Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
鬼澤 高志; 永江 勇二; 菊地 賢司*
鉄と鋼, 100(8), p.999 - 1005, 2014/08
被引用回数:2 パーセンタイル:12.26(Metallurgy & Metallurgical Engineering)既存高Cr鋼の高温強度は、多くの元素を添加することで得られる強化機構により達成されているが、それらの強化機構の高速炉温度域(550C)における長時間有効性・安定性は、明らかにされていない。高速炉使用環境における固溶強化機構の高温長時間での安定性・有効性を明らかにし、安定した強度を有すると共に長時間でも優れた延性および靱性を有する高Cr鋼を開発することを目標に、W添加量を無添加から0.35wt.%と低めに調整した高Cr鋼に対して、時効後衝撃試験に加え、引張試験、長時間クリープ試験および組織観察・分析を実施し、高速炉使用条件(最高使用温度550Cで約50万時間)における長時間材料特性とW添加量の関係を明らかにする。特にLaves相に着目した組織観察・分析により靱性およびクリープ特性と金属組織の関係を明らかとし、高速炉構造用高Cr鋼に最適なW添加量を提示する。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 遠藤 慎也; 桜庭 直敏; 宮井 博充; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 450(1-3), p.27 - 31, 2014/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料など核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP: SINQ Target Irradiation Program)が進行中である。本プログラムではPSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本発表ではSTIP-II試料の中からJPCAとAlloy800Hの曲げ疲労試験の結果を報告する。これらの試料の照射条件は照射温度が120-350C、はじき出し損傷量が7.0-19.3dpaであった。JPCA鋼の曲げ疲労試験の結果、STIP-I試料と同様、照射前後で疲労寿命はほとんど変化はなく、疲労寿命の照射量依存性も見られなかった。試験後の破面観察の結果、粒界破面は見られなかった。この約19dpa照射されたJPCA鋼には約1600appmのHeが生成し、それらの多くが材料中に残留していると推定される。TEM観察でも、Heバブルが組織中にほぼ一様に分布しており、特に粒界析出が見られなかったことと一致する結果と考えられる。一方、Alloy800Hの破面には一部に粒界破面が観察された。
菊地 賢司*; 岡田 徳行*; 加藤 幹雄*; 内田 博*; 斎藤 滋
Journal of Nuclear Materials, 450(1-3), p.237 - 243, 2014/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.92(Materials Science, Multidisciplinary)加速器駆動未臨界炉(ADS)のビーム入射窓及び構造材料候補材の一つである12Crのフェライト・マルテンサイト鋼(HCM12A)について、3次元アトムプローブ(3DAP)を用いて鉛ビスマス中でHCM12A鋼の表面に形成した酸化物層の構造を調べた。試験材は、三井造船の材料腐食ループにおいて450-500Cの鉛ビスマス中で5,500時間使用された試験片ホルダー部から採取したものである。酸化物層は外側にマグネタイト(FeO)層、内側に鉄-クロムのスピネル層((FeCr)O)の2重構造で、全体の厚さは約18mであった。3DAP用試料はこれらの層の境界から500-700nm離れたスピネル層から製作した。3DAP分析の結果、クロムと酸素濃度が高く、鉄濃度が低い約10nm程度の領域が観測された。クロム高濃度領域の周囲ではシリコンも高濃度であった。スピネル層中の鉛及びビスマス濃度は検出限界以下であった。
鬼澤 高志; 浅山 泰; 菊地 賢司*
ISIJ International, 53(6), p.1081 - 1088, 2013/06
被引用回数:3 パーセンタイル:22.56(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本研究は、V, Nb添加量を調整した高クロム鋼に対して、クリープ試験を実施し、FBR使用条件(最高使用温度550Cで約50万時間)におけるクリープ特性とV, Nbそれぞれの関係を明らかにした。また、特にMX粒子やZ相に着目した組織観察・分析により長時間クリープで生じる強度低下の原因を考察し、FBR用高クロム鋼に最適なV, Nb添加量を提示した。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 手塚 正雄*; 宮城 雅徳*; 粉川 博之*; 渡辺 精一*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.91 - 96, 2012/12
