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杉田 剛; 森 勝伸*; 下山 巖
Applied Clay Science, 243, p.107074_1 - 107074_8, 2023/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Chemistry, Physical)粘土鉱物のサブグループである黒雲母をCaClで熱処理することにより、光触媒に変換することを検討した。熱処理後に得られた反応生成物の組成,構造、および6価クロムとサリチル酸(SA)に対する光触媒活性を検討した。黒雲母とCaClの混合物を600Cまで加熱すると黒雲母の結晶構造が保持され、700Cまで加熱すると黒雲母から八面体ワダライト結晶への相変態が起こった。単位表面積あたりの6価クロムの光触媒還元率およびSAの光触媒分解効率は、処理温度の上昇とともに大きく増加した。また、熱処理後に黒雲母構造を保持した試料でも一定の光触媒活性を示したことから、この方法は他の一般的な天然材料から光触媒を調製する場合にも適している可能性がある。
木全 哲也*; 垣谷 健太*; 山本 春也*; 下山 巖; 松村 大樹; 岩瀬 彰宏*; Mao, W.*; 小林 知洋*; 八巻 徹也*; 寺井 隆幸*
Physical Review Materials (Internet), 6(3), p.035801_1 - 035801_7, 2022/03
被引用回数:7 パーセンタイル:67.05(Materials Science, Multidisciplinary)High activity is one of the primary requirements for the catalysts in proton exchange membrane fuel cell applications. Previous computational studies suggested that the catalytic activity of Pt nanoparticles could be enhanced by a Pt-carbon (C) support interaction. We have recently found that an enhanced electronic interaction occurs at the interface between an argon-ion (Ar)-irradiated glassy carbon (GC) surface and Pt nanoparticles. Here, we report a more than two-fold increase in specific activity (SA) for the Pt nanoparticles on the Ar-irradiated GC substrate compared to that on the non-irradiated GC substrate. The mechanism of this activity enhancement was investigated by local structure analysis of the interface. Ar irradiation of the carbon support led to the formation of the Pt-C bonding, thus protecting the deposited Pt nanoparticles from oxidation.
馬場 祐治*; 下山 巖
Chemical Physics, 550, p.111302_1 - 111302_5, 2021/10
被引用回数:2 パーセンタイル:15.35(Chemistry, Physical)ある原子の内殻軌道電子を価電子帯へ共鳴励起したとき、隣接する原子からの光電子放出に与える影響を実験的に検討した。SiOとBN粉末を混合したペレットでは、Si 共鳴励起によりO 1s光電子強度が減少したが、B 及びN に変化は認められなかった。同様の現象は、SNにセルロース粉末を混合したペレットからのN 、O 光電子強度においても観測された。これらの結果から、Si 共鳴励起により、Siに直接結合した最近接原子からの光電子強度のみが変化することが明らかとなった。この現象を使えば、特定元素に結合した最近接原子の種類を特定できるため、EXAFSなど放射光X線を使った構造解析法を補完する新しい解析手法になると期待される。
香西 直文; 佐藤 淳也; 大杉 武史; 下山 巖; 関根 由莉奈; 坂本 文徳; 大貫 敏彦
Journal of Hazardous Materials, 416, p.125965_1 - 125965_9, 2021/08
被引用回数:24 パーセンタイル:85.54(Engineering, Environmental)Radiocesium-bearing SSA was solidified in geopolymer (GP) and ordinary Portland cement (OPC) and the characteristics of the solidified bodies were investigated by various aspects including mechanical strength, transformation of SSA components during solidification, and radiocesium confinement ability by leaching test. After static leaching test at C, Cs was hardly leached out from the GP-solidified bodies containing SSA at 30 wt% to ultrapure water ( 0.1%), whereas more than 30% Cs was leached from the OPC-solidified bodies containing SSA at 30 wt%. GP is far superior to OPC for solidifying radiocesium-bearing SSA.
