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横林 正雄; 及川 哲邦; 村松 健
日本原子力学会和文論文誌, 1(1), p.95 - 105, 2002/03
原子力発電所の地震に対する確率論的安全評価(PSA)で使用するために、運転員のヒューマンエラー確率(HEP)モデルとその適用例を報告する。このモデルでは、運転員のストレスや地震動レベルの影響を考慮して、HEPは、地震動がないときは内的事象と同じとし、地震動レベルの増加に伴って線形に増加し、ある地震動レベル以降は一定とするリミテッドランプモデルで表した。適用例として、外部電源喪失による事故シーケンスで必要となるさまざまな運転員操作を短期と中長期に分けて、関連する振動台実験の調査結果や既存の人間信頼性解析手法を用いて、各操作のHEPモデルのパラメータを決定し、地震時のヒューマンエラーが炉心損傷頻度に及ぼす影響を推定した。この適用例では、ヒューマンエラーの影響は小さいとの結果が得られるとともに、ここに示すモデル化手法は、地震時のさまざまな運転操作の重要性を分析するうえで有用であることが示唆された。
吉田 一雄; 横林 正雄; 田辺 文也; 川瀬 勝美*; 古宮 明敏*
JAERI-Data/Code 2001-023, 118 Pages, 2001/08
JACOSは、原子力発電所の異常時における運転員の認知行動と原子炉系の挙動が影響を及ぼし合ったマンマシンシステムの挙動を模擬する計算機シミュレーションシステムである。マンマシンシステムの評価に際して、運転員の認知行動とそれに影響を受けた原子炉系の挙動に関する詳細な情報の提供を目的とする。シミュレーションシステムは、動的に結合された運転員モデルと原子炉モデルから成る。前者では、AI手法の一つである「黒板」モデルに基づく分散協調推論手法を用いた。異常への対応のための認知行動は、Rasmussenの梯子モデルを参考にした。ルールベース行動は、If-Thenタイプルールの知識表現を用いてシミュレーションした。また、知識ベース行動を模擬するために機能的知識を多層流れモデル(Multilevel Flow Modeling)で表現し、それを定性理論で探索する方法を開発した。さらに、認知特性として短期記憶での容量の限界と減衰,注意の狭窄,知識の想起の特性をモデル化した。また、原子炉モデルは、詳細熱水力解析コードRELAP5/MOD2を核として開発した。本報告書は、JACOSのマニュアルとして、第1部には両モデルの説明,第2部には、プログラムのインストールの手順,運転員モデルの知識の作成方法,シミュレーションの実施手順,結果の分析方法,第3部ではシミュレーション実行例について記す。
横林 正雄; 近藤 雅明*
JAERI-Tech 2001-007, 90 Pages, 2001/03
原子力発電所における運転員のヒューマンエラーは、プラントの安全性に大きな影響を及ぼす可能性があることから、確率論的安全評価(PSA)においてヒューマンエラーを考慮することは重要である。原子炉の安全系に関して想定される手動操作を抽出し、HRA手法としてよく知られているASEP法により、それらのヒューマンエラー確率(HEP)を定量化した。この定量化にはHRAを効率的に行うために主要なHRA手法を取り入れて開発した。HRA解析支援システムJASPAHRを用いた。これらのHEPを原研で実施されたBWRの外部電源喪失(LOSP)起因の事故シーケンスへ適用するとともに、感度解析を行った。その結果から、それぞれの手動操作の炉心損傷頻度(CDF)や重要シーケンスの発生頻度に対する重要性を確認した。本解析で作成された人間の介入のモデルや評価結果は今後のPSA適用研究を進めるうえでの基盤となり得るものであり、原研で進めてきたPSA研究の精度向上に役立てることができる。
横林 正雄; 木下 直樹*; 田村 一雄*
JAERI-Data/Code 2000-015, p.102 - 0, 2000/03
