Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
近藤 諒一; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 11, p.21_1 - 21_9, 2025/06
著者らは先行研究において固有直交分解(POD)を用いた中性子束分布タリー、いわゆる、PODタリーを開発した。PODタリーによって詳細に離散化された中性子束分布に対する次元削減と統計的不確かさの低減が実現可能である。本研究では、先行研究で言及されなかったPODタリーのいくつかの特徴を明らかにする。一つ目に、飛程長エスティメータによるPODタリーを新たに実装する。セルタリーと比べてPODタリーによる統計的不確かさが低減されるため、飛程長エスティメータによるPODタリーは今回実装されたもののうち、最も精度の高い結果を得ることができる。二つ目に、決定論的手法および確率論的手法を用いて得られる基底ベクトルを比較する。スナップショットデータの統計的不確かさは抽出される基底ベクトルの劣化を引き起こす。この結果からスナップショットの計算には決定論的手法がより効率的であることが示唆される。最後に、展開される中性子束分布の統計的不確かさに対する展開係数の共分散の影響を調査する。展開係数の分散のみを考慮した場合に、再構成された統計的不確かさは参照値と異なる。この結果から、中性子束分布の局所的な統計的不確かさの推定には展開係数の共分散が重要であることが明らかとなる。
渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 16 Pages, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究では、JENDL-4.0(J4)からJENDL-5(J5)への核データ更新が軽水炉燃料燃焼計算に与える影響を調査した。燃焼計算はPWRピンセル及びBWR燃料集合体形状について実施した。計算の結果、中性子増倍率(k)に燃焼度に依存した大きな差異があることがわかった。燃焼度0-50GWd/tの範囲において、J5のk
はJ4のk
よりも一貫して小さく、その差は燃焼が進むにつれて徐々に大きくなった。各核種の断面積データをJ4からJ5に置き換えた計算の結果、
U,
U,
Puの断面積とH
O中のHの熱中性子散乱則データの更新がk
の差に顕著な影響を与えることが分かった。Gd燃料を含むBWR集合体形状では、10-15GWd/tの燃焼度範囲で大きなk
の違いが観測された。この差異は主に
U,
Gd,
Gd断面積の更新とH
O中のHの熱中性子散乱則データに起因することが分かった。さらに、核種数密度、中性子エネルギー依存の感度係数、中性子スペクトルを調査することにより、核データの更新がk
にどのように影響を与えたかを明らかにした。
渡邉 友章; 相澤 直人*; 千葉 豪*; 多田 健一; 山本 章夫*
Proceedings of International Conference on Mathematics and Computational Methods Applied to Nuclear Science and Engineering (M&C 2025) (Internet), 10 Pages, 2025/04
現在、核燃料の核種組成を計算する燃焼計算では、燃焼ステップ毎に中性子輸送計算を行い中性子スペクトルの変化を考慮する手法が主流となっている。この手法は高精度である一方、中性子輸送計算の大きな計算コストが問題となる場合がある。そのため、固有直交分解(POD)と回帰モデルを用いた中性子スペクトル再構成に基づく高速な燃焼計算手法について検討した。本手法では、様々な入力パラメータに対する詳細燃焼計算により得られた多数の中性子束に対してPODによる次元削減を行い、低次元化した中性子束とパラメータを関係づける回帰モデルを構築する。この回帰モデルに計算対象である任意の入力パラメータを与えて中性子束を再構成し、燃焼計算を行う。本手法により、中性子輸送計算を行うことなく、入力条件に基づく中性子スペクトルの変化を考慮した燃焼計算を行うことができる。本手法をPWRのUO燃料ピンセルモデルに適用した結果、詳細計算と比較して核種インベントリを数パーセント以内の差異で計算できることが分かった。また、検証の結果この計算誤差は回帰モデルの影響が支配的であったことから、回帰モデルの改善により精度が改善する見通しが得られた。
藤田 達也; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(2), p.179 - 196, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究では、核反応断面積の摂動に伴う間接効果を考慮したランダムサンプリングに基づく不確かさ定量化を容易に実施可能とするため、核データ処理コードFRENDYバージョン2と3次元非均質中性子輸送計算コードGENESISからなる直接結合コードシステム(FRENDY-V2/GENESIS)を新たに構築した。GENESIS用に準備された多群断面積はFRENDYバージョン2により生成された。Dancoff係数はneutron current methodにより計算した。次に、Carlvik二項有理近似に基づいて背景断面積を計算した。FRENDY-V2/GENESISの計算精度を検証するため、無限中性子増倍率(k-infinity)とUO及びMOX燃料格子体系における核分裂反応率分布をMVP3と比較した。また、キャラクタリスティックス法のレイトレーシング等の離散化条件に関する感度解析も併せて実施した。FRENDY-V2/GENESISとMVP3の比較を通して、SHEM361群構造に基づくFRENDY-V2/GENESISは、k-infinityを約50pcm以内、核分裂反応率分布を平均二乗偏差で約0.1%以内で計算可能であった。以上の結果から、FRENDY-V2/GENESISの適用性が検証された。今後は、FRENDY-V2/GENESISは多群断面積の摂動に伴う間接効果に係る議論に活用される。
丸山 修平; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Journal of Nuclear Science and Technology, 14 Pages, 2025/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)This study proposes new hybrid data assimilation (DA) methods to effectively use experimental data represented in two different ways in the DA process for reducing nuclear-data-induced uncertainties. Conventional DA methods often assume a linear model, where data in a DA database are represented by their differential coefficients, i.e., nuclear data sensitivity coefficients. In contrast, more rigorous and versatile DA methods based on sampling techniques have