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隆起・沈降に関する研究(3) 成果報告書

A Study of uplifts and subidences (3)

佐々木 穣*; 布施 圭介*; 斉藤 晃*; 斎藤 祐二*

Sasaki, Yutaka*; Fuse, Keisuke*; Saito, Akira*; Saito, Yuji*

我が国の地質環境の長期安定性を検討する上で重要と考えられる天然事象の一つである「隆起・沈降」に関する過去2年間の検討結果、その地殻変動を詳細に把握するためには、基準となる地形面または地形面構成層の形成環境(形成高度)と形成年代の定量化が必要であると判断した。そこで、本研究では房総半島をモデル地域として、同地域に分布する木下面・木下層および沼面・沼層を対象に以下の2項目について調査を実施した。(1)対象とする地形面およびその構成層の分布や特徴の把握(2)模式的な地点における変動基準面の形成環境と形成年代の定量的な把握以上の調査・研究成果からモデル地域の第四紀の隆起・沈降運動の特徴を検討すると共に、採用した年代測定法について適正評価を行った。その結果、以下の点が明らかとなった。従来、変動基準面として採用されてきた地形面(海成段丘の堆積原面など)は、正確に同一時間面・同一環境を示すとは限らないことから、詳細な地殻変動量を求める上では問題があるものと考えた。そこで、形成環境や形成年代を定量化できる層準をもって変動基準面とした。地層の形成環境を推定するために、古生物学的方法を用いた。具体的な数値を用いて古環境(古水深)を推定する方法として貝化石や生痕化石が有効であることが判明した。地層の形成年代を推定するために、14C年代測定法・ESR年代測定法・TL年代測定法を行った結果、数万年より若い年代を対象とする場合には14C年代測定法が、それよりも古い年代を対象とする場合にはESR年代測定法が有効であることが判明した。なお、14C年代測定法では14C初期濃度の不均一性や経年変化という不確定要素が、ESR年代測定法には年間線量率の見積りに伴う要素がある。一方、アラゴナイトを測定対象とするTL年代測定法は、ESR年代測定法のクロスチェック法として有用性が認められるので、今後の研究開発の必要があると考えられる。地殻変動量は変動基準面の現在の標高から形成高度と古海面高度を差し引いて求めているため、形成高度と古海面高度の推定精度によって地殻変動様式の推定精度に大きな差が生じる。このうち、形成高度の推定幅を狭める手段として堆積学的手法による形成高度の推定も加味することが必要である。

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