人間信頼性解析(HRA)手法は種々開発されているが、いずれもそれらを用いるためには熟練を要し、実施にはイベントツリー(ET)の作成や不確定幅の計算などの煩雑さを伴う。さらにいずれの方法も単独で評価するには不十分である。そこでHRAを実用的、効率的に実施するために、PC上で稼働するHRA支援システムJASPAHRを開発した。JASPAHRは、詳細な評価方法としてHRA-ET/DeBDAとOATを組み合わせた方式を、簡単な評価方法としてTHERPを簡略化したASEP法を用いており、評価方法により使い分けている。評価に必要なヒューマンエラー率については、データを収集し、支援システムと連動して使用可能なデータベースとして用意されている。誤診断解析手法としてINTENT法を加えるとともに使いやすさ等の面でも改善を行うなどして改良を図った。本報告書はこの改良版JASPAHR(Ver.1.5)のマニュアルである。
横林 正雄; 及川 哲邦; 村松 健
Probabilistic Safety Assessment and Management, 3, p.1901 - 1906, 1998/00
本報告は、地震時のヒューマンエラーが炉心損傷頻度に及ぼす影響について検討した結果である。検討の方法としては先ず地震を考慮しない内的事象としてのドミナントシーケンスの一つである外部電源喪失におけるヒューマンエラー確率(HEP)をASEP法により評価し、次に地震時のHEPを地震動中活動と地震動後活動に分けて評価し、前者には振動台実験等の結果を参考にし、後者では機器損傷などから運転員が高ストレス等厳しい状況下で活動するとして評価した。これらの評価したHEPを外部電源喪失を起因事象とするシーケンスに適用した解析例を基にヒューマンエラーが地震時の炉心損傷頻度に及ぼす影響が有意であることを定量的に示した。
吉田 一雄; 横林 正雄; 田辺 文也; 川瀬 勝美*
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(2), p.110 - 118, 1996/02
被引用回数:2 パーセンタイル:24.61(Nuclear Science & Technology)マンマシンシステムの評価のツールとして、異常時での運転員の認知行動を模擬する計算機を用いたシミュレーションシステムの開発を行った。システムは運転員モデルと原子炉モデルから成る。前者では、AI手法の一つである「黒板」モデルに基づく分散協調推論手法を用いた。異常への対応のための認知行動は、Rasmussenの梯子モデルを参考にした。また、ルールベース行動だけでなく知識ベース行動を模擬するために機能的知識を多層流れモデル(MFM)で表現しそれを定性推論で探索する方法を提案した。さらに、短期記憶の容量と減衰、注意の狭窄、知識の呼出の特性など主要な認知特性をモデル化した。また、原子炉モデルは、詳細熱水力解析コードを核として開発し、運転員計算モデルと動的に結合した。運転員モデルの検証のため、数ケースの異常事象の模擬を行い、その有効性を確認した。
横林 正雄; 田村 一雄*
JAERI-Data/Code 95-013, 99 Pages, 1995/10
人間信頼性解析(HRA)手法は種々開発されているが、いずれもそれらを用いるためには熟練を要し実施にはイベントツリー(ET)の作成や不確定幅の計算などの煩雑さを伴う。さらにいずれの方法も単独で評価するには不十分である。そこでHRAを実用的、高率的に実施するために、HRA支援システムを開発した。本システムは詳細な評価方法としてHRA-ET/DeBDAとOATを組合わせた方式を、簡単な評価方法としてTHRPを簡略化したASEPを用い、評価目的により使い分けている。さらに評価に必要なヒューマンエラー率のデータを収納したデータベースを作成した。これらを結合して効率的なHRA解析が可能になった。本報告書では、支援システムに用いたHRA手法の概要、支援機能、使用方法等についてまとめている。
吉田 一雄; 横林 正雄; 川瀬 勝美*; 田辺 文也
Symbiosis of Human and Artifact: Future Computing and Design for Human-Computer Interaction,20A, 0, p.939 - 944, 1995/00
ヒューマンファクタ研究の中で、マンマシンシステムの評価のツールとして、異常時での運転員の認知行動を模擬する計算機を用いたシミュレーションシステムの開発を進めている。開発の中心は、運転員モデルの作成である。そこでは、AI手法の一つである「黒板」モデルに基づく分散協調推論手法を用いている。運転員が行う原子炉の異常への対応のための認知行動は、Rasmussenの梯子モデルを参考にした。また、ルールベース行動だけでなく知識ベース行動を模擬するために機能的知識を多層流れモデル(MFM)で表現しそれを定性推論で探索する方法を提案した。さらに、主要な認知特性のモデルとして、短期記憶の容量と減衰、注意の狭窄、知識の呼び出しの特性などをモデル化した。運転員モデルの検証のため、数ケースの異常事象の模擬を行い、その有効性を確認した。
