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論文

Ordered graphane nanoribbons synthesized via high-pressure diels-alder polymerization of 2,2'-bipyrazine

Li, F.*; Tang, X.*; Fei, Y.*; Zhang, J.*; Liu, J.*; Lang, P.*; Che, G.*; Zhao, Z.*; Zheng, Y.*; Fang, Y.*; et al.

Journal of the American Chemical Society, 147(17), p.14054 - 14059, 2025/04

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)

2,2'-ビピラジン(BPZ)の圧力誘起重合により結晶性グラファンナノリボン(GANR)を合成した。中性子回折データのリートベルト精密化,核磁気共鳴スペクトル,赤外スペクトル,理論計算を行った結果、BPZは$$pi$$ $$cdots$$ $$pi$$積層した芳香環の間でディールス・アルダー重合し、並外れた長距離秩序を持つ伸びたボート型GANR構造を形成することがわかった。未反応の-C=N-基がボートの両端を橋渡ししており、さらなる機能化の余地がある。このGANRのバンドギャップは2.25eVであり、光電応答は良好である(I$$_{on}$$/I$$_{off}$$ =18.8)。われわれの研究は、高圧トポケミカル重合法が、特定の構造と望んだ特性を持つグラファンの精密な合成に有望な方法であることを強調している。

論文

Quantitative evaluation of carbon dioxide emissions from the subsoils of volcanic and non-volcanic ash soils in temperate forest ecosystems

阿部 有希子; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳

Geoderma, 455, p.117221_1 - 117221_11, 2025/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Soil Science)

森林土壌に蓄積されている炭素の半分以上が下層土壌(30cm以深)に存在している。しかし、下層土壌の陸域炭素循環における寄与やそれを制御する要因については未解明な点が多い。そこで本研究では、下層土壌からのCO$$_{2}$$放出量を定量評価するとともに、CO$$_{2}$$放出に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。有機炭素蓄積特性の異なる2つのタイプの森林土壌(火山灰土壌と非火山灰土壌)を対象に、深さ60cmまでの土壌を採取し、培養実験により深さごとのCO$$_{2}$$放出速度を測定した。また、放出されたCO$$_{2}$$の放射性炭素同位体比を分析した。その結果、下層土壌からのCO$$_{2}$$放出は、全体(深さ0-60cm)の放出量の6-23%を担い、1950年以降に固定された有機炭素の分解に起因していることが明らかになった。下層土壌からのCO$$_{2}$$放出は、土壌微生物が利用しやすい有機炭素の量と微生物バイオマス量に規定されていることが示唆された。

論文

High-pressure polymerization of phenol toward degree-4 carbon nanothread

Yang, X.*; Che, G.*; Wang, Y.*; Zhang, P.*; Tang, X.*; Lang, P.*; Gao, D.*; Wang, X.*; Wang, Y.*; 服部 高典; et al.

Nano Letters, 25(3), p.1028 - 1035, 2025/01

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)

飽和sp$$^3$$-カーボンナノスレッド(CNTh)は、その高いヤング率と熱伝導率が予測され、大きな関心を集めている。中心環へのヘテロ原子の導入がCNThの形成に影響を与え、化学的に均質な生成物が得られることが示されているが、ペンダント基が重合プロセスに与える影響については、まだ未解明である。本研究では、フェノールの圧力誘起重合を調べ、0.5GPaと4GPa以下で起こる2つの相転移を明らかにした。20GPa以上では、フェノールは水酸基とカルボニル基を持つ重合度4のCNTに重合する。ヒドロキシル基の水素移動は、重合度6のナノスレッドの形成を妨げることがわかった。この発見は、さらなるカラム内重合を阻止する水酸基の重要な役割を浮き彫りにし、今後のメカニズム研究やナノ材料合成に貴重な示唆を与えるものである。

論文

Pressure-induced polymerization of 1,4-difluorobenzene towards fluorinated diamond nanothreads

Che, G.*; Fei, Y.*; Tang, X.*; Zhao, Z.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Wang, X.*; Ju, J.*; Dong, X.*; Wang, Y.*; et al.

