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論文

国際核融合エネルギー研究センターの高性能計算機システムHeliosを利用した国内シミュレーション研究プロジェクトの進展

石澤 明宏*; 井戸村 泰宏; 今寺 賢志*; 糟谷 直宏*; 菅野 龍太郎*; 佐竹 真介*; 龍野 智哉*; 仲田 資季*; 沼波 政倫*; 前山 伸也*; et al.

プラズマ・核融合学会誌, 92(3), p.157 - 210, 2016/03

幅広いアプローチ協定に基づいて国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)の計算機シミュレーションセンター(CSC)に設置された高性能計算機システムHeliosは、2012年1月に運用を開始し、日欧の磁気核融合シミュレーション研究に供用され、高い利用率の実績を示すとともに、炉心プラズマ物理から炉材料・炉工学にわたる広い分野で多くの研究成果に貢献している。本プロジェクトレビューの目的は、国内の大学や研究機関においてHeliosを利用して進められているシミュレーション研究プロジェクトとその成果を一望するとともに、今後予想される研究の進展を紹介することである。はじめにIFERC-CSCの概要を示した後、各研究プロジェクト毎にその目的、用いられる計算手法、これまでの研究成果、そして今後必要とされる計算を紹介する。

論文

J-PARC muon facility, MUSE

三宅 康博*; 下村 浩一郎*; 河村 成肇*; Strasser, P.*; 牧村 俊助*; 幸田 章宏*; 藤森 寛*; 中原 一隆*; 竹下 聡史*; 小林 庸男*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 225, p.012036_1 - 012036_7, 2010/06

 被引用回数:7 パーセンタイル:7.91

The science facility (MUSE) along with the neutron, hadron and neutrino facilities is one of the experimental areas PF the J-PARC project, which was approved for construction in a period from 2001 to 2008. Construction of the MLF building was started in the beginning of 2004, and was completed at the end of the 2006 fiscal year. On September 19th, 2008, the graphite target for muon production was placed into the 3 GeV proton beam line. On September 26th, 2008, we finally succeeded to extract surface muon beams. We also succeeded in the extraction of the decay muons on December 25th, 2008.

論文

Dynamics of ion internal transport barrier in LHD heliotron and JT-60U tokamak plasmas

居田 克巳*; 坂本 宜照; 吉沼 幹朗*; 竹永 秀信; 永岡 賢一*; 林 伸彦; 大山 直幸; 長壁 正樹*; 横山 雅之*; 舟場 久芳*; et al.

Nuclear Fusion, 49(9), p.095024_1 - 095024_9, 2009/09

 被引用回数:26 パーセンタイル:25.37(Physics, Fluids & Plasmas)

LHDヘリオトロン装置とJT-60Uトカマク装置におけるイオン系内部輸送障壁形成と不純物輸送のダイナミックスの比較について分析した。特に、両装置においてイオン温度等を測定する荷電交換分光装置の高性能化が行われ、次のような新しい知見を得ることができた。まず、内部輸送障壁の形成位置について、JT-60Uでは形成位置が外側へ拡大しつつ局在化するが、LHDではターゲットプラズマに依存して内側あるいは外側に移動する。また、不純物輸送に関しては、JT-60Uでは内向きの対流があるのに対して、LHDでは外向きの対流によって不純物ホールが形成されることを明らかにした。LHDにおいて観測された外向きの対流は、新古典理論の予想と相反しており、今後さらなる分析を行う予定である。

論文

Vulnerability of feline T-lymphocytes to charged particles

柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 坂下 哲哉; 和田 成一*; 原 孝光*; 舟山 知夫; 宝達 勉*; 夏堀 雅宏*; 佐野 忠士*; 小林 泰彦; et al.

