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報告書

原子炉圧力容器鋼における高温予荷重(WPS)効果確認試験(受託研究)

知見 康弘; 岩田 景子; 飛田 徹; 大津 拓与; 高見澤 悠; 吉本 賢太郎*; 村上 毅*; 塙 悟史; 西山 裕孝

JAEA-Research 2017-018, 122 Pages, 2018/03

JAEA-Research-2017-018.pdf:44.03MB

原子炉圧力容器の加圧熱衝撃(Pressurized Thermal Shock: PTS)事象に対する構造健全性評価に与える影響項目の一つである高温予荷重(Warm Pre-stress: WPS)効果は、高温時に予め荷重を受けた場合に、冷却中の荷重減少過程では破壊が生じず、低温での再負荷時の破壊靱性が見かけ上増加する現象である。WPS効果については、主として弾性データによって再負荷時の見かけの破壊靱性を予測するための工学的評価モデルが提案されているが、試験片の寸法効果や表面亀裂に対して必要となる弾塑性評価は考慮されていない。本研究では、実機におけるPTS時の過渡事象を模擬した荷重-温度履歴を与える試験(WPS効果確認試験)を行い、WPS効果に対する試験片寸法や荷重-温度履歴の影響を確認するとともに、工学的評価モデルの検証を行った。再負荷時の見かけの破壊靭性について、予荷重時の塑性の程度が高くなると試験結果は工学的評価モデルによる予測結果を下回る傾向が見られた。比較的高い予荷重条件に対しては、塑性成分等を考慮することにより工学的評価モデルの高精度化が可能となる見通しが得られた。

論文

X線吸収を用いた原子炉圧力容器鋼溶接熱影響部の微細構造分析

岩田 景子; 高見澤 悠; 河 侑成; 岡本 芳浩; 下山 巖; 本田 充紀; 塙 悟史; 西山 裕孝

Photon Factory Activity Report 2017, 2 Pages, 2018/00

原子炉圧力容器内表面のステンレスオーバーレイクラッド直下に生じる溶接熱影響部(HAZ)は熱履歴により結晶粒径や析出物分布の異なる組織が複雑に分布し、母材とは機械的特性が異なることが知られている。本研究では、HAZ組織の特徴を調べるため炭化物分布に着目し、形成元素の一つであるMoの周辺微細構造について分析を行った。HAZ組織の狭い領域毎の構造情報を取得するため、キャピラリレンズを使用した広域X線吸収微細構造(EXAFS)により$$mu$$mオーダーの領域測定を実施した。EXAFS結果からHAZ内で生成が確認されている炭化物種の一つであるMo$$_{2}$$Cは粒径の小さい領域に比較的多く分布することが示唆された。

論文

Bayesian nonparametric analysis of crack growth rates in irradiated austenitic stainless steels in simulated BWR environments

知見 康弘; 高見澤 悠; 笠原 茂樹*; 岩田 景子; 西山 裕孝

Nuclear Engineering and Design, 307, p.411 - 417, 2016/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

照射誘起応力腐食割れ(IASCC)進展挙動に影響を及ぼすパラメータを調べるため、ノンパラメトリックベイズ(BNP)法を用いて、照射されたオーステナイト系ステンレス鋼の沸騰水型軽水炉(BWR)環境におけるき裂進展速度に関する既存データの統計解析を試みた。き裂進展速度と照射材の降伏応力($$sigma$$$$_{rm YS-irr}$$)、応力拡大係数($$K$$)、腐食電位(ECP)、及び高速中性子照射量といった入力パラメータの確率分布から、き裂進展速度の中央値を計算し、き裂進展速度の実測値と比較した。解析結果はき裂進展速度の実測値をよく再現するとともに、き裂進展速度が高い領域(すなわち高中性子照射量条件)では、照射誘起偏析(RIS)や局所変形など照射硬化とは異なるメカニズムにより、中性子照射量がき裂進展速度に影響を及ぼす可能性を示している。

論文

Specimen size effect on fracture toughness of reactor pressure vessel steel following warm pre-stressing

岩田 景子; 飛田 徹; 高見澤 悠; 知見 康弘; 吉本 賢太郎*; 西山 裕孝

Proceedings of 2016 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2016) (Internet), 6 Pages, 2016/07

原子炉圧力容器の破壊靱性に対する高温予荷重効果について評価を行った。1T-CT試験片を用いて様々な熱力学的荷重負荷条件でWPS試験を実施した。得られた結果は4つのWPS工学モデルによる予測値と比較した。また1T-, 0.4T-, 0.16T-CT試験片を用いて予荷重負荷-除荷-冷却-低温再負荷条件で試験片寸法依存性について調査した。試験片寸法による塑性域分布や残留応力分布の違いを解析により明らかにした。

