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Domal, S. J.*; Correa-Alfonso, C. M.*; Paulbeck, C. J.*; Griffin, K. T.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; Hertel, N. E.*; et al.
Health Physics, 125(4), p.245 - 259, 2023/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)原爆被爆者に対する線量評価は、大人・小児・幼児の3体の単純な数学ファントムに基づいて構築されたDS02システムが利用されており、妊婦や胎児に対する詳細な線量評価は行われていかなった。そこで、放射線影響研究所を中心とする日米共同研究チームは、最新の計算科学に基づいて1945年の日本人体型を再現した様々な人体模型(J45シリーズ)を開発し、より精度の高い線量評価を実施してきた。本研究では、様々な週齢の胎児・妊婦人体模型を用いて、その姿勢が被ばく線量に与える影響を検討した。その結果、妊婦の姿勢は、特に胎児の被ばく線量に大きな影響を与えることが分かった。
Paulbeck, C. J.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Lee, C.*; Griffin, K. T.*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; Hertel, N. E.*; Bolch, W. E.*
Radiation and Environmental Biophysics, 62(3), p.317 - 329, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Biology)胎児被ばくした原爆生存者に対する線量評価は、放射線被ばくリスクを評価する上で極めて重要となる。原子力機構、放射線影響研究所、フロリダ大学、米国がんセンターらで構成する研究チームは、これまで、1945年の日本人体型を反映した成人、小児及び胎児を含む妊婦の人体模型を作成し、前方照射や等方照射など理想的な照射条件に対してその被ばく線量を評価してきた。本研究では、原爆線量評価システムDS02に含まれる現実的な照射条件に対して、胎児及び母体の被ばく線量を評価した。その結果、現実的な照射条件においては、胎児の臓器線量は、胎児内での臓器の位置や週齢に大きく依存することが分かった。このような胎児に対する詳細被ばく線量解析結果は、将来の胎児被ばくリスク評価モデルの改訂に役立つと考えられる。
Griffin, K. T.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Chizhov, K.*; Domal, S.*; Paulbeck, C.*; Bolch, W.*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; et al.
Radiation and Environmental Biophysics, 61(1), p.73 - 86, 2022/03
被引用回数:5 パーセンタイル:52.60(Biology)原爆生存者に対する線量評価は、放射線被ばくリスクを評価する上で極めて重要となる。原子力機構,放射線影響研究所,フロリダ大学,米国がんセンターらで構成する研究チームは、これまで、1945年の日本人体型を反映した成人,小児及び胎児を含む妊婦の人体模型を作成し、前方照射や等方照射など理想的な照射条件に対してその臓器線量を評価してきた。本研究では、原爆線量評価システムDS02に含まれる現実的な20照射条件に対して、成人及び小児の臓器線量を詳細に評価した。その結果、全線量は、造血組織,結腸,胃壁に関しては、従来手法(DS92)と比較してそれぞれ20%, 20%、及び15%の違いがあることが分かった。また中性子線量だけに着目すると、最大で2倍程度の差があることが分かった。
Petoussi-Henss, N.*; 佐藤 大樹; 遠藤 章; Eckerman, K. F.*; Bolch, W. E.*; Hunt, J.*; Jansen, J. T. M.*; Kim, C. H.*; Lee, C.*; 斎藤 公明; et al.