関根 由莉奈; 南川 卓也; 山田 鉄兵*; 松村 大樹; 根本 善弘*; 竹口 雅樹*; 杉田 剛; 下山 巖; 香西 直文; 諸岡 聡
Journal of Environmental Chemical Engineering, 9(2), p.105114_1 - 105114_12, 2021/04
被引用回数:10 パーセンタイル:50.83(Engineering, Environmental)有害金属除去は安心安全社会構築のために必要な技術である。本研究では、骨の有するイオン交換能を最大限に活用して廃材を用いた有害金属除去材料の開発を行った。炭酸塩水溶液に骨を浸漬することで高炭酸含有ナノアパタイトが形成することを見出した。この材料は、通常の骨、また合成アパタイトに比べて約250、4500倍高いストロンチウム吸着性能を示した。本材料は廃材を利用していることから、低コストかつ高性能な吸着剤として活用が期待できる。
馬場 祐治*; 下山 巖
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 987, p.164845_1 - 164845_5, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:32.77(Instruments & Instrumentation)簡単な二元系のアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物について、一方の原子の内殻電子を共鳴励起したとき、相手側の原子から放出される特性X線を測定することにより、多原子共鳴(Multi-atom resonance)の効果を調べた。固体CaClのCa 1s電子を共鳴励起すると、Clから放出されるCl K X線の強度が減少することを見出した。一方、CaClの水溶液について同様にCa 1s電子を共鳴励起しても、Cl K X線の強度に変化は認められなかった。同様の結果は、KCl、SrClにおいても観測された。このことから、これらの二元系物質では、励起される原子に直接結合した原子だけに多原子共鳴が起こることが明らかとなった。
永井 崇之; 下山 巖; 岡本 芳浩; 秋山 大輔*; 有馬 立身*
Photon Factory Activity Report 2019 (インターネット), 3 Pages, 2020/00
模擬HAWやガラス原料にU化合物を添加してU含有模擬廃棄物ガラスを作製し、U等の化学状態を硬X線領域のXAFS測定により評価した。その結果、U含有ガラスとU添加無ガラスのXAFS測定結果を比較し、廃棄物成分のCeの原子価がU共存により酸化する傾向を確認した。また、ラマン分光測定でガラス組成や作製条件によってSi-O構造が異なることから、軟X線領域のSiのK吸収端XAFS測定を試みた結果、Siの局所構造が組成によって僅かながら変化することを確認した。
圓谷 志郎*; 本田 充紀; 下山 巖; Li, S.*; 楢本 洋*; 矢板 毅; 境 誠司*
Japanese Journal of Applied Physics, 57(4S), p.04FP04_1 - 04FP04_4, 2018/04
被引用回数:3 パーセンタイル:14.39(Physics, Applied)Graphene oxide (GO) with a large surface area was synthesized by the direct growth of GO on porous alumina using chemical vapor deposition to study the Cs adsorption mechanism in aqueous solutions. Electronic structure analysis employing in situ near-edge X-ray absorption fine structure spectroscopy and X-ray photoelectron spectroscopy measurements clarifies the Cs atoms bond via oxygen functional groups on GO in the aqueous solution. The Cs adsorption capacity was found to be as high as 650-850 mg g, which indicates that the GO/porous alumina acts as an effective adsorbent with high adsorption efficiency for radioactive nuclides in aqueous solutions.
