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石川 法人; 藤村 由希; 近藤 啓悦; Szabo, G. L.*; Wilhelm, R. A.*; 小河 浩晃; 田口 富嗣*
Nanotechnology, 33(23), p.235303_1 - 235303_10, 2022/06
被引用回数:2 パーセンタイル:32.6(Nanoscience & Nanotechnology)高速重イオンを微小入射角で照射したNb添加SrTiOの表面ナノ構造を調べた成果についてまとめた。セラミックスに対して高速重イオンを微小入射角で照射すると、ヒロックチェーン(イオンの飛跡に沿って、複数個並んで形成されるナノヒロック)が表面付近に形成されることが知られている。我々は、ヒロックチェーンの形態・性状をAFM(原子間力顕微鏡)とSEM(走査型電子顕微鏡)を利用して、詳細に調べた。その際に、全く同じヒロックチェーンを、AFMとSEMのそれぞれで観察することに成功した。AFMの観察データは、先行研究の示す通りに、ヒロックチェーンが形成されていることを示している一方で、SEMの観察データは(同じヒロックチェーンを観察しているにもかかわらず)ヒロックチェーンをつなぐ黒い線状コントラストも現れることが判明した。これらの新しい損傷データをもとに、ヒロックチェーンの形成メカニズムについて推論した。さらにTEM(透過型電子顕微鏡)観察し、微小入射角で照射した際に形成される特殊なイオントラック損傷の形成プロセスを明らかにした。
石川 法人; 田口 富嗣*; 大久保 成彰
しょうとつ, 18(3), p.43 - 55, 2021/05
数十MeV以上の高速重イオンをセラミックス材料に照射すると、高い電子的阻止能に起因した照射損傷(イオントラック)が形成される。イオントラックの形成メカニズムである熱スパイク理論を用いると、多くの材料において、イオントラックの寸法が正確に予測できる。しかし、ある時期から、熱スパイク理論の予測が通用しない材料が相次いで報告されるようになった。なぜ、特定の材料でこの理論が通用しないのか?材料表面のイオン入射点に形成される10nm弱のナノ隆起物(ナノヒロック)を透過型電子顕微鏡で観察していくうちに、その理由が明らかになってきた。我々の研究によって、照射損傷のメカニズム解明がどのように進んだかを解説する。
末吉 哲郎*; 榎畑 龍星*; 日高 優夏*; 入江 将大*; 藤吉 孝則*; 奥野 泰希*; 石川 法人
Physica C, 582, p.1353824_1 - 1353824_5, 2021/03
被引用回数:1 パーセンタイル:0(Physics, Applied)高温超電導体YBaCu
Oyにおいて、イオン照射法を利用して三次元に配置された柱状欠陥を導入した。その際に、柱状欠陥の導入角度
(
=45
, 60
, 80
)を変化させたときの臨界電流密度
の磁場角度依存性を系統的に調べた。その結果、
が大きい時には、磁場角度
に
ピークが現れるものの、
全体の大きな向上が見られなかった。柱状欠陥の導入角度が大きい場合には、磁束線のチャネルフローの影響が大きく、Jc向上につながりにくい、と説明できる。一方で、
が小さい時には、広い磁場角度領域にわたって顕著な
の上昇が見られた。
雨倉 宏*; Toulemonde, M.*; 鳴海 一雅*; Li, R.*; 千葉 敦也*; 平野 貴美*; 山田 圭介*; 山本 春也*; 石川 法人; 大久保 成彰; et al.
