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大澤 崇人; 小林 幹彦*; 今野 武志*; 江頭 満*; 岡崎 隆司*; 三浦 弥生*; 長尾 敬介*
Measurement, 50, p.229 - 235, 2014/04
被引用回数:1 パーセンタイル:16.41(Engineering, Multidisciplinary)微小なイトカワ試料を段階加熱するために、極小のW-Re熱電対を用いたレーザー加熱温度制御システムを開発した。線径25mの3% Re-Wと26% Re-Wを使用した熱電対を製作し、独自の温度検定プログラムを用いて温度校正を行ない起電力を測定した。レーザー温度制御ではLabVIEW 2011にて制御プログラムを開発した。試料が極めて小さく熱電対も極小であることから通常のPID制御は採用しなかった。試料ホルダーは石英で製作して絶縁性を確保した。平均加熱温度は設定温度より少し低く、標準偏差と最大オーバーシュートはそれぞれ2.5%, 6.0%未満であった。本システムは微小地球外物質の加熱実験に十分な性能を達成した。
馬上 謙一*; 角野 浩史*; 豊田 岐聡*; 岡崎 隆司*; 大澤 崇人; 石原 盛男*; 交久瀬 五雄*; 野津 憲治*; 五十嵐 丈二*; 長尾 敬介*
Mass Spectrometry (Internet), 1(2), p.A0009_1 - A0009_10, 2012/11
新規にヘリウム同位体比の測定のためのセクター型質量分析計を開発した。これはさまざまな地球化学試料、たとえば地下水や温泉ガス等に応用できる。質量分解能は約490で、これはHeとHDなどを十分に分解できる性能である。Heで3000000原子を検出できる高い感度を持つ。長期安定性テストでも約3%の再現性と5%以下の不確かさを示した。同位体比の確度においては既存の質量分析計と良い一致を示した。
長尾 敬介*; 岡崎 隆司*; 中村 智樹*; 三浦 弥生*; 大澤 崇人; 馬上 謙一*; 松田 伸太郎*; 海老原 充*; Ireland, T.*; 北島 富美雄*; et al.
Science, 333(6046), p.1128 - 1131, 2011/08
被引用回数:131 パーセンタイル:95.12(Multidisciplinary Sciences)はやぶさが回収した小惑星イトカワの岩石粒子中の希ガス同位体組成を測定した結果、月試料に匹敵する高い濃度の太陽風起源He, Ne, Arを確認した。これらの希ガス組成は繰り返されたインプランテーションと、イトカワ上のレゴリス粒子同士の摩擦によってHeに富んだリムの除去による選択的Heの損失によって説明可能である。イトカワ上のレゴリスの照射時間はわずか1000万年未満であり、小さな小惑星上の物質が容易に宇宙空間に散逸してしまうことを反映している。
大澤 崇人; 山本 征夫*; 野口 高明*; 井尾瀬 あかり*; 長尾 敬介*
Meteoritics & Planetary Science, 45(8), p.1320 - 1339, 2010/08
被引用回数:12 パーセンタイル:35.32(Geochemistry & Geophysics)99個の南極スフェルールの内部構造,化学組成,希ガス同位体組成を分析した。試料は内部テクスチャによって6つのタイプに分類した。M240410は極めて高い濃度の宇宙線照射起源核種を含有していた。4照射の銀河宇宙線と太陽宇宙線を仮定すると、Neからの計算で宇宙線照射年代は3億9300万年となり、この粒子がエッジワース・カイパーベルト天体から飛来した可能性を示唆している。一方母天体表面での照射が卓越していた場合、2照射のArからの計算で照射年代は3億8200万年となり、小惑星表面の成熟したレゴリスを起源とすることになる。
大澤 崇人; 初川 雄一; 長尾 敬介*; 小泉 光生; 大島 真澄; 藤 暢輔; 木村 敦; 古高 和禎
Geochemical Journal, 43(6), p.415 - 422, 2009/00
