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Ellis, D. S.*; Kim, J.*; Hill, J. P.*; 脇本 秀一; Birgeneau, R. J.*; Shvyd'ko, Y.*; Casa, D.*; Gog, T.*; 石井 賢司; 池内 和彦*; et al.
Physical Review B, 81(8), p.085124_1 - 085124_12, 2010/02
被引用回数:40 パーセンタイル:79.28(Materials Science, Multidisciplinary)We present a comprehensive study of the temperature and doping dependence of the 500 meV peak observed at in resonant inelastic X-ray scattering (RIXS) experiments on La
CuO
. The intensity of this peak persists above the N
el temperature (
= 320 K), but decreases gradually with increasing temperature, reaching zero at around
= 500 K. The peak energy decreases with temperature in close quantitative accord with the behavior of the two-magnon
Raman peak in La
CuO
and, with suitable rescaling, agrees with the Raman peak shifts in EuBa
Cu
O
and K
NiF
. The overall dispersion of this excitation in the Brillouin zone is found to be in agreement with theoretical calculations for a two-magnon excitation. Upon doping, the peak intensity decreases analogous to the Raman mode intensity and appears to track the doping dependence of the spin-correlation length. Taken together, these observations strongly suggest that the 500 meV mode is magnetic in character and is likely a two-magnon excitation.
MacDougall, G. J.*; Savici, A. T.*; Aczel, A. A.*; Birgeneau, R. J.*; Kim, H.*; Kim, S.-J.*; 伊藤 利充*; Rodriguez, J. A.*; Russo, P. L.*; 植村 泰朋*; et al.
Physical Review B, 81(1), p.014508_1 - 014508_7, 2010/01
被引用回数:11 パーセンタイル:44.48(Materials Science, Multidisciplinary)Transverse-field muon spin rotation measurements of overdoped LaSr
CuO
reveal a large broadening of the local magnetic field distribution in response to applied field, persisting to high temperatures. The field response is approximately Curie-Weiss-like in temperature and is largest for the highest doping investigated. Such behavior is contrary to the canonical Fermi-liquid picture commonly associated with the overdoped cuprates and implies extensive heterogeneity in this region of the phase diagram. A possible explanation for the result lies in regions of staggered magnetization about dopant cations, analogous to what is argued to exist in underdoped systems.
