六方晶窒化ホウ素/強磁性金属薄膜のX線磁気円二色性分光

XMCD study on electronic and spin states of h-BN/ferromagnetic metal thin film

大伴 真名歩; 松本 吉弘; Avramov, P.; 圓谷 志郎; 楢本 洋*; 雨宮 健太*; 境 誠司

Otomo, Manabu; Matsumoto, Yoshihiro; Avramov, P.; Entani, Shiro; Naramoto, Hiroshi*; Amemiya, Kenta*; Sakai, Seiji

六方晶窒化ホウ素(h-BN)は層状の積層構造を持ち、よく規定された単原子層の絶縁体層を作製できるため、スピントロニクス素子の界面バリア層として有望である。本研究ではX線吸収磁気円二色性(XMCD)分光により、強磁性金属薄膜上のh-BN単原子層の電子・スピン状態を調べた。伝導帯最下位に位置する、N 軌道とNi 3d軌道の反結合的な混成によって生成した軌道に、強いMCDシグナルが観測された。この結果は密度汎関数法で計算したスピン依存バンド構造とも一致し、h-BN/Ni(111)界面にスピン偏極準位ができていることが明らかになった。このことは、h-BNをバリア層としてスピン注入を行う際、同準位がスピンフィルターとして働く可能性を示唆する。

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