been proposed recently. These sampling-based DA methods describe data for DA using results derived from direct transport calculations performed with perturbed nuclear data samples. The proposed hybrid DA methods simultaneously use both types of data described by sensitivity coefficients and sampling results and thus are called "hybrid." Two hybrid DA methods are proposed herein: the simple hybrid DA and efficient hybrid DA methods. Among these, the simple method is based on a straightforward concept that uses a random sampling technique. In contrast, the efficient method employs a more technical method that effectively combines a new deterministic sampling technique with sensitivity coefficients to reduce statistical uncertainties associated with the simple method. The efficient method is expected to be a candidate to achieve high precision and rigorous DA with a realistic sample size.
近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(12), p.1536 - 1545, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本論文では、次元削減を目的として固有直交分解を用いた中性子束分布の新しいタリー手法を提案する。提案手法では、対象の空間中性子束分布を直交基底ベクトルによって展開し、基底ベクトルに対応する展開係数をモンテカルロ計算のランダムウォーク中にタリーする。直交基底ベクトルはあらかじめ計算したスナップショットから特異値分解によって抽出される。一次元非均質全炉心体系の多群モンテカルロ計算において提案手法を検証した。集合体ごと、エネルギー群ごとの中性子束分布を基底ベクトルによって展開した。関数展開タリー法で用いられる従来のルジャンドル多項式と比較してスナップショットから得られる基底は対象の分布を少ない次数でよく表現することができた。従来のセルタリーと比較して提案手法の解の次元は20分の1に削減された。さらに、提案手法の特徴により、次元削減を通じて統計誤差が低減された。検証計算の結果から、詳細な中性子束分布タリーおいて、提案手法は次元削減が可能であることが示された。
近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
EPJ Web of Conferences, 302, p.04002_1 - 04002_10, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)大規模詳細マルチフィジックス計算に向け、著者らはモンテカルロ計算における効率的な中性子束分布タリー手法を開発している。本手法では、中性子束分布タリーに固有直交分解(POD)を用いている。先行研究では、衝突エスティメータを用いてこのタリー手法が実装されたが、本研究ではより小さい統計誤差のタリーを得るために飛程長エスティメータを実装した。中性子束分布タリーに実装された飛程長エスティメータを衝突エスティメータおよび従来の飛程長エスティメータと一次元問題において比較した。飛程長エスティメータによる分布タリーは衝突エスティメータのそれよりも統計精度の高い解を取得できるということが検証結果から明らかになった。したがって、統計誤差の観点から、飛程長エスティメータと衝突エスティメータを用いた分布タリーの関係は、従来の飛程長エスティメータと衝突エスティメータのそれと同様である。
丸山 修平; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Annals of Nuclear Energy, 205, p.110591_1 - 110591_13, 2024/09
被引用回数:1 パーセンタイル:51.66(Nuclear Science & Technology)This study developed a new method for evaluating the uncertainty in reactor core/shielding characteristics attributable to the scattering angle distribution, employing a random sampling (RS) technique integrated with continuous energy Monte Carlo (CEMC) calculations. The impact of neutron scattering angle is not negligible in the analysis of fast reactor cores and shielding. Recent advancements have enabled the high-accuracy assessment of nuclear data-induced uncertainty by merging CEMC calculations and the RS technique. Nonetheless, a method to quantify uncertainty due to scattering angle distribution remains unestablished. This study introduces a new approach for uncertainty quantification related to scattering angle distribution in CEMC-RS, utilizing the maximum entropy method. The effectiveness of this method was verified through comparison with results from the classical deterministic uncertainty quantification approach based on generalized perturbation theory. Overall, this method offers a more accurate tool for nuclear engineers and researchers in evaluating and managing uncertainties in reactor design and safety analysis.