Physical Chemistry Chemical Physics, 27(2), p.1112 - 1118, 2025/01

 被引用回数:3 パーセンタイル:65.57(Chemistry, Physical)

芳香族分子の圧力誘起重合(PIP)は、様々な炭素系材料を合成するための効果的な方法として浮上してきた。目的とする構造や機能を得るためには、適切な官能基化された分子前駆体の選択が極めて重要である。本研究では、1,4-ジフルオロベンゼン(1,4-DFB)をPIPの構成要素として選択した。1,4-DFBをその場高圧で調べた結果、約12.0GPaで相転移が起こり、18.7GPaで不可逆的な化学反応が起こることがわかった。生成物の構造解析と反応のカイネティクスから、直線的な成長を伴う擬六方晶積層フッ素ダイヤモンドナノスレッドの形成が明らかになった。高圧下のベンゼンの結晶構造と比較して、1,4-DFBは[001]軸に沿って高い圧縮を示す。この異方的な圧縮は、[01$$overline{1}$$]軸に沿ったより強いH$$cdot cdot cdot pi$$相互作用と、[100]軸と[010]軸に沿った潜在的な圧縮阻害H$$cdot cdot cdot$$F相互作用に起因し、[01$$overline{1}$$]軸に沿った可能な反応経路を促進する。この研究は、分子スタッキングを調節し、反応経路に影響を与える官能基化の重要な役割を強調している。

論文

Solid-state Alder-ene reaction of 1-hexene under high pressure

Xu, J.*; Lang, P.*; Liang, S.*; Zhang, J.*; Fei, Y.*; Wang, Y.*; Gao, D.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Dong, X.*; et al.

Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), p.2445 - 2451, 2025/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

アルダー-エン反応は、アルケンとアリル水素との化学反応であり、C-C結合を構築する効率的な方法である。従来、この反応には触媒、高温、あるいは光触媒が必要であった。本研究では、触媒を用いずに室温下で加圧することで成功した1-ヘキセンのアルダー-エン反応を報告する。1-ヘキセンは4.3GPaで結晶化し、18GPaで重合してオレフィンを形成する。ガスクロマトグラフィー-質量分析法により、1-ヘキセンが高圧下でのアルダー-エン反応により二量体を生成することを発見した。その場中性子回折から、この反応過程はトポケミカル則に従わないことがわかった。理論計算により、1つのC-H $$sigma$$結合と2つのアルケン$$pi$$結合を含む6員環遷移状態が示され、そのエネルギーは20GPaまで圧縮すると明らかに減少した。本研究は、触媒を用いずに室温でアルダー-エン反応を実現する新規かつ有望な方法を提供し、この重要な反応の応用を拡大するものである。

論文

Quantitative importance of subsoil nitrogen cycling processes in Andosols and Cambisols under temperate forests

中山 理智; 阿部 有希子; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳

Applied Soil Ecology, 201, p.105485_1 - 105485_12, 2024/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:64.86(Soil Science)

森林において窒素は植物の生育の制限要因である。樹木を含む植物は種間の養分競争が苛烈な時、表層に加え下層土壌からも窒素を吸収している。しかし、下層土壌における窒素循環に関する知見は限られている。本研究では、2つの異なる土壌タイプに成立する日本の森林において、窒素の純無機化速度および硝化速度の深度プロファイル(0-60cm)を調査した。またPLS-PMモデルを用いて、窒素循環に重要な要因の特定を行った。土壌重さ当たりの窒素無機化、硝化はAndosolの表層で高く、深度とともに低下したが、Cambisolにおいてその傾向は見られなかった。微生物バイオマス量と土壌有機物量は表層における窒素循環の空間分布を規定することが知られているが、深度方向の窒素循環にもそれらが重要であることがPLS-PMモデルによって明らかとなった。さらに、土壌体積当たりで計算をすると、土壌タイプや深度に関わらず窒素無機化速度は一定であった。これにより、Andosol, Cambisolの双方において、下層土壌は重要な植物の窒素吸収源であることが示唆された。