Journal of Veterinary Medical Science, 69(6), p.605 - 609, 2007/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:84.37(Veterinary Sciences)

重イオンの優れた生物学的・物理学的特性から獣医領域での応用が期待されるが、これまでに伴侶動物細胞に対する感受性は明らかにされていない。そこで、本研究では、ネコ由来Tリンパ球に対する感受性を解析し、重イオンの線量と線エネルギー付与に依存して細胞死が誘発されることを明らかにした。

論文

イヌ自然発生腫瘍由来細胞株における放射線応答の特徴

佐野 忠士*; 和田 成一*; 鈴木 敬子*; 夏堀 雅宏*; 柿崎 竹彦; 伊藤 尚*; 中澤 菓*; 小林 泰彦; 伊藤 伸彦*

JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 115, 2007/02

Even in the veterinary medicine, animal's survival time extends, and cancer becomes a main reason of the death. There are several therapeutic procedures for the cancer patients, it is expected the chance of the application of the radiation therapy will increase in the future. The purpose of this study is to evaluate about the radiation sensitivity of the canine spontaneous tumor cell lines as a basic research for the advanced radiation therapy in the veterinary medicine. Each cell was irradiated by X-ray (250 kVp, 0.8 Gy/min, LET 1.0 keV/$$mu$$m) and carbon beam (220 MeV, 6.0 Gy/min, LET 108 keV/$$mu$$m). After each given dose (range between 1$$sim$$8 Gy), cells were harvested and survival fractions were evaluated by the Clonogenic assay. The relative biological effectiveness (RBE) of carbon beams compared with X-rays was investigated by the each surviving fraction. The radiation sensitivity was H, F, and S in the high order. The differentiation of the sensitivity order was not observed, but a cell resisted to X-rays irradiation tended to show more sensitivity to carbon beam irradiation. All RBE were converged at 4, and there are several degree of relationship between the beam character, radiation sensitivity, and RBE.

論文

Killing of feline T-lymphocytes by $$gamma$$-rays and energetic carbon ions

柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 和田 成一*; 宝達 勉*; 夏堀 雅宏*; 佐野 忠士*; 小林 泰彦; 伊藤 伸彦*

Journal of Veterinary Medical Science, 68(12), p.1269 - 1273, 2006/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:74.02(Veterinary Sciences)

線エネルギー付与(LET)の高い重粒子線は、生物学的効果比(RBE)が大きく、さらに線量分布に優れていることから、ヒトの放射線治療に臨床応用がなされている。しかしネコに対しては臨床応用されておらず、放射線生物学的な基礎データも報告されていない。本研究ではネコ由来Tリンパ球(FeT-J)における低LETの$$gamma$$線(0.2keV/$$mu$$m)と高LETの炭素線(114keV/$$mu$$m)を照射したときの生物効果を比較検討した。クローン原性試験の結果、10%生存線量(D$$_{10}$$)における炭素線のRBEは$$gamma$$線と比較して2.98であり、また不活性化断面積は$$gamma$$線で0.023$$mu$$m$$^{2}$$、炭素線で38.9$$mu$$m$$^{2}$$であることがわかった。TdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)法を用いてアポトーシス発現を測定したところ、TUNEL陽性率は同一吸収線量の照射では炭素線は$$gamma$$線よりも高値を示したが、それぞれのD10線量の照射では炭素線と$$gamma$$線の結果に有意な差は認められなかった。以上の結果から、炭素線は$$gamma$$線と比べ同じ物理的線量を照射した場合の細胞致死効果は高く、また生物学的線量が等しいときの細胞応答に違いはないことが示され、よって炭素線治療はネコに対しても有用性が高いことが示された。

論文

Overview of national centralized tokamak program; Mission, design and strategy to contribute ITER and DEMO

二宮 博正; 秋場 真人; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 林 伸彦; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井上 信幸; et al.

Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S428 - S432, 2006/12

現在検討が進められているJT-60のコイルを超伝導コイルに置き換える計画(トカマク国内重点化装置計画)の概要について述べる。本計画はITER及び原型炉への貢献を目指しているが、その位置づけ,目的,物理設計及び装置設計の概要,今後の計画等について示す。物理設計については、特に高い規格化ベータ値を実現するためのアスペクト比,形状因子及び臨界条件クラスのプラズマや完全非誘導電流駆動のパラメータ領域等について、装置については物理設計と整合した設計の概要について示す。

論文

Distinct modes of cell death by ionizing radiation observed in two lines of feline T-lymphocytes

柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 和田 成一*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 宝達 勉*; 佐野 忠士*; 夏堀 雅宏*; 小林 泰彦; 伊藤 伸彦*

