高速重イオン照射によるSiO中のAuナノ粒子の形状変化

Shape elongation of Au nanoparticles in SiO matrix irradiated with swift heavy ions

笹瀬 雅人*; 岡安 悟  ; 石川 法人   ; 山本 博之

Sasase, Masato*; Okayasu, Satoru; Ishikawa, Norito; Yamamoto, Hiroyuki

金属ナノ粒子が絶縁体中に分散した材料は、可視光領域において大きな非線形感受率と、ピコ秒レベルの応答性を有していることから、大容量高速伝送化に対応した次世代スイッチング素子材料として期待される。この特性向上には、ナノ粒子の相安定性保持とともにナノ構造制御による動作波長の調整が不可欠である。イオンビームは照射エネルギー・照射量などのパラメーターを制御し、局所的に高エネルギーを付与することが可能であるため、物質中のナノ構造制御に有効な手法の一つである。本研究では、SiO母相中にAuナノ粒子が分散した試料に対して、高エネルギー重イオン照射によりナノ構造制御を試みた。透過型電子顕微鏡による観察から、イオン照射前のAuナノ粒子はほぼ球形(直径30nm)で母相内に分散する。この試料に対し200MeV, Auを照射した結果、その形状は大きく変化し、イオンの入射方向に伸びたロッド状となることが明らかとなった。なお本件は、2011年3月の応用物理学会が中止となったことからデータを補充のうえ改めて発表を行うものである。

Shape transformation of Au nanoparticles in SiO matrix has been performed by swift heavy-ion irradiation.