吉田 一雄; 横林 正雄; 田辺 文也; 川瀬 勝美*
VTT Symp. 158: 5th European Conf. on Cognitive Science Approaches to Process Control, 0, p.338 - 347, 1995/00
ヒューマンファクタ研究の中で、マンマシンシステムの評価のツールとして、異常時での運転員の認知行動を模擬する計算機を用いたシミュレーションモデルの開発を進めている。原子炉の異常に対応するときの運転員の認知行動のモデルは、Rasmussenの意思決定の梯子モデルを参考にし、AI手法の一つである「黒板」モデルに基づく分散協調推論手法を用いて運転員計算モデルを作成した。ルールベース行動だけでなく認識ベース行動を模擬するために、多層流れモデル(MFM)で表現した機能的知識を定性推論で探索する方法を提案した。さらに、主要な認知特性もモデル化した。また、異常時の原子炉の挙動を模擬するため詳細熱水力解析コードを核とする原子炉計算モデルを併せて開発し、運転員計算モデルと動的に結合した。モデルの検証のため数ケースの異常事象の模擬を行い、その有効性を確認した。
新谷 文将; 平野 雅司; 吉田 一雄; 松本 潔; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
日本原子力学会誌, 34(9), p.879 - 888, 1992/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)1988年3月9日、米国の沸騰水型炉(BWR5)ラサール2号炉で発表した中性子束振動事象に関して、何故振動発生に至ったのか、また、他のBWRと何がどの程度異なっていたために振動発生に至ったのかを明らかにするため、米国電力研究所(EPRI)で開発した過渡解析コードRETRANを用いて、不安定性の発生する領域を同定するための手法を開発し、その適用性を種々の物理量に関する感度解析と振動不安定性の実験の解析を実施する事により検証した。この結果、開発した解析手法は不安定性の発生する領域の同定に適用可能であることが分かった。また、開発した解析手法をイン・フェーズ振動とアウト・オブ・フェーズ振動の不安定境界の包含関係の検討に適用した。この結果、イン・フェーズ振動の境界を得る事ができた。しかし、アウト・オブ・フェーズ振動に関しては、一点近似核動特性モデルを使用したため求める事ができなかった。
新谷 文将; 平野 雅司; 吉田 一雄; 松本 潔; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
日本原子力学会誌, 34(6), p.565 - 575, 1992/06
被引用回数:1 パーセンタイル:17.09(Nuclear Science & Technology)1988年3月9日、米国ラサール2号炉で発生したBWRの中性子束振動事象に関して、何故振動の発生に至ったのか、安定性の観点から出力分布の影響がどの程度であったのかを明らかにするための解析をRETRANコードを用いて実施した。事象の再現解析とラサール2号炉の不安定領域図を作成するための解析からラサール事象に於て自然循環時に炉心入口サブクール度が増大したために炉心の核熱水力状態が不安定になり、中性子束振動に至った事がわかった。出力分布に関する解析では、安定な出力分布として軸方向にサイクル末期の典型的な分布を、径方向に平坦な分布を仮定した場合にはラサール事象と同一なシナリオの過渡事象が発生しても振動には至らず、振動が発生するまでに炉心入口サブクール度で10k程度の余裕がある事が分かった。
横林 正雄; 吉田 一雄
日本原子力学会誌, 33(7), p.695 - 702, 1991/07