脇本 秀一; 山田 和芳*; Tranquada, J. M.*; Frost, C. D.*; Swainson, I.*; Birgeneau, R. J.*
Physica C, 460-462(1), p.166 - 169, 2007/09
被引用回数:1 パーセンタイル:6.30(Physics, Applied)過剰ドープしたLaSr
CuO
(0.25
x
0.30)の磁気励起を、三軸型分光器と飛行時間解析型分光器の両方を用いて、中性子散乱により調べた。三軸分光器を用いた低エネルギー領域(
10
meV)の実験結果から、超伝導を示す試料(
, 0.27, 0.28)の磁気励起スペクトルは
=6
meV付近に極大を持ち、その極大値がドープ量の増加に伴って超伝導転移温度
の低下に比例して減少することが示された。さらに、磁気散乱は
において、超伝導と同時に消滅することがわかった。飛行時間分光器を用いた
と
の試料の高エネルギー領域の測定では、20
80
meVにおいて磁気散乱が非常に弱まっていることが示された。これはストライプ的磁気秩序が実現しているLa
Ba
CuO
の結果と非常に対照的であり、過剰ドープ試料では全エネルギー領域で磁気散乱が弱まっていることを表している。これらの結果は高温超伝導と格子非整合なスピン揺らぎが協力的に直接関係していることの証拠となる。
脇本 秀一; 山田 和芳*; Tranquada, J. M.*; Frost, C. D.*; Birgeneau, R. J.*; Zhang, H.*
Physical Review Letters, 98(24), p.247003_1 - 247003_4, 2007/06
被引用回数:97 パーセンタイル:92.36(Physics, Multidisciplinary)高温超伝導体LaSr
CuO
の過剰ドープ領域における試料(
, 0.30)の磁気励起を100meV付近まで、中性子飛行時間分光法を用いて調べた。反強磁性ブリルアンゾーンにおいて積分した中性子散乱強度を過剰ドープ試料とLa
Ba
CuO
について比較した結果、20meVから80meVのエネルギー領域における磁気散乱は過剰ドープにより減少し、
で超伝導と同時に消失することを発見した。この結果は(揺らぎを伴った)反強磁性領域の減少により説明でき、超伝導と反強磁性の強調関係を示している。またこれまで長く議論されてきた銅酸化物超伝導体の格子非整合磁気励起の起源について、フェルミ面ネスティングによる準粒子の励起によるモデルと、残留反強磁性相関によるモデルでは、後者が確からしいという重要な洞察を与える。
脇本 秀一; 木村 宏之*; 藤田 全基*; 山田 和芳*; 野田 幸男*; 白根 元*; Gu, G.*; Kim, H.*; Birgeneau, R. J.*
Journal of the Physical Society of Japan, 75(7), p.074714_1 - 074714_6, 2006/07
被引用回数:25 パーセンタイル:73.05(Physics, Multidisciplinary)高温超伝導体La(Sr,Ba)
CuO
の高温正方晶(HTT)相において観測される格子非整合な散漫散乱を、x=0.07, 0.125(Ba), 0.15, 0.20の試料について、中性子散乱実験により系統的に調べた。測定したすべての試料において、低温斜方晶(LTO)相で現れる超格子反射がHTT相で格子非整合な散漫散乱に変化する様子が観測された。散漫散乱ピークの位置、及び構造因子の考察から、散漫散乱はLTO的な八面体の傾きがHTT相で局所構造として残ることに起因し、かつ傾きの方向(Cu0
正方格子でCu-Cuの対角線方向)に格子非整合な変調を伴っていることがわかった。変調周期の逆数に相当する格子非整合性
は、温度上昇に伴い増加し、すべての試料で
(
構造相転移温度)に対して、散漫散乱の積分強度は(
)
に対して各々スケールする普遍的な振る舞いが見られた。以上の結果と、超伝導を示さないx=0.05では同様の散漫散乱が観測されないことから、格子非整合な変調を伴ったLTO歪みは超伝導領域に特有の性質であることが示された。
MacDougall, G. J.*; Birgeneau, R. J.*; Kim, H.*; Kim, S.-J.*; Rodriguez, J.*; Russo, P. L.*; Savici, A. T.*; 植村 泰朋*; 脇本 秀一; Wiebe, C. R.*; et al.
Physica B; Condensed Matter, 374-375, p.211 - 214, 2006/03
被引用回数:4 パーセンタイル:21.85(Physics, Condensed Matter)高温超伝導体の研究において、単結晶試料育成や化学的ドーピングの困難から、過剰ドープ領域の研究はほとんどなされていなかった。本研究では、世界初となる過剰ドープしたLaSr
CuO
単結晶の
SR実験の結果を報告する。縦磁場
SRの結果から、relaxation rateの温度依存性がCurie-Weiss則に従い、そのCurie constantが磁場の関数として