口頭

Fate of plutonium derived from the atomic bomb detonated at Nagasaki, Japan

岩田 孟*; 坂巻 景子*; 安田 健一郎; 大貫 敏彦; 宇都宮 聡*

no journal, , 

長崎に投下された原爆起源のPuの挙動を調べるため、西山貯水場の土壌について選択的抽出法により溶出するPuをアルファスペクトロスコピーで測定した。その結果、大部分のPuが有機物とともに存在した。投下により生成したPuの初期化学状態は酸化物であると考えられる。したがって、われわれの結果は環境中に60年間存在している間にPuの化学状態が変化した最初の証拠である。

口頭

高アルカリ条件下におけるベントナイト; 炭素鋼界面での変質

坂巻 景子; 岩田 孟*; 宇都宮 聡*

no journal, , 

高レベル放射性廃棄物の地層処分に用いられるベントナイトはセメント材料に起因する高アルカリ性地下水により変質することが指摘されているが、炭素鋼オーバーパックとの界面での現象についての知見は乏しい。本研究では、高アルカリ性溶液中に浸漬した圧縮ベントナイトと炭素鋼界面の断面を薄膜化することによって、直接微細観察を行った。その結果、ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトが一部溶解しナノ細孔が形成することと、炭素鋼の腐食によって生成した鉄を含むナノ粒子がナノ細孔を介してベントナイト中に存在することを確認した。

口頭

長崎型原爆由来プルトニウムの化学状態解析

岩田 孟*; 川元 侑治*; 坂巻 景子; 安田 健一郎; 大貫 敏彦; 宇都宮 聡*

no journal, , 

放射性廃棄物には長半減期の$$^{239}$$Pu等が含まれ、地層処分後の化学的安定性や移行挙動の理解が重要である。本研究では、環境中に放出された長崎型原子爆弾由来Puの化学状態,サイズ依存性を調べ、Puの環境中における化学種変化を解明することを目的とした。長崎型原爆由来Puを含む堆積物サンプルを用いて、化学種分画とサイズ分画実験を行った。その結果、Puの約60%が有機物結合種として、30%程が酸化物などの難溶解性核種として存在することが明らかになった。また、10-114$$mu$$mが主要なサイズ領域であった。

口頭

Microstructural analysis on reactor pressure vessel steel using the XAFS method

岩田 景子; 高見澤 悠; 西山 裕孝; 下山 巖; 岡本 芳浩; 岩瀬 彰宏*; 小島 啓*; 眞弓 蓮*

no journal, , 

原子炉圧力容器鋼材の微細構造変化を調査するためX線吸収微細構造解析手法(XAFS)を用いて分析を実施した。XAFSは元素選択的に原子構造や配位子の情報が得られる分析手法である。本発表ではXAFSの紹介と実際に取得した熱時効やイオン照射処理をした試験片のXAFS分析結果について述べる。また他分析手法で得られた結果とも比較しながら議論する。

口頭

X線吸収を用いたステンレスオーバーレイクラッド熱時効材の微細組織分析

岩田 景子; 高見澤 悠; 河 侑成; 岡本 芳浩; 下山 巖; 小島 啓*; 眞弓 蓮*; 岩瀬 彰宏*; 永井 康介*; 西山 裕孝

no journal, , 

熱時効された原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッド材について、X線吸収を用いて微細組織分析を行った。測定には材料全体の平均的な情報が取得でき、元素選択的に結合距離や化学状態を把握することができるX線吸収微細構造解析を適用した。溶質原子であるMn原子周辺において配位数や結合距離の変化が認められた。

口頭

原子炉圧力容器鋼溶接熱影響部のイオン照射による硬化

河 侑成; 高見澤 悠; 岩田 景子; 飛田 徹; 知見 康弘; 勝山 仁哉; 西山 裕孝

no journal, , 

原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッド材について有限要素法解析を行い、溶接入熱による熱影響部の微細構造変化を予測した。その結果に基づいてHAZから粗粒領域と細粒領域を採取し、比較のため1/4厚さ位置の母材試験片を採取してイオン照射を行った。照射前後HAZにおいては母材より照射による硬化量が大きい傾向を示した。また、微細粒領域の場合、位置によって硬化量の変化が異なる結果が得られた。

口頭

Study on quantitative models of WPS effect with the use of experiments of Japanese RPV steel

