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海老原 充*; 白井 直樹*; 大澤 崇人; 山口 亮*
Geochimica et Cosmochimica Acta, 389, p.200 - 210, 2025/01
被引用回数:2 パーセンタイル:96.61(Geochemistry & Geophysics)南極で採取された12個の炭素質コンドライトの主要元素を含む15元素を中性子誘起即発ガンマ線分析を用いて定量した。これらの試料のいくつかは、CIコンドライトやCMコンドライトと親和性を持つことが観測されたが、既知のCIコンドライトやCMコンドライトと同じ特徴は示さなかった。その結果、これらの隕石には「CY」という新しいグループが提案された。12個の隕石に共通するのは、揮発性元素であるHと塩素が枯渇していることで、非南極のCIレベルに比べて相関があり、枯渇している。この枯渇は、南極大陸に落下する前に母天体で熱変成を受けたことに起因すると考えられ、本研究で分析した12隕石は全て同じ化学グループCYに分類されることが示唆された。中程度の揮発性元素であるMnとSの存在量から、12個の隕石は非南極CIに近いレベルのグループと、CIとCMの中間のレベルのグループに分けられる。これらの結果は、CYコンドライトが異なる母天体(物質)に由来することを示唆しており、2つの異なる母天体(物質)を考慮する必要がある。CYコンドライトに関する議論を深めるために、CIとCMに近い組成を持つグループをそれぞれCYiとCYmと命名することを提案する。
山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁
Scripta Materialia, 255, p.116366_1 - 116366_5, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nanoscience & Nanotechnology)鉄鋼やアルミニウム合金の粒界破壊の原因候補の一つとして水素がもたらす粒界凝集エネルギー低下が考えられている。最近はそれに対する粒界偏析元素の影響が第一原理計算により調べられているが、粒界凝集エネルギーを定量的に評価した研究はない。本研究では、第一原理計算結果を利用した定量的評価手法について述べ、いくつかのテスト計算の例を示す。
山口 正剛; 海老原 健一; 都留 智仁; 板倉 充洋
Materials Transactions, 64(11), p.2553 - 2559, 2023/11
被引用回数:9 パーセンタイル:74.29(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウム合金中のMgZn析出物とMg
Si晶出物の非整合界面における水素トラップエネルギーを第一原理計算から計算することを試みた。非整合界面を含む単位胞は周期境界条件を満たさず、結晶ブロックが不連続になるため、不連続領域(真空領域)から離れた領域で水素トラップエネルギーを計算した。その結果、この原子論的配置を仮定した非整合界面では、水素原子のトラップエネルギーがかなり大きいことがわかった。また、アルミニウム母相中のMg
Siの非整合界面における水素トラップによる凝集エネルギーの減少についても予備的計算を行った。
藤 暢輔; 瀬川 麻里子; 前田 亮; 常山 正幸*; 木村 敦; 中村 詔司; 遠藤 駿典; 海老原 充*
Analytical Chemistry, 93(28), p.9771 - 9777, 2021/07
被引用回数:7 パーセンタイル:37.70(Chemistry, Analytical)Considering the expanding demand for nuclear waste management of the spent nuclear fuel materials in near future, a non-destructive analytical scheme applicable to the most difficult-to-measure nuclide of Pd, which emits no decay gamma-rays and whose half-life is too long to be decayed out during a human lifetime, was designed. The scheme consists of a sophisticated instrument capable of the detection of gamma-rays by Ge detectors coupled with time-of-flight measurement of neutrons and a high-intensity pulsed neutron beam, and can simultaneously perform TOF-coupled prompt gamma-ray analysis (TOF-PGA) as well as PGA and NRCA. An analytical capability was evaluated by applying to simulated samples of the Tc-platinum group metals (Tc-PGMs) obtained by the group partitioning process of spent nuclear fuels, which contain not only
Pd but also
Tc and another difficult-to-measure fission product. It was confirmed that, although PGA and NRCA could accurately analyze both nuclides in individual single substances, only TOF-PGA can analyze
Pd as well as
Tc in the Tc-PGMs simulated sample. The TOF-PGA measurement technique can be widely used for the non-destructive analysis of
Pd and
Tc in nuclear wastes.