論文

高圧中性子回折実験のためのダイヤモンドアンビルセルの開発

町田 真一*; 服部 高典; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 阿部 淳*

高圧力の科学と技術, 34(3), p.134 - 142, 2024/09

J-PARC物質・生命科学実験施設PLANETビームラインにおいて、高圧中性子回折実験用ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を開発した。高圧発生には円錐形状で支持されたダイヤモンドアンビルを用いた。その結果、69.4GPaまでのD$$_2$$O氷の中性子データを得ることに成功した。また、中性子回折測定に適したガスケット材料を検討した。11種類の合金を試験し、SUS304, Inconel718, M2052 (73Mn-20Cu-5Ni-2Fe, at%)合金が優れた性能を示した。特にM2052ヌルマトリクス合金は、入射ビームがガスケットに当たることが避けられない中性子回折実験に有用であることが実証された。われわれは、D$$_2$$O氷に対して少なくとも43.3GPaまでリートベルト解析が可能な中性子回折プロファイルを得ることができた。

論文

Hydroxyl group/fluorine disorder in deuterated magnesium hydroxyfluoride and behaviors of hydrogen bonds under high pressure

He, X.*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 岡島 元*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 阿部 淳*; 後藤 弘匡*; et al.

Journal of Molecular Structure, 1310, p.138271_1 - 138271_8, 2024/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

重水素化ヒドロキシフルオロマグネシウム[理想組成はMg(OD)F]のO-D$$cdotcdotcdot$$F水素結合の高圧応答を中性子粉末回折とラマン分光法を用いて調べた。常温でのリートベルト解析の結果、化学組成はMg(OD)$$_{0.920(12)}$$F$$_{1.080(12)}$$であり、結晶構造中で水酸基/フッ素(OD/F)が無秩序化して、2つの水素結合配置が生じていることが分かった。構造解析の結果、水素結合配置は9.8GPaまで維持され、圧力による水素結合の強化は見られなかった。常圧でのラマンスペクトルでは、2613, 2694, 2718cm$$^{-1}$$に3つの水酸基伸縮バンドが観測された。O-D伸縮モードの周波数が高いことから、ヒドロキシル基は弱い水素結合相互作用、あるいは水素結合を持たないことが示唆された。20.2GPaまでは、2694cm$$^{-1}$$を中心とするモードは圧力によってブルーシフトを示し、水素結合は圧縮されても強化されないことが明らかになった。これは、中性子回折の結果と一致した。水素結合の存否と、常圧および高圧での水酸基のブルーシフトの原因について議論した。

論文

Structural changes of polystyrene particles in subcritical and supercritical water revealed by in situ small-angle neutron scattering

柴田 基樹*; 中西 洋平*; 阿部 淳*; 有馬 寛*; 岩瀬 裕希*; 柴山 充弘*; 元川 竜平; 熊田 高之; 高田 慎一; 山本 勝宏*; et al.

Polymer Journal, 55(11), p.1165 - 1170, 2023/11

 被引用回数:2 パーセンタイル:19.24(Polymer Science)

Marine ecosystem degradation due to micro plastics is a significant environmental problem, as acknowledged by Sustainable Development Goal 14. Decomposition of plastics using near critical or supercritical water is one of the promising methods to reduce micro plastics. To attain the optimization of the method for improving environmental friendliness, it is necessary to clarify the structural change of materials during the process. We, thus, investigated the decomposition processes of polystyrene particles dispersed in deuterated water (D$$_{2}$$O) during heating under near critical or supercritical conditions by using in situ small-angle neutron scattering. Under subcritical conditions, the PS particles were swollen by D$$_{2}$$O due to increased compatibility with temperature. Near the critical point in subcritical conditions, the cleavage of PS chains in the particles occurred, so that the swollen ratio was much enhanced though the PS particles kept their shapes. In a supercritical condition, the PS particles were degraded into oil including oligomers or monomers and the phase-separated structures with styrene-rich and D$$_{2}$$O-rich regions.

論文

Deuterium content and site occupancy in iron sulfide at high pressure and temperature determined using in situ neutron diffraction measurements

Abeykoon, S.*; Howard, C.*; Dominijanni, S.*; Eberhard, L.*; Kurnosov, A.*; Frost, D. J.*; Boffa Ballaran, T.*; 寺崎 英紀*; 坂巻 竜也*; 鈴木 昭夫*; et al.

Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 128(9), p.e2023JB026710_1 - e2023JB026710_17, 2023/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:32.37(Geochemistry & Geophysics)

少量の硫化鉄鉱物は、地球のマントルから産出するほとんどの岩石や、天然のダイヤモンドに内包物として含まれている。水素は高温高圧下で硫化鉄鉱物に溶解している可能性があるが、地表の温度と圧力では失われている。本研究では、高温高圧下における硫化鉄中の重水素量を、11.4GPa, 1300Kまでの条件でJ-PARCのPLANETでの6軸型マルチアンビルプレスを用いたその場観察中性子回折実験により決定した。硫化鉄水素化物中の全重水素含有量は高温高圧下で増加することが明らかになった。この結果を用いて、大陸深部のリソスフェアマントル中の硫化鉄鉱物の水素含有量を見積もったところ、1700-2700ppmの範囲にあることがわかった。これはバルクマントル中の約2-3ppmの水素に相当する。

論文

Soil dust and bioaerosols as potential sources for resuspended $$^{137}$$Cs occurring near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant

太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康

Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊した$$^{137}$$Csの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中$$^{137}$$Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての$$^{137}$$Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中$$^{137}$$Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状$$^{137}$$Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への$$^{137}$$Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中$$^{137}$$Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中$$^{137}$$Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。

論文

Hydrogen occupation and hydrogen-induced volume expansion in Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$D$$_x$$ at high $$P-T$$ conditions

市東 力*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 阿部 淳*; 齋藤 寛之*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

American Mineralogist, 108(4), p.659 - 666, 2023/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:71.52(Geochemistry & Geophysics)

Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)の12GPa, 1000Kまでの高温高圧下における相関係と結晶構造をその場X線及び中性子回折測定により明らかにした。今回実験した温度圧力下において、Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)ではFeH$$_x$$(D$$_x$$)とは異なり、重水素原子は面心立方構造(fcc)中の四面体サイトを占有しないことが明らかになった。単位重水素あたりの水素誘起膨張体積$$v_mathrm{D}$$は、fcc相で2.45(4) $AA$^3$$、hcp相で3.31(6) $AA$^3$$であり、FeD$$_x$$におけるそれぞれの値より著しく大きいことが明らかになった。また、$$v_mathrm{D}$$は温度の上昇に伴いわずかに増加した。この結果は、鉄に10%ニッケルを添加するだけで、金属中の水素の挙動が劇的に変化することを示唆している。$$v_mathrm{D}$$が圧力に関係なく一定であると仮定すると、地球内核の最大水素含有量は海洋の水素量の1-2倍であると推定される。

論文

Pressure-modulated magnetism and negative thermal expansion in the Ho$$_2$$Fe$$_{17}$$ intermetallic compound

Cao, Y.*; Zhou, H.*; Khmelevskyi, S.*; Lin, K.*; Avdeev, M.*; Wang, C.-W.*; Wang, B.*; Hu, F.*; 加藤 健一*; 服部 高典; et al.

Chemistry of Materials, 35(8), p.3249 - 3255, 2023/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:21.90(Chemistry, Physical)

静水圧や化学圧力は、結晶構造を変化させる効率的な刺激であり、材料科学において電気的、磁気的特性のチューニングによく利用されている。しかし、化学圧力は定量化が困難であり、これら両者の定量的な対応関係はまだよくわかっていない。本研究では、負の熱膨張(NTE)を持つ永久磁石の候補である金属間化合物を調べた。放射光X線その場観察により、AlをドープしたHo$$_2$$Fe$$_{17}$$に負の化学圧力があることを明らかにし、単位セル体積の温度・圧力依存性を用いそれを定量的に評価した。また、磁化測定と中性子回折測定を組み合わせることで、磁気秩序に対する化学圧力と静水圧の違いを比較した。興味深いことに、圧力はNTEの抑制と増強を制御するために使用することができた。電子状態計算から、圧力がFermiレベル(EF)に対する主要バンドの上部に影響を与えたことを示しており、これは磁気安定性に影響を与え、それが磁気とNTEを調節する上で重要な役割を果たしていることがわかった。本研究は、圧力の影響を理解し、それを利用して機能性材料の特性を制御する良い例を示している。

