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黄 錦涛
JNC TN9400 2002-077, 81 Pages, 2003/02
本報告書は、高速増殖炉ナトリウム漏えい事故時におけるナトリウム燃焼にかかわる化学熱力学的評価に間する著者の研究成果の要約版である。2000年4月からの3年間の研究成果は以下の6項目に分類される。(1)蒸気分圧を測定可能な高温質量分析システムを構築した。この分析装置を用いて、ほとんどのFeおよびFeのNaFe複合酸化物について、熱力学特性に間する研究を実施した。(2)種種のNaFe複合酸化物(NaFeO, NaFeO, NaFeO, NaFeO, NaFeO, NaFeOおよびNaFe$_{6_$)について整合性のとれた熱力学データベースを構築するために、これら化合物の熱力学データの評価を行った。(3)室温から1200KまでのNa-Fe-O系3元平衡状態図を作成するために、化学平衡計算コードThermo-CalcおよびMALT2用のユーザーデータベースを作成した。P$_$およびP$_$の関数とした化学ポテンシャル図も作成し、各相における化学的安定性を定量的に示した。(4)さらに、研究をNa-Fe-O-H-C系に発展させた。H$__$雰囲気におけるNaFe複合酸化物の平衡状態をコンピュータシュミレーションにより計算した。その結果は、いくつかの平衡状態図を用いてP$_$とP$_$の関数として示した。(5)高温質量分析計にガス供給システムを付加した。水蒸気および/またはC0$_$をクヌーセンセルに供給して、NaFe複合酸化物の安定性に関する水蒸気およびC0$_$の影響を調べた。実験データと計算結果の比較から、反応プロセスの考察を熱力学及び動力学見地から行った。(6)平衡計算とガス供給条件下における実験結果に基づいて、腐食機構と局所的な環境条件の関係を考察した。
古川 智弘; 青砥 紀身
JNC TN9400 2002-071, 22 Pages, 2003/01
高温大気中における過酸化ナトリウム(以下、Na2O2)による鉄基材料の腐食進行過程を明らかにするために、熱天秤を用いた挙動観察試験を実施した。 得られた知見は以下のとおり。 (1)550度C加熱保持試験では、ほとんど重量増加が観察されない初期段階を経た後に、時間の経過に従って重量が増加する挙動(第2段階)が観察された。この挙動は、近年報告された同様な実験結果と同じであった。 (2)試験後の材料分析結果から、加熱保持中における腐食の進行状況がわかった。 1)初期段階に、すでにNa2O2によるNaFe複合酸化物の形成を伴う腐食が進行している。 2)第2段階には、第一段階に形成された腐食相(NaFe複合酸化物)が気中の酸素を取り込んでFe-O相(鉄酸化物)に変化(変質)する。 (3)これらの結果から、Na2O2が関与する主たる腐食は、著者らがこれまでに提案している溶融塩型腐食機構で説明できることが確認された。
黄 錦涛; 古川 智弘; 青砥 紀身
JNC TN9400 2002-069, 37 Pages, 2003/01
二価および三価のナトリウムを含有する主要な鉄酸化物の熱力学データについて、著者らはこれまでに研究を実施してきた。本研究では、まだ着手していなかった三価の鉄酸化物、NaFeO(または、NaO1.5FeO)の結晶構造や熱力学的な研究を行った。同化合物は、NaCOとFeOを2:3に調合、高温加熱して作製した。X線回折パターンから、同化合物は単斜晶系構造(a=13.4622、b=5.3886、c=59.1317、=90、=96.35、=90)であると推定された。高温質量分析法により、この化合物が合成されるときに放出されるC0ガスの圧力(CO分圧)の温度依存性を測定し、ln p(CO)/Pa=29.4385-29015.4/T(913-1023K) が得られた。そしてこの結果を用いてNaFeOの熱力学データについて以下のように定めた。H(298.15K) = -3569.63.95 kJmol G (T)/Jmol = (-37168392274.55)+(1200.162.35) T/K G(298) = -3255.312.4 kJmol これまでに得られた各種のNaFe複合酸化物の熱力学データを活用してNaFeOの安定性について調べたところ、およそ1270K以上の高温でなければ、同化合物は熱力学的に安定に存在し得ないことが得られた。