と書かれることが見いだされた。この現象は、内部磁場分布の異常が磁場により誘起されていることを示している。磁場誘起の度合を表す
は
から既に現れ、過剰ドープ領域の
まで単調増加し、ドープ量に依存することがわかった。この磁場誘起による異常な内部磁場分布の原因の解明は、今後の重要な課題である。
Ramazanoglue, M. K.*; Clegg, P. S.*; 脇本 秀一; Birgeneau, R. J.*; 野呂 住子*
Physical Review B, 73(5), p.054418_1 - 054418_6, 2006/02
被引用回数:2 パーセンタイル:11.86(Materials Science, Multidisciplinary)BaCu
O
Cl
は、2つのCu正方格子が重なったCu
O
面を持ち、それらの互いに異なる正方格子に属するCuスピン間の相関は強くフラストレートしていることが知られている。本研究では、この系のCuの一部をCoに置換した試料の磁気構造を、磁化測定と中性子散乱実験により調べた。結果として、Co置換は2つのCu正方格子各々の振る舞いには大きな変化を与えないものの、2つの正方格子間の相関には強く影響することが明らかとなった。2つの正方格子は各々320Kと30Kで磁気秩序を示すが、それらの中間温度では新たにスピングラスの振る舞いが観測された。ドープされたCoイオンが周りのスピンを面内に歪ませ、ローカルなスピンクラスターを形成し、そのクラスター間のフラストレーションからグラス的な振る舞いを示していると解釈できる。
脇本 秀一; Kim, Y.-J.*; Kim, H.*; Zhang, H.*; Gog, T.*; Birgeneau, R. J.*
Physical Review B, 72(22), p.224508_1 - 224508_7, 2005/12
被引用回数:13 パーセンタイル:48.90(Materials Science, Multidisciplinary)銅K吸収端を用いた共鳴非弾性X線散乱を過剰ドープ領域LaSr
CuO
(
,
)に対して初めて行った。低ホール濃度試料と同様に、8.992keVに電荷輸送励起を、8.998keVに分子軌道励起をそれぞれ観測した。低濃度試料との比較から、ホール濃度増加に伴い電荷輸送ギャップが単調増加し、母体物質であるLa
CuO
と比べて過剰ドープ試料のギャップは1eV程度大きいことがわかった。これはARPESの結果から予想される化学ポテンシャルの変化より大きく、バンドのエネルギー順位の変化がある可能性を示唆した。また、ホールをドープするにつれ、電荷輸送ギャップ内に現れる連続体的励起を、銅K吸収端共鳴非弾性X線散乱としては非常に高い分解能(0.13eV)を用いて、精密観測を行った。結果、過剰ドープ試料では、連続体励起上に新たなピークが存在することを示し、電子ドープ系などで観測されているバンド内励起がホールドープ系でも存在することが示唆された。
脇本 秀一; Birgeneau, R. J.*; Kagedan, A.*; Kim, H.-K.*; Swainson, I.*; 山田 和芳*; Zhang, H.*
Physical Review B, 72(6), p.064521_1 - 064521_9, 2005/08
被引用回数:30 パーセンタイル:71.89(Materials Science, Multidisciplinary)過剰に電荷担体(ホール)を導入したLaSr
CuO
について、非磁性不純物であるZnを少量Cuサイトに置換した試料と、Zn不純物を含まない試料を用いて、磁化測定と中性子非弾性散乱実験を行った。磁化測定の結果から、Zn不純物を含まない試料で、あるしきい値を超えて電荷担体が導入されると、常磁性的なキュリー項が現れることを示した。Zn置換した試料との比較から、このキュリー項はZn置換の場合と同様、何らかの理由で反強磁性的相関が局所的に断ち切られることによることがわかった。中性子散乱の結果からは、Zn置換した試料では、Znを含まない試料に比べ、動的反強磁性相関が強くなることがわかった。これらの結果は、過剰ドープ領域の試料が反強磁性相関を伴う超伝導相と、常磁性的相関を持つフェルミ液体相への微視的相分離を示すためと考えられる。
Khaykovich, B.*; 脇本 秀一; Birgeneau, R. J.*; Kastner, M. A.*; Lee, Y. S.*; Smeibidle, P.*; Vorderwisch, P.*; 山田 和芳*
Physical Review B, 71(22), p.220508_1 - 220508_4, 2005/06
被引用回数:80 パーセンタイル:90.25(Materials Science, Multidisciplinary)高温超伝導体であるLaSr
CuO
の、弱低ドープであるx=0.144の試料について、磁場中での中性子散乱を行った。結果、零磁場中では観測されないスピン密度波の秩序状態が、3テスラ以上の磁場中で発現することを観測し、磁場により誘起される磁気的秩序状態への磁気相転移が存在することがわかった。この結果は近年の量子相転移の理論でよく説明される。