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.185_1 - 185_11, 2021/01
被引用回数:10 パーセンタイル:77.29(Multidisciplinary Sciences)シリコンへ6MeV Cイオン照射すると直径10nmのイオントラック損傷が形成されることを見出した。これは、従来知られているイオンエネルギーしきい値(17MeV)よりもはるかに低いエネルギーである。従来知られているような電子的阻止能に由来したイオントラック形成メカニズムだけでは説明できず、それだけでなく核的阻止能に由来した効果も存在する可能性を示唆している。
石川 法人; 田口 富嗣*; 小河 浩晃
Quantum Beam Science (Internet), 4(4), p.43_1 - 43_14, 2020/12
LiNbO, ZrSiO
, Gd
Ga
O
, SrTiO
について、200MeV Auイオンを照射し、透過型電子顕微鏡で、照射損傷組織(イオントラックとヒロック)を詳細に観察した。その結果、LiNbO
, ZrSiO
, Gd
Ga
O
は、イオントラックとヒロックともにアモルファス化していることが確認され、耐照射性の低い「アモルファス化可能材料」に分類されることが確認された。一方で、CaF
などのフッ化物は、耐照射性の高い「非アモルファス化可能材料」に分類されることが、我々の前回の研究で判明している。ところが、本研究で調べたSrTiO
は、2つの分類の中間に当たることが判明した。耐照射性の観点から区別される2つの材料分類を分ける材料基準が何なのか従来から問題となっていたが、本研究により、イオン結合性の強さ、結晶対称性の高さが、その材料基準となることが示唆された。
雨倉 宏*; Li, R.*; 大久保 成彰; 石川 法人; Chen, F.*
Quantum Beam Science (Internet), 4(4), p.39_1 - 39_11, 2020/12
200MeV Xeイオンビームを照射したYAl
O
(YAG)の屈折率変化の深さ分布測定を行った。その結果、3
mまでの浅い領域では電子的エネルギー付与に起因した屈折率変化が見られ、さらに深い6
mまでの中間領域では電子的エネルギー付与と弾性衝突によるエネルギー付与の重畳効果がみられ、さらに深い13
mでは弾性衝突によるエネルギー付与に起因する屈折率変化が見られた。これらの光学特性の深さ分布は、必ずしも照射損傷の量と一致しないため、損傷の質(照射で誘起される材料歪みなど)も光学特性変化に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
山本 優輝*; 石川 法人; 堀 史説*; 岩瀬 彰宏*
Quantum Beam Science (Internet), 4(3), p.26_1 - 26_13, 2020/09
CeOセラミックスに高エネルギーイオン(200MeV Xeイオン)照射を行うと格子膨張及び強磁性の変化が起きる。イオントラック損傷の寸法で記述できるポアッソン分布関数を利用すると、それらの変化の照射量依存性がうまく記述でき、容易に予測できるようになることを示した。具体的には、ポアッソン分布関数を利用すると、イオントラックの寸法が決定できること、また、高照射量領域でのイオントラックのオーバーラップ効果も直感的に理解できるようになる。また照射によって発現する強磁性のふるまいも、同じ枠組みで理解できるようになることを示し、物性変化に対しても応用可能である利点を提示した。
吉岡 聰*; 鶴田 幸之介*; 山本 知一*; 安田 和弘*; 松村 晶*; 杉山 武晴*; 大場 洋次郎; 石川 法人; 小林 英一*; 奥平 幸司*
Journal of the American Ceramic Society, 103(8), p.4654 - 4663, 2020/08
被引用回数:2 パーセンタイル:13.33(Materials Science, Ceramics)高速重イオン照射によりMgAlO
スピネルに形成された損傷組織をX線吸収端近傍構造解析(XANES)とX線小角散乱法(SAXS)を用いて調べた。照射量が増加するとSAXSとXANESの両方で変化が見られた。SAXSでは、照射部に直径5nmの円柱状のイオントラックが観測された。XANESの結果は、四面体位置と八面体位置の間でカチオンの無秩序化が生じていることを示すものであった。さらに、XANESスペクトルの定量的な解析により、高照射量ではカチオンが八面体位置を優先的に占有することがわかった。
奥野 泰希*; 石川 法人; 秋吉 優史*; 安藤 太一*; 春元 雅貴*; 今泉 充*