馬場 祐治; 下山 巖
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 16, p.53 - 59, 2018/03
固体を真空中で加熱すると吸着物質の一部がイオンとして脱離する現象は「表面電離」として知られているが、化合物など複雑な系では、その機構はわかっていない。本研究では、塩化セシウムおよび他のアルカリ金属塩化物の表面電離について調べた。塩化セシウムの場合、中性Csは塩化セシウムの融点に近い摂氏645度で脱離するが、Csイオンの脱離は、摂氏400度から観測された。脱離するイオンと中性粒子の比(Cs/Cs )は、410度で最大となった。Cs/Cs 比の温度依存性を、Saha-Langmuirの式で解析した結果、この現象は、塩化セシウムの構造変化に伴う表面の仕事関数変化によるものであることがわかった。
下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
Advances in Engineering (Internet), 1 Pages, 2018/02
有機デバイスの性能は有機薄膜中の分子配向に大きく依存する。したがって有機分子の微細配向制御はデバイス集積化に必須の技術であるが、その手法はまだ確立していない。我々はイオンビームによりヘテロ原子ドーピングを行ったグラファイト基板上にポリジメチルシラン(PDMS)薄膜を蒸着することで有機薄膜の微細配向制御を試みた。未照射基板上でPDMS薄膜は垂直配向をとるのに対し、Arイオン照射を行った基板上ではランダム配向、Nイオン照射を行った基板上では垂直配向をとることをX線吸収分光法の偏光依存性測定と分子軌道計算により明らかにした。さらに、数十ミクロン周期のパターンのNイオン照射を行ったグラファイト基板上でPDMS薄膜が配向構造に起因するパターンを示すことを光電子顕微鏡により明らかにした。以上の結果は、この手法が有機分子の微細配向制御に対して有効であることを示している。
吉越 章隆; 塩飽 秀啓; 小林 徹; 下山 巖; 松村 大樹; 辻 卓也; 西畑 保雄; 小暮 敏博*; 大河内 拓雄*; 保井 晃*; et al.
Applied Physics Letters, 112(2), p.021603_1 - 021603_5, 2018/01
被引用回数:6 パーセンタイル:29.42(Physics, Applied)放射光光電子顕微鏡(SR-PEEM)を人工的にCs吸着したミクロンサイズの風化黒雲母微粒子のピンポイント分析に適用した。絶縁物にもかかわらず、チャージアップの影響無しに構成元素(Si, Al, Cs, Mg, Fe)の空間分布を観察できた。Csが粒子全体に分布することが分かった。Cs M吸収端近傍のピンポイントX線吸収分光(XAS)から、1価の陽イオン状態(Cs)であることがわかった。さらに、Fe L吸収端の測定から、Feの価数状態を決定した。我々の結果は、サンプルの伝導性に左右されること無く、SR-PEEMがさまざまな環境試料に対するピンポイント化学分析法として利用可能であることを示すものである。
馬場 祐治; 下山 巖
Photon Factory Activity Report 2017, 3 Pages, 2018/00
固体を加熱すると表面の原子の一部がイオンとして脱離する現象は「表面電離」として知られている。本研究では、表面電離現象を塩化セシウム(CsCl)に応用した。試料に正の電位をかけて加熱すると、融点(645C)よりはるかに低い410C付近でCsイオンが脱離した。この低い脱離温度は、CsCl表面の仕事関数変化によるものであることがわかった。また表面電離現象を、Csが吸着した土壌に応用した。試料を460Cで2時間加熱すると、約13%のセシウムがCsイオンとして脱離した。以上のことから、表面電離現象を利用して土壌からCの一部を除去することができる可能性があることがわかった。
岩田 景子; 高見澤 悠; 河 侑成; 岡本 芳浩; 下山 巖; 本田 充紀; 塙 悟史; 西山 裕孝
Photon Factory Activity Report 2017, 2 Pages, 2018/00
原子炉圧力容器内表面のステンレスオーバーレイクラッド直下に生じる溶接熱影響部(HAZ)は熱履歴により結晶粒径や析出物分布の異なる組織が複雑に分布し、母材とは機械的特性が異なることが知られている。本研究では、HAZ組織の特徴を調べるため炭化物分布に着目し、形成元素の一つであるMoの周辺微細構造について分析を行った。HAZ組織の狭い領域毎の構造情報を取得するため、キャピラリレンズを使用した広域X線吸収微細構造(EXAFS)によりmオーダーの領域測定を実施した。EXAFS結果からHAZ内で生成が確認されている炭化物種の一つであるMoCは粒径の小さい領域に比較的多く分布することが示唆された。
本田 充紀; 下山 巖; 小暮 敏博*; 馬場 祐治; 鈴木 伸一; 矢板 毅
ACS Omega (Internet), 2(12), p.8678 - 8681, 2017/12