原研で開発したエキスパートシステムDISKETは原子炉の異常診断を目的に知識工学的手法を用いたもので、そのプログラムには記号処理に適したLISPを使用している。本システムは大型計算機FACOM-M780上で稼動しているが、LISPの計算機依存性、記憶容量の大きさ、大型計算機の利用上の制約等を解消するため、汎用言語のFORTRANで書き直し小型計算機上で稼動する実用的なシステムを開発した。これら2つのバージョンの性能を比較した結果、LISP版はFORTRAN版の推論時間、主記憶容量共に2倍以上を要していることが分かった。従って、診断手法の研究段階では、まずLISP等のAI言語を用いてシステムを開発し、その有効性を確認した後はFORTRAN等の汎用言語で書き直す方式は実用的なエキスパートシステム開発のアプローチである。
横林 正雄; 松本 潔; 村山 洋二; 神永 雅紀; 鴻坂 厚夫
JAERI-M 90-207, 26 Pages, 1990/11
本報告書は、研究炉(JRR-3)を対象にした異常時診断予測システムのサブシステムの一つとして、早期に定常からのずれを検知し、スクラム作動の可能性の予測とその回避を目的とするエキスパートシステムの試作結果について述べている。本システムは異常診断システムDISKETの機能を拡張しており、従来の機能に対し次の特徴を有している。(1)スクラム条件毎にスクラムの原因をフレームで表すことにより知識ベースの構造を簡単化している。(2)知識ベースに数式を定義しルールに数式を取り入れることによりルール表現に柔軟性を持たせている。本システムの性能を過渡事象を用いて評価した結果、検知された定常からのずれの原因が同定され、スクラム作動の時間余裕がスクラム回避のための手順と共に示され、外乱発生初期に対し、本手法は有効であることがわかった。
新谷 文将; 平野 雅司; 吉田 一雄; 松本 潔; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
CSNI-178, p.370 - 384, 1990/00
1988年3月9日、米国ラサール2号炉で発生した自然循環状態下での中性子束振動事象は、許認可時の安定性解析の妥当性等いくつかの課題を提起した。原研ではこの事象に関し、1)どのような経過で事象が推移し振動発生に至ったのか、2)当該事象発生のひとつの要因と言われている炉心内出力分布の大きな歪みの安定性への影響はどの程度か、ということを明らかにするための解析を過渡二相流解析コードRETRANを用いて実施した。解析の結果、1)ラサール事象中、炉心入口サブクール度が増大したため振動が発生したこと、2)通常運転時に得られる典型的な軸方向出力分布及び平坦な径方向出力分布を仮定した場合には、ラサール2号炉より自然循環時において振動発生までに炉心入口サブクール度で約10Kの余裕があることがわかった。
吉田 一雄; 横林 正雄
JAERI-M 89-184, 157 Pages, 1989/11
原子炉異常診断システムDISKETは、原子力発電所において異常が発生した場合に、その種類および原因の診断を行うシステムとして、原研において開発したシステムである。本システムは、原因同定の手法として人工知能の一分野である知識工学を応用しており、診断のための推論を行う推論エンジン「IERIAS」と、それに必要な知識が納められている知識ベースから成る。また、本システムの特徴として、事象の時間的変化を推論で考慮できること、大量のルールを効率的に処理するために知識ベースがユニット化されていること等が挙げられる。DISKETは、原子炉の異常診断を目指して開発されたが、推論エンジンと知識ベースが完全に分離独立しているので、推論に必要な知識がIF-THEN形式のルールで表現できる分野では、DISKETを利用して診断、推論が行える。本報告書は、DISKETの利用者の便に供するためにまとめたものである。
吉田 一雄; 横林 正雄; 松本 潔; 鴻坂 厚夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 26(11), p.1002 - 1012, 1989/11