被引用回数:16 パーセンタイル:75.52(Materials Science, Multidisciplinary)鉛ビスマス材料試験ループ1号(JLBL-1)の第5期3600時間試験運転において、配管内部に取り付けられた試験片の腐食評価を行った。ループの運転温度は高温部が450C、低温部が350Cで温度差は100Cである。試験片取り付け部の流量は約1L/min.である。試験片取り付け部は内径9mmのSS316L配管に溝を切り、10mm10mm1mmtの試験片を4枚取り付けた。試験片の材質はSS316L母材及びSS316L粒界制御(GBE)材である。運転終了後の試験片の光学顕微鏡による断面観察の結果、大きな減肉が観察された。SS316L母材,GBE材の減肉量は、それぞれ片面約390m及び190-270mであり、いずれも一様に減肉しつつも、局所的には平坦でなかった。SEM観察,EDX分析の結果、鉛ビスマスによる結晶粒界浸食は、母材,GBE材ともに断面のSEM観察上は数m程度であったが、鉛ビスマスの拡散領域深さは母材が20m程度、GBE材が10m以下で明らかな違いが見られた。これは、粒内への拡散深さは同じでも、GBE材では粒界の連続性を遮断する効果により粒界拡散を抑えた効果によると考えられる。いずれの試料でも酸化物層は観察されなかった。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 遠藤 慎也; 小野 勝人; 松井 寛樹; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.44 - 51, 2012/12
被引用回数:2 パーセンタイル:17.8(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料は、高エネルギー陽子及び核破砕中性子の照射により、損傷を受ける。核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP: SINQ Target Irradiation Program)が進行中である。本プログラムは1996年に始まり、PSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本論文ではSTIP-II試料の中からJPCA鋼の引張り試験の結果を報告する。引張り試験の結果、JPCA鋼は照射後大きく硬化するが、耐力の増加は11dpa付近で飽和した。伸びも大きく低下したが、全伸びは19.5dpa照射後も約15%保っていた。試験後の破面観察の結果、粒界破面や割れなどは見られなかった。このJPCA鋼には約1600appmのHeが生成していると見積もられ、表面からの反跳分を除いた多くが材料中に残留していると推定される。TEM観察でも、Heバブルが組織中にほぼ一様に分布しており、特に粒界析出が見られなかったことと一致する結果と考えられる。
菊地 賢司*; Rivai, A. K.*; 斎藤 滋; Bolind, A. M.*; 小暮 亮雅*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.120 - 124, 2012/12
被引用回数:6 パーセンタイル:43.52(Materials Science, Multidisciplinary)450C-500C, 5,500時間の鉛ビスマス中で形成されたフェライト・マルテンサイト鋼HCM12Aの酸化物層を走査プローブ顕微鏡(SPM)により観察した。EDX観察の後、走査プローブ顕微鏡を用いて、酸化物層と母材部を表面電位モードと位相遅れ測定により解析した。従来、酸化物層の形成機構は、高温の鉛ビスマスに対して耐食性を持つことが期待される酸化物の安定性を理解するため、元の母材表面位置、酸素の移動経路及び鉄の拡散といった観点から研究されてきた。本研究における新しい発見は、微細構造観察モードでは見えない(FeCr)OとFeOの境界が表面電位モードでは検出できたことである。スピネル層は低表面電位として母材領域と区別できるが、スピネル層とマグネタイト層の境界付近では、表面電位は境界線に相当する細い経路を除き、連続であるように見える。また、微細構造観察モードでは見えなかった、スピネル層とマグネタイト層を貫通している帯状構造が見つかった。
Rivai, A. K.*; 斎藤 滋; 手塚 正雄*; 加藤 千明; 菊地 賢司*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.97 - 104, 2012/12
被引用回数:10 パーセンタイル:60.35(Materials Science, Multidisciplinary)鉛ビスマスを核破砕ターゲット及び冷却材として用いる加速器駆動核変換システム(ADS)の開発において、高性能な陽子ビーム窓材料の開発は重要な課題の一つである。本研究では、オーステナイトステンレス鋼(JPCA)に20%の冷間加工を加え、腐食挙動の観点から研究を行った。20%冷間加工JPCAの腐食試験は、材料試験ループ1号(JLBL-1)で行った。最高温度,温度差及び試験時間はそれぞれ450C, 100C, 約1L/min.及び1,000時間である。比較のため、冷間加工されていないJPCAの腐食試験も同じ条件で行った。結果は、JPCAの冷間加工の有無により腐食挙動に違いがあることを示した。冷間加工なしのJPCAでは、母材の構成元素が鉛ビスマス中に溶解することで形成されるフェライト層を通って鉛ビスマスが母材へ進入した。20%冷間加工JPCAでは、腐食は部分的で、局所的なピッティング腐食が形成された。腐食挙動の違いは、冷間加工が-オーステナイト相から'-マルテンサイト相への相変態を誘発するためであり、これがJPCAの流動鉛ビスマス中での耐食性に影響を与えることがわかった。