Journal of Radiation Research, 47(3-4), p.237 - 243, 2006/11

哺乳動物由来の浮遊系細胞であるFeT-J及びFL-4という2種のネコTリンパ球株の${it in vitro}$における$$^{60}$$Co$$gamma$$線に対する放射線感受性及び放射線応答を解析した。コロニー形成能を指標に$$gamma$$線に対する感受性を調べたところ、2種の細胞間で生存率に有意差はなく、平均致死線量(${it D}$0)は両細胞とも1.9Gyであり、2Gyを照射したときの生存率はFeT-J株で0.30、FL-4株で0.48であった。しかし、$$gamma$$線を15Gy照射して4日後のアポトーシス誘発率をTUNEL法により求めたところ、FeT-Jでは40%以上を示したのに比べ、FL-4では10%以下とアポトーシス誘発の有意な抑制が見られた。一方、同じく15Gy照射後4日目の照射細胞を顕微鏡観察したところ、分裂期細胞死に至った細胞の割合がFeT-Jは16.0%であったのに比べ、FL-4では60.3%と有意に上昇した。すなわち、FeT-Jではおもにアポトーシス、FL-4ではおもに分裂期細胞死ひいてはネクローシスにより、$$gamma$$線による細胞死がもたらされることが明らかになった。FL-4でアポトーシスと異なる細胞死に至る過程が示されたことから、ネコTリンパ球において分裂期細胞死とアポトーシスとを支配し、細胞死を調節する因子が存在していることが示された。

論文

Overview of the national centralized tokamak programme

菊池 満; 玉井 広史; 松川 誠; 藤田 隆明; 高瀬 雄一*; 櫻井 真治; 木津 要; 土屋 勝彦; 栗田 源一; 森岡 篤彦; et al.

Nuclear Fusion, 46(3), p.S29 - S38, 2006/03

 被引用回数:13 パーセンタイル:54.2(Physics, Fluids & Plasmas)

トカマク国内重点化装置(NCT)計画は、大学における成果を取り込みつつJT-60Uに引き続き先進トカマクを進めるための国内計画である。NCTのミッションは発電実証プラントに向けて高ベータ定常運転を実現するとともに、ITERへの貢献を図ることである。高ベータ定常運転を実現するために、装置のアスペクト比,形状制御性,抵抗性壁モードの帰還制御性,電流分布と圧力分布の制御性の機動性と自由度を追求した。

論文

Engineering design and control scenario for steady-state high-beta operation in national centralized tokamak

土屋 勝彦; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; et al.

Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1599 - 1605, 2006/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:89.15(Nuclear Science & Technology)

JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)は、経済的な核融合炉の実現を目指した定常高ベータプラズマ運転の実証が重要なミッションの一つである。現在、プラズマ形状及びアスペクト比について広いパラメータ領域で研究を行えるように、装置の物理的・技術的設計検討を進めている。本装置の目標とする高ベータプラズマは、自由境界MHD安定性限界を超えた領域にあるため、電子サイクロトロン加熱による新古典テアリングモードの抑制に加えて、安定化板及び容器内コイルを用いた壁不安定性モードの抑制など、さまざまなMHD不安定性の制御手法を駆使する必要がある。それらを踏まえて、今回は、高ベータと臨界条件クラスのプラズマを同時に達成できるプラズマパラメータの解析評価、及び自由境界MHD安定性限界を超えた高ベータプラズマの非誘導電流駆動制御シナリオの検討結果について報告する。また、広いパラメータ領域で定常高ベータプラズマ運転を実現させるための装置設計の現状に関して、超伝導コイル及び放射線遮へい材を中心に報告する。

論文

Design study of national centralized tokamak facility for the demonstration of steady state high-$$beta$$ plasma operation

玉井 広史; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤田 隆明; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; 細金 延幸; 市村 真*; et al.