また、これ以下の温度域ではNaFeOとNaFeOに分解する傾向がある。このNaFe複合酸化物の熱力学データを用いて,HO/CO環境におけるナトリウム鉄酸塩の平衡状態を計算できるようにし、PとPの関数として化学ポテンシャル図を作成した。シミュレーション計算により、水蒸気と二酸化炭素を含む大気環境下では、NaOHまたはNaCOともに、NaFeOが安定なナトリウム鉄酸塩として存在する(NaFeOやNaFeO等他のナトリウムフェライトは安定していない)ことが示された。しかしながら、ガス導入型高温質量分析計による実験では、COとナトリウム鉄酸塩との反応速度が異常に低いことを示した。反応動力学の課題が、HO/CO環境においてNa-Fe酸化物の形態評価に重要であることが判明した。
Georg Muller*; Gustav Schumache*; Alfons Weisenbur*; Annette Heinzel*; Zimmermann, F.*; 古川 智弘; 青砥 紀身
JNC TY9400 2002-023, 28 Pages, 2002/12
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古川 智弘; 青砥 紀身
JNC TN9400 2002-046, 39 Pages, 2002/06
ナトリウム漏洩燃焼時の高速炉構造材料の腐食機構解明に資することを目的に、その反応により形成されるNaFe複合酸化物の熱力学特性試験を実施した。供した試料は3価の鉄酸化物であるNa5FeO4およびNa3FeO3であり、 示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;DSC) により融解・凝固挙動や相転の有無を調べた。さらに、高温測定後の試料の融解・凝固の有無を目視確認するために、鋼製密封容器を用いた融点確認試験と呼称する試験わ実施した。得られた知見は以下のとおり。1)Na5FeO4は、測定温度上限の800まで相転移や融点を有することなく安定に在住する。ただし、酸素ポテンシャルが低い環境下にある場合、高温になるにつれてNa4FeO3に変化しやすい傾向がある。2)Na3FeO3は、700まで相転移や融点を有することなく安定に存在する。 それ以上の温度になると、Na31Fe8O29もしくはNa8Fe2O7のX線回折データベースと合致する化合物に変化して溶解した。3)この化合物について、酸素分圧とナトリウム分圧をパラメータにして安定領域を調べた結果、Na8Fe2O7である可能性が高いことが示された。
宮 健三; 出町 和之*; 青砥 紀身; 永江 勇二
JNC TN9400 2002-021, 22 Pages, 2002/04
機器の安全性をより一層高めるためには、き裂発生以前における劣化診断手法の確立が重要である。我々は磁気的手法に注目し、塑性変形と応力腐食割れ(以下SCC)について、劣化と磁気特性の関係を明らかにし、劣化診断手法を開発することを試みた、まず塑性変形について、SUS304に関して塑性変形と漏洩磁束密度の相関があることが報告されている。我々は劣化領域を特定するため磁化分布逆解析手法の開発を行った。さらに劣化程度の定量評価を可能にするため磁化率分布の逆解析を提案し、シミュレーションによりその可能性を示した。次にSCCに関して、模擬SCCき裂を導入したインコネル600の漏洩磁束密度測定を行い、通常、常磁性体であるインコネル600が強磁性を示していること、またき裂部分で磁束密度が大きく変化していることを明らかにした。さらに磁化分布逆解析により、き裂の位置を検出可能であることを示した。最後に、磁気力顕微鏡観察により、磁化の原因が結晶粒界近傍におけるクロム欠乏と関係していること、またき裂近傍で磁化が弱くなっていることがわかった。これらの結果から磁気的手法による劣化診断が有効であることが明らかになった。
大鳥 範和; 上野 文義
JNC TN9400 2002-012, 79 Pages, 2002/04