松田 雅昌; 藤田 全基*; 山田 和芳*; Birgeneau, R. J.*; 遠藤 康夫*; 白根 元*
Physical Review B, 66(17), p.174508_1 - 174508_6, 2002/11
被引用回数:11 パーセンタイル:49.81(Materials Science, Multidisciplinary)これまでの中性子散乱実験の結果から、LaSr
CuO
低ホール濃度領域(0
x
0.055)のスピングラス相においては斜めストライプ構造を反映していると思われる静的秩序が存在することがわかっている。われわれはこの相でどのような磁場効果が見られるかを調べるために中性子散乱実験を行った。x=0.014, 0.024の試料における磁場効果(H//CuO
面)を調べたところ、磁場の増加とともに磁気反射強度が徐々に減少することがわかった。系統的な実験を行った結果、これはLa
CuO
で見られるような非対称(Dzyaloshinski-Moriya)相互作用に起因している可能性が強いことがわかった。つまり、磁場中でスピンの回転が起こりスピン構造が変わるために、(1, 0, 0)付近の強度が減少していると考えられる。この結果はスピングラス相においても一軸性の磁気異方性が存在することを示している。また、磁場中で非整合磁気ピークの非整合度やピーク幅がほとんど変化していないことから、この非整合性は磁気相互作用に起因するのではなく、電荷秩序によって引き起こされている可能性が強いことがわかった。上述の磁気相互作用はスピンの方向を決定したり静的秩序を安定化するために働いていると考えられる。
松田 雅昌; 藤田 全基*; 山田 和芳*; Birgeneau, R. J.*; 遠藤 康夫*; 白根 元*
Physical Review B, 65(13), p.134515_1 - 134515_6, 2002/04
被引用回数:141 パーセンタイル:96.47(Materials Science, Multidisciplinary)LaSr
CuO
低ホール濃度領域(0.02
x
0.055)における磁性を調べるために詳細な中性子散乱実験が行われてきた。その結果、この絶縁スピングラス領域において非整合磁気ピークの現れる位置が超伝導相(水平ストライプ構造)で観測される位置と比べて(
,
)を中心に45度回転しており、斜めストライプ構造を反映していることが明らかになった。次のステップとして、われわれは、さらに低ホール濃度領域(0
x
0.02)における磁気相関を調べるために中性子散乱実験を行った。このホール濃度領域では、室温から温度を下げていくとまず反強磁性磁気秩序が起こる。さらに温度を下げていくと30K付近で磁気秩序領域の一部が斜めストライプ相関を持つクラスタースピングラス相に置き換わることが明らかになった。非整合度
の値からスピングラス領域のホール濃度を見積もると0
x
0.02の領域でほぼ2%であった。また、散乱強度からスピングラス領域の大きさ(体積分率)を見積もるとxが0から0.02に増加する際に体積分率が0から1にほぼ比例して変化することがわかった。これらの結果を総合して考えると、La
Sr
CuO
(0
x
0.02)では30K以下でホール濃度が~0%の領域と~2%の領域に相分離し、ホール濃度の増加とともに2%の領域が増大すると考えられる。
松田 雅昌; Birgeneau, R. J.*; 遠藤 康夫*; 藤田 全基*; 平賀 晴弘*; Kastner, M. A.*; 白根 元*; 脇本 秀一*; 山田 和芳*
Journal of the Physical Society of Japan, Vol.70, Supplement A, p.46 - 48, 2001/05
最近の詳細な研究により、絶縁相におけるスピングラス相の静的磁気相関が非整合的であることが明らかになった。ただし、弾性磁気ピークの位置は、超伝導相で見られる位置と比べて45度回転している。水平ストライプモデルからの類推から、この構造はストライプが斜方晶の軸方向(正方晶の軸の対角線方向)に進む斜めストライプであると考えられる。また、絶縁相におけるスピンダイミクスの研究も行い、その結果、低温、低エネルギーでは磁気相関は斜めストライプであると考えられる。また、絶縁層におけるスピンダイナミクスの研究も行い、その結果、低温、低エネルギーでは磁気相関は斜めストライプであるが、高温、高エネルギーではLaCuO
と定性的に同じ磁気相関が見られることがわかった。
脇本 秀一; 山田 和芳*; Tranquada, J. M.*; Frost, C. D.*; Birgeneau, R. J.*; Zhang, H.*
no journal, ,
過剰ドープしたLaSr
CuO
(
)の磁気励起を、三軸型分光器と飛行時間解析型分光器の両方を用いて、中性子散乱により調べた。三軸分光器を用いた低エネルギー領域(
meV)の実験結果から、超伝導を示す試料(
)の磁気励起スペクトルは