知識のルール表現を用いたエキスパートシステムの開発において直面する困難な問題の一つに、知識ベースをいかに客観性を保ちつつ効率良く作成するかがある。これに対する一つの試みとして、まず系統的な方法で知識ベースのプロトタイプを生成させ、次に実用システムでの使用に耐えるように専門知識を用いて改良を行うという知識ベース構築法を提案する。この手法の検証として原研で開発したエキスパートシステムDISKETのための知識ベースをPWRシミュレータから得たデータを基に作成した。統計的手法の一つである因子分析等を用い事故の分類、確信度の決定を行いプロトタイプ知識ベースを作成し、これを用いて多重故障も含めた種々の外乱に対する診断を行い良好な結果を得た。これにより本手法はプロトタイプの知識ベース構築に有効であることがわかった。
横林 正雄; 吉田 一雄; 藤木 和男
JAERI-M 89-070, 88 Pages, 1989/06
BWRDYNコードはBWRプラントの動特性解析を目的に開発されたもので、運転モードの変更や機器の故障等小幅から大幅な外乱までを計算対象としている。本コードの主要な解析モデルについては、既に実炉の実測データを用いた検証が行われてその妥当性が確認されている。その後さらに、タービン・復水器系に起因する外乱が原子炉に及ばず効果についても解析可能となった。本報告書はBWRDYNコードの解析モデルの概要及びコードの使用法について説明したものである。
新谷 文将; 吉田 一雄; 平野 雅司; 松本 潔; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
1989 Stability Symp., p.1 - 17, 1989/00
1988年3月9日、米国イリノイ州のLaSalle2号炉で保修作業員の弁の誤操作から再循環ポンプが2台停止し、これに続く自然循環状態で中性子束振動が発生した。これは加熱沸騰チャンネルでの密度波振動と炉心核特性がカップルした事象であり、これまでに外国のBWRでいくつか経験されている。本報は、1)時間領域コードRETRANによるBWRの自然循環状態での出力不安定発生領域の計算手法の妥当性の確認、及び2)LaSalle2号炉の事象の理解を目的として行った解析の報告である。RETRANによる不安定性発生領域の計算手法を用いた不安定流動の実験解析を実施し、この手法の妥当性を示した。LaSalle2号炉を対象とした不安定領域図の作成及び事象のシミュレーションを行い、炉心入口サブクーリングの増加が中性子束振動を引き起こした大きな要因のひとつであることを示した。
新谷 文将; 吉田 一雄; 平野 雅司; 松本 潔; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
ANS Proc. on 1989 National Heat Transfer Conf., Vol. 4, p.69 - 76, 1989/00
米国LaSalle2号炉で1988年3月9日に発生した中性子束振動事象をRETRANコードを用いて解析した。この事象はこれまでの予想を上回って中性子束振動が発散し、中性子束高の自動スクラムにまで至ったことから重要視されている。このような事象に対しては、どのような運転状態に不安定領域が存在するか、どのような経過で不安定領域へ入ったかを明らかにすることが重要である。本報は、このために行った1)BWRの不安定性の発生する領域を示すマップを作成するための解析、2)事象のシミュレーションの結果の報告である。本解析により、不安定問題に対して時間領域の解析が有効であることを示したと同時に、事故事例の定量的理解を深めることができた。
吉田 一雄; 青柳 俊彦*; 広田 康浩*; 藤井 実; 藤木 和男; 横林 正雄; 鴻坂 厚夫
Artificial intelligence and other innovative computer applications in the nuclear industry, p.375 - 381, 1988/00
ルール記述に基づくエキスパートシステムの開発で最も重要なことの一つは知識ベースの構築法であることから、この知識ベースを客観的かつ効率良く作ることを試みてきた。これはプロトタイプの知識ベースを系統的な方法で生成させ、次に実用システムに対して専門知識を用いて修正改良を行うという基本方針に基づくものである。 原研で開発したエキスパートシステムDISKETにPWRシミュレータのデータを用いてプロトタイプの知識ベースを統計的方法である因子分析、重回帰分析等により作成した。このプロトタイプの知識ベースを用いて、種々の外乱に対する診断を実行したところ良好な結果が得られ本手法はプロトタイプの知識ベース構築に有効であることがわかった。