高温のナトリウムが大気中において燃焼するとき、同時に大気中の水分とも反応してNaOHが生成され、その結果NaOHを溶媒とする高温のナトリウム化合物溶融体を形成する場合が考えられる。この溶融体中に過酸化物イオン(O)が存在する場合、その高い酸化能力によって接触する鉄鋼材料などを著しく腐食してNaFe複合酸化物を生成すると考えられている。本研究は、ラマン分光法によって高温のNaOH溶媒中に溶存する腐食性化学種の検出可能性と腐食生成物の識別可能性を調べることを目的として実施した。また、本研究をさらに発展させる目的で紫外線レーザーを用いたラマン分光システムの開発も平行して行った。 その結果、腐食性溶存科学種の一つと考えられる過酸化物イオンはNaO中では873Kまで、NaOH溶媒中では823Kまである程度安定に存在することが示された。また、超酸化物イオン(O)はKO中では873Kまで、NaOH溶媒中に溶存する腐食性化学種として過酸化物イオンの可能性が示され、「溶融塩型腐食」における反応機構の基礎を証拠づけるものと結論された。一方、腐食生成物であるNaFe複合酸化物については、-NaFeO、-NaFeO, NaFeO, NaFeO、及びNaFeOの573までの特徴的なピークを観測することができ、ラマン分光分析法によって各々識別可能であることが明らかにされ、化学的同定法としての有用性が示された。
黄 錦涛; 古川 智弘; 青砥 紀身
JNC TN9400 2002-006, 57 Pages, 2002/04
Na-Fe-O系化合物の中でいくつかのNaFe複合酸化物に関する研究はこれまで詳細に実施されておらず、個々に得られたそれらの熱力学データは互いに矛盾が生じているように思われる。このため利用可能な熱力学データベースは時には誤った結果を導く。これまでに報告されているNa-Fe-O三元系平衡状態図は必ずしも正しい結果を示しているとはいえない。そこで、信頼性のあるデータを得るために蒸気圧測定実験分析を実施した。NaFeOとNaFeOの生成ギブスエネルギーを評価し、その実験結果に基づいてThermo-Calcフオーマットと互換性のある熱力学ユーザーデータベースを構築した。各相の安定条件を定量的に示すために、Na-O雰囲気におけるNaFe複合酸化物の化学ポテンシャル図を400, 600, 800および1000Kに対してそれそれ作成した。室温から1000Kまでの範囲で新たに作成したNa-Fe-O系平衡状態図は、実験結果と矛盾のない結果が得られた。
大石 敏雄*
JNC TY9420 2002-001, 27 Pages, 2002/03
鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、 中小型炉の冷却材や 2次系簡素化ナトリウム冷却炉の新型蒸気発生器の中間熱媒体としての適用が考えられている。この合金はその共晶組成の融点が高く、また水や空気との反応性が低いことから、 2次冷却系が不要な簡素な炉システムを構築することが可能となるという利点を有する。反面、密度が大きいための設計上の問題点、原子炉鴻星海鮮酒家材料の腐食に関する問題点等、使用に際して検討すべき課題も多く残されている。このうち、材料腐食評価を行っていくには、 LBE中における鉄鋼材料の主要金属元素やガス成分の溶解度が基礎データとして必要となる。これまでにロシアの研究機関により鉄鋼材料元素の溶解度データが報告されているが、それは溶解度式のみの提示にとどまっており、データの信頼性について確認できない状況にある。そこで本研究では、 LBE中鉄鋼材料の腐食機構解明に資することを目的に、負食量に影響するとされている酸素濃度制御下 LBE中における鉄鋼材料金属元素やガス成分等の溶解度データを取得していくことを目的とした。本報告は、本研究の初年度として実施した、文献調査結果およびそれを踏まえて立案した実験研究計画についてまとめたものである。
高橋 実*; 関本 博*
JNC TY9400 2002-015, 69 Pages, 2002/03
