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久米 民和; 松橋 信平; 伊藤 均; 橋本 昭司; 石垣 功*; M.R.Awang*; M.Lebaijuri*; Z.Othman*; F.Ali*; W.B.W.Husain*; et al.
JAERI-Research 98-013, 206 Pages, 1998/03
放射線加工処理分野における原研とマレーシア原子力研究所(MINT)における二国間研究協力が1987年12月に調印され、「オイルパーム廃棄物の有効利用」に関する研究が10年間実施された。1987年~1992年の第1期では、(1)汚染微生物の放射線殺菌、(2)照射した廃棄物の物理化学的性質、(3)有用菌の選択と発酵条件、(4)発酵産物の栄養価、(5)経済性評価について検討し、放射線殺菌とキノコ菌による発酵処理が有効であることを明らかにした。第2期(1992~1997年)には、(1)パイロットプラントにおける飼料生産のフィジビリティ・スタディ及び、(2)生物活性物質の生産について検討し、本プロセス実用化のための基礎的知見を得た。本報告書は、オイルパーム廃棄物である空果房の放射線殺菌とキノコ菌による発酵処理を用いた飼料化プロセス実用化のための研究成果をまとめたものである。
松橋 信平; 久米 民和; 橋本 昭司; M.R.Awang*
Journal of the Science of Food and Agriculture, 69, p.265 - 267, 1995/00
被引用回数:5 パーセンタイル:34.48(Agriculture, Multidisciplinary)セルロース質廃棄物であるオイルパーム空果房(EFB)を利用するため、アルカリと線照射との組み合わせ処理による酵素分解性の変化について研究を行った。未処理のEFBは、ドリセラーゼ(市販セルラーゼ剤)による分解が困難であった。線を照射することにより、EFBの酵素分解性は増加し、線量の増加に従い、分解により生じたガラクツロン酸量、中性糖量も増加した。EFBの酵素分化により得られた中性糖の主成分は、グルコースとキシロースであった。これらの成分は、アルカリまたは照射処理したEFBで増加した。アルカリと照射の組み合わせ処理を行ったEFBでは、キシロースの量が著しく増加したことから、この組み合わせ処理は、EFBの酵素分解性の向上に有効であり、特にキシラン画分に有効であることが明らかになった。
Y.Atan*; M.R.Awang*; M.Omar*; A.Hashim*; 久米 民和; 橋本 昭司
Proc. of European-ASEAN Conf. on Combustion of Solids and Treatment of Products, 0, p.176 - 189, 1995/00
オイルパームのセルロース質廃棄物である空果房について、5種類の菌を用いて分解性を調べた。市販のオルガノミン、トーマス、オーレスC、オーレスII及びパーム油工場廃液から分離した菌を用いてコンポスト化を行った結果、いずれも1ヶ月以内に終了するという良好な成績が得られた。EFB培地に3%の硫安と1%の種菌を加え、水分含量を60%に調整して培養した結果、とくにトーマス菌によるコンポスト化が良かった。発酵産物のC/N比は25:1にまで減少し、直接肥料として施用できるものと考えられた。また、発酵産物の施用を行う際の安全性を確保するために、放射線による殺菌試験も行った。
M.R.Awang*; H.H.Mutaat*; M.S.Mahmud*; W.B.W.Husain*; T.Osman*; K.A.Bakar*; A.Kassim*; Z.U.W.Mahmud*; Manaf, I.*; 久米 民和; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.611 - 616, 1993/00
被引用回数:2 パーセンタイル:29.78(Chemistry, Physical)オイルパームのセルロース廃棄物である空果房を用いて、P.sajor-cajuによる飼料化の検討を行った。照射した空果房におけるP.sajor-cajuの生育適温は25~28C、pHは6~8、水分含量は60~70%であった。CaCOを2%、米ヌカを5%加えた空果房培地が最適であった。発酵産物は、粗繊維含量が減少し、タンパク質含量が増加した。本発酵産物を反芻動物用の飼料として用いた結果、良好な消化率が得られた。発がん性を有するカビ毒アフラトキシンは、発酵産物から検出されることはなかった。
久米 民和; 松橋 信平; 橋本 昭司; M.R.Awang*; H.Hamdani*; 斉藤 秀治*
Radiation Physics and Chemistry, 42(4-6), p.727 - 730, 1993/00
被引用回数:8 パーセンタイル:63.68(Chemistry, Physical)大量に排出される未利用農林産資源の中で、オイルパーム工場の主要なセルロース質廃棄物である空果房(EFB)の有効利用について検討した。マレーシアでのEFB産出量は年間200万トン以上にのぼり、焼却による煙等環境への汚染の問題が指摘されている。放射線処理を利用したEFBの飼料化やキノコ生産が有効に行えることを明らかにした。EFBの微生物汚染は著しく、滅菌のためには25kGy,殺菌のためには10kGy必要であった。これらの線量を用いて殺菌あるいは滅菌したEFB培地に有用糸状菌を接種して発酵試験を行った。試験した糸状菌の中ではC.cinereus及びP.sajor-cajuの成績が良好であった。C.cinereusの30Cにおける固体発酵の結果、1ヶ月の培養でタンパク含量が13%に増加し、粗繊維含量は20%に減少した。P.sejor-cajuによるキノコ生産は、EFBに少量の米ヌカを加えることにより良好な結果が得られた。
M.R.Awang*; H.H.Mutaat*; R.M.Deres*; 久米 民和
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.501 - 504, 1991/00