山口 正剛; 板倉 充洋; 都留 智仁; 海老原 健一
Materials Transactions, 62(5), p.582 - 589, 2021/05
被引用回数:21 パーセンタイル:74.76(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウム結晶中のらせん転位および刃状転位の水素トラップエネルギーを第一原理から計算した。詳細な計算条件を記述した。トラップ可能なあらゆるサイトを調べ尽くすことは計算時間の制約上困難であるが、計算した範囲内においてはらせん転位は最大で0.11eV/atom、刃状転位では最大で0.18eV/atomというトラップエネルギーが得られた。実験値との際について議論した。
山口 正剛; 都留 智仁; 海老原 健一; 板倉 充洋; 松田 健二*; 清水 一行*; 戸田 裕之*
Materials Transactions, 61(10), p.1907 - 1911, 2020/10
被引用回数:23 パーセンタイル:72.16(Materials Science, Multidisciplinary)アルミニウム合金中の金属間化合物MgSi及びAl
FeCu
の水素トラップエネルギーを第一原理から計算した。Mg
Siは水素をトラップしないが、Al
FeCu
はその結晶内部に水素原子を0.56eV/atomという強いトラップエネルギーでトラップすることが分かった。このことは、合金の製造過程でAl
FeCu
化合物の生成を適切に制御できれば、水素脆化の防止に役立つことを意味している。
都留 智仁; 清水 一行*; 山口 正剛; 板倉 充洋; 海老原 健一; Bendo, A.*; 松田 健二*; 戸田 裕之*
Scientific Reports (Internet), 10, p.1998_1 - 1998_8, 2020/04
被引用回数:58 パーセンタイル:88.90(Multidisciplinary Sciences)鉄やチタンと異なりアルミニウムは熱処理で他の相が生成することがないため、高強度アルミニウム合金の生成には析出物による時効強化が唯一の方法として用いられてきた。そのため、高濃度に分布した析出物は機械特性や水素脆化に重要な役割を果たす。これまで、7000番のアルミニウム合金における析出物とマトリクス界面は整合であるため、水素によるデコヒージョンの要因になると考えられていなかった。本研究では、実験と理論、および第一原理計算を連携することで、欠陥にトラップされる水素分配を理論的に予測することに成功した。さらに、アルミニウム合金で観察される擬へき開破壊のメカニズムについて、析出物界面にトラップされた水素は占有率が上昇しても安定にトラップし続け、自発的に破壊することがその要因であることを明らかにした。
戸田 裕之*; 山口 正剛; 松田 健二*; 清水 一行*; 平山 恭介*; Su, H.*; 藤原 比呂*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; et al.