Annals of the ICRP, 49(2), p.11 - 145, 2020/10
環境に分布する放射性核種からの外部被ばくに対する公衆の線量評価では、公衆を構成する各年齢における代表人の臓器線量および実効線量への換算に利用可能な線量係数の整備が重要となる。この目的のため、原子力機構では大気、土壌、水に分布する光子および電子放出線源による環境放射線場を汎用粒子輸送計算コードPHITSにより解析する手法を開発し、ICRPから提供された新生児、1歳、5歳、10歳、15歳および成人男女の人体数値模型を用いて臓器線量係数を評価した。さらに、Hanyang大学より提供された皮膚線量データおよびICRPの核種崩壊データを用いて、放射性核種毎の実効線量係数を評価した。整備した線量係数は、福島第一原子力発電所事故後の長期に渡った線量評価をはじめ、放射性核種の環境への流出による外部被ばく線量評価に利用可能である。
佐藤 達彦; 船本 幸代*; Paulbeck, C.*; Griffin, K.*; Lee, C.*; Cullings, H.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; Hertel, N.*; Bolch, W. E.*
Radiation Research, 194(4), p.390 - 402, 2020/10
被引用回数:6 パーセンタイル:45.10(Biology)原爆生存者に対する被ばく線量評価は、幾何学形状人体ファントムと逆解きモンテカルロ放射線挙動解析計算コードを組み合わせて実施されており、その結果はDS02レポートにまとめられている。しかし、幾何学形状ファントムは、人体の詳細な解剖学的特性を表現しておらず、また、逆解きモンテカルロ計算手法はPHITSなど最新のモンテカルロ放射線挙動解析手法と比べて精度が良くない問題点が指摘されていた。そこで、1945年の日本人体形を詳細に模擬したボクセル形状ファントムを開発し、最新版PHITSを用いてそのファントム内の臓器線量を評価した。また、その計算手法を用いて様々な照射条件に対する臓器線量の応答関数を作成し、DS02に格納された原爆生存者各人の被ばくシナリオに対して瞬時に臓器線量を推定する手法を構築した。構築した手法は、将来のDS02の改訂に利用することができる。
Carter, L. M.*; Crawford, T. M.*; 佐藤 達彦; 古田 琢哉; Choi, C.*; Kim, C. H.*; Brown, J. L.*; Bolch, W. E.*; Zanzonico, P. B.*; Lewis, J. S.*
Journal of Nuclear Medicine, 60(12), p.1802 - 1811, 2019/12
被引用回数:22 パーセンタイル:80.72(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)従来の内部被ばく研究では、CT画像などに基づき構築したボクセル人体ファントムを適用し、線量評価データを解析することが一般的であった。しかし、皮膚や膜状組織などをより精密に表現できるポリゴンメッシュ人体ファントムの開発が進められており、内部被ばく研究でもこのファントムを用いた評価が要求されている。しかし、モンテカルロ放射線輸送計算コードにこのファントムを取り込んで計算を行うことは、コードに精通していない場合は難しい現状となっている。そこで、PHITSの使い方に関する詳しい知識を持たないユーザーでも、このファントムを用いた内部被ばく線量計算が簡単にできるツールPARaDIMを開発した。このツールでは、グラフィカルインターフェースにより、使用する四面体メッシュファントムの選択や臓器毎の放射性核種の設定、そしてPHITSの実行が操作できる。このツールを用いた実行例をいくつか示し、先行研究との比較を行うことで、本ツールの有用性を確認した。
Kofler, C.*; Domal, S.*; 佐藤 大樹; Dewji, S.*; Eckerman, K.*; Bolch, W. E.*
Radiation and Environmental Biophysics, 58(4), p.477 - 492, 2019/11