被引用回数:7 パーセンタイル:26.13(Chemistry, Multidisciplinary)The possibility to remove sorbed cesium (Cs) from weathered biotite (WB), which is considered a major Cs-adsorbent in the soil of Fukushima, has been investigated by the addition of NaCl-CaCl mixed salt and subsequent heat treatment in a low pressure. X-ray fluorescence analysis was employed to determine the Cs removal rate with elevated temperature. The structural changes and new phases formed were determined using powder X-ray diffraction, as well as electron diffraction and X-ray microanalysis in a transmission electron microscope. We found that Cs was completely removed from the specimen heated at 700 C, when WB completely decomposed and augite with a pyroxene structure was formed. On the basis of this finding, we propose the cesium-free mineralization (CFM) method, a new soil decontamination process by means of transformation of Cs-sorbing minerals to those where Cs is impossible to be incorporated, by heating with certain additives.
矢板 毅; 本田 充紀; 下山 巖; 伊藤 健一*; 万福 裕蔵*; 辻 卓也; 松村 大樹
日本原子力学会誌ATOMO, 59(8), p.483 - 487, 2017/08
福島第一原子力発電所事故後に伴う環境汚染に対して事故からの復興に向けて取り組んだ減容化除染と再生利用に関する研究の取り組みについて、日本原子力研究開発機構と国立環境研究所が取り組んできた吸着機構の基礎から物理的除染および減容化と熱処理に関する研究を紹介した内容である。一般的な物理処理、熱処理に関する紹介に加え、粘土鉱物へのセシウムの取り込みメカニズムや溶融処理のその場観察を放射光X線分光を利用した研究により詳細に解説している。
下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
Applied Surface Science, 405, p.255 - 266, 2017/05
被引用回数:1 パーセンタイル:5.82(Chemistry, Physical)イオンビームによりヘテロ原子ドーピングを行ったグラファイト基板上に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)薄膜の配向構造を調べるため、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた。Si 端NEXAFSスペクトルは非照射基板上とN照射基板上で互いに逆の傾向を示す偏光依存性を示し、Arイオン照射基板上では偏光依存性を示さなかった。第一原理計算によるNEXAFSスペクトルの理論的解釈に基づき、PDMSは非照射基板で水平配向、N照射基板上で垂直配向、Ar+イオン照射基板上でランダム配向をとることがわかった。我々はさらに光電子顕微鏡を用いた分析を行い、同一基板上で照射・非照射領域が分離した表面でPDMS薄膜がmオーダーで異なる配向を持ちうることを見いだした。これらの結果は集光イオンビームを用いたグラファイトの表面改質が有機薄膜のための新たな微細配向制御法となる可能性を示唆している。
下山 巖; 本田 充紀; 小暮 敏博*; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一
Photon Factory News, 35(1), p.17 - 22, 2017/05
福島放射性汚染土壌のCs除染と再生利用に対して提案しているセシウムフリー鉱化法(CFM)について紹介すると共に、PFのJAEA放射光ビームラインで実施している研究について報告する。本研究では風化黒雲母(WB)からのCs脱離機構を調べるため、非放射性Csを収着させたWBにNaCl-CaCl混合塩を添加し、低圧加熱処理前後での組成と構造変化を調べた。蛍光X線分析により塩無添加の場合でも700Cで約3割のCsが除去され、塩添加時はほぼ全てのCsとKが除去された。一方、Caは温度と共に増加し、700CではSiよりも多い主成分となった。さらにX線回折法、透過型電子顕微鏡による分析によりWBが普通輝石などの異なるケイ酸塩鉱物に相変化することを明らかにした。これらの結果は相変化に伴ってイオン半径の大きい1価陽イオンが排出されるメカニズムを示唆しており、我々はこれに基づいてCFMの着想に至った。また、X線吸収分光法を用いたClの化学状態分析により、塩由来のClが反応の初期段階で粘土鉱物の酸素とCl-O結合を形成しながら生成物の鉱物中に取り込まれることを明らかにした。
本田 充紀; 岡本 芳浩; 下山 巖; 塩飽 秀啓; 鈴木 伸一; 矢板 毅
