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Rahman, A.*; 中曽根 光*; Chhun, T.*; 大浦 千春*; Biswas, K. K.*; 内宮 博文*; 鶴見 誠二*; Baskin, T. I.*; 田中 淳; 大野 豊
Plant Journal, 47(5), p.788 - 801, 2006/09
被引用回数:33 パーセンタイル:59.9(Plant Sciences)2,4-Dは、IAAの化学的アナログで、オーキシンとして投与し植物の生長を制御する際に広く使用されており、IAAと共通した応答経路で作用すると考えられている。本論文では、2,4-Dに対して感受性が低下しているがIAAに対しては野生型と同様の感受性を示す変異体であるアンチオーキシン耐性変異体()について報告する。の2,4-D応答変化の特異性は、, などのマーカー遺伝子の発現や遺伝子のリアルタイムPCR法などにより確認された。2系統の変異遺伝子座を調べたところ、両者とも複数の遺伝子にまたがるゲノムDNAの欠失が起こっていた。そこで、相補試験、及びRNAi形質転換体の解析を行い、欠失領域に存在する単一の遺伝子が2,4-D応答変化に関与していることを証明した。この遺伝子は、機能未知のタンパク質をコードする遺伝子(:)で動植物には存在するが、菌類や原核生物には報告がないものであった。本研究により、SMAP1は2,4-D応答の調節因子であること、2,4-DとIAAに対する応答反応は部分的に異なる経路で引き起こされることが示唆された。
大野 豊; Rahman, A.*; 中曽根 光; Chhun, T.*; 内宮 博文*; 鶴見 誠二*; 田中 淳
no journal, ,
アンチオーキシン耐性変異体()は、PCIB(-chlorophenoxyisobutyric acid)を用い、根の生長を指標としたスクリーニングにより取得された2,4-Dに対して感受性が低下しているが、IAAに対しては野生型と同様の感受性を示す変異体である。分子遺伝学的な解析からゲノムでは、第4染色体の約45kbのゲノムDNA領域が消失し、約9個の遺伝子が欠失していることが明らかにされた。この変異体における2,4-Dの取り込みや代謝については、野生型と違いは認めらず、2,4-Dの情報伝達過程が異常になっていることが示唆された。で欠失した領域に挿入がおきたT-DNA変異体やエンハンサートラップ系統を入手し、PCIB耐性を調べたところ、1系統においてPCIB耐性が認められたが、この系統()も約27KbのゲノムDNAが破壊されていた。そこで、相補試験、及びRNAi形質転換体の解析を行い機能未知の62アミノ酸からなるタンパク質をコードする遺伝子(:)が変異体の形質に重要であることを突き止めた。本研究により、シロイヌナズナ根における2,4-Dの作用の一部は、IAA反応とは独立したSMAP1を介した経路で引き起こされることが示唆された。
大野 豊; Rahman, A.*; Biswas, K. K.*; Chhun, T.*; 鶴見 誠二*; 鳴海 一成
no journal, ,
植物ホルモンオーキシンの作用メカニズムは幾つかのオーキシン変異体の同定によって明らかになりつつあるが、情報伝達系の詳細な制御機構や既知のオーキシン受容体であるTIR1/AFBsですべてのオーキシン反応が説明できるかどうかは不明である。オーキシン情報伝達にかかわる未知因子を明らかにするため、われわれはアンチオーキシンPCIBの存在下でも根が長く伸びる変異体のスクリーニングを行った。変異体は既知の遺伝子座であるやを含め五つのグループに分類された。さらにその中の新規変異体である()の生理学的/分子生物学的解析を行い、small acidic protein 1が2,4-Dで誘導されるオーキシン反応を仲介する制御因子であること、また2,4-Dの作用機構が同じオーキシンであるIAAとは部分的に異なることを明らかにした。