鉄と鋼, 105(2), p.240 - 253, 2019/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本レビューでは、高強度アルミニウム合金の水素脆化に関する研究活動、特に様々なトラップサイトでの水素トラップとそれによる水素脆化への影響に焦点を当てて報告する。高亜鉛濃度Al-Zn-Mg合金において、高分解能TEM法による析出物のナノ構造及び界面構造の分析や、高分解能X線マイクロトモグラフィー技術による詳細な破壊マイクロメカニズムとマイクロ構造-破壊特性関係の調査がなされ、さらに、ごく最近実現された超高分解能X線顕微鏡により特徴的な局部的変形、亀裂の発生・成長が観察されている。また、第一原理シミュレーションによる数々の水素トラップサイトのトラップエネルギー導出を元に、変形・破壊中の水素再分配が解析された。水素の再分配と3つの異なるミクロ機構による水素脆化との間の関係を論じ、水素脆化が起こるための現実的な条件を説明する。
山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; 松田 健二*; 戸田 裕之*
Computational Materials Science, 156, p.368 - 375, 2019/01
被引用回数:50 パーセンタイル:84.06(Materials Science, Multidisciplinary)金属の応力腐食割れメカニズム解明を目的として、アルミニウム結晶粒界に対する水素偏析の影響を第一原理計算により調べた。水素の溶解度が高い場合には、高エネルギー粒界には水素の偏析が可能であることが分かった。またアルミニウム粒界には水素が大量に偏析可能であり、それとともに粒界が膨張することで電子密度が低下していき、その結果粒界の凝集エネルギーが大きく低下することが分かった。
山口 正剛; 都留 智仁; 海老原 健一; 板倉 充洋
軽金属, 68(11), p.588 - 595, 2018/11
アルミニウム合金中の水素が力学特性に与える影響を把握するには、水素の存在状態を理解することが必要である。そのため、アルミニウム中のポア内表面における水素解離吸着とそれによる表面エネルギー低下について、統計熱力学的取り扱いとともに、第一原理計算や実験データを参考にした具体的な数値データを示した。理想気体からのずれも取り入れた。実験的には不明な解離吸着エネルギーが0.0-0.1eV/atomHの範囲とすると、室温で圧力100MPaの高圧水素ガスに対して、表面吸着占有率は0.08-0.8程度、表面エネルギー低下は1-13%程度になるという見積り結果となった。
海老原 健一; 山口 正剛; 都留 智仁; 板倉 充洋
軽金属, 68(11), p.596 - 602, 2018/11
水素脆化は応力腐食割れの原因の1つとして考えられている。鉄鋼材料と同様に高強度アルミニウム合金の開発では水素脆化は重大な問題となっている。アルミニウム合金における水素脆化の研究は鉄鋼材料における水素脆化機構の解明に示唆を与えると考えられる。水素脆性を理解するためには、合金中の水素トラップ状態を知ることは避けられず、それは水素の熱脱離分析法を用いて同定することができる。本研究では、円筒状試料および板状試料について報告されたアルミニウム中の水素の熱脱離スペクトルを数値シミュレーションし、それらに含まれる脱離ピークをトラップサイト濃度およびトラップエネルギーに基づいて解釈した。その結果、最低温度側の脱離ピークは粒界から生じることが明らかとなり、他の脱離ピークは報告された解釈が合理的であることが確認された。さらに、試料を加熱する過程で転位や空孔のトラップサイト濃度が変化する可能性を示す結果を得た。この結果は、鉄鋼材料において昇温脱離曲線から水素トラップ状態を解釈する上で有意な示唆を与えるものである。
北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(14), p.7754 - 7770, 2018/07
被引用回数:27 パーセンタイル:66.59(Meteorology & Atmospheric Sciences)日本学術会議のモデル相互比較プロジェクト(2014)で提供された、福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出されたCsの計算に用いられた7つの大気輸送モデルの結果を比較した。本研究では、東北及び関東地方に輸送された9つのプルームに着目し、モデル結果を1時間間隔の大気中
Cs濃度観測値と比較することにより、モデルの性能を評価した。相互比較の結果は、
Cs濃度の再現に関するモデル性能はモデル及びプルーム間で大きく異なることを示した。概してモデルは多数の観測地点を通過したプルームを良く再現した。モデル間の性能は、計算された風速場と使用された放出源情報と一貫性があった。また、積算
Cs沈着量に関するモデル性能についても評価した。計算された
Cs沈着量の高い場所は
Csプルームの経路と一致していたが、大気中
Cs濃度を最も良く再現したモデルは、沈着量を最も良く再現したモデルとは異なっていた。全モデルのアンサンブル平均は、
