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エネルギー分析型反射高速陽電子回折を用いた結晶最表面からのエネルギー損失スペクトルの測定

Energy loss spectrum from topmost surface of crystal using energy-filtered reflection high-energy positron diffraction

深谷 有喜   ; 河裾 厚男; 一宮 彪彦

Fukaya, Yuki; Kawasuso, Atsuo; Ichimiya, Ayahiko

結晶表面における電子状態や格子振動は、電子ビームを用いたエネルギー損失分光法を用いて詳細に調べられている。一方、陽電子ビームを用いたエネルギー損失分光の研究はほとんど報告されていない。陽電子は結晶表面に対して低い視射角で入射すると、表面第一層で全反射を起こすため、陽電子のエネルギー損失過程は、全反射条件下で特異な振る舞いをすると予想される。そこで本研究では、エネルギー分析型反射高速陽電子回折を用い、Si(111)-7$$times$$7表面からの陽電子エネルギー損失スペクトルを測定した。測定した全反射陽電子のエネルギー損失スペクトルにおいて、小さなゼロロスピークとシリコンの表面プラズモン励起に対応する損失ピークを観測することができた。解析の結果、陽電子による表面プラズモンの平均励起回数は約2.6回であることがわかった。平均励起回数2.6回を考慮することにより、回折スポットの広がりと絶対反射率の測定結果も説明できることがわかった。同様にして、電子によるエネルギー損失スペクトルを測定し、解析した結果、電子による平均励起回数は約1.4回であることがわかった。以上の結果から、電子の場合と比べると、陽電子は結晶表面で表面プラズモンを多数励起していることがわかった。

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