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熊田 高之; Karavitis, M.*; Goldschleger, I. U.*; Apkarian, V. A.*
放射線化学, (79), p.30 - 35, 2005/03
放射線化学過程を理解するうえにおいて、放射線により物質に付されたエネルギーがどのくらいの速度でどのような緩和過程を経るのか理解することは必須である。本研究はCARS(コヒーレント反ストークスラマン分光)法を用いて固体クリプトン中におけるヨウ素分子の振動緩和の研究を行ったものである。10K以下では分子振動のエネルギー緩和が、それ以上では位相緩和が分子コヒーレンスを破壊する主要因であることが判明した。また温度依存性の実験とシュミレーションから、位相緩和には40K付近のエネルギーを持つ局在フォノンが関与していることが判明した。
Karavitis, M.*; 熊田 高之; Goldschleger, I. U.*; Apkarian, V. A.*
Physical Chemistry Chemical Physics, 7(5), p.791 - 796, 2005/02
被引用回数:30 パーセンタイル:69.33(Chemistry, Physical)7-45Kの固体クリプトン中に捕捉されたヨウ素分子の振動量子状態のエネルギー及び位相緩和をフェムト秒レーザーによる時間分解型コヒーレント反ストークスラマン分光法(CARS)を用いて調べた。振動のエネルギー緩和速度は温度に依存せず、振動量子数vに比例することがわかった。位相緩和速度は指数関数的な温度依存性を示し、vの2乗に比例することがわかった。前者はヨウ素分子振動のエネルギー緩和に伴いそのエネルギー差に相当するフォノン4つを生成していること、後者は熱的に生成した固体中に既存のフォノンとの弾性散乱により引き起こされていることが示された。シュミレーションにより振動の位相緩和を誘発しているのは、ヨウ素分子の秤動運動を伴うモードのフォノンであることが明らかになった。
熊田 高之; Karavitis, M.*; Goldschleger, I.*; Apkarian, A.*
no journal, ,
時間分解型CARS法を用いて、固体クリプトン中に捕捉されたヨウ素分子の振動コヒーレンスの研究を行った。7Kにおいて最大200ps(1000周期)におよぶ振動コヒーレンスが観測された。デコヒーレンスの速度は温度に対しては指数関数的に、また振動量子数の1から2乗に比例して早くなった。解析から、デコヒーレンスは、分子振動が秤動運動を介して、ヨウ素分子近傍に局在した固体のフォノンとの相互作用により引き起こされることが判明した。