被引用回数:7 パーセンタイル:42.49(Biology)現行の放射線防護における線量評価では、国際放射線防護委員会(ICRP)が定義する実効線量等を用いる。この実効線量は、ICRPが定義する各年齢の標準体型を模擬する人体模型により計算される臓器吸収線量から導出される。一方、標準体型から逸脱した個人を考慮した線量推定において、標準体型に基づく実効線量の適用の妥当性が議論されてきた。本研究では、標準体型以外の人体模型により、臓器線量を基本として実効線量と同様の手法で導出される損害加重線量を解析した。ここでは、土壌に沈着した放射性核種からの外部被ばく条件に対し、米国立健康統計学センターが報告する身長及び体重を網羅した351体の人体数値模型を適用した。また、ICRPが与える核種崩壊データベースから、33種類の核種を評価対象とした。その結果、環境での外部被ばくで問題となるSr, Sr, Cs及びIに対して、1歳児の実効線量と損害加重線量は5%以内で一致した。一方、年齢とともに、標準体型からの逸脱による実効線量と損害加重線量の差は大きくなり、成人では+15%から-40%の偏差を持つことが明らかになった。本データは、個人の体格特性に着目する線量再構築や疫学調査における線量推定の精度を向上させるものである。
古田 琢哉; El Basha, D.*; Iyer, S. S. R.*; Correa Alfonso, C. M.*; Bolch, W. E.*
Journal of Radiological Protection, 39(3), p.825 - 837, 2019/09
被引用回数:2 パーセンタイル:20.94(Environmental Sciences)人の眼球には多様性があるにもかかわらず、これまでの眼球に対する線量計算シミュレーションでは、ほぼ全ての研究で標準的な一つのモデルが採用されてきた。そこで、本研究では新たに開発した大きさ及び変形が可能な数値眼球モデルを利用し、モンテカルロ放射線輸送計算コードPHITSを用いて、標準的な照射場(AP, PA, RLAT, ROT等)での電子線,光子線および中性子線による眼球内組織の線量を計算した。ここでは、5種類(標準,大型,小型,近視形状型および遠視形状型)の極端な眼球モデルの計算結果の比較に基づき、組織の吸収線量への眼球の大きさや変形が与える影響を解析した。電子線では線量の集中性が高く、吸収線量は眼球表面からの組織の深さに大きく依存して変化する。このため、眼球の大きさや変形に伴い、組織全体の深さ位置が変化することによる吸収線量への顕著な影響が見られた。これに対し、光子線や中性子線では電子線に比べて線量の集中性が弱いため、眼球の大きさや変形による影響が小さいことがわかった。
Paulbeck, C.*; Griffin, K.*; Lee, C.*; Cullings, H.*; Egbert, S. D.*; 船本 幸代*; 佐藤 達彦; 遠藤 章; Hertel, N.*; Bolch, W. E.*
Radiation Research, 192(5), p.538 - 561, 2019/08
被引用回数:13 パーセンタイル:64.00(Biology)妊婦及び胎児の原爆生存者に対する被ばく線量評価は、放射線影響の疫学研究の上で極めて重要となる。従来は、女性の子宮壁に対する線量を妊婦及び胎児の被ばく線量と仮定していたが、本研究では、最新の計算科学記述を用いて受胎8, 15, 25, 38週齢の胎児及び妊婦に対する詳細人体モデルを構築し、その被ばく線量を精度よく計算した。その結果、従来手法では、光子及び中性子前方照射に対して最大で12-16%及び44-54%被ばく線量を過大評価していたことが分かった。これらの結果は、今後、妊婦及び胎児に対する放射線感受性の疫学調査を実施する上で、極めて重要となる。
Griffin, K.*; Paulbeck, C.*; Bolch, W.*; Cullings, H.*; Egbert, S. D.*; 船本 幸代*; 佐藤 達彦; 遠藤 章; Hertel, N.*; Lee, C.*
Radiation Research, 191(4), p.369 - 379, 2019/04
被引用回数:17 パーセンタイル:72.97(Biology)原爆生存者に対する被ばく線量評価は、幼児・小児・成人の3年齢群に対する幾何学形状人体ファントムを用いて実施されており、最新の結果はDS02レポートにまとめられている。しかし、幾何学形状ファントムは、人体の詳細な解剖学的特性を表現しておらず、また、年齢群も3つでは不十分との指摘があった。そこで、1945年の日本人体系を詳細に模擬した6年齢群に対するボクセル形状ファントムを開発し、解剖学的な違いが線量評価に与える影響を調査した。その結果、典型的な原爆被ばく条件に対して光子及び中性子による臓器吸収線量は最大でそれぞれ25%及び70%程度異なることが明らかとなった。本成果は、今後、原爆生存者に対する線量再評価を行う際に役立つと考えられる。
El Basha, D.*; 古田 琢哉; Iyer, S. S. R.*; Bolch, W. E.*
Physics in Medicine & Biology, 63(10), p.105017_1 - 105017_13, 2018/05