Nuclear Fusion, 45(12), p.1676 - 1683, 2005/12

 被引用回数:15 パーセンタイル:50.65(Physics, Fluids & Plasmas)

トカマク国内重点化装置の設計研究をまとめた。装置の設計は、プラズマのアスペクト比と形状制御性に関して自由度を広く確保できることが求められている。これは、ITERと平行して研究を進めるとともに、定常高ベータプラズマ運転についての科学的なデータベースをDEMOへ提供する観点から重要である。この目標に合致するように、プラズマのアスペクト比と形状の自由度の確保について、これまで比較的困難であったダイバータ排気性能との両立が図られるように装置設計を行った。この装置設計に基づいて、閉じ込め,安定性,電流駆動,ダイバータプラズマ等の物理性能を評価し、主目的である定常高ベータプラズマを実現するための制御方法を検討した。

論文

Prediction of cellular radiosensitivity from DNA damage induced by $$gamma$$-rays and carbon ion irradiation in canine tumor cells

和田 成一*; Khoa, T. V.*; 小林 泰彦; 舟山 知夫; 荻原 喜久美*; 上野 俊治*; 伊藤 伸彦*

Journal of Veterinary Medical Science, 67(11), p.1089 - 1095, 2005/11

 被引用回数:16 パーセンタイル:33.17(Veterinary Sciences)

伴侶動物で治療の対象となる重要な疾病は、感染症から腫瘍に移行しつつある。放射線治療は、腫瘍に対する効果的な治療法の一つであり、獣医療領域でも放射線治療の適用が増加すると予想される。腫瘍組織はすべてそれぞれ異なった放射線感受性を示すため、放射線治療においてはあらかじめその腫瘍の放射線感受性を把握することが重要となる。そこで、3種類のイヌ腫瘍細胞において$$gamma$$線と炭素線照射によるクロノジェニック法による生存率と中性コメットアッセイによるDNA2本鎖切断の関係を調べた。すべての腫瘍細胞において、炭素線は$$gamma$$線よりも細胞致死効果が高かった。また、$$gamma$$線照射及び炭素線照射において初期DNA損傷と残存DNA損傷は放射線感受性の細胞では高く、放射線抵抗性の細胞では低かった。2Gy照射時の生存率値(SF2)と初期DNA損傷及び残存DNA損傷の間に相関関係が認められる傾向が観察された。特に、線量あたりの残存損傷とSF2との間には放射線の種類によらず高い相関関係が認められた。これらのことは残存損傷を評価することによって腫瘍細胞の放射線感受性を予測できることを示唆している。

報告書

JRR-4熱交換器の管理技術

堀口 洋徳; 大山 光樹; 石黒 裕大; 平根 伸彦; 伊藤 和博; 亀山 巌

JAERI-Tech 2005-001, 38 Pages, 2005/02

JAERI-Tech-2005-001.pdf:2.79MB

JRR-4では、1992年に炭素鋼製からステンレス鋼製の熱交換器に更新した。その後、熱交換器の管理方法の検討を重ねてきた。その主なものが、熱交換器の洗浄技術である。旧熱交換器の冷却性能の回復には化学洗浄のみを行ってきたが、新たな方法として化学洗浄と乾燥洗浄を組合せた回復・維持を行っている。これは、伝熱管や配管への負担を軽減するとともに、コスト面にも大きな役割を果たしている。本書では、実績に基づく熱交換器の管理技術のまとめとして、JRR-4熱交換器の性能管理方法,洗浄方法及び冷却水の管理方法について報告する。

論文

Progress in physics and technology developments for the modification of JT-60

玉井 広史; 松川 誠; 栗田 源一; 林 伸彦; 浦田 一宏*; 三浦 友史; 木津 要; 土屋 勝彦; 森岡 篤彦; 工藤 祐介; et al.

Plasma Science and Technology, 6(1), p.2141 - 2150, 2004/02

 被引用回数:2 パーセンタイル:92.83(Physics, Fluids & Plasmas)

JT-60定常高ベータ化計画(JT-60改修計画)の最重要課題は高ベータ,臨界クラスのパラメータを持つ高性能プラズマの100秒程度以上の維持を実証することである。このため、高ベータプラズマを達成するためのプラズマパラメータや運転シナリオ,制御手法の検討を行うとともに、超伝導磁場コイルの要素技術の開発を始め、放射線遮蔽や真空容器等の設計検討及び試験開発を行い、その成立性を確認した。本発表は、以上の物理・工学設計と試験開発の進捗状況を詳述する。

