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山田 逸平; 神谷 潤一郎
Review of Scientific Instruments, 95(12), p.123308_1 - 123308_11, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:45.30(Instruments & Instrumentation)大強度イオン加速器の安定化やさらなる大強度化にはビームの非破壊計測が必須である。そのため、ビームとシート状ガスの相互作用により生じる光子を利用してビームのプロファイルを計測する、ガスシートビームプロファイルモニタの高度化を進めている。このようなモニタでは、ガスシート分布や光子検出器の感度分布に代表されるモニタ全体の応答関数により変換を受けた信号が得られる。定量的にビームプロファイルを得るためには、この応答関数を実測し、適切な解析により変換を解く必要がある。そこで、測定したい大強度ビームと比べて十分細いビームを用いた応答関数測定手法を考案した。細いビームの重心位置をスキャンしながら得られる信号は近似的に応答関数に一致する。これにより得られた応答関数はガスシートの設計上の傾き角を反映しており、測定手法の妥当性が得られた。また、J-PARCリニアックの3MeV、60mAの水素負イオンビームを用いたプロファイル測定の実証試験も実施し、測定の標準偏差6.01%、および最小二乗誤差2.74%でプロファイルを得ることに成功した。さらに、得られたプロファイルを従来のプロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られたプロファイルと比較した結果、両者は良い一致を示し、考案した応答関数測定手法と解析手法の妥当性を実証した。
神谷 潤一郎; 阿部 一英; 藤森 伸一; 福田 竜生; 小畠 雅明; 諸橋 裕子; 津田 泰孝; 山田 逸平; 吉越 章隆
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 22(4), p.316 - 326, 2024/08
真空容器内壁にゲッター機能を持たせることで、超高真空を実現する新しい技術であるNEGコーティングについて、その活性化と劣化のメカニズムの理解は、NEGコーティングの高性能化に不可欠である。本研究では代表的なNEGコーティング材料Ti-Zr-Vについて、SPring-8放射光光電子分光(SRPES)およびX線光電子分光(XPS)による測定を行った。実験ではNEGコーティング試料温度を250Cに昇温させる過程をSRPESにより分析し、その後、酸素ガスを導入して表面酸化過程を同手法により分析した。これらは、NEGコーティング表面の活性化、酸化過程の初めてのオペランド測定である。さらに、試料の深さ方向をXPSにより分析することで、活性化によりZrがTi酸化物、V酸化物から酸素を受け取り、内部へ酸素が拡散すること、および内部では主にZrが酸化物となっていることを観測し、コーティング内部におけるZr酸化物の増加が、NEGコーティングの繰り返しの活性化と飽和による寿命を決定する大きな要素であることを解明した。このことは、今後のNEGコーティングの性能高度化につながる新しい事実である。
神谷 潤一郎; 大井 元貴; 小林 史憲; 酒井 健二; 山田 逸平
Vacuum and Surface Science, 67(4), p.186 - 191, 2024/04
日本表面真空学会誌における特集企画"ドライポンプ"において、大強度加速器におけるドライポンプの実績を紹介する。本解説では、リニアック、RCS、3NBTの加速器およびミュオン施設、中性子源施設、中性子利用施設のMLFでのドライポンプを紹介する。ドライスクロールポンプ(DSP)も多用されているが、特に常時運転の箇所はメンテンナンス頻度の多さやトラブルの発生から、ルーツポンプへの置き換えを進めている箇所が多い。ルーツポンプは耐放射線性仕様、電源分離型、ダイヤフラム付き等、各利用環境や利用目的に応じて特殊仕様のものを採用していることが大強度陽子加速器における特殊な点である。DSP、ルーツポンプともにいくつかのトラブルが発生しているが、メンテナンス方法の改定や部品の改良で対応し、安定したユーザー運転の実現に貢献している。以上のように本発表では、J-PARCにおけるドライポンプの利用状況、ポンプの仕様、メンテンナンス、およびトラブルと対策を総括する。
山本 風海; 守屋 克洋; 沖田 英史; 山田 逸平; 地村 幹; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 昌亘; 森下 卓俊; et al.
