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鐵 桂一*; 高山 裕介; 澤田 淳
JAEA-Research 2022-005, 84 Pages, 2022/08
高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全性の評価として、核種移行の評価が行われている。亀裂性岩盤を対象とした核種移行評価では、亀裂を平行平板で近似した解析モデルが主に使われている。しかし実際の岩盤中の亀裂は平行平板とは異なり、亀裂表面の粗さや亀裂内の充填物等の存在などの複雑な形状を呈している。このように不均質な形状を持つ亀裂を平行平板のモデルに近似するにあたり、透水量係数や亀裂開口幅などのパラメータ値をどのように設定するかが課題となっている。このような課題の解決策のひとつとして、実際の岩盤中の亀裂の幾何学的な特徴を調査することが挙げられる。本研究では、交差亀裂を含む亀裂の幾何学的な特徴の理解を目的とし、天然の交差亀裂を有する50cmスケールの花崗閃緑岩に対して平面研削する手法を用い、内部の亀裂形状を詳細に測定した。これより亀裂の亀裂幅(亀裂内の充填物を含む亀裂表面間の距離)、亀裂開口幅(亀裂内の充填物を含まない空隙のみの幅)、亀裂表面の形状(亀裂幅と亀裂幅の位置座標より算出した亀裂表面の位置座標)を取得した。また得られたデータより、亀裂幅の平均値や亀裂表面の粗さ、亀裂開口幅の分布などの特性を評価した。その結果、亀裂交差部近傍の亀裂の一つが、亀裂交差部を含む他の亀裂部に比べ亀裂幅、亀裂開口幅が特に大きいことが確認できた。これらのことから、本研究で用いた岩体試料では、最も透水性の高い透水経路は亀裂交差部そのものではなく、亀裂交差部近傍の亀裂開口幅が特に大きい特定の亀裂であると推測した。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:44 パーセンタイル:97.1(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
佐藤 久*; 澤田 淳; 高山 裕介
JAEA-Research 2020-012, 37 Pages, 2020/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価において、亀裂の透水や物質移行に関するパラメータを設定する際には、実際の亀裂の透水特性や物質移行特性を十分に理解していることが重要である。亀裂の透水特性や物質移行特性は亀裂の間隙構造の影響を受ける。そのため、亀裂を対象に水理試験を実施するだけではなく、亀裂の間隙構造に基づいた亀裂の透水や物質移行特性の評価を行う必要がある。しかし、亀裂の間隙構造が亀裂の水理特性に与える影響を評価した例は限られている。その要因として、水理試験を実施した際の亀裂の間隙構造を保持した、亀裂開口部の3次元形状データを取得することが困難であることが挙げられる。そこで本研究では、亀裂の表面形状データから亀裂の3次元的な間隙構造を取得する技術を開発するとともに、その技術を用いた亀裂の3次元的な間隙構造データと水理試験結果のデータセットを取得することを目的とする。具体的には、実際の亀裂を型として作製した透明な亀裂のレプリカ試料を対象に、座標を厳密に設定して測定した亀裂表面形状データから亀裂の3次元的な間隙構造データを取得する手法を構築し、その適用を試みた。また、同試料を対象に透水試験や筆者らがこれまでに整備してきた光学的な測定手法を用いたトレーサー試験を実施し、亀裂の透水特性や物質移行特性を示すデータを取得した。取得した亀裂の3次元的な間隙構造データの妥当性を評価するために、他の異なる方法で得た開口幅の平均値と比較した。その結果、亀裂の間隙構造データから得られた開口幅は、互いに異なる複数の方法で得られた開口幅の平均値とほぼ一致したことから、本試験で得られたデータの妥当性が確認できた。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:262 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
澤田 雄介*; 魚住 祐介*; 野ヶ峯 翔*; 山田 剛広*; 岩元 洋介; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 291, p.38 - 44, 2012/11
被引用回数:17 パーセンタイル:76.77(Instruments & Instrumentation)軽フラグメント放出を伴う核内カスケードコード(INC-ELF)を開発し、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに実装した(ELF/PHITS)。INC-ELFは、核破砕反応から放出される軽フラグメント放出を記述するために、核内カスケードモデルの枠組みにおける核子間の相関と、3GeVまでの高エネルギー領域におけるパイオン,デルタ粒子,粒子などの中間子生成を取り扱う。ELF/PHITSの精度検証のために、高エネルギー陽子入射核反応に対する陽子,中性子,重陽子,ヘリウム,パイオン等の二次粒子生成二重微分断面積を計算し、過去の実験データとの比較・検討を行った。その結果、ELF/PHITSは、実験データの不足から検証できなかった高エネルギークラスタ生成を除いて、ほぼすべての反応において実験値をよく再現することがわかった。
魚住 祐介*; 澤田 雄介*; Mzhavia, A.*; 野ヶ峯 翔*; 岩元 大樹; 金 政浩; 芳原 新也*; 若林 源一郎*; 中野 正博*
Physical Review C, 84(6), p.064617_1 - 064617_11, 2011/12
被引用回数:18 パーセンタイル:72.13(Physics, Nuclear)300MeV及び392MeV陽子入射反応における重陽子生成二重微分断面積を測定し、新たに提案した核反応モデルと測定結果の比較により理論モデルの妥当性を検討した。実験では、ターゲットにC, Al, V, Nb, Auの薄膜を使用し、実験室系で20度から104度の角度にわたって核反応で生成される重陽子のエネルギースペクトルを測定した。核反応モデルについては、クラスターノックアウトモデルとピックアップモデルを組合せた核内カスケードモデルを提案した。測定で得られた結果と提案した理論モデルによる計算値との比較を行った結果、提案したモデルが重陽子生成二重微分断面積を精度よく再現することを示した。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review C, 83(6), p.064903_1 - 064903_29, 2011/06
被引用回数:184 パーセンタイル:99.45(Physics, Nuclear)200GeVと62.4GeVでの陽子陽子の中心衝突からのの横運動量分布及び収量をRHICのPHENIX実験によって測定した。それぞれエネルギーでの逆スロープパラメーター、平均横運動量及び単位rapidityあたりの収量を求め、異なるエネルギーでの他の測定結果と比較する。またやスケーリングのようなスケーリングについて示して陽子陽子衝突における粒子生成メカニズムについて議論する。さらに測定したスペクトルを二次の摂動QCDの計算と比較する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:9 パーセンタイル:49.6(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
Takir, D.*; 北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; et al.
no journal, ,
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機・サンプルリターンミッション「はやぶさ2」は、地球近傍小惑星Ryuguに到着した。この小惑星は、原始的な炭素質天体に分類される。ここでは、「はやぶさ2」探査機に搭載された近赤外線分光器(NIRS3)の最近の観測結果を報告する。この観測は、リュウグウの表面組成の直接測定と、リターンサンプルのコンテクストを提供する。NIRS3は、観測された表面全体に2.72マイクロメートルを中心とする弱く狭い吸収特性を検出した。この吸収特性は、OHを含む鉱物の存在に起因する。また、NIRS3の観測により、リュウグウは探査機による近接観測で最も暗い天体であることが明らかになった。OHの強度と低いアルベドから、熱衝撃変成された、あるいは炭素に富む宇宙風化した始原的な水和炭素質コンドライトと一致する。