被引用回数:10 パーセンタイル:50.83(Engineering, Biomedical)眼の水晶体に対する年間線量限度の推奨値の引き下げが国際放射線防護委員会より発表されて以降、眼の詳細構造に対する線量予測システムの構築に関心が高まっている。これを受けて線量評価に用いる詳細な数値眼球モデルがいくつか開発されたが、いずれのモデルも典型的な球形・通常サイズの正常視眼球モデルであった。そこで、サイズおよび形状の変更が可能で放射線被ばく及び眼疾患の放射線治療のシミュレーションに使用できる解析関数眼球モデルを開発した。この眼球モデルを利用したシミュレーションの一例として、前方照射条件での電子および光子の放射線輸送計算を実行し、入射エネルギーを変化させた場合の眼球内詳細構造に対する線量応答を調べた。前方照射条件のため、各構造の深さ位置が重要で、眼球サイズが大きい場合や近視のために眼球が扁長変形を持つ場合は、通常サイズの正視の場合に比べて各構造が深い位置にずれるため、エネルギー応答が少し高エネルギー側にシフトする傾向があることがわかった。
佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; Lee, C.*; Bolch, W. E.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 54(9), p.1018 - 1027, 2017/09
被引用回数:7 パーセンタイル:56.10(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故で土壌に沈着した放射性セシウム(Cs及びCs)による外部被ばくに対する公衆の放射線安全性を確保するため、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳及び成人が装着した個人線量計でモニタされる個人線量当量を、放射線輸送計算コードPHITSを用いて解析した。放射性セシウムは土壌中の特定の深さ(0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cm)に平板一様分布しているとし、各年齢の人体は精密人体数値模型により再現した。年齢別の個人線量当量の解析結果から、年齢が小さいほど個人線量当量の値が大きくなることが分かった。しかし、汚染環境中においても実用量である個人線量当量は防護量である実効線量をよく代表することと、地上100cm高さの周辺線量当量の値を超えないことが明らかになった。また、体積分布した線源に対する個人線量当量を導出する加重積分法により、福島で観測された指数分布線源による個人線量当量を解析したところ、解析値は福島で成人男性が装着した個人線量計により取得された実測値とよい一致を示した。
古田 琢哉; 佐藤 達彦; Han, M. C.*; Yeom, Y. S.*; Kim, C. H.*; Brown, J. L.*; Bolch, W. E.*
Physics in Medicine & Biology, 62(12), p.4798 - 4810, 2017/06
被引用回数:10 パーセンタイル:46.92(Engineering, Biomedical)モンテカルロ輸送計算コードPHITSに、ポリゴン体系の一種である四面体メッシュ体系を利用できる機能を導入した。四面体メッシュは自由な形状を記述することに優れており、曲面を含む様々な複雑な体系を記述することができる。また、形式変換をすることでCAD等のソフトウェアを利用した三次元体系の設計も可能となった。本機能の導入に際し、初期段階で四面体メッシュ体系に対する分岐マップを準備し、輸送計算の計算時間を短縮する工夫を加えた。この工夫により、同数のメッシュ数であれば、ボクセルメッシュと同程度の計算時間で、四面体メッシュ体系の輸送計算を可能にした。四面体メッシュでは、異なるサイズおよび形状の四面体を組み合わせることで、より少ないメッシュ数で人体ファントム等の複雑体系を表現できる。人体ファントムに対する線量計算では、四面体メッシュを採用することで、計算時間をボクセルメッシュの計算に比べて4倍短縮できることが分かった。
佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; 遠藤 章; Lee, C.*; Bolch, W. E.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(1), p.69 - 81, 2016/01