多田 健一; 山本 章夫*; 国枝 賢; 今野 力; 近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 千葉 豪*; 小野 道隆*; 東條 匡志*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(6), p.830 - 839, 2024/06
被引用回数:8 パーセンタイル:88.57(Nuclear Science & Technology)核データ処理コードは評価済み核データライブラリと放射線輸送計算を繋げる重要なコードである。核データ処理コードFRENDY第1版は簡単な入力データを用いてACE形式の断面積ファイルを生成するために2019年に公開された。FRENDY第1版の公開後、中性子多群断面積の生成、物質中の異なる核種間の共鳴干渉効果の考慮、共鳴上方散乱の考慮、ACEファイルの摂動、ENDF-6形式ファイルの修正など、多くの機能が開発された。これらの新機能をまとめ、FRENDY第2版を公開した。FRENDY第2版では、ACE形式の断面積ファイルからGENDF及びMATXS形式の中性子多群断面積ファイルを生成する。本論文では、FRENDY第2版で実装された新機能と本コードの中性子多群断面積生成機能の検証について説明する。
方野 量太; 大泉 昭人; 福島 昌宏; Pyeon, C. H.*; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Nuclear Science and Engineering, 198(6), p.1215 - 1234, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)京都大学臨界集合体A架台で測定された鉛ビスマスサンプル反応度を用いたデータ同化によって加速器駆動システムの冷却材ボイド反応度の鉛ビスマス非弾性散乱断面積に起因した不確かさを低減できることを実証した。サンプル反応度について、データ同化の式中に現れる実験不確かさと相関を再評価し、結果を明示した。不確かさ評価に用いる感度係数はMCNP6.2で評価し、データ同化はMARBLEを用いて実行した。鉛ビスマスに対してサンプル反応度は感度係数が大きいため、加速器駆動システムの冷却材ボイド反応度の断面積起因不確かさを6.3%から4.8%まで減少させ、本研究で設定した暫定的な目標精度5%を達成できることを示した。さらに、ADJ2017に使用された積分実験データを用いることで、マイナーアクチニドや鉄など他の支配的な核種に起因する不確かさを効果的に低減できることを示した。
原田 善成*; 山口 響*; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 多田 健一
Transactions of the American Nuclear Society, 130(1), p.758 - 762, 2024/06
軽水の熱中性子散乱に起因した不確かさを選択的に低減する決定論的サンプリングを用いたデータ同化を実施した。データ同化には、水槽体系の即発中性子減衰定数を用いた。軽水の熱中性子散乱則データのCABモデルに対して、決定論的サンプリング法を不確かさの定量化とデータ同化に適用した。決定論的サンプリングを用いた不確かさの定量結果は、ランダムサンプリング法を用いた結果と同程度であることが分かった。
村上 健太*; 鬼沢 邦雄; 山本 章夫*
日本原子力学会誌ATOMO, 66(4), p.199 - 202, 2024/04
日本原子力学会標準委員会は、高経年化対策実施基準の改定を通して長期運転にかかる活動をリードしてきたが、最近の法・規制の変更を踏まえて、引き続き重要な貢献をする必要があると考えている。本稿は、2023年秋の大会で実施された企画セッションにおける議論を再構成し、安全な長期運転に向けた取り組みとその標準化における留意点を解説したものである。重要な点として、(1)時間の経過に伴って見いだされる知識を有効に活用すること、(2)オブソレッセンスを含む安全への影響が大きな新知見を見逃さないこと、(3)安全への影響と発現可能性の大きさを踏まえて対応に重要度をつけること、(4)国際的な知識基盤構築へ貢献することなどが挙げられる。
遠藤 知弘*; 丸山 修平; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(3), p.363 - 374, 2024/03