Japanese Journal of Applied Physics, 59(7), p.074001_1 - 074001_7, 2020/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.34(Physics, Applied)AlInGaP太陽電池における低エネルギー電子線照射環境における照射損傷を予測する際には変位損傷量法が用いられるが、原子変位しきい値エネルギーの設定によって予測値が大きく異なってしまう。したがって、妥当な原子変位しきい値エネルギーを設定することが不可欠である。本研究では、60keV電子線をAlInGaP太陽電池に照射し、P原子の原子変位しきい値エネルギーを正確に導出した。さらに、本研究で得られた原子変位しきい値エネルギーを利用して、太陽電池の性能劣化を予測できることも実験的に立証した。
雨倉 宏*; Li, R.*; 大久保 成彰; 石川 法人; Chen, F.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 474, p.78 - 82, 2020/07
被引用回数:5 パーセンタイル:60.05(Instruments & Instrumentation)YAl
O
(YAG)とCaF
について、200MeV Xeイオン照射による構造変化と光学応答との相関を調べた。前者はイオン照射後に結晶構造が大きく変化して非晶質相に相変態するのに対して、後者は結晶構造を維持していた。一方で光学応答については、前者はイオン照射後でも透明度が劣化しないのに対して、後者は透明度が大きく劣化して波長が約550nmの吸収バンドが現れて、透明度が大きく劣化していた。結晶構造変化と光学応答との間に正の相関が見られなかった。
Li, R.*; 鳴海 一雅*; 千葉 敦也*; 平野 優*; 津谷 大樹*; 山本 春也*; 斎藤 勇一*; 大久保 成彰; 石川 法人; Pang, C.*; et al.
Nanotechnology, 31(26), p.265606_1 - 265606_9, 2020/06
被引用回数:5 パーセンタイル:38.5(Nanoscience & Nanotechnology)材料中に埋め込まれた金ナノ粒子に4MeV Cイオンと200MeV Xeイオンを照射した時の伸長変形現象について、3つの材料(アモルファスカーボン,CaF
,結晶酸化インジウムスズ(ITO))について調べ、その材料依存性を調べた。どの材料についても、イオン照射に伴って結晶性を失う傾向が見られた。ITOが、最も金ナノ粒子の変形が顕著であり、かつ照射後にもかかわらず結晶性を保っていた。結晶性の材料において金ナノ粒子の変形を報告する初めて報告例となる。
Orlandi, R.; 廣瀬 健太郎; 矢板 毅; 山上 浩志; 家田 淳一; 神戸 振作; 石川 法人
日本原子力学会誌ATOMO, 62(5), p.280 - 284, 2020/05
先端基礎研究センターで行っている研究を紹介する。(1)人工元素アインスタイニウムを用いた実験(安定の島に向かう超重原子核の核分裂と電子軌道のイオン半径)、(2)電子のスピンを駆使した新しいエネルギー変換仕組み、(3)磁場に負けない超伝導、(4)放射線環境中のセラミックスがもつ自己修復能力
末吉 哲郎*; 上滝 哲也*; 古木 裕一*; 藤吉 孝則*; 千星 聡*; 尾崎 壽紀*; 坂根 仁*; 工藤 昌輝*; 安田 和弘*; 石川 法人
Japanese Journal of Applied Physics, 59(2), p.023001_1 - 023001_7, 2020/02
被引用回数:6 パーセンタイル:44.8(Physics, Applied)GdBaCu
Oy (GdBCO)コート超伝導体に対して、80MeV Xeイオンを異なる方向から照射することにより、異なる方向の柱状欠陥を一つの試料に対して導入した。その結果、45
方向から照射することで導入される柱状欠陥は連続形状でかつ直径が大きく、一方でc軸方向(0
方向)から照射することで導入される柱状欠陥は不連続形状でかつ直径が小さい、ということが分かった。柱状欠陥の形態が導入方向に依存することを利用すると、臨界電流密度を効果的に向上させることができる、ということが分かった。
石川 法人; 田口 富嗣*; 喜多村 茜; Szenes, G.*; Toimil-Molares, M. E.*; Trautmann, C.*
Journal of Applied Physics, 127(5), p.055902_1 - 055902_7, 2020/02