Journal of Neutron Research, 26(2-3), p.59 - 67, 2024/01
J-PARC Linacおよび3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを中性子実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために運転している。これまで進めてきたビーム調整および機器改良により、当初想定よりもはるかに低いビームロス量で1MWのビーム運転を行うことが出来ている。現在のビーム出力はビームロスではなくRCSの高周波加速空胴の電源容量によって制限されている。近年、RCSグループではより少ない消費電力でビームを加速することのできる新しい構造の加速空胴の開発に成功した。この空胴によって、利用運転中に加速空胴で消費される電力を大幅に削減することが出来、さらに1MW以上の大出力での運転も可能となる。これまでの試験結果から、RCSの加速空胴を全て新しい物へ更新すれば、1.5MW以上の大出力も可能となる事が判っている。今後、中性子利用および主リングシンクロトロンの更なる成果創出のため、2MWを目標にRCSで必要な改良について検討を行った。その結果、高周波空胴の更新以外にも、高周波増幅器の増強やビームモニタの増強が必要であることが判ったため、今後順次更新を進める。
山田 逸平; 地村 幹; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072018_1 - 072018_6, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)大強度陽子加速器施設J-PARCではわずかな割合のビーム損失でも高線量の放射化を引き起こす。そのため、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視による加速器制御の最適化が必須である。ビームとガスの相互作用を利用してビームプロファイルを測定するガスシートモニタは、従来の固体ワイヤとビームの相互作用を利用したモニタと比較してビームに与える影響が小さい。しかし、極少量ではあるもののガスを導入してビームラインの真空圧力に影響を与えるため、ビームにも影響を与える可能性がある。そこで本研究ではガス導入量に対するビーム電流値及びビーム位相空間分布の変化を実測した。本会議では、ビーム電流値はガス導入量に比例して減少し、ビームエミッタンスは一定または減少したという結果を報告し、今後のJ-PARC加速器の安定化や大強度化に向けたガスシートモニタ高度化に関する議論を行う。
永山 晶大; 原田 寛之; 下川 哲司*; 佐藤 篤*; 山田 逸平; 地村 幹; 小島 邦洸; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.526 - 530, 2023/11
本研究では、ビームの遅い取り出しのための非破壊型静電セプタムを開発している。従来型と異なり、この装置はビームと衝突しないようにビーム周辺に配置した多段電極で構成されており、発生させた電場によって非破壊でビームを分離する。本研究ではその電場分布を評価すべく、電子銃とビームモニタで構成された試験装置を開発した。その装置に試作電極を設置し、細い電子ビームで電場分布測定の実験を実施した。その測定結果は計算結果との良好な一致を示した。しかし、ビームの分離能力はまだ十分ではない。そこで、電場分布の改良に向けた電極形状や配置の最適化の検討を行った。本発表では、試験装置を用いた電場分布測定実験の結果や改良案を報告する。さらに、本開発の今後の展望についても述べる。
山本 風海; 守屋 克洋; 沖田 英史; 山田 逸平; 地村 幹; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 昌亘; 森下 卓俊; et al.
Proceedings of 68th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (HB2023) (Internet), p.270 - 273, 2023/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを中性子実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために運転している。これまで進めてきたビーム調整および機器改良により、当初想定よりもはるかに低いビームロス量で1MWのビーム運転を行うことが出来ている。そのため、現在のビーム出力はビームロスではなく高周波加速空胴の電源容量によって制限されている。近年、RCSグループではより少ない消費電力でビームを加速することのできる新しい構造の加速空胴の開発に成功した。この空胴によって、利用運転中に加速空胴で消費される電力を大幅に削減することが出来、さらに1MW以上の大出力での運転も可能となる。これまでの試験結果から、RCSの加速空胴を全て新しい物へ更新すれば、1.5MW以上の大出力も可能となる事が判っている。今後、中性子利用および主リングシンクロトロンの更なる成果創出のため、2MWを目標にRCSで必要な改良について検討を行った。その結果、高周波空胴の更新以外にも、高周波増幅器の増強やビームモニタの増強が必要であることが判ったため、今後順次更新を進める。