被引用回数:1 パーセンタイル:23.64(Nuclear Science & Technology)中性子増倍率の不確かさの定量化は、安全裕度を調査するために重要である。ランダムサンプリング法は実用的で有用な不確かさ定量化手法であるが、統計誤差を減ずるために大きな計算コストが必要となる。さらに、入力変数が標準偏差の大きい正規分布に従う場合、摂動された入力変数は物理的に不適切な負値になる可能性がある。これらの問題に対処し、効率的で堅牢な不確かさの定量化を行うため、シンプレックスアンサンブル法とスケーリング法を使用した修正された決定論的サンプリング法を提案する。提案手法の特徴は次のように纏められる:(1)サンプルサイズはr+2である(rは共分散行列の実効ランク)。(2)ターゲットの不確かさに応じて入力パラメータの摂動量をスケーリングファクタ法によって任意に与えることができる。(3)摂動された入力変数が物理的に不適切になることを避けるため、スケーリング係数を更新することができる。提案された方法の有効性は、典型的なPWRピンセル燃焼計算における燃料製造の不確かさに起因する中性子増倍率の不確かさの定量化を通じて実証される。
丸山 修平; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.31 - 43, 2024/01
被引用回数:3 パーセンタイル:59.85(Nuclear Science & Technology)本研究では、データ同化技術を利用して、原子炉物理と放射線遮へいといった異なる分野間で実験データベースを共有することにより、高速炉炉心設計に関連する不確かさを低減することの可否を検討した。本研究テーマの最初のステップとして、ORNLのナトリウム遮へい実験に着目し、ナトリウム冷却高速炉の最も重要な安全パラメータの1つであるナトリウムボイド反応度の不確かさを低減するために実験データを利用することを検討した。一般化摂動論に基づく感度解析をナトリウム遮へい実験に対して実施し、ここで評価した感度係数と、これまでに原子力機構で評価したナトリウムボイド反応度の感度係数を用いて、炉定数調整を実施することにより、ナトリウム遮へい実験データがナトリウムボイド反応度の不確かさ低減に寄与できることを示した。本研究に基づくと、中性子漏洩現象が支配的なナトリウムボイド反応度において、特に不確かさ低減効果は大きくなると予測される。ナトリウムボイド反応度に関する新たな炉物理実験データの取得は今後困難かもしれないが、ナトリウム遮へい実験データがこの役割を部分的に代替できることを本研究は示唆している。高速炉設計における積分実験データの相互利用の価値が本研究によって証明された。
丸山 修平; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1372 - 1385, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:23.64(Nuclear Science & Technology)A new estimation method of an unknown covariance, which is defined by the difference between the true covariance (the population covariance) and a prior covariance assumed by an analyst, is proposed. The unknown covariance is estimated using an empirical covariance consistent with the observed data. To estimate the unknown covariance, an unbiased and consistent estimator in regression analysis has been incorporated into the conventional cross-section adjustment. This estimator does not require assumptions for the probability distribution of the observation data. The statistical properties of this estimator were numerically verified. In addition, the effectiveness of the proposed method was confirmed by another numerical test using actual integral experimental data. In the second numerical test, the modeling uncertainty (covariance) due to the deterministic analysis method was assumed to be unknown. The results showed that the proposed method could practically estimate the unknown covariance and adjusted cross-sections using only prior information on covariances.
渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1386 - 1396, 2023/11
被引用回数:5 パーセンタイル:71.02(Nuclear Science & Technology)使用済み燃料の核種組成を計算する燃焼計算は核データに大きく依存する。日本における最新の評価済み核データJENDL-5では多くの核種がJENDL-4.0から修正されており、その修正は燃焼計算に影響を及ぼす。本研究では、燃焼計算におけるJENDL-5の妥当性を確認した。検証には高浜3号機のPIEデータを使用した。JENDL-4.0からJENDL-5への例えば断面積や核分裂収率等のパラメータ変更が核種組成に与える影響を定量的に調査した。計算の結果、JENDL-5はJENDL-4.0と同程度の性能を有することがわかった。また計算結果から、アクチニド核種の断面積、核分裂収率、HO中の水素の熱中性子散乱則データの変更がPWR使用済燃料の核種組成に影響を与えることが明らかになった。
渡邉 友章; 多田 健一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 10 Pages, 2023/10
2021年に公開された最新の日本の評価済み核データライブラリであるJENDL-5では、U-235を始めとした重核種や可燃性毒物として燃料に含まれるGd-155及びGd-157の断面積が修正されている。また、燃焼燃料の特性把握に必要不可欠な核分裂収率や崩壊データが全面的に見直されている。本研究では、JENDL-5の妥当性確認の一環として、これらJENDL-5において修正された核データが燃焼燃料の核特性に与える影響を調査した。BWRの99型STEP-3燃料に基づくOECD/NEA燃焼ベンチマークPhase III-CをJENDL-4.0とJENDL-5を用いて解析を行い、両者のk
を比較した。その結果、JENDL-5は燃焼を通じてk
を小さく評価し、12GWd/tのk
のピークあたりで約600pcmの大きな差異が生じること、また20GWd/t以降は燃焼度の増加につれて差異が拡大し、50GWd/tで約600pcmに達することが分かった。また本研究では、核種毎にJENDL-4.0からJENDL-5に核データを入れ替えて計算を行うことで、k
の差異にどの核種の核データが寄与しているかを調査した。
多田 健一; 近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(6), p.624 - 631, 2023/06
被引用回数:8 パーセンタイル:77.83(Nuclear Science & Technology)感度解析や不確かさ評価は評価済み核データの改良にとって重要な役割を担っている。現在の計算機性能の向上によって、連続エネルギーモンテカルロ計算コードを用いた感度解析や不確かさが可能となってきている。そこで本研究では、FRENDYのモジュールを用いて、連続エネルギーモンテカルロ計算コードで用いられるACEファイルの摂動ツールを開発した。本摂動ツールを用いて微視的断面積,核分裂当たりの中性子数,核分裂スペクトルを摂動させることができる。また、ユーザーが共分散データを用意すれば、ランダムサンプリング法を用いた不確かさ解析を行うこともできる。本摂動ツールの検証のため、実効増倍率の不確かさを感度解析コードSCALE/TSUNAMI及びMCNP/KSENと比較した。その結果、本摂動ツールを用いたランダムサンプリング法で得られた不確かさは、SCALE/TSUNAMIやMCNP/KSENとよく一致することを確認した。
福井 悠平*; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 丸山 修平
EPJ Web of Conferences, 281, p.00006_1 - 00006_9, 2023/03
外れ値を含む実験データの新しい核データ調整方法を開発した。本手法は感度係数を用いた従来の核データ調整法にロバスト推定の一種であるM推定を適用することで、外れ値の影響を軽減するものである。本論文では、M推定に基づいて重み付けされた核データ調整式を導出し、重み付けの計算方法を開発した。各実験データの重みは、核特性の測定値と計算値の差から計算される。この重みは特異値分解を用いて核特性間の相関を考慮することにより評価することができる。さらに、提案手法と従来手法を双子実験により比較検証した。双子実験では、核データは意図的に外れ値を含む実験データを使用した。結果、外れ値を含む実験データであっても核データがロバストかつ適切に調整されていることを確認した。
丸山 修平; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
EPJ Web of Conferences, 281, p.00008_1 - 00008_9, 2023/03
炉定数調整法における共分散モデリングの良さを表す指標として、赤池のベイズ情報量規準(ABIC)の適用可能性を検討した。信頼性の高い炉定数調整法において、最も重要な要素の1つは適切な共分散行列を与えることである。しかし、事前に真の共分散行列を知ることはできないため、通常はこれを推定・仮定して炉定数調整を行っている。そのため、共分散行列のモデリングの良し悪しを判断するために何らかの指標があることが望ましい。本論文では、この指標の候補として、ベイズ推定における情報量規準の一つであるABICに着目した。原子力機構ではこれまで、高速炉の積分実験データベースを整備してきており、このデータベースに基づいて高速炉用統合炉定数を作成している。このデータベース内の多くの炉心特性は決定論的手法で解析されており、炉心特性の計算値には数値近似に伴う相関付きの不確かさが付随している。しかしながら、その適切な不確かさと相関の設定は未だ困難な課題の1つである。加えて解析者が認識できていない未知の不確かさも存在している。これらの不確かさに関連する共分散行列の良否を判断するため、ABICの炉定数調整法への適用性を数値的に検討した。