前報で、オイルパーム空果房(EFB)試料3~6gを用いた小規模発酵試験において、Coprinus cinereusを用いることにより粗繊維含量20%、粗タンパク質含量13%の発酵産物が得られることを報告した。本報告では、大量の発酵産物を生産するために、発酵のスケールアップについて検討した。約400gのEFBをプラスチック袋に入れて発酵試験を行ったところ、C.cinereusでは粗繊維含量は33%と高かったが、粗タンパク質含量は11~13%であった。一方、食用キノコ菌であるP.cystidiosusやA.politricaでの発酵結果は良く、粗繊維含量26%、粗タンパク質含量は16%となった。また、1.5kgのEFB培地を詰めたプラスチックコンテナー(332813cm)でP.sajor-oajuを栽培した結果、粗繊維含量16~20%、粗タンパク質含量6~8%、キノコの内量250gという良好な発酵結果を得た。
久米 民和; H.H.Mutaat*; M.R.Awang*; 伊藤 均; 橋本 昭司
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.497 - 500, 1991/00
オイルパームの生産に伴い大量に排出されるセルロース質廃棄物の空果房(Empty Fruit Bunch,EFB)及び果肉繊維(Palm Press Fiber,PPF)は、各々年間200万トンに上る。これらは主として焼却処分されており、煙公害の源ともなっている。近年環境規制の面からも焼却以外の新しい処理法の開発が望まれている。このような背景のもとに、大量の試料の殺菌処理に適している放射線処理と発酵処理による飼料化の検討を行った。汚染微生物の滅菌には25kGy以上の線量が必要であるが、糸状菌の殺菌には5~10kGyで十分であった。殺菌処理したEFB培地に各種糸状菌を接種し、発酵試験を行った。Coprinus,pleuorotus,Aspergillus,Vertisillium,Triohoderma菌の中では、Coprimcs cinereusの発酵結果が最も良かった。
松橋 信平; Z.B.Othman*; M.R.Awang*; 久米 民和
Proceedings of the International Conference on Evolution in Beam Applications, 0, p.505 - 510, 1991/00
EFB(Empty Fruit Bunch)およびPPF(Palm Press Fiber)は、オイルパーム産業の副産物であるが、有効な利用法はまだ確立されていない。これらの副産物はセルロースなど炭水化物に富み、微生物の培地に使用できると考えられるが、その際には滅菌が必要であり、放射線による滅菌が有効であると考えられる。そこで本研究では、放射線照射によりEFBあるいはPPFが微生物が資化し易くなるかを、市販のセルラーゼ剤による消化実験を行い調べた。その結果生のEFBおよびPPFでは、照射の前後でわずかの差しか認められなかった。ホロセルロースおよび-セルロースをセルラーゼで分解すると、還元糖量はいずれの場合も増加し、照射による効果が認められた。また、全ての試料について還元糖量はEFBがPPFより多かった。
久米 民和; 伊藤 均; 石垣 功; M.L.Juri*; Z.Othman*; F.Ali*; H.H.Mutaat*; M.R.Awang*; A.S.Hashim*
Journal of the Science of Food and Agriculture, 52, p.147 - 157, 1990/00
被引用回数:14 パーセンタイル:66.51(Agriculture, Multidisciplinary)オイルパーム廃棄物の発酵処理による有効利用を目的として、空果房(EFB)及び果肉繊維(PPF)中の汚染微生物及び成分に対する照射効果を検討した。微生物汚染は非常に著しく、種々の工場から採取したいずれの試料でも大差なかった。これら汚染細菌を検出限界以下にまで殺菌するためには15kGy以上必要であったが、糸状菌には5~6kGyで十分であった。ホロセルロース及びリグニン含量は各々約60%及び25%であり、照射による変化はわずかであった。EFB、PPFともに高い保水性を有しており、発酵培地に適していることも判った。これらの結果から、5~10kGyの照射では特に著しい成分変化もなく、発酵培地の殺菌手段として有効な方法であることが明らかとなった。
伊藤 均; M.R.Awang*; F.B.Ali*; 久米 民和; 石垣 功
食品照射, 25(1-2), p.79 - 82, 1990/00
オイルパームのセルロース質廃棄物は粗繊維含量が50%以上あり試料原料としての利用は困難である。本研究ではセルロース分解糸状菌による醗酵処理による粗繊維含量の低下を目的として、セルロース質廃棄物の放射線殺菌効果及び粗繊維分解率、セルロース分解菌による糖化処理条件について検討を行った。空果房及び果肉繊維の微生物汚染は著しく1g当たり10~10個含まれ、芽胞形成殺菌とAspergillus flavus群、A.versicolor、A.fumigatusなどの糸状菌で汚染されていた。ガンマ線を5kGy照射するとこれらの糸状菌はほぼ殺菌され、10kGyでは殺菌類も10個以下に低減することができた。アルカリ処理はTricoderma菌等のセルロース分解には有効であったが、キノコ糸菌株での効果は少なかった。Coprinug cinereusは最も分解力が強力で20日培養で50~73%の分解率を示した。糖化処理にはアルカリ処理が有効であった。
伊藤 均; M.R.Awang*; 久米 民和; 石垣 功
日本食品工業学会誌, 36(8), p.643 - 646, 1989/08
バガスに無機窒素源等の培養液を添加し、10kGy、のガンマ線で殺菌後、セルロース分解糸状菌類による家畜用飼料としての粗繊維分解性を比較した。アルカリ無処理バガスの場合はPleurotus ostreatusやCoprinus cinereus Verticilliumなどの糸状菌により、1ケ月培養で粗繊維の25~40%が分解された。