山本 風海; 山田 逸平
Proceedings of 14th International Particle Accelerator Conference (IPAC 23) (Internet), p.2339 - 2341, 2023/05
J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、大強度陽子ビームを中性子実験施設および後段の主リングシンクロトロンに安定に供給するため、ビーム調整と高度化を行っている。近年、設計出力である1MW出力での数日間にわたる連続運転試験を行っているが、2020年の試験の結果から、6月後半以降の高温多湿な屋外環境下では、冷却水の冷却能力が低下し、加速器を安定に運転できない事が判明した。その原因を調査した結果、加速器装置を直接冷却する一次冷却水と屋外で排熱する二次冷却水の熱交換器の性能が劣化していることを突き止めた。2021年の夏季に分解洗浄による性能回復を行い、2022年6月に1MWの試験を行った。熱交換器の性能は改善されていたが、2022年6月の試験時は猛暑日となり、1MWでは運転を継続できなかった。一方、600kWであれば真夏の猛暑であっても運転できることを確認した。
永山 晶大; 原田 寛之; 下川 哲司*; 山田 逸平; 地村 幹; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.503 - 507, 2023/01
リング型粒子加速器であるシンクロトロン加速器ではリング内にビームを溜め込み、周回させながら加速したビームを徐々に供給する「遅い取り出し」技術で最先端の物理実験や放射線がん治療を実現している。従来の手法では、周回ビームと取り出しビームの間に電場分布を切り分ける電極を挿入する必要がある。現在の手法では、取り出し時に発生するビーム衝突が原理的に解決できず、機器の故障や出力制限の原因となっている。そこで、ビーム軌道上に挿入される電極を廃した新たな手法に基づく非破壊型静電セプタムを考案し、現在開発を進めている。従来型の静電セプタムと同等に粒子を周回ビームから蹴り出す為には、境界面で不連続のギャップを持つ階段関数のような分布の力を発生させるのが理想である。本発表では階段関数に近い分布のローレンツ力を真空中に発生させるための電極・電流路配置の最適化の計算方法や、発生させるローレンツ力によるビーム軌道の計算結果について報告する。また、現在進行中である本手法の原理実証に向けて開発した小型原理実証機についても紹介し、今後の展望についても議論する。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Journal of Physics; Conference Series, 2244, p.012077_1 - 012077_6, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:56.85(Engineering, Electrical & Electronic)J-PARCのような大強度加速器の安定な運転には、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視によるビーム損失の低減が重要である。これまでの研究にて、ガスシートとビームの相互作用を利用する非破壊型プロファイルモニタを開発し、その有効性を実証した。開発したモニタはシートガスの密度を広い範囲で制御できるほか、ビーム誘起蛍光を直接カメラで検出するため、任意の露光時間に設定することで容易に信号の平均化が可能である。この特性を利用したビームプロファイルの時間発展測定の可能性を検証した。ビームパルス50sに対して1
s刻みにビームプロファイルを測定した結果、ビームプロファイルは先頭の10
sで大きく変化しており、その後安定することを明らかにした。また、このプロファイルの時間発展は初段の高周波加速空洞であるRFQのフィードフォワード制御に依存することも明らかにした。以上から、今後のJ-PARCビームの安定化に新たな指標を提案できる可能性を見出した。
山田 逸平; 和田 元*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 金正 倫計
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 24(4), p.042801_1 - 042801_13, 2021/04
被引用回数:9 パーセンタイル:68.21(Physics, Nuclear)大強度加速器のビームを測定するためには非破壊型モニタが必要である。本研究ではビーム誘起蛍光を利用した横方向ビームプロファイルを測定する非破壊型モニタを開発した。開発したモニタは希薄気体力学の技術を利用してシート状に形成したガスを導入し、ビーム照射により発生した蛍光像を検知することで、二次元プロファイルの測定を可能とする。このモニタから得られる信号をビームプロファイルに変換するための近似手法もあわせて考案した。このモニタおよびプロファイル変換手法をJ-PARCの3MeV水素負イオンビームのプロファイル測定に適用した。その結果、開発したモニタで得られたビームプロファイルは既存のプロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られたものと一致した。また、ガスシート導入によるビーム損失の評価として、ビーム電流の減少率を測定した。その結果、ビーム減少率はガス導入流量と比例し、0.004% 2.5%の電流値の減少が見られた。さらに、開発したモニタはJ-PARCビーム1パルス中のプロファイル変化を測定できる可能性を持つことを示した。