被引用回数:18 パーセンタイル:85.32(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故により環境中の土壌に沈着した放射性セシウム(Cs及びCs)による公衆の外部被ばく線量を評価するため、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳,成人に対して、放射性セシウムの土壌中放射能濃度から実効線量率を導出する換算係数を解析した。換算係数は、放射性セシウムが深さ0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cmで土壌中に一様分布していると仮定し、放射線輸送コードPHITSを用い、国際放射線防護委員会の1990年勧告及び2007年勧告の線量定義に従い計算した。その結果、土壌に分布した放射性セシウムからの実効線量率は年齢が若いほど高くなること、及び1990年勧告と2007年勧告に従った実効線量率の計算値は7%以内で一致することを明らかにした。また、実効線量率の値は、サーベイメータ等で測定されている周辺線量当量率の値を超えないことを示した。さらに、土壌中の放射性セシウムの多様な分布形状と一定期間滞在し続けた場合に対応して、実効線量率または積算実効線量への換算係数を導出する手法も開発した。本研究で整備した年齢依存の実効線量率及び積算実効線量への換算係数は、除染地域への帰還に向けた住民の線量評価に有効なものとなる。
遠藤 章; Petoussi-Henss, N.*; Zankl, M.*; Bolch, W. E.*; Eckerman, K. F.*; Hertel, N. E.*; Hunt, J. G.*; Pelliccioni, M.*; Schlattl, H.*; Menzel, H.-G.*
Radiation Protection Dosimetry, 161(1-4), p.11 - 16, 2014/10
被引用回数:3 パーセンタイル:23.66(Environmental Sciences)国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線防護に関する基本勧告を見直し、2007年にICRP Publication 103として公開した。この勧告では、放射線防護量として用いられる等価線量及び実効線量における放射線加重係数,組織加重係数を改訂するとともに、臓器線量の計算に用いる標準計算ファントムを新たに採用した。これらの改訂を受けて、外部被ばく評価に用いる新しい換算係数のデータセットが、ICRP第2専門委員会タスクグループDOCALによって取りまとめられ、ICRP Publication 116として出版された。本発表は、標準計算ファントムを用いて、新たに整備された外部被ばくに対する線量換算係数についてレビューする。計算された換算係数を、現在使用されているICRP Publication 74の換算係数と比較し、両者の違いをもたらす原因、新しい線量換算係数が放射線モニタリングに及ぼす影響についても検討する。
Petoussi-Henss, N.*; Bolch, W. E.*; Eckerman, K. F.*; 遠藤 章; Hertel, N.*; Hunt, J.*; Menzel, H. G.*; Pelliccioni, M.*; Schlattl, H.*; Zankl, M.*
Physics in Medicine & Biology, 59(18), p.5209 - 5224, 2014/09
被引用回数:13 パーセンタイル:47.65(Engineering, Biomedical)様々な放射線による外部被ばくに対して、フルエンスあたりの臓器吸収線量、実効線量の換算係数データ集ICRP Publication 116(ICRP116); "外部放射線被ばくに対する放射線防護量のための換算係数"を取りまとめた。ICRP116はこれまで用いられてきたICRP74に置き換わるもので、放射線の種類及びエネルギー範囲を拡張したデータ集である。換算係数は、標準の成人男性及び女性を表したICRP/ICRUコンピュータファントムとファントム中における放射線の挙動を模擬するモンテカルロコードを用いて計算され、様々な方向からの平行ビーム、回転ビーム、等方照射等による全身の照射に対して提供されている。実効線量の換算係数を、放射線モニタリングに使われている実用量の換算係数と比較した結果、実用量は光子,中性子,電子に対して、ICRP74で考慮されていたエネルギー範囲においては実効線量の評価に適用できるが、それ以上のエネルギーでは実効線量を適切に評価できないことが分かった。
佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; 遠藤 章; Lee, C.*; Bolch, W. E.*
JAEA-Research 2014-017, 25 Pages, 2014/08