論文

Instantaneous correlation between ELM-like MHD activity and abrupt non-local reduction of transport at internal transport barrier formation in JT-60U high-$$beta$$$$_{p}$$ plasmas

Neudatchin, S.*; 滝塚 知典; 林 伸彦; 諫山 明彦; 白井 浩; 藤田 隆明; 鎌田 裕; 小出 芳彦; 伊藤 公孝*; 三浦 幸俊

プラズマ・核融合学会誌, 79(12), p.1218 - 1220, 2003/12

JT-60U高ポロイダルベータプラズマにおいて新しい型の周辺と中心との同時的相互作用を見つけた。中心プラズマの電子の熱束の時間的に速く空間的に広い減少(ITB事象と呼ばれている)がELMの開始とミリ秒の時間スケールで相関して起きる。ELM様MHD活動を誘起することで即時的非局所的な内部輸送障壁形成の制御に関してこの結果はヒントを与えた。

論文

Detection of DNA damage induced by heavy ion irradiation in the individual cells with comet assay

和田 成一; 夏堀 雅宏*; 伊藤 伸彦*; 舟山 知夫; 小林 泰彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.553 - 556, 2003/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:71.06(Instruments & Instrumentation)

宇宙環境における高LET重粒子線被曝の生物影響を解明するためには、低線量・低フルエンスの重イオン照射によって細胞に誘導されるDNA損傷を正しく解析する必要がある。しかし、低フルエンスの重イオンはランダムにヒットするため、細胞に対する重粒子1個の生物学的効果を直接に検出することはこれまで困難だった。そこで、個々の細胞ごとのDNA損傷を評価することが可能なコメットアッセイ法を用いるとともに、同時に各細胞での重イオンのヒット位置を飛跡検出器CR-39を用いて直接に検出することが可能な方法を開発し、動物培養細胞の核にヒットしたイオン粒子数と、その細胞に生じたDNA損傷の程度を同時に検出する方法を確立した。そして、異なるLET値を有するいくつかの重粒子線照射によって細胞に誘導されたDNA損傷を定量的に解析し、照射したイオンのLET値との関連を解析した。

論文

Fundamental study on radiotherapy of tumors to beneficial companion animals using heavy ion beam

和田 成一*; 夏堀 雅宏*; 小林 泰彦; 山本 和生; 伊藤 伸彦*

JAERI-Review 2000-024, TIARA Annual Report 1999, p.80 - 82, 2000/10

近年、人の精神・身体両面へアプローチする伴侶動物と、さらにそれらの中でもさまざまな形で人の役に立つ社会的貢献度の高い有益動物の重要性が社会的に認知されてきたため、これらの動物に対する高度医療が求められている。また、これら動物の長寿化・高齢化が進み、感染症が大半であったもので、加齢性の代謝性疾患や新生物(腫瘍)へと移行しつつある。そこで新生物(腫瘍)に対する高度医療の1つとして放射線治療が挙げられるが、動物の新生物治療を目的としたイオンビームの生体に及ぼす影響に関する研究は皆無である。このため、動物に対する高度医療を試みるために必要な放射線生物学的基礎データの蓄積を行った。扁平上皮癌、繊維肉腫及び欠陥周囲腫の3種類のイヌ腫瘍細胞を使用し、生存曲線から評価すると$$gamma$$線照射において抵抗性を示した腫瘍ほどイオンビーム照射において生物効果比が大きいことが認められた。つまり、低LETの放射線に対して抵抗性の細胞に対して、220MeV$$^{12}$$Cイオンビームでは高い生物効果つまり治療効果が得られる可能性が示唆された。

口頭

電離放射線によるネコTリンパ球の細胞死

舟山 知夫; 柿崎 竹彦; 和田 成一; 浜田 信行*; 坂下 哲哉; 宝達 勉*; 山田 直明*; 佐野 忠士*; 夏堀 雅宏*; 小林 泰彦; et al.