神谷 潤一郎; 岡部 晃大; 金正 倫計; 守屋 克洋; 山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; Wada, K.*
Journal of Physics; Conference Series, 1350, p.012149_1 - 012149_6, 2019/12
被引用回数:3 パーセンタイル:78.48(Physics, Particles & Fields)チタン製真空ダクト表面にゲッター作用を持たせるため、導入したガスをイオン化させスパッタリングによりチタン表面の酸化膜を除去する手法の開発を行っている。本手法では、スリットからガスを導入することで、少ないガス量で局所的に均一かつ高いガス密度のシート状の分布を生成ができ、周辺の圧力上昇を抑えたうえで効率の良いスパッタリングを行うことができる。今回、スリットによって生成されたガス密度分布をモンテカルロシミュレーションコードによって計算し、評価した。その結果、ガス密度分布の三次元的な分布の情報を得ることができ、両方向からのガス導入がガス密度分布の均一化に対して有効であることが定量的にわかった。さらに本手法をシート状ガスとビームとの相互作用により発生するイオンを検出する非破壊型ビームプロファイルモニターに適用した。本モニターにおいて、ビームプロファイルの注入ガス量に対する依存性を調査し、少量の注入ガス量での測定が不飽和かつS/N比が高い状況でビームプロファイル測定するために重要であることが分かった。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Vacuum and Surface Science, 62(7), p.400 - 405, 2019/07
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定では、ビームの大強度化に向けて非破壊型モニタの実用化が求められている。一つの案としてシート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、実現可能性・測定範囲のシミュレーション検討したこと、およびその計算結果を検証する実験を行ったことを報告し、真空科学分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化を目指すことを目的とする。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.2567 - 2570, 2019/06
J-PARCのような大強度陽子加速器ではわずかなビーム損失でも周辺機器の放射化を引き起こし、安全かつ安定な加速器運転に支障をきたす。放射化を防ぐためには、様々なモニタを用いてビーム損失の原因を特定する必要がある。現在、加速器の大強度化に伴いビームモニタの非破壊化が求められている。本研究ではビームのプロファイルを非破壊的に測定する新たなモニタとして、ガスシートビームプロファイルモニタの開発を行っている。本モニタの研究課題は主に、ガスシート生成器の開発、ガスシートの評価、および信号校正からなり、本件では特にガスシート評価装置の開発の進捗を報告する。本モニタはガスシートとビームの相互作用を利用するため、得られる信号はビームの分布のみならずガスの密度分布にも依存する。そのため、正確なビームプロファイルを得るためにはガス密度分布の情報を取得する必要がある。本報告ではイオン軌道シミュレーションに基づきガスシート評価装置の設計を行い、検証実験を行った結果を述べる。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.88 - 92, 2018/08
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定において、現在主流の金属ワイヤを用いたモニタは大強度ビームの測定で破損の可能性が考えられる。この解決策の一つとして、シート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、シミュレーションにて本手法の実現可能性,測定有効範囲、および測定分解能について検討したことを報告し、様々な分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化、およびそれに伴う加速器の安定な運転に役立てることを目的とする。
山田 逸平; 神谷 潤一郎; 仲野谷 孝充; 黒澤 俊太*; 柳橋 享*; 志賀 隆史; 和田 薫*; 割貝 敬一
no journal, ,