中村 博文; 小林 和容; 横山 須美*; 斎藤 滋; 山西 敏彦; 菊地 賢司*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.326 - 331, 2010/08
高エネルギー陽子照射されたステンレス316鋼(SS316)の等速昇温によるトリチウム放出挙動を測定し、照射に起因する材料中のトリチウムトラップサイトの評価を試みた。資料には、STIP-I(スイス,SI,SINQターゲット計画)において580MeVの陽子及び核破砕中性子で照射されたSS316を用い、窒素-水素混合ガス気流中で10K/minで1273Kまで昇温した。昇温に伴って、試料から放出されたトリチウムは、電離箱で連続監視するとともに、触媒で酸化させた後、バブラーで捕集し、定量した。試験の結果、トリチウム放出挙動は、照射時温度に依存せず、また、試料内に残存したトリチウムは、照射中に核破砕反応で生成した量の1/10以下であることが明らかになった。以上の結果をもとに、高エネルギー陽子及び核破砕中性子照射中及び等速昇温中のSS316中のトリチウム輸送解析を行った結果、試料中に残存しているトリチウムは、そのほとんどが照射欠陥に起因するトラップサイトに補足されたものであり、そのトラップエネルギーは、1.4eV以上であると評価された。
辻本 和文; 西原 健司; 武井 早憲; 菅原 隆徳; 倉田 有司; 斎藤 滋; 大林 寛生; 佐々 敏信; 菊地 賢司*; 手塚 正雄; et al.
JAEA-Research 2010-012, 59 Pages, 2010/07
加速器駆動システム(ADS)において核破砕ターゲット及び冷却材として用いられる鉛ビスマス共晶合金(LBE)に関する研究やビーム窓候補材料に対する照射試験等により新たに得られたデータや知見に基づき、ADS概念の再構築を行い、その成立性を検討した。炉心の核・熱設計では、燃料被覆管候補材である改良9Cr-1Mo鋼のLBE中での最高使用温度の目安値を550Cと設定し、熱出力800MWを維持するのに必要なビーム電流を可能な限り低減する概念を構築した。この炉心概念について、1サイクル600日の運転期間中の燃料被覆管及びビーム窓の健全性評価を行った。その結果、温度及び腐食並びに未照射条件での構造強度について、高い成立性を有することを確認した。材料特性に対する照射影響に関しては、既存データからの類推等により実機ADSの使用条件下においては影響がそれほど大きくはないことを示したが、今後の実験データのさらなる拡充が必要であり、その結果によっては運転サイクルの短縮等の対処が必要となる。ADSの安全性に関する検討では、レベル1PSA(確率論的安全評価)及び基準外事象の過渡解析を行い、炉心損傷及び損傷に伴う再臨界の可能性が非常に低いことを明らかにした。
菅原 隆徳; 菊地 賢司; 西原 健司; 大井川 宏之
Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.246 - 250, 2010/03
被引用回数:3 パーセンタイル:24.08(Materials Science, Multidisciplinary)加速器駆動未臨界システム(ADS)の成立性にかかわる課題の1つであるビーム窓の健全性確保について、有限要素法による構造解析を行い、成立性の高い設計概念の検討を行った。これまでの研究から、座屈防止が最も重要であることが確認されていたので、座屈防止を図るため、ビーム窓の板厚について、有限要素法コードによるパラメトリックサーベイを行い、ビーム窓形状の最適化を行った。解析の結果、先端部の板厚を2.0-2.4[mm]とし、遷移部の板厚を2.0-4.0[mm]の範囲とする長円型の概念が、現在のADS設計概念に対して最も成立性が高いことがわかった。一方、この評価は非照射環境での評価であり、照射の影響を考慮していない。本検討では、SINQターゲット照射プログラム(STIP)で得られた最新の知見に基づき、照射の影響を考慮した座屈解析も併せて行った。解析の結果、照射による材料の硬化により座屈圧力が上昇するものの、延性脆性遷移温度の上昇による脆化の影響が、ビーム窓の寿命に影響することがわかった。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 石川 明義; 西野 泰治; 遠藤 慎也; 川合 將義*; Dai, Y.*
Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.49 - 58, 2010/03