ACS Omega (Internet), 2(2), p.721 - 727, 2017/02
被引用回数:19 パーセンタイル:54.67(Chemistry, Multidisciplinary)An in situ extended X-ray absorption fine structure (in situ EXAFS) spectroscopic analysis at high temperature was conducted to investigate the mechanism of Cs removal from weathered biotite (WB) from Fukushima, induced by heating with a mixed salt of NaCl and CaCl. This indicated that most Cs remained in WB during heating at 200-700C. In addition, the in situ EXAFS spectra gradually changed on heating with the mixed salt and a completely different spectrum was observed for the sample after cooling from 700C to room temperature. Ex situ EXAFS measurements and X-ray fluorescence analyses were also conducted on samples after heat treatment and removal of the mixed salt to clarify the temperature dependence of the Cs removal ratio. Based on the results of radial structure function analysis obtained from in situ EXAFS, we concluded that almost all Cs was removed from WB by heating at 700C with the mixed salt, and that Cs formed CsCl bonds after cooling to room temperature from 700C. In contrast, although more than half of the Cs present was removed from WB by heat treatment at 500C, most Cs was surrounded by silica tetrahedrons, maintained by Cs-O bonds. On the basis of these results, different Cs removal processes are suggested for the high-temperature (600-700C) and low-temperature (400-500C) regions.
馬場 祐治; 下山 巖
Photon Factory Activity Report 2016, 2 Pages, 2017/00
土壌中におけるストロンチウム(Sr)の吸着状態を明らかにするため、層状酸化物(雲母)に吸着した非放射性Srの化学結合状態をX線光電子分光法(XPS)およびX線吸収端微細構造法(XANES)により調べた。放射性Sr-90の原子数は極めて少ないので、超微量のSrの測定を行うため、X線の全反射条件下でXPS, XANESを測定した。全反射XPSでは、1cm当たり300ベクレルのSr-90に相当する150ピコグラムまでのSrの測定が可能であった。XPSで測定したSr2p軌道のエネルギーは、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。またXANESスペクトルにおけるSr2p Sr4d共鳴ピークのエネルギーも、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。これらのエネルギーシフトを、点電荷モデルにより解析した結果、Srと雲母表面の化学結合は、極微量になるほどイオン結合性が強くなることを明らかにした。
下山 巖
放射線と産業, (141), p.7 - 11, 2016/12
化石燃料の脱硫は水素製造における必須のプロセスである。従来の水素化脱硫に代わる新たな手法として提案されている吸着脱硫では安定で高機能の活性炭吸着材の開発が求められているため、発表者は低エネルギーイオンビームでヘテロ原子ドーピングを行った炭素材料(カーボンアロイ)に対しチオフェン吸着特性のドーパント依存性を調べた。15族の窒素とリンをグラファイト表面にドーピングした場合、窒素よりもリンの方がチオフェン吸着に対して優れた効果を持つこと、及び室温と高温のグラファイトにリンドーピングを行うと室温ドーピングした試料の方が10倍以上優れたチオフェン吸着能を示すことを見いだした。X線吸収分光法を用いた局所構造解析により両者のリンの構造が異なることを明らかにし、室温ドーピングでは曲面構造が形成されたことにより高い吸着特性を持つことを示した。以上の結果は低エネルギーイオンビームによるカーボンアロイ開発の可能性を示している。