高見澤 悠; 飛田 徹; 岩田 景子; 勝山 仁哉; 西山 裕孝

no journal, , 

フェライト鋼における高温予荷重(WPS)効果について、再負荷時における破壊靭性値の上昇に関しては予荷重レベル、除荷レベルをパラメータとした予測モデルが幾つか提案されている。しかしながら、国内データに対するそれらのモデルの適用性については十分に検討されていない。各モデルの適用性を明らかにするため、国内の原子炉圧力容器鋼を用いたWPS試験を実施し、試験結果と各予測モデルの評価値を比較した。その結果、モデルによる予測値の試験データの包絡性、実測値との整合性を考慮した場合、決定論的評価では最も保守的な予測値を与えるACEモデル、確率論的評価ではNRI-modified Wallinモデルが適切であることを示した。

口頭

イオン照射した原子炉圧力容器鋼溶接熱影響部のX線吸収を用いた微細組織分析

河 侑成; 岩田 景子; 高見澤 悠; 岡本 芳浩; 下山 巖; 本田 充紀; 塙 悟史; 西山 裕孝

no journal, , 

原子炉圧力容器鋼の溶接熱影響部(HAZ)では、熱履歴に応じて組織が分布している。HAZの照射硬化 やメカニズムを知るにはHAZの組織毎の照射による微細構造変化を調べることが重要である。本研究では、ステンレスオーバーレイクラッド直下に生じるHAZの未照射材及びイオン照射材に対して、EXAFSによる特定元素のX線吸収スペクトルを取得し、微細構造の変化を調査した。Cu ${it K}$吸収端の照射前後に対するスペクトル変化を調べた結果、イオン照射により空孔型欠陥が生成され、Cu溶質原子は空孔型欠陥との複合体で存在する可能性が示唆された。一方、Mo ${it K}$吸収端のスペクトルについて、未照射材では熱履歴に応じて分布するHAZの各組織により違いが認められ、Mo系炭化物の分布がHAZの組織によって異なることが推測された。なお、イオン照射によるMo ${it K}$吸収端のスペクトルには未照射材と比較して有意な変化が認められなかった。

口頭

Ion-induced microstructural change of A533B steel analyzed by X-ray absorption fine structure spectroscopy

河 侑成; 岩田 景子; 高見澤 悠; 岡本 芳浩; 本田 充紀; 塙 悟史; 西山 裕孝

no journal, , 

イオン照射により原子炉圧力容器鋼(A533B)に生じる微細構造変化を、X線吸収微細構造(XAFS)により評価した。照射によりクラスターを形成する元素であるCu, Ni, Mnに着目して照射前後の当該原子周辺の微細構造を分析した結果、Cu及びNiに対して照射による配位数の減少が認められ、当該原子近傍に空孔欠陥が生成したものと考えられた。配位数の変化が特に顕著であったCuに着目し、空孔型欠陥や格子間原子などを模擬した結晶構造モデルを作成するとともに、作成した結晶構造モデルを用いて理論値と実験値の比較を行い、照射により生成する欠陥形状を推定した。

口頭

イオン照射による低合金鋼溶接熱影響部の溶質原子クラスタ形成

河 侑成; 岩田 景子; 高見澤 悠; 塙 悟史; 西山 裕孝

no journal, , 

低合金鋼の溶接熱影響部(HAZ)における溶質原子クラスタ(クラスタ)の形成を調べるため、クラスタを構成する主要元素であるCuの含有量の異なる二種類の低合金綱にイオン照射を行うとともに3次元アトムプローブで微細組織を分析した。Cu含有量の高い材料では、HAZの組織に応じてクラスタの体積率が異なること、HAZに形成されるクラスタの体積率は母材に比べて高いことを確認した。現在、Cu含有量の低い材料の3次元アトムプローブ分析を進めており、Cu含有量と形成されるクラスタ性状の相関や硬さへの影響等を明らかにする予定である。

口頭

イオン照射した原子炉圧力容器鋼のX線吸収を用いた微細構造解析

岩田 景子; 河 侑成; 高見澤 悠; 下平 昌樹; 本田 充紀; 岡本 芳浩

no journal, , 

イオン照射により原子炉圧力容器鋼(A533B)に生じる微細構造変化を、X線吸収微細構造(XAFS)により評価した。照射によりクラスタを形成する元素であるCu, Mn, Niについて照射前後の当該原子周辺の微細構造を測定するとともに結晶構造モデルを作成し、シミュレーション解析をすることで詳細な構造変化を評価した。いずれの元素もマトリクス同様のbcc構造を示しており、Cu及びNiは配位数の減少が見られたことから当該元素周辺には空孔欠陥が生成されていることが示唆され、またMnについてはbcc構造に加え材料中に析出するMn含有炭化物(Mn,Fe)$$_{3}$$Cに由来する構造を示すなど、イオン照射による空間的な局所構造変化等をXAFSにより非破壊的に確認した。

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