被引用回数:5 パーセンタイル:38.5(Physics, Applied)高速重イオンをセラミックスに照射すると、イオンの入射点に隆起物(ヒロック)が形成されるとともに、イオンの通り道に沿ってイオントラック損傷が形成される。ヒロック形成とイオントラック形成を包括的に理解することが、イオン・固体衝突による照射損傷メカニズムを理解する上で重要なマイルストーンである。本研究では、YFe
O
を対象として、照射後の透過型電子顕微鏡による観察データの蓄積により、ヒロックとイオントラックが同じ大きさであることが分かった。さらに、ヒロックの縦方向の寸法と横方向の寸法との間に、常に相関関係が成り立っていることを突き止め、その相関関数をイオンの通過による局所融解モデルの枠組みで説明することができた。
小川 達彦; 石川 法人; 甲斐 健師
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 461, p.272 - 275, 2019/12
被引用回数:6 パーセンタイル:60.63(Instruments & Instrumentation)物質中に局所的にエネルギーを付与する重イオン照射は、新しい材料改質方法の開発や放射線損傷原理の解明などを目的として広く用いられている。ここで、重イオンによって弾かれた電子(線)と、それがさらに散乱する二次電子のエネルギー付与について、イオンの進行と垂直方向に対する分布は研究されてきた。一方、重イオンの進行方向に対するエネルギー付与分布は一定と仮定されてきたが、電子は重イオンの進行方向に押されるため、表面付近はエネルギー付与が少ないと推定される。そこで、本研究では、飛跡構造解析コードRITRACKSを用いて、重イオン照射を受けた物質内での二次電子のエネルギー付与の空間分布を詳細に求めた。その結果、水中では表面2nmまでの領域はエネルギー付与が少なく、それ以降は一定にエネルギーが付与されることを明らかにした。この結果を電子密度でスケーリングすることで水以外にも適用可能と期待され、核分裂生成物により損傷を受ける原子炉の燃料被覆管や、重イオンビーム照射で改質を受ける材料物質において、表面1-2nmでは放射線の影響が深部より少なくなり得ることを示唆している。
喜多村 茜; 石川 法人; 近藤 啓悦; 山本 春也*; 八巻 徹也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 460, p.175 - 179, 2019/12
被引用回数:3 パーセンタイル:35.87(Instruments & Instrumentation)高速重イオン(SHI)がセラミックスに真上から入射すると、SHI一つに対してヒロック(ナノメートルサイズの隆起物)が一つ表面に形成される。一方で近年、SHIがチタン酸ストロンチウム(SrTiO)や酸化チタン(TiO
)の表面をかするように入射した場合、表面にはイオンの飛跡に沿って連続的に複数個のヒロックが形成されると報告された。これらは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察されており、観察結果にはAFMのプローブ寸法由来の測定誤差を含んでいる。そこで本研究では、ヒロックのサイズより十分小さい分解能(1.5nm)を有し、非接触で観察可能な電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて連続ヒロックを観察する手法を検討した。本発表では成功した連続ヒロックのFE-SEM観察結果とともに、AFM観察との比較を通して連続ヒロックの形状を報告する。
喜多村 茜; 石川 法人; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 山本 春也*; 八巻 徹也*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 44(3), p.85 - 88, 2019/06
高速重イオンがセラミックスに真上から入射すると、イオン一つに対してヒロック(ナノメートルサイズの隆起物)が一つ表面に形成される。一方で近年、SHIがチタン酸ストロンチウム(SrTiO)や酸化チタン(TiO
)の表面をかするように入射した場合、表面にはイオンの飛跡に沿って連続的に複数個のヒロックが形成されると報告された。これらは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察されており、観察結果にはAFMのプローブ寸法由来の測定誤差を含んでいる。そこで本研究では、ヒロックのサイズより十分小さい分解能(1.5nm)を有し、非接触で観察可能な電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて連続ヒロックを観察し、形状の違いを検討した。SrTiO