no journal, , 

ネコTリンパ球由来株であるFeT-J及びFL-4の電離放射線照射後に対する細胞応答について研究を行った。FeT-Jと異なり、FL-4はネコ免疫不全ウイルス持続感染株である。細胞の照射は$$^{60}$$Co-$$gamma$$線(線量率2Gy/min)を用いた。生存率はコロニーアッセイ法で測定した。アポトーシスの評価にはTdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)法を用いた。生細胞をHoechst 33342とエチジウムブロマイドで二重染色し、生細胞のみを区別して細胞核の直径を計測した。生存率は各照射線量でFL-4がわずかにFeT-Jよりも高値を示したが、D$$_{0}$$は両細胞株とも約1.9Gyと同値を示した。しかしながらTUNEL陽性率がFeT-Jは40%以上と高値を示したのに対し、FL-4は20%以下にすぎなかった。またFL-4のTUNEL陽性率がピークに達する時間はFeT-Jに比べて早く、FL-4のピークは24時間以内に達したのに対し、FeT-Jは照射後48時間以上経過してからピークに達した。さらにFL-4は$$gamma$$線照射により、核の巨大化あるいは多核化が確認された。細胞核の巨大化はFeT-Jに比べFL-4で顕著であった。われわれはネコTリンパ球由来である2つの細胞株間であっても細胞死への至り方が異なることを確認した。FL-4の細胞死の大半はアポトーシスによらないものであり、さらに研究を進めることでアポトーシス発現にかかわる新たな発見が期待される。

口頭

犬自然発生腫瘍由来細胞株における放射線誘発細胞死の特徴

佐野 忠士*; 鈴木 敬子*; 夏堀 雅宏*; 柿崎 竹彦; 伊藤 尚*; 中澤 菓*; 伊藤 伸彦*; 和田 成一*; 小林 泰彦

no journal, , 

これまでTIARAにおいて3種類のイヌ株化腫瘍細胞(線維肉腫細胞,扁平上皮癌細胞,血管周囲腫細胞)を用い、プロトンや炭素線などの照射を行いLETの変化に伴う細胞致死効果の変化と、X線を基準とした場合の陽子線及び炭素線の生物学的効果比(RBE)の線量(線量率)及び細胞種の違いに依存する変化を明らかにした。これらの結果において、低LETの放射線に対し抵抗性を有する細胞に対し、高LETの重粒子線照射を行った場合、高い細胞致死効果を得ることすなわち高い治療効果が得られる可能性が示された。また線量及び線質の違いに依存したRBEの変化の傾向は、株化細胞ごとに異なる可能性が示された。これらの結果より、実際の腫瘍症例への放射線治療は、画一化した治療プロトコールを用いるのではなく、腫瘍の種類,発生部位の違い,照射に用いる放射線との関係についてより詳細に評価し、それぞれの特徴を明らかにしていくことの必要性が示された。

口頭

ネコTリンパ球の荷電粒子線に対する致死感受性

柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 和田 成一*; 坂下 哲哉; 原 孝光*; 宝達 勉*; 夏堀 雅宏*; 佐野 忠士*; 舟山 知夫; 深本 花菜; et al.

no journal, , 

血球細胞は全身に分布しており、放射線被曝を完全に避けることはできず、照射された血球細胞は全身へ移行し、障害を受けた細胞の処理のために全身的に組織反応が生じる。したがって血球細胞への被曝線量は放射線治療において照射線量を限定する要因の一つであり、動物の血球細胞の粒子線に対する感受性を評価することは、今後粒子線治療を獣医療へ応用するときに照射線量を決定するために必須の情報となる。そこでネコTリンパ球株化細胞FeT-Jの放射線感受性を軟寒天包埋培養によるコロニー形成能を指標として評価する方法を確立し、$$^{60}$$Coの$$gamma$$線及びH, He、そしてエネルギーが異なる2種類の炭素イオンビームによる照射効果を調べた。各放射線の照射でLETの増加(2.8$$sim$$114keV/$$mu$$m)に伴い生存率は著明に減衰し、RBE並びに不活性化断面積は増加し、高LET炭素線の細胞致死効果が高いことが示された。一方、10%生存線量を照射した場合、アポトーシス誘発率にLETの違いによる有意な差は見られなかった。したがって、ネコTリンパ球では同率に致死効果を与える線量であれば、イオン種やLETの違いで細胞死に至る経緯に差が生じないことが明らかにされた。獣医領域での粒子線治療のための基礎データの一つが示され、また炭素線以外の粒子線でも獣医療に応用できる可能性が示された。

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