meV付近に極大を持ち、その極大値がドープ量の増加に伴って超伝導転移温度
の低下に比例して減少することが示された。さらに、磁気散乱は
において、超伝導と同時に消滅することがわかった。飛行時間分光器を用いた
と0.30の試料の高エネルギー領域の測定では、
meVにおいて磁気散乱が非常に弱まっていることが示された。これはストライプ的磁気秩序が実現しているLa
Ba
CuO
の結果と非常に対照的であり、過剰ドープ試料では全エネルギー領域で磁気散乱が弱まっていることを表している。これらの結果は高温超伝導と格子非整合なスピン揺らぎが協力的に直接関係していることの証拠となる。
脇本 秀一; 藤田 全基*; Gu, G.*; 加倉井 和久; 松田 雅昌; 武田 全康; Tranquada, J. M.*; 山田 和芳*; Birgeneau, R. J.*; Frost, C. D.*
no journal, ,
銅酸化物高温超伝導体の磁気励起に対するストライプの影響を調べるため、強固なストライプ構造を持つLaBa
CuO
と弱いストライプ秩序を示すLa
Sr
CuO
の単結晶を用いて偏極非弾性散乱実験を行い、低エネルギー領域(
8meV)の磁気励起の偏極性を調べた。LBCO12.5%の試料では10Kでストライプ構造に起因する格子非整合弾性散乱ピークが観測され、偏極解析により秩序化したCu
スピンはCuO
面内に寝ていることを確認した。偏極中性子非弾性散乱実験では
=4meVのエネルギーでスピンが面内にのみ揺らいでいることを観測した。さらにLSCO8%の試料ではスピンの揺らぎが等方的であることを発見した。これらの結果は低エネルギー磁気励起がストライプの影響を強く受けていることを示唆する。
脇本 秀一; 加倉井 和久; 松田 雅昌; 武田 全康; 藤田 全基*; 山田 和芳*; Gu, G.*; Tranquada, J. M.*; Birgeneau, R. J.*; Zhang, H.*
no journal, ,
214型銅酸化物高温超伝導体における磁気励起へのストライプ構造の影響を調べるため、強固なストライプ構造を持つLaBa
CuO
と弱いストライプ秩序を示すLa
Sr
CuO
の単結晶を用いて偏極中性子非弾性散乱実験を行い、低エネルギー領域(
meV)の磁気励起の偏極性を調べた。前者の試料では10Kでストライプ構造に起因する格子非整合弾性散乱ピークが観測され、偏極解析により秩序化したCu
スピンはCuO
面内に寝ていることを確認した。偏極中性子非弾性散乱実験では
meVのエネルギーでスピンが面内にのみ揺らいでいることを観測した。これとは対照的に後者の試料では10K, 4meVでの磁気揺らぎは完全に等方的であった。以上の結果は低エネルギー磁気励起はストライプの影響を強く受けていることを示唆する。
脇本 秀一; Birgeneau, R. J.*; Frost, C. D.*; Kagedan, A.*; Kim, H.*; Swainson, I.*; Tranquada, J. M.*; 山田 和芳*; Zhang, H.*
no journal, ,
中性子散乱により、高温超伝導体LaSr
CuO
の過剰ドープ領域の磁気励起を調べた。
の試料ではっきりと観測された6meV付近の格子非整合な磁気励起が、ホール濃度の増加に伴い、
に比例して減少し、
の試料において、超伝導の消滅とともに観測されなくなった。これは低エネルギー領域の磁気励起が超伝導に直接関与することを示している。さらに高エネルギー領域の磁気励起をMAPS分光器を用いて調べた結果、高エネルギー磁気励起も過剰ドープ領域で大きく減衰していることが観測された。これらの結果は、
SR実験で報告された、過剰ドープ領域で電荷が超伝導相とフェルミ液体相へ相分離するとする仮説を支持するものである。また、過剰ドープ試料と非磁性イオンZnを置換した系の比較から、過剰ドープ領域での超伝導の消滅は、過剰ドープ領域で誘起される常磁性との競合の結果起こることが示唆された。
脇本 秀一; 木村 宏之*; 藤田 全基*; 山田 和芳*; 野田 幸男*; 白根 元*; Gu, G.*; Kim, H.*; Birgeneau, R. J.*
no journal, ,
ホールドープ系高温超伝導体であるLaSr
CuO
では、高温正方晶(HTT)相において低温斜方晶(LTO)的な格子歪み(CuO
八面体の傾き)が残ることが、中性子散乱実験で散漫散乱として観測されている。本研究では、超伝導と格子非整合なLTO的格子歪みとの関連を調べるため、
=0.07, 0.125(Ba), 0.15, 0.20の試料について、中性子散乱実験を行った。測定したすべての試料において、LTO的な八面体の傾きに起因した散漫散乱ピークが、かつ傾きの方向(LTO相でb軸に相当する方向)に格子非整合な変調を伴って観測された。変調周期の逆数に相当する格子非整合性
は、温度上昇に伴い増加し、すべての試料で
(
は構造相転移温度)に対してスケールする普遍的な振る舞いを示した。以上の結果と、超伝導を示さない
の結果から、格子非整合な変調を伴ったLTO歪みは超伝導領域に特有の性質であることが示された。