中性子スピン干渉計による磁場イメージング
Visualization of magnetic field with neutron spin interferometer
林田 洋寿; 山崎 大 ; 海老沢 徹*; 丸山 龍治 ; 曽山 和彦 ; 飯倉 寛 ; 安田 良; 酒井 卓郎; 松林 政仁 ; 竹中 信幸*; 田崎 誠司*; 影山 将史*; 日野 正裕*; 川端 祐司*
Hayashida, Hirotoshi; Yamazaki, Dai; Ebisawa, Toru*; Maruyama, Ryuji; Soyama, Kazuhiko; Iikura, Hiroshi; Yasuda, Ryo; Sakai, Takuro; Matsubayashi, Masahito; Takenaka, Nobuyuki*; Tasaki, Seiji*; Kageyama, Masashi*; Hino, Masahiro*; Kawabata, Yuji*
中性子は磁気モーメントを持つため磁場中でラーマー歳差回転を行う。磁場に分布がある場合、その分布に応じてラーマー歳差回転角にも分布が生じる。この性質を利用して、偏極中性子を用いて空間的磁場分布を可視化する研究が近年行われている。このような手法は非破壊で試料内部磁場分布の可視化や、電流密度分布の可視化を可能とする技術として、多様なニーズが期待される。このような背景の中、われわれは中性子スピン干渉計によって以下の2つのテストサンプルに対して磁場のイメージングを試みた。一つは、磁性薄膜を折り曲げることで応力を加え、折り曲げ有りなしで磁性薄膜中の磁場分布の変わる様子の観察を試みた。もう一つはアルミ線に直流電流を流し、電流の作る磁場を観測してビオ・サバールの法則から電流密度を求めることを試みた。実験の結果、磁性薄膜サンプルでは折り曲げた部位において飽和磁化の減衰が観測され、アルミ線サンプルでは観測した磁場から電流密度を求めることに成功した。また、中性子スピンのラーマー歳差回転は中性子の波長と磁場積分に依存している。そのため、中性子スピン干渉計の磁場分解能は、波長分解能及びビーム発散角から生じる試料中での経路分散に依存する。パルス中性子では飛行時間法によって波長分解されるため、原子炉に比べて中性子スピン干渉計の磁場分解能向上が期待される。モンテカルロシミュレーションによって磁場分解能を見積もった結果、原子炉では測定が困難である数10[Teslamm]の磁場積分を持つ試料に対して、測定可能であることがわかった。
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