論文

Atomic distribution and local structure in ice VII from in situ neutron diffraction

山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fern$'a$ndez-D$'i$az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10

 被引用回数:7 パーセンタイル:32.68(Multidisciplinary Sciences)

氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。

論文

Spatial variation in soil respiration rate is controlled by the content of particulate organic materials in the volcanic ash soil under a ${it Cryptomeria japonica}$ plantation

阿部 有希子*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 橋本 昌司*; 丹下 健*

Geoderma Regional (Internet), 29, p.e00529_1 - e00529_11, 2022/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.90(Soil Science)

本研究では、火山灰土壌における土壌呼吸速度の空間変動の要因を明らかにするために、火山灰母材の35年生のスギ人工林において調査区を設置した。2013年1月から2019年8月の期間に土壌呼吸速度を定期的に測定し、空間変動の経年変化を調べた。さらに、2019年8月に全ての測点内からリターと土壌を採取し、Ao層の炭素量、土壌炭素量(SOC)、比重の軽い画分($$<$$1.6g cm$$^{-3}$$)の炭素量(LF-C),細根量,容積重を測定した。土壌呼吸速度の測点間の空間的なばらつきの傾向は7年間維持されていた。重回帰分析の結果、LF-Cのみを説明変数とするモデルが土壌呼吸速度を最も精度高く予測しており、他の要因を加えても精度は向上しなかった。また、SOCは土壌呼吸速度との関係が認められなかった。火山灰土壌では土壌呼吸速度の説明変数としてSOCよりもLF-Cの方が適していることが示唆された。

論文

Structure of basaltic glass at pressures up to 18 GPa

大橋 智典*; 坂巻 竜也*; 舟越 賢一*; 服部 高典; 久野 直樹*; 阿部 淳*; 鈴木 昭夫*

American Mineralogist, 107(3), p.325 - 335, 2022/03

 被引用回数:2 パーセンタイル:19.86(Geochemistry & Geophysics)

マグマの物性を知るために、室温で加圧されたバサルトガラスの構造をX線および中性子回折により約18GPaまで調べた。加圧によりバサルトガラスは圧縮挙動を変化させた。つまり約2-4GPaにおいて、平均酸素間距離(r$$_textrm{OO}$$)を保ったまま、酸素の平均配位数(CN$$_textrm{OO}$$)は上昇しはじめる。さらに加圧すると9GPaでCN$$_textrm{OO}$$の上昇はとまり、Al周りの酸素配位数(CN$$_textrm{AlO}$$)を上昇させながら、r$$_textrm{OO}$$が縮み始める。9GPaでの変化は ガラスの圧縮機構が、四面体ネットワークの変形から、CN$$_textrm{AlO}$$の増大を伴った酸素充填率の上昇に変わることで解釈できる。高圧下の酸素の充填率($$eta_textrm{O}$$)を解析すると、その値がデンスランダムパッキングの限界値を超えることが分かった。このことは、石英やケイ酸塩ガラスの構造相転移が酸素充填限界説では説明できないことを示している。2-4GPaに見られたCN$$_textrm{OO}$$の上昇は四配位ケイ酸塩ガラスのソフト化と対応しており、過去にLiu and Lin (2014)によって報告された約2GPaでのバサルトガラスの弾性異常の起源であるかもしれない。

論文

Development of triaxial compressive apparatus for neutron experiments with rocks

阿部 淳*; 川崎 卓郎; Harjo, S.