被引用回数:4 パーセンタイル:16.37(Geochemistry & Geophysics)デンマーク・スティーブンスクリントのK-T境界地層中のイリジウム濃度と希ガス組成を分析した。8試料中5試料に対して高いイリジウム濃度が確認された。希ガス分析を4試料に対して行ったところ、地球外起源のアルゴン,クリプトン,キセノンは確認されなかった。一方ほぼすべてのHeは地球外起源であった。ネオンに関しては1試料にのみ太陽型のネオンが確認され、宇宙塵の存在を示していた。しかし宇宙塵が隕石衝突そのものとどのような関係性があるのかはよくわからなかった。
大澤 崇人; 長尾 敬介*
Antarctic Meteorite Research, (19), p.58 - 78, 2006/10
ポリミクト角礫岩に対する希ガス同位体分析を行った。18試料中5個がレゴリスブレッチアと判定され、うち4つがHコンドライトであった。この結果はレゴリスの厚みと関係するものと思われる。レゴリスブレッチアが系統的に長い宇宙線照射年代を持つという事実は確認されず、母天体での照射が数千万年程度であることを示していた。
長尾 敬介*
JNC TY7400 2004-001, 74 Pages, 2004/05
地下水中に含まれる極微量の希ガス及びSrの同位体比を正確に測定することにより、地下水の流動状態や起源の解析が可能である。この地球化学的手法の適用可能性評価とマニュアル化を目的として、岐阜県東濃地域と北海道幌延地域のボーリング孔から地下水を採取し、希ガス同位体とSr同位体比を測定した。また、地下水中の希ガスおよびSrの端成分を調べるため、東濃地域のボーリングコア中の希ガスやSrを測定した。希ガス同位体分析については、改良した採取方法やガス抽出装置を用いて試料を分析し、精度の向上を図った。その結果、東濃地域の地下水では、4He/20Ne比が増加すると3He/4He比が減少し、岩石中のHe、Neと大気起源He、Neとの混合でよく説明できた。これは、岩石中の放射性同位体(UやThなど)の壊変により生成した4Heの地下水へ溶解を示すものと考えられる。一方、東濃地域の調査領域南部の高砂温泉やDH-15号孔及び北海道幌延地域の水試料では、この傾向とは異なり、深部に由来するマントル起源Heが寄与している可能性があることが分かった。Sr同位体比については、東濃地域の花崗岩では、0.70990.7201と広範囲の値を示し、ばらつきが大きいことがわかった。一方、地下水中の87Sr/86Sr同位体比は0.71040.7123と岩石に比べ狭い範囲の値を示し、地下水中の87Sr/86Sr同位体比と花崗岩中の87Sr/86Sr同位体比の平均値の差は、深度が増すにつれて値が小さくなる。この結果は、地下水と岩石の反応の進行にともない、地下水中の87Sr/86Sr同位体比が、岩石中のそれに近づいていく過程であると解釈できる。このことから、87Sr/86Sr同位体比を、地下水と岩石あわせて分析することにより、ある領域内の地下水流動状態を推定できる可能性がある。また、地下水の87Sr/86Sr同位体比は、割れ目充填鉱物である方解石の値とほぼ一致した。加えて、室内での岩石-水反応試験から、岩石-水間のSr同位体交換反応は速く、特に方解石との反応が速いことが分かった。本研究の結果から、希ガス同位体及びSr同位体は地下水流動解析に有効な元素であるが、天然系への適用の際には、方解石などの有無の把握や他の地球化学的手法を組み入れることにより、より詳細な議論が可能と思われる。
大澤 崇人; 長尾 敬介*; 小野 正雄
no journal, ,
始原的隕石に含まれる始原的希ガス捕獲成分は炭素質物質中に濃縮されているが、その希ガスの担体(phase Q)の分離は誰も成功していない。発表者は超遠心分離装置を用いたphase Qの分離を試みた。その結果、炭素質物質を濃縮した分画のうち、比較的重いフラクションに希ガスが濃縮している予想外の結果が得られた。phase Qは炭素質物質の中でも重い物質、もしくは炭素質物質に付着した重い粒子に希ガスが存在しているのかもしれない。