Csの大気中濃度と沈着量をともに良く再現した。これは、多数モデルのアンサンブルは、より有効で一貫したモデル性能を有することを示唆している。
都留 智仁; 山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 椎原 良典*; 松田 健二*; 戸田 裕之*
Computational Materials Science, 148, p.301 - 306, 2018/06
被引用回数:57 パーセンタイル:84.59(Materials Science, Multidisciplinary)高強度の7000番台アルミニウム合金の水素脆化はAl合金の実用における重要な問題と考えられてきた。しかし、近年の観察技術の発展にもかかわらず、Al合金中の水素の挙動を実験的に捉えることは非常に困難である。本研究では7000番台の特徴であるMgZn析出物に着目して、析出物内部及びAl-析出物界面における水素偏析を第一原理計算を用いて体系的に検討した。零点エネルギーを考慮したトラップエネルギー解析により、MgZn
の内部には9つの格子間サイトが存在することが確認されたものの、Alの四面体サイトより不安定であることから析出物内部への偏析は生じないことがわかった。一方、Al-析出物界面の安定なサイトではトラップエネルギーが-0.3eVと非常に大きいことがわかった。これはAl中の粒界などのトラップサイトより大きく、Al-析出物界面がAl合金中の優先的な偏析サイトになることを示唆している。
Huang, M.; 藤 暢輔; 海老原 充*; 木村 敦; 中村 詔司
Journal of Applied Physics, 121(10), p.104901_1 - 104901_7, 2017/03
被引用回数:3 パーセンタイル:13.29(Physics, Applied)A new analytical technique, time-of-flight prompt -ray analysis, has been developed at the Japan Proton Accelerator Research Complex. In order to apply it to accurate elemental analysis, a set of standard Fe and Au samples were measured to examine the factors which affect the number of detected events. It was found that the main contributing factors included the attenuations of neutrons and
rays in the sample, live-time ratio of the data acquisition system and signal pile-up correction factor. A simulation model was built for the estimations of neutron and
-ray attenuations. A simple empirical formula was proposed to calculate the signal pile-up correction factor. The whole correction method has proven to be accurate and reliable.
山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋
Proceedings of 2016 International Hydrogen Conference (IHC 2016); Materials Performance in Hydrogen Environments, p.563 - 571, 2017/00
原子炉内構造材料の応力腐食割れメカニズム解明の一環として、鉄鋼の水素脆化メカニズム候補の一つである凝集エネルギー低下(Hydrogen-Enhanced DEcohesion = HEDE)説の検証のため、第一原理計算を用いた研究を行っている。鉄粒界凝集エネルギー低下をもたらす水素の効果を、炭素やその他の偏析元素の影響を加えつつ計算した。その第一原理計算結果と破壊力学試験を組み合わせた解析から、粒界に偏析した水素がもたらすHEDE以外にも、モバイル水素によるHEDEが生じていることが示唆された。
藤 暢輔; 海老原 充*; Huang, M.; 木村 敦; 中村 詔司; 原田 秀郎
放射化学, (33), p.1 - 9, 2016/03
中性子即発線分析(PGA)は、中性子捕獲反応に伴って放出される即発
線により元素分析を行う方法で、迅速に多元素を非破壊分析できるという特長がある。そのため、宇宙化学・環境・考古学・材料など幅広い分野で用いられ、多くの研究に貢献している。PGAはこれまでに同時計数法や反同時計数法によって検出限界や峻別性能の改良がおこなわれてきたが、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)における大強度パルス中性子ビームによって、飛行時間法を用いた即発