Review of Scientific Instruments, 93(2), p.025103_1 - 025103_9, 2022/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)

Underground engineering for processes such as geological disposal of high-level nuclear waste, CO$$_{2}$$ capture and storage, and mining and drilling for resources requires an understanding of the mechanical behavior of rocks at subsurface stress states, i.e., triaxial compressive stress. Strain measurement using neutron diffraction can be applied to rocks to analyze strain accumulation mechanisms at the microscopic scale. This study reports the development of triaxial compressive apparatus for strain measurement using neutron diffraction. The apparatus can analyze rock specimens (diameter, 25 mm; length, 50 mm) and apply a maximum confining pressure of 50 MPa. Materials for the components of the apparatus were investigated theoretically based on neutron beam transmission and experimentally using neutron diffraction experiments. The feasibility of the apparatus was verified by measuring strain at hydrostatic pressure under the application of confining pressure and triaxial compression.

論文

Crystal structure of nesquehonite, MgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H(D)$$_{2}$$O by neutron diffraction and effect of pH on structural formulas of nesquehonite

山本 弦一郎*; 興野 純*; 阿部 淳*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(2), p.96 - 103, 2021/04

 被引用回数:7 パーセンタイル:46.55(Mineralogy)

炭酸マグネシウム水和物nesquehoniteの組成,構造,形成条件を調べるために、中性子回折,ラマン分光、および熱分析を行った。飛行時間型中性子回折により、$$a$$=7.72100(12)$AA, $b$$=5.37518(7)$AA, $c$$=12.1430(3)$AA, $beta$$=90.165(4)$$^circ$$の格子定数、$$P$$2$$_{1}/n$$の空間群を持つ単斜晶であることが明らかとなった。また、構造内では、2つの重水素原子がO1, O2、およびO6原子に配位して水分子を形成していた。構造内に水分子が3つあることは、nesquehoniteの構造式がMg(HCO$$_{3}$$)(OH) $$cdot $$2H$$_{2}$$OではなくMgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H$$_{2}$$Oであることを示している。

論文

High-pressure and high-temperature neutron-diffraction experiments using Kawai-type multi-anvil assemblies

佐野 亜沙美; 柿澤 翔*; 市東 力*; 服部 高典; 町田 真一*; 阿部 淳*; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

High Pressure Research, 41(1), p.65 - 74, 2021/03

 被引用回数:4 パーセンタイル:38.65(Physics, Multidisciplinary)

高温高圧下における中性子散乱実験のために、河合型マルチアンビルセル(MA6-8)を開発した。信号強度を確保しするために、1段目アンビルにはスリットおよびテーパーを施して開口角を確保した。中性子の透過率の高いSiCバインダーの焼結ダイアモンドを2段目アンビルに使用することで、最高23.1GPaにおいて充分な強度の信号を取得することに成功した。また超硬合金を2段目アンビルに使用した実験では16.2GPa, 973Kでのデータ取得に成功し、超硬合金製アンビルの有用性を示した。本研究により、J-PARCのPLANETにおいてこれまで利用されてきたMA6-6では到達できなかった温度・圧力条件をMA6-8が達成できることが示された。

論文

Pressure-dependent structure of methanol-water mixtures up to 1.2 GPa; Neutron diffraction experiments and molecular dynamics simulations

Temleitner, L.*; 服部 高典; 阿部 淳*; 中島 陽一*; Pusztai, L.*

Molecules (Internet), 26(5), p.1218_1 - 1218_12, 2021/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:9.00(Biochemistry & Molecular Biology)

全組成域にわたるメタノール水混合系(CD$$_{3}$$OD-D$$_{2}$$O)の全構造因子を中性子回折により約1.2GPaまでの圧力で調べた。最も大きな圧力変化は、$$Q=$$ 5 $AA$^{-1}$$以下の範囲において、第一および第2ピークのシフトとして見られた。この変化の起源を明らかにするために、実験した圧力での分子動力学計算を行った。その結果、ピーク高はあまり再現できなかったものの、ピークシフトは、定量的に再現できた。圧力が隣接分子間の斥力に大きな影響を与えることを考慮すると、実験と計算の一致は満足できるものであると言える。圧力の局所構造への影響を調べるために、計算で得られた構造を水素結合に関係した部分動径分布関数や水素結合環状構造のサイズ分布の観点から解析した。その結果、水リッチおよびメタノールリッチな組成域で、構造の圧力変化に大きな違いがあることが分かった。

195 件中 1件目~20件目を表示