大強度陽子加速器施設J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、大電流かつ速い繰り返しにより、1MWの大強度ビーム出力を実現している。大強度加速器の安定な運転にはビームライン内を超高真空に維持することが重要であり、J-PARC RCSでは1MW出力を実現するために、ターボ分子ポンプとドライスクロールポンプの組み合わせの真空排気系を主として用いている。しかし、現在のJ-PARC RCSの真空システムにおいては、構造的に摺動部を持つドライスクロールポンプはメンテナンス頻度が高い、今後の更なる大強度化を考慮すると現在の真空圧力では不十分である、という課題が残されている。そこでドライスクロールポンプの代わりに、摺動部を持たないルーツポンプへの置き換えを進めており、2年以上メンテナンスフリーで運転できる実績を得た。また、ビームラインの極高真空化を目指して非蒸発型ゲッターポンプの増設を進めており、ターボ分子ポンプと合わせて利用することで極高真空化の実現可能性を得た。
神谷 潤一郎; 阿部 一英; 小畠 雅明; 津田 泰孝; 福田 竜生; 藤森 伸一; 諸橋 裕子; 山田 逸平; 吉越 章隆
no journal, ,
NEGコーティングはビームダクト内面にゲッター機能を持たせることで、ビームラインの真空性能を向上し、加速器の安定運転に直結する技術である。NEGコーティングの活性化と劣化のメカニズムをより詳細に理解するため、X線光電子分光(XPS)による測定を行った。NEGコーティングした基板サンプルをSPring-8のBL23SUの表面科学ステーションに設置し、試料温度を250Cに昇温しながら試料表面のXPS測定を行い、活性化プロセスをin-situで観測した。その後、試料温度を250
Cに保ったまま、酸素ガスを導入し、加速劣化試験に相当するXPS測定を行った。さらに、アルゴンエッチングによる試料の深さ方向の成分分析を実施した。その結果、表面Zrは活性化の初期段階でTi酸化物やV酸化物から酸素を取り込み、連続的な温度上昇でZr酸化物の酸素がバルクに拡散することがわかった。またコーティング中の濃縮された酸素は、主にZr酸化物、続いてTi酸化物の形で存在することが明らかとなった。このことは、今後のNEGコーティングの性能高度化につながる新しい事実である。
山田 逸平
no journal, ,
大強度イオンビームの断面形状を非破壊で計測するために、ビームガス相互作用により生じる光子を用いたモニタの開発を行っている。ビームに作用させるガスとして、シート状に形成したガスをビームラインに導入することで、周辺の真空に大きな影響を与えることなく局所的にガス密度を増加させ、かつビームの二次元断面の分布を得られるようなモニタとした。開発したモニタをJ-PARCのRFQテストスタンドに導入し、大強度ビーム計測試験を行った結果、ガスシート分布を考慮して得られたデータを解析することで、従来型モニタで得られた結果と一致するプロファイルを得た。またこの試験により、今後のさらなる高精度計測に向けた課題が明確となった。
山田 逸平; 神谷 潤一郎; 仲野谷 孝充; 黒澤 俊太*; 柳橋 享*; 志賀 隆史; 和田 薫*; 割貝 敬一
no journal, ,
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は1MWの陽子ビームを供給しており、その安定な運転にはビームラインを真空に維持することが必須である。RCSはビームの大口径化による空間電荷の緩和、および真空内外に設置した電磁石による磁場の利用により、安定な大強度ビーム運転を実現している。大口径(=大容量)かつ真空容器内に設置された電磁石からの多量の放出ガスがある状況下においても安定に超高真空を維持するために、RCS真空システムでは輸送式ポンプであるターボ分子ポンプを主排気装置として利用している。ターボ分子ポンプの前段にはドライスクロールポンプを利用してきたが、摺動部が原因の予期しない故障の頻度が高いため、摺動部を持たないルーツポンプへの置き換えを進めてきた。現在までの運転経験から、ルーツポンプは5年以上メンテナンスフリーで運転可能であるという実績を得た。また、J-PARC加速器の将来の大強度化および重イオン加速計画では、加速器の安定運転のために現状の1/10の真空圧力が必要となる。現在の残留ガスの主成分は水素および水であるため、これらの排気に有利な非蒸発型ゲッターポンプの増強を進めている。その結果、ポンプを増強した場所の周辺では予想通り水素や水を排気することで、圧力が1/10程度になるという結果を得た。
地村 幹; 山田 逸平; 小島 邦洸
no journal, ,
大強度イオン加速器の初段部のようにビームの密度が高く、ビームが遅い領域においては、ビーム自身の作る電場から短距離で大きな力積を受け取る。この電場によってエミッタンスと呼ばれるビームの位置および運動方向の分散が増大するため、加速器のビーム透過率の悪化や放射化を増大させる要因となる。そこで、大強度イオン加速器の初段部では、ビームがダクト内のガスと衝突し、ガスを電離することで発生した正イオンがビーム作る電場を自発的に中和する現象である空間電荷中和が積極的に利用されている。一方、大強度イオン線形加速器J-PARCリニアックにおいては、シート状のガスをビーム軌道上に導入し、ビームとガスの相互作用によってビーム分布を測定することを目的としたガスシートモニタが利用されている。J-PARCリニアックの3MeV中間エネルギービーム輸送路(MEBT1)では、通常、空間電荷中和を利用していないが、ガスシートを導入することで空間電荷中和とみられるエミッタンスの改善が報告されている。本報告では、MEBT1をモデルとした数値計算によって、その特性の評価を実施することで空間電荷中和の過程を明らかにし、その結果を元に計算モデルを提案する。