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HOPG表面に蒸着したシリコン単原子層の構造

Structure of single-layered silicon deposited on HOPG surface

馬場 祐治  ; 下山 巖   ; 平尾 法恵; 関口 哲弘  

Baba, Yuji; Shimoyama, Iwao; Hirao, Norie; Sekiguchi, Tetsuhiro

単原子層のシリコンが、グラフェンと同様なハニカム構造をとり得るという理論計算は数多くあるが実験的には検証されていない。本研究では、基板と相互作用の小さい「free-standing」のシリコン単原子層の作成を試み、その構造を調べた。基板としては、表面が原子レベルで平坦で不活性な高配向性熱分解グラファイト(HOPG)を用いた。清浄なHOPG表面に、層数を正確に制御したシリコン膜を作成し、表面電子状態をin-situ XPSおよびX線吸収端微細構造法(XAFS)により調べた結果、0.2モノレーヤーのシリコン膜のSi K-吸収端XAFSスペクトルには、バルクより高エネルギー領域に明瞭な2つのピークが観測された。電子エネルギー損失分光法による報告値およびDV-Xa分子軌道計算結果から、これらのピークはSi 1s軌道から非占有パイ軌道およびシグマ軌道への共鳴励起によるものと同定した。放射光の入射角を変えてXAFSスペクトルの偏光依存性を測定したところ、グラファイトと類似の偏光依存性が認められた。このことから、蒸着されたシリコンの一部は、HOPG表面に平行なグラフェンに類似した構造をとることがわかった。

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