福島第一原子力発電所事故により、土壌に広範囲にわたって沈着した放射性セシウムがもたらす外部被ばくによる公衆の実効線量の評価に必要な線量換算係数を解析した。モンテカルロ法に基づく3次元放射線輸送コードPHITSを用いて、Cs-134及びCs-137が土壌中0.0g/cm, 0.5g/cm, 2.5g/cm, 5.0g/cm及び10.0g/cmのいずれかの深さに一様平板分布している条件で線量解析を進め、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳及び成人の換算係数データを整備した。また、放射性セシウムが沈着した土壌上に1ヶ月, 1年または50年、滞在した場合の積算実効線量への換算係数も評価した。解析の結果、年齢が低くなるほど実効線量が大きくなることを示すとともに、全年齢の実効線量が、現在モニタリングされている地表面から高さ1mでの周辺線量当量H (10)よりも小さいことを確認した。また、現行の放射線障害防止法関連法令の基礎となっている国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告と、将来導入が見込まれる2007年勧告で定義された評価法による実効線量では、大きな差異を生じなかった。この他、指数分布をはじめとした体積分布線源に対応した線量換算係数を導出する手法や、評価した換算係数データを今回の事故後の線量評価に適用するための手法を提案した。
Bahadori, A. A.*; 佐藤 達彦; Slaba, T. C.*; Shavers, M. R.*; Semones, E. J.*; Baalen, M. V.*; Bolch, W. E.*
Physics in Medicine & Biology, 58(20), p.7183 - 7207, 2013/10
被引用回数:11 パーセンタイル:39.88(Engineering, Biomedical)NASAが宇宙放射線被ばく影響を評価する際に標準的に利用している1次元の決定論的コードHZETRNと、原子力機構が中心となって開発している3次元のモンテカルロ計算コードPHITSを用いて、宇宙放射線被ばくによる臓器線量を計算し、それに伴う発ガンリスクを比較した。両者の結果は概ね一致するものの、銀河宇宙線を模擬した特定の計算条件の場合には有意な差が見られることが分かった。この差は、両コードが採用する核反応モデルの違いに起因すると考えられる。本結果は、宇宙線被ばく線量評価の不確定性を議論する際、極めて重要となる。
Brown, J. L.*; 古田 琢哉; Bolch, W. E.*
no journal, ,
従来の線量評価研究では、ボクセル数値人体ファントムによるモンテカルロ放射線輸送計算が採用されてきた。しかし、近年のモンテカルロコードの進展により、ボクセル形式に比べて、個々の臓器や体表面等をより精緻に表現することができるポリゴンメッシュ数値人体ファントムの適用が可能になった。ボクセルファントムはCTやMRIの画像を基に多数作られてきたが、これらを活用するためにメッシュファントムに変換し、さらにメッシュ形式のモデルへ変換する技術の開発が望まれている。そこで、ボクセル数値人体ファントムに対して、臓器等の領域境界を判定し、正確なポリゴンメッシュへと変換するアルゴリズムを開発した。この変換で得られたポリゴン数値人体ファントムはモンテカルロ輸送計算で使用できるとともに、CADソフトを使った体系の可視化も可能である。
佐藤 大樹; 遠藤 章; Bolch, W.*; Lee, C.*
no journal, ,
環境に分布した放射性核種による外部被ばく線量を評価するには、放射性核種の放射能濃度などの測定可能な量から実効線量などへの線量換算係数が必要である。本研究では、ICRP2007年勧告をはじめとした最新の知見を反映し、公衆を代表する複数の年齢(成人,15歳,10歳,5歳,1歳,新生児)を対象に外部被ばく線量換算係数の整備を進めている。今回の発表では、土壌の表面及び複数の深さに分布した放射性核種に対する線量換算係数について報告する。計算では、機構を中心に開発を進めている放射線輸送計算コードPHITSを用いて環境を模擬した大気と土壌からなる半無限体系を構築し、単色光子線源を土壌に定義して地表面近傍の放射線場を解析した。さらに、その放射線場に公衆を代表する年齢別の精密人体模型を配置し、放射線輸送計算から得られる実効線量のデータに対し、ICRP Publ.107の放射性核種崩壊データの光子エネルギーと放出率を適用することで、核種毎の線量換算係数を評価した。その結果、同一エネルギースペクトルの放射線場で身体が小さいと深部に位置する放射性感受性の高い臓器にも光子が到達しやすくなるため、年齢が低くなるにつれて実効線量が大きくなることを明らかにした。