単結晶URuSiにおける超伝導状態のSiナイトシフト測定

Si NMR knight shift measurement on single crystalline URuSi

服部 泰佑; 酒井 宏典   ; 徳永 陽  ; 神戸 振作  ; 松田 達磨*; 芳賀 芳範   

Hattori, Taisuke; Sakai, Hironori; Tokunaga, Yo; Kambe, Shinsaku; Matsuda, Tatsuma*; Haga, Yoshinori

ウラン化合物URuSiは、17.5Kで「隠れた秩序」状態に相転移し、1.5Kで超伝導を示す。「隠れた秩序」解明に向けて多くの研究がなされているが、隠れた秩序下で生じる超伝導の詳細や、両秩序間の関係を明らかにすることも興味深い課題である。URuSi超伝導の電子軌道成分に関しては、純良な単結晶試料を用いた比熱測定や熱伝導測定から、超伝導ギャップには水平ラインノード及びポイントノードが存在することが示された。一方、超伝導電子対のスピン成分に関しては、低温における超伝導上部臨界磁場が抑制されることから、いわゆるパウリ常磁性効果が大きいと考えられ、スピン一重項状態が期待視されている。しかし、スピン一重項超伝導で要求されるナイトシフトの減少は未だ検出されておらず、決定的な証拠には欠けていた。そこで、Si濃縮を行った高純度単結晶URuSiを用いて、超伝導状態における高精度Si NMR測定を行っている。前回学会では、磁化困難軸である面内ナイトシフトに変化が見られないことを報告した。今回、磁化容易軸(c軸)に磁場をかけた場合の超伝導状態のNMR測定に成功したため、「隠れた秩序」下で生じる新奇超伝導状態の対称性を議論する。

In URuSi, superconductivity occurs at 1.5 K under so-called "hidden order" phase with the transition temperature of 17.5 K. It is very interesting problem to investigate the detail of the superconducting (SC) state in the "hidden order" phase and the relationship between the superconductivity and the "hidden order". Therefore we have performed NMR measurements on single crystalline URuSi. The last time, we reported the no detectable change in in-plane Si Knight shift in the superconducting state of URuSi. In this time, we will report the Si Knight shift with the field along the magnetic easy axis (c axis), and discuss the pairing symmetry of the superconducting state.