線分析(TOF-PGA)の利用が可能となった。本稿では同時計数法による即発
線分析(MPGA)のほか、MLFに設置された中性子核反応測定装置(ANNRI)の概要と本装置によって可能となるTOF-PGAについて解説する。
山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋
Corrosion Reviews, 33(6), p.547 - 557, 2015/11
原子炉材料劣化メカニズム研究の一環として、不純物元素(Sb, Sn, P)の粒界偏析を伴うNi-Cr鋼(降伏強度840MPa)の粒界水素脆性メカニズムを調べるため、粒界凝集エネルギーの第一原理計算を行い、破壊靭性試験データと組み合わせた解析を行った。粒界凝集エネルギーの計算には、亀裂の進展中に動きまわり破面形成を助長するように破面吸着するモバイル水素の影響を考慮した。さらに不純物元素の偏析による効果を加えた上で、非常に低い固溶水素濃度(10原子分率)においても20-30%程度の十分な凝集エネルギー低下が生じうることを示した。解析により、水素ガス環境下で生じる低速な粒界破壊に対して測定された限界応力拡大係数
と粒界凝集エネルギーとのマルチスケールな関係を求め、
の変化が粒界凝集エネルギー変化によってよくコントロールされていることを示した。
藤 暢輔; Huang, M.; 木村 敦; 中村 詔司; 原田 秀郎; 海老原 充*
四季, 28, P. 4, 2015/09
中性子核反応測定装置ANNRIは、高検出効率の即発線検出装置、高性能なデータ収集系等を備えているほか、広いエネルギーレンジの中性子を用いることができる。中性子を用いた非破壊分析法の一つである即発
線分析(PGA)は、非破壊・多元素同時・バルク分析などの特徴を持つため貴重な試料や破壊が困難な試料の分析に有効である。ANNRIではパルス中性子を用いることができるため、中性子捕獲反応における共鳴を使った分析(中性子共鳴捕獲分析法)も行うことができる。物質・生命科学実験施設MLFから得られる大強度パルス中性子と大立体角を持つゲルマニウム検出器等を用いることによってゲルマニウム検出器でも中性子共鳴捕獲分析を行うことを可能とし、2つの手法を融合した新しい手法を確立した。これによってPGAと中性子共鳴捕獲分析の2つの結果が同時に得られるだけでなく、2つの分析手法の融合による相乗効果が得られる。つまり、PGAでも中性子共鳴捕獲分析でも測定が困難であるものでも分析できるようになった。本論文では、開発した手法について混合標準試料を用いた実験をもとにその特長についての解説を行う。
藤 暢輔; 海老原 充*; Huang, M.; 木村 敦; 中村 詔司; 原田 秀郎
Isotope News, (736), p.22 - 26, 2015/08
中性子核反応測定装置(ANNRI)は、J-PARC MLFに設置された即発線測定実験のための装置であり、主に核データ測定、天体核物理および元素分析の研究開発が行われている。中性子ビームを用いた元素分析法には2つの代表的な手法があり、一つは中性子捕獲
線のエネルギーを用いる即発
線分析(PGA)、もう一つは飛行時間法(TOF)から得られる中性子エネルギーを用いる中性子共鳴捕獲分析である。ANNRIでは大強度パルス中性子ビームと高効率Ge検出器を用いることによって、前述の2つの元素分析法を融合した新しい元素分析法を行うことができる。新しい手法では3次元スペクトル(TOF-PGAスペクトル)を解析することによって従来法では解析が困難な場合でも正確な値が得られることを混合標準試料の測定結果によって示した。今後は非破壊分析が望まれる様々な分野において用いられるものと期待している。
藤 暢輔; 海老原 充*; 木村 敦; 中村 詔司; 原田 秀郎; 原 かおる*; 小泉 光生; 北谷 文人; 古高 和禎
Analytical Chemistry, 86(24), p.12030 - 12036, 2014/12
被引用回数:21 パーセンタイル:57.98(Chemistry, Analytical)非破壊分析法は科学研究の多くの分野において必要不可欠のツールとして用いられてきた。即発線分析は
線のエネルギーを解析することにより元素分析を行う手法であり、共鳴捕獲元素分析は中性子の共鳴エネルギーを使う手法である。どちらの手法も試料を中性子に照射して
線を検出する手法であるが、これまで同時に用いられることはなかった。我々は強力なパルス中性子ビームを用いることによって、2つの手法を組み合わせた手法を初めて開発した。開発した手法は、一度に両方の手法からの測定結果を得ることができるだけでなく、この融合による相乗効果も得られる。つまり、どちらの手法でも分析が困難である試料を分析することができる。本論文では開発した手法をCo, Au, Agなどを含む混合試料に適用し、従来法のスペクトルにある不可分のピークから信頼性の高いデータが得られることを証明している。