はNbを添加することで電気伝導性が発現する。SrTiO
(100)とNbを0.05wt%添加した単結晶SrTiO
(100)に対し、350MeVのAuビームを、単結晶表面に対するイオンの入射角が2度以下となるよう照射した。照射後のFE-SEM観察によって、SrTiO
(100)表面には長さ数百nmにわたって直径20nmのヒロックが連続的に形成されていた一方で、Nbを添加したSrTiO
(100)表面では、ほぼ同じ長さで凹状に溝が形成されていることがわかった。これらの形状の違いは電気伝導性とそれによる熱伝導性の違いが起因し、イオントラックの温度が融点付近になるSrTiO
(100)ではヒロックが、昇華温度にまで上昇するNb添加SrTiO
(100)では溝ができると考えられる。
篠嶋 妥*; 安島 直紀*; 神長 龍一*; 石川 法人; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 440, p.118 - 125, 2019/02
被引用回数:2 パーセンタイル:25.21(Instruments & Instrumentation)高速重イオン照射した単結晶CeOにおいて生成される欠陥の生成挙動について、分子動力学計算シミュレーションを利用して計算し、欠陥の構造解析を行った。計算の結果と透過型電子顕微鏡による観察結果と比較することによって、計算結果の妥当性を検証した。計算結果および実験との比較の結果、透過型電子顕微鏡で観察されていた酸素欠陥の空間分布を、計算シミュレーションの結果はよく再現できていることが分かった。さらに、照射によって生成される酸素欠陥の数は、熱スパイクの直後に急激に増加し、3ピコ秒以内にその数が減少するというプロセスをたどることが示唆された。
Li, R.*; Pang, C.*; 雨倉 宏*; Ren, F.*; Hbner, R.*; Zhou, S.*; 石川 法人; 大久保 成彰; Chen, F.*
Nanotechnology, 29(42), p.424001_1 - 424001_8, 2018/10
被引用回数:5 パーセンタイル:27.39(Nanoscience & Nanotechnology)銀イオン注入法と高速重イオン照射法を組み合わせることで、Nd:YAG(Nbをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット)結晶中に埋め込まれている銀ナノ粒子を制御性良く変形させることができた。本研究では、Nd:YAG結晶中に埋め込まれた球形状の銀ナノ粒子に高速重粒子線を照射することで、銀ナノ粒子を変形させることを試みた。今回、照射前後の表面プラズモン共鳴の微小な変化を検知できることを利用して、照射による金属ナノ粒子のわずかな変形を検出することにも成功した。また、離散双極子近似(DDA)計算と組み合わせることで、その変形度を定量化する手法を開発した。
雨倉 宏*; Kluth, P.*; Mota-Santiago, P.*; Sahlberg, I.*; Jantunen, V.*; Leino, A. A.*; Vazquez, H.*; Nordlund, K.*; Djurabekova, F.*; 大久保 成彰; et al.
Physical Review Materials (Internet), 2(9), p.096001_1 - 096001_10, 2018/09
被引用回数:10 パーセンタイル:40.59(Materials Science, Multidisciplinary)高速重イオンを非晶質SiOに照射すると、核に低密度物質、その周りの殻に高密度物質が誘起され、核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが知られている。この核/殻状のイオントラック損傷の形成を説明するモデルとして、核部分に超高温の蒸気相が形成されることを仮定するモデルが提唱され、有力なモデルとされている。しかし、本研究での分子動力学計算の結果、イオン照射に伴うエネルギー伝達密度が低い(3keV/nm以下)条件では蒸気相は実現されない結果になるにもかかわらず、一方でそのような実験条件でも核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが今回の実験で明らかになった。以上の解析のみならず、様々な補足実験や計算の結果、従来重要とされてきた蒸気相の形成は、照射影響(核/殻状のイオントラック損傷の形成等)を起こすための必須条件ではないことが明らかになった。