被引用回数:6 パーセンタイル:40.28(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕中性子源やADSのビーム入射窓及び構造材料は、高エネルギー陽子及び核破砕中性子の照射により、損傷を受ける。核破砕条件における材料の照射損傷特性を明らかにするために、スイスのPSIを中心として核破砕ターゲット材料照射プログラム(STIP; SINQ Target Irradiation Program)が立ち上がった。本プログラムは1996年に始まり、PSIの加速器で各種材料を580MeVの陽子で照射し、参加国がPIEを分担して行っている。原子力機構も照射試料の一部を輸送し、照射後試験を行った。本発表では照射後試験の結果からF82H鋼溶接材の引張り試験及び曲げ疲労試験の結果を報告する。引張り試験結果より、F82H鋼TIG及びEB溶接材は10dpa以上照射後も延性を保っていた。曲げ疲労試験の結果、F82H鋼母材は照射前後で疲労寿命はほとんど変化しなかった。F82H鋼溶接材は、疲労寿命が増加するものと10の7乗サイクル内で破断しないものがあった。
斎藤 滋; 濱口 大; 宇佐美 浩二; 遠藤 慎也; 小野 勝人; 松井 寛樹; 菊地 賢司*; 川合 將義*; Yong, D.*
Proceedings of 1st International Workshop on Technology and Components of Accelerator-driven Systems (TCADS-1) (Internet), 9 Pages, 2010/03
マイナーアクチノイド(MA)を核変換するための加速器駆動未臨界炉(ADS)の研究開発が進められている。ADSの未臨界炉心内にあるビーム窓は高エネルギー陽子と中性子の両方の照射を受ける。本研究では、照射された材料の機械的特性を評価するために、SINQターゲット4(STIP-II)で照射されたオーステナイト鋼(JPCA及びAlloy800H)の照射後試験を行った。オーステナイト鋼はフェライトマルテンサイト鋼で考慮する必要のあるDBTTシフトの問題がないといった点でビーム窓材として好ましい。本研究の照射条件は、以下の通りである。陽子エネルギー580MeV,照射温度100450C,はじき出し損傷量6.519.5dpa。すべての照射後試験は原子力機構東海研究開発センターのWASTEFと燃料試験施設で行われた。引張り試験は大気中で、室温、250C及び350Cで行われた。試験後はSEMによる破面観察を行った。室温試験の結果、10dpa程度までは照射量とともに照射硬化が増加するが、それ以上の照射量では、照射硬化が飽和することがわかった。延性も、10dpa付近までは低下するが、19.5dpaでも保たれていることがわかった。また、SEMによる破面観察の結果、すべての試料は延性破断であった。
菅原 隆徳; 鈴木 一彦; 西原 健司; 佐々 敏信; 倉田 有司; 菊地 賢司; 大井川 宏之
Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), 11 Pages, 2010/00
加速器駆動未臨界システム(ADS)の成立性にかかわる課題の1つであるビーム窓の健全性確保について、有限要素法による構造解析を行い、成立性の高い設計概念の検討を行った。これまでの研究から、座屈防止が最も重要であることが確認されていたので、座屈防止を図るため、ビーム窓の板厚について、有限要素法コードによるパラメトリックサーベイを行い、ビーム窓形状の最適化を行った。併せて座屈評価上の安全率を合理化することを目的に、不整量を考慮した座屈解析も行い、ビーム窓のための安全率について検討を行った。検討の結果、ビーム窓の安全率として3程度を確保すれば十分であることを確認し、これによりビーム窓の基本的な成立性の見通しを得ることができた。安全率3、設計外圧を1.0MPaとして、パラメトリックサーベイの結果を評価した結果、先端部の板厚を2.0-2.4[mm]とし、遷移部の板厚を2.0-4.0[mm]の範囲とする長円型の概念が、現在のADS設計概念に対して最も成立性が高いことがわかった。
菊地 賢司; 斎藤 滋; 濱口 大; 手塚 正雄; 大林 寛生
Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), p.315 - 320, 2010/00
ADSビーム窓の耐久性を評価する研究開発を、陽子照射後試験、及び3つの鉛ビスマスループ試験により実施した。陽子照射実験の結果、オーステナイト鋼の延性は低下し、耐力は増加した。8-9Cr鋼は、他の研究所のデータによれば、照射量の増加とともに破壊モードが脆性に遷移した。疲労データは現在取得中である。いずれも組織観察の結果、母材中に多数のバブルの生成が確認された。ナノスケールの観察結果と機械的試験結果の関連は調査中である。腐食試験ループでの材料試験では、流動の影響を反映したと見られる腐食が観察された。この現象を理解するため、超音波ドップラー法による鉛ビスマス流動の可視化を試み、まず超音波を透過するために必要な材料表面の濡れ性付与技術を手に入れた。今後局所の流れ場の調査を行う予定である。熱流動試験ループでは、ビーム窓の熱伝達性能を知るため、大流量試験を行った。実験式を定式化した結果、ビーム窓の熱応力の大きさを評価可能になった。
武井 早憲; 大内 伸夫; 佐々 敏信; 濱口 大; 菊地 賢司*; 倉田 有司; 西原 健司; 大林 寛生; 斎藤 滋; 菅原 隆徳; et al.
