Compilation of thermochronometric data along the Niigata-Kobe Tectonic Zone; For understanding of its long-term vertical deformation

新潟-神戸歪集中帯における熱年代学的データのコンパイル; 新潟-神戸歪集中帯の長期における鉛直方向の変形の理解に向けて

末岡 茂   ; 田上 高広*

Sueoka, Shigeru; Tagami, Takahiro*

日本列島では、測地学的時間スケールで観測される歪速度と、地形学的・地質学的データから推定される歪速度が一致しないことが知られており、地質環境の長期予測を行う上で大きな課題のひとつとなっている。本研究では、新潟-神戸歪集中帯およびその周辺地域における既存の熱年代学的データをコンパイルし、これらの地域における地質学的時間スケールの地殻変動像について検討する。本研究で特に対象とするのは、(1)東北地方太平洋沿岸、(2)東北地方日本海沿岸、(3)北アルプス、(4)中部地方西部日本海沿岸、(5)近畿地方日本海沿岸の5地域である。これらのうち、(1)と(5)では白亜紀後期から古第三期の古いアパタイトFT年代が得られており、数千万年スケールで比較的安定した地質環境にあったことが推定される。(2)と(3)では中新世末以降の若い年代が得られており、最近数百万年間の山地の急激な隆起を反映していると考えられる。(4)では内陸部で白亜紀後期から古第三期の古いアパタイトFT年代が報告されているのに対してより日本海に近い地域では中新世以降のアパタイトFT年代も得られており、隆起・削剥史に顕著な空間的偏りが存在する可能性がある。

We compiled themochronometric data along the Niigata-Kobe Tectonic Zone, a high-strain rate zone located in Japan, and its vicinity areas to illustrate its vertical deformation over geological time scale. We discuss uplift/denudation histories in the five subareas: the Pacific coast region of the NE Japan, the Japanese Sea coast region of the NE Japan, the northern Japanese Alps region, the Japanese Sea coast region of the western Chubu district, and the Japanese Sea coast region of the Kinki district.