ表面実装型LEDを積算線量1, 10, 100及び1000kGyまで線量率10kGy/hの条件で照射した結果、LEDレンズに対する線の影響及び照射後の赤色光LEDが線環境下における光通信を実行可能な全光束を保持していることを明らかにした。また、赤色光LEDを2020に配した2次元マトリックス送信ユニットによる線環境下における送信試験を実施した結果、受信側でのパターン認識も可能であることを明らかにした。
武内 伴照; 大塚 紀彰; 上柳 智裕*; 渡辺 恭志*; 駒野目 裕久*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦
no journal, ,
原子力発電所における監視システムの高度化の一環として、過酷事故が発生した際にも監視機能を失わない耐放射線性カメラの開発を行っている。既存カメラに対する線照射試験結果から、照射による画像劣化の主因は撮像素子内の暗電流増加であることが明らかとなった。本研究では、暗電流を抑制するため、撮像素子のトランジスタ及び光電変換部について、3トランジスタ型(3T型)でフィールドプレートを有する素子(3TPD)、同型でフォトゲートを有する素子(3TPG)及び4トランジスタ型(4T型)でフォトゲートを有する素子(4TPG)を試作し、線照射施設で70kGyまで照射して暗電流と光電変換感度を測定した。その結果、照射前はトランジスタ構造の多い4T型が有利であるものの、照射下では、トランジスタ構造の少ない3T型のほうが、照射による暗電流の発生個所が少ないことから有利であり、厚い酸化膜を持つフィールドプレート型よりも、酸化膜の薄いフォトゲート型のほうが、照射による界面準位増大を抑制でき、暗電流を軽減できることが分かった。以上から、最も耐放性の高い3TPGでは、70kGy照射後も十分な性能が維持されることを明らかにした。
大塚 紀彰; 武内 伴照; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
no journal, ,
原子力発電所における監視システムの高度化の一環として、過酷事故時でも使用済燃料プール内の温度、水位等の計測データを送受信可能な水中無線伝送システムの開発を行っている。過酷事故時の水中環境を想定した場合、気泡、濁度、障害物等により、光通信による情報伝達が困難であった。本研究では、受信用デジタルカメラのシャッター速度の高速化と発光点のトラッキングによる水面揺らぎの影響軽減を行い、各種環境下における発光パターンの認識率に与える影響を調べた。この結果、シャッター速度30fpsかつトラッキングなしの場合、気泡供給数が少ない条件においても画像が乱れ、認識率のばらつきも大きく、150個/minでは発光パターンの認識率は約0.1であった。一方、150個/minでシャッター速度300fpsかつトラッキングありの時、認識率は0.95以上と安定した画像を取得した。以上より、過酷事故に想定される水環境においても、光による無線伝送できる見通しを得た。
大塚 紀彰; 武内 伴照; 土谷 邦彦; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*
no journal, ,
原子力施設の安全性高度化に資する技術開発の一環として、使用済燃料プールの水温・水位に関する測定データを外部に送信することで、過酷事故時でも使用済燃料の監視が可能な水中無線伝送システムの開発を行っている。本システムは使用済燃料近傍にて使用することから、システムに用いる電子部品を85C以下にすることが必要である。そこで、高い蓄熱性を有するVO蓄熱材(以下、蓄熱材)に着目し、電子部品の温度を長時間85C以下に保持する方法について検討を行った。本研究では、蓄熱材を充填した容器を85Cで加熱し、蓄熱材の温度変化を測定した。また、最大1MGyまでの線を照射した蓄熱材を用いて、照射前と同様の試験体系での温度変化を測定し、線照射による蓄熱材の温度特性に及ぼす影響も調べた。この結果、蓄熱材の温度が70Cに到達するまでの時間は、照射前が4.1時間、照射後が4.0時間であり、線による蓄熱材への影響はないことが分かった。