中小型高速増殖炉の重金属冷却材や、ナトリウム冷却型高速増殖炉における蒸気発生器の中間熱媒体として、鉛ビスマス共晶合金(以下、鉛ビスマス)の利用が検討されている。本研究では、鉛ビスマスを利用する場合の主要課題の一つである鉛ビスマス中材料腐食挙動の評価を行うための腐食試験技術の確立を目的としている。 平成13年度は、東京工業大学原子炉工学研究所における鉛ビスマス材料腐食試験装置を用いた材料腐食試験により、(a)流動鉛ビスマス試験基礎技術の開発、(b)鋼材の腐食試験方法の開発、および(c)酸素濃度制御技術の開発の観点から、課題整理とその解決策に関する検討を行った。 その内容と得られた結果は以下のとおりである。 (1)鉛ビスマス材料腐食試験装置を用いて流動試験を行った。圧力・温度は設計要件を満たし、鉄の溶解腐食速度・析出速度も許容範囲内にあり、流動性能は良好であることが確認された。電磁流量計の出力電圧が理論予測値より大幅に低く、鉛ビスマス温度の増加と共に増加することがわかった。これは電極部における接触抵抗変化が大きいことに起因するものであり、電極材質の選定を必要とすることがわかった。 (2)鉛ビスマスの鉄鋼材料腐食試験を実施した。試験後に試験片をナトリウムに浸漬することにより、試験片表面に付着した鉛ビスマスを除去した。重量変化から腐食量を求めた結果、低Cr鋼(SCM420)とSUS316で腐食量が大きく、Crを多く含有するSUS430、SUS405、STBA26の腐食量が小さいことがわかった。また、断面のSEM観察と元素分析の結果、SUS316のみ腐食層が存在することがわかった。以上により鉄鋼の腐食試験法が確立された。 (3)鉛ビスマス中の材料の腐食を抑制するための鉛ビスマス中の酸素濃度範囲及びその制御方法について検討した。水素と水蒸気の分圧比0.0010.01のアルゴン、水素、水蒸気の混合ガスを、400度Cの鉛ビスマス中に吹き込むことにより、腐食を抑制可能であり、鉛酸化物の生成を防ぐことができる。膨張タンクの鉛ビスマス中に混合ガスを吹き込み、酸素濃度はZrO2-Y2O3固体電解質酸素センサーを用いて測定した。吹込みから145時間以降で酸素濃度の制御値と実測値がほぼ一致し、酸素濃度がほぼ平衡に達することがわかった。その後、混合ガスを吹き込みながら腐食試験を行ったところ
佐野 浩行*; 藤澤 敏治*
JNC TY9400 2002-005, 19 Pages, 2002/03
鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、高速増殖炉における冷却材としての利用が検討されている。しかし、ナトリウム冷却炉並みの運転温度を設定した場合、原子炉構成材料の腐食等の課題が生じる。そこで、極低酸素ポテンシャル下LBE中における主要金属元素等の溶解度特性評価および、鉄鋼材料主要合金元素同士の溶解度特性に及ぼす相互影響評価を目的として、信頼性の高いLBE中の金属元素等の溶解度データ取得に関する研究を実施する。本年度は、鉄-鉄酸化物系の平衡を利用した酸素分圧制御により、673KにおけるLBEの鉄溶解度測定を行った。その結果、現状では実験点が少ないことと精度に若干の問題点が考えられることからLBE中の鉄濃度と酸素濃度の明確な関係を見出せず、溶解度データの評価までには到らなかった。これらの結果をもとに、1)LBE中の酸素濃度の定量方法を確立すること、2)高温側の溶解度を選定し、それから低温側へアプローチすること、さらに3)CO-CO2混合ガスによる酸素分圧制御で溶解度試験を実施し測定精度を向上させることが望ましいとの次年度の研究に向けた課題整理を行った。
上野 文義; 大鳥 範和
JNC TN9400 2002-007, 23 Pages, 2002/03
空気中に曝された高温の金属ナトリウムは、空気中の酸素や水分と反応してNa2O3,Na2O2,NaOH等を発熱的に生成する。これらのナトリウム化合物が鉄鋼材料と接触して腐食反応を生じるとき、温度、塩基度、酸素ポテンシャルに依存して、Na4FeO3,Na5FeO4,Na3FeO3等のNaFe複合酸化物が形成されると考えられる。本研究では、NaFe複合酸化物の結晶構造を明らかにするためのアプローチとしてレーザーラマン分光分析法を用い、室温におけるラマンスペクトルの基礎的なデータを得ることを目的に、合成された高純度のNa4FeO3,Na5FeO4,Na3FeO3に対する測定を実施した。 また、市販のNaFe化合物に対するラマン分光測定の結果と比較し、これら化合物のスペクトルの特徴を調べた。その結果、上記3種のNaFe複合酸化物の室温でのスペクトルの特徴を明らかにすることができた。同時にこれら化合物のラマン分光分析に適切な励起レーザー出力範囲が見出され、高い出力では不可逆的にスペクトルが変化することが明らかとなった。また、Na4FeO3をArガス中で573Kまで加熱した場合、レーザー出力を変化させた場合と同様にスペクトルが不可逆的に変化することもわかった。