Proceedings of International Topical Meeting on Nuclear Research Applications and Utilization of Accelerators (CD-ROM), 11 Pages, 2009/05
原子力機構は長寿命放射性核種の核変換処理を目指した加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原子力機構が提案するADSは、超伝導陽子加速器で熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉を駆動するものである。将来のADSの設計研究としては、超伝導陽子加速器用クライオモジュールの製作と試験、現存する加速器の運転データに基づく陽子加速器の信頼性評価などを行っている。J-PARCプロジェクトの核変換実験施設計画については、マイナーアクチノイド燃料を取り扱うための実験装置を含めた設計研究を進めている。
菊地 賢司; 濱口 大; 斎藤 滋
まてりあ, 47(12), P. 635, 2008/12
陽子ビームを照射したオーステナイトステンレス鋼の透過電子顕微鏡観察について述べた。条件は2ケースで照射量,照射温度,He生成量がそれぞれ10dpa, 623K, 800appmと20dpa, 693K, 1800appmである。結果は、バブルが母相に均一に生成し、そのサイズはおおむね2.5nm、転位密度より計算されるスエリング量はいずれも1%以下である。
大林 寛生; 菊地 賢司
Proceedings of 6th International Symposium on Ultrasonic Doppler Methods for Fluid Mechanics and Fluid Engineering (ISUD-6), p.135 - 138, 2008/09
原子力機構で開発研究が進められているADSでは、ターゲット及び冷却材として溶融鉛ビスマスの導入を検討している。溶融鉛ビスマスの流れは、ADS冷却系において発生する諸問題と密接な関係があると考えられるため、その流況の把握が重要である。しかしながら、高温液体金属流動場計測へ適用可能な速度場計測手法は極わずかしか存在しない。本研究では、超音波流速分布測定法(UVP)の耐熱性向上を実現するため、音響ガイドを用いることで150C以上の液体金属流動場計測技術を開発することを目的とする。このなかで、ガイドに用いる材料について、実験,数値シミュレーションによる評価を実施した結果、アルミニウム,シリコンが適した材料であることがわかった。
菊地 賢司; 鎌田 勤也*; 小野 幹訓*; 北野 照明*; 林 健一*; 大井川 宏之
Journal of Nuclear Materials, 377(1), p.232 - 242, 2008/06
被引用回数:17 パーセンタイル:72.86(Materials Science, Multidisciplinary)F82HとJPCAの腐食特性を流動鉛ビスマスループ中で調べた。材料は日本のADSビーム窓候補材であり、電子溶接部も含む。高温部の試験温度は最高450と500度で低温部との温度差は100度である。主流の流速は毎秒0.4から0.6mであり、酸素濃度は2から410mass%に制御した。試験片は丸棒型である。試験後、光学,SEM,X線解析,X線回折により腐食被膜の特性を調べた。その結果、ADSのビーム窓を設計する場合の腐食速度は時間に対して線形則が推奨されるという結論を得た。
西原 健司; 菊地 賢司
Journal of Nuclear Materials, 377(1), p.298 - 306, 2008/06
被引用回数:8 パーセンタイル:49.01(Materials Science, Multidisciplinary)800MW加速器駆動炉概念のビーム窓における照射損傷及び発熱を評価した。3.0GeVまでの陽子と中性子の輸送をPHITS及びTWODANTで計算した。PHITSはモンテカルロ輸送コード、TWODANTは決定論的2次元輸送コードである。ビーム窓は加速器駆動炉の中心で20MWの陽子と炉心からの中性子によって300炉内実効滞在日にわたって照射される。ガウス分布と平坦な分布の陽子ビームを仮定し、発熱、はじき出し、水素・ヘリウム元素の生成及び中性子・陽子場を評価した。