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本多 真紀; Martschini, M.*; Marchhart, O.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*
放射線(インターネット), 48(4), p.130 - 136, 2024/02
ストロンチウム90(Sr、28.9年)は、体内では骨や歯に蓄積して健康障害を引き起こすため、内部被ばく線量評価において重要な核分裂生成物核種である。そのため、環境中のSrの分布やその経時変化(生物相におけるSrの濃縮)を知ることが不可欠である。Srの経年変化を調査するためには多くの環境試料を効率的に分析する必要がある。本稿ではSr AMSの実用化に向けて、オーストリア共和国ウィーン大学の3MV AMS施設(VERA: Vienna Environmental Research Accelerator)と共に実施した、Sr濃度既知の環境試料の分析成果に関して解説する。本研究では、Sr濃度が既知の環境試料(IAEA-447, IAEA-A-12, IAEA-TEL-2015-03 sample 5:各1 dry-g)を分析することでAMS法の妥当性を示した。本研究で開発した化学分離にかかる時間は約2日であり、従来の線検出法よりシンプルな手法である。Srの測定は、加速したイオンとレーザーの相互作用を利用した質量分析装置(ILIAMS)と組み合わせたAMSシステムで実施した。AMS法はSrの検出限界0.1mBq (1.310 atoms)を達成し、これは一般的な線検出の1/30である。この低い検出限界を達成した結果、AMS法はより少ないサンプル量でSrの定量が可能になり、例えばSr濃度が4 mBq/Lの日本の淡水試料では、5リットルの試料量で分析可能である。
本多 真紀; Martschini, M.*; Wieser, A.*; Marchhart, O.*; Lachner, J.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*
JAEA-Conf 2022-001, p.85 - 90, 2022/11
加速器質量分析(AMS)は、原子核実験で主に利用させれてきたタンデム加速器に質量分析を組み合わせた分析法である。AMSの測定対象は半減期が10-10年の放射性核種である。この程度の半減期の放射性核種に対しては、その放射能を測定するよりも、その質量を測定する手法の方が10-10倍の感度で測定可能である。この特徴を利用してAMSは地球惑星科学、原子力分野等の研究に幅広く適応されている。様々な研究の中でもWallner et al. (2021, 2016)は地球惑星科学の分野で優れた成果を得ている。彼らは環境試料に含まれるFeとPuの超高感度分析に成功した。これらは天体内で起こる中性子の連続捕獲(r-process)によって生成される放射性核種である。この他に、発表者らの最新の研究ではレーザーによる同重体分離とAMSとを組み合わせた新AMSシステム(ウィーン大学VERA)による環境試料中のSrとCsの超高感度分析に成功した。環境中のSr測定手法としては娘核種Yのミルキングによる線測定が依然主力であるが、本成果によってAMSが実用的な新規分析法となることが示された。本発表ではSrとCsを中心に超高感度分析の技術開発の現状を報告する。
本多 真紀; Martschini, M.*; Marchhart, O.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 佐藤 哲也; 塚田 和明; 坂口 綾*
Analytical Methods, 14(28), p.2732 - 2738, 2022/07
被引用回数:4 パーセンタイル:52.48(Chemistry, Analytical)環境放射線学の発展に資するために加速器質量分析装置(AMS)による高感度Sr分析法を開発した。AMSの利点は、Sr/Srの原子比が10の様々な環境試料を簡単な化学分離で分析できることである。本研究ではSr濃度が既知の3種類のIAEA試料(コケ土、動物の骨、シリアの土壌:各1g)を分析し、化学分離とAMS測定の妥当性を評価した。Srの測定は、優れた同重体分離性能を有するウィーン大学のイオンレーザーインターアクション質量分析装置(ILIAMS)と組み合わせたAMSシステムで実施した。SrのAMSにおけるZrの同重体干渉は、まず化学分離によって除去された。Sr樹脂と陰イオン交換樹脂を用いた2段階のカラムクロマトグラフィーにおけるZrの分離係数は10であった。試料中に残存するZrはILIAMSによって効率的に除去された。この簡単な化学分離で一般的な線検出よりも低い検出限界0.1mBqを達成した。Sr濃度に関して本研究のAMS測定値とIAEAの公称値が一致したことから、AMSによる新規の高感度Sr分析は土壌や骨の高マトリクス試料に対しても信頼できることを示した。
本多 真紀; Martschini, M.*; Marchhart, O.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*
no journal, ,
加速器質量分析(AMS)は加速器を用いた応用研究で比較的新しい分析化学である。考古学において年代測定に利用されるCの他、原子力発電所や加速器施設の放射化物の廃棄時の環境影響評価に利用されるClなどが国内において測定されている。近年は既存のAMSシステムにレーザー光脱離法などの同重体を分離する新たな分析化学的な技術を組み合わせ、性能向上およびAMSにおける新規核種の測定を可能にしてきた。本発表では主に、ウィーン大学の3MV AMSに装備されているレーザー光脱離法を活用した、Srの高感度分析技術の開発成果を発表する。更に、日本の施設でのSr AMS実現可能性について議論する。
本多 真紀; Martschini, M.*; Lachner, J.*; Marchhart, O.*; Wieser, A.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*
no journal, ,
人工放射性核種であるSr(28.79年)及びCs(30.1年)の環境動態調査において、更なる研究の発展を目指して、廃棄物・環境安全研究グループでは加速器質量分析(AMS)による新規のSr, Cs(230万年)分析法の開発を進めてきた(長半減期のCsはCsのプロキシとして利用する)。AMS法の利点は簡略な化学分離で微量のSrとCsを分析可能なことである。Srに関しては、IAEAが頒布しているSr濃度既知の放射能環境標準物質等から、2日程度で完了する化学分離でSrFターゲットを調製し、ウィーン大学VERAでSrを測定した。その結果、線測定に匹敵する検出限界0.1mBqを得た。更に環境試料中Srの検出にも成功し、環境試料へ適応できることが示された。一方でCs AMSは測定においていくつか課題があるため、試験測定を進めている。
本多 真紀; Martschini, M.*; Lachner, J.*; Wieser, A.*; Marchhart, O.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*
no journal, ,
近年AMSに加速したイオンとレーザー(光子)の相互作用を利用する同重体の効果的な除去手法を導入することによって、測定可能核種が拡大している。本発表では、本手法を導入したAMSによって世界に先駆けて測定に成功した研究例として、IAEA等から取得したサンプル中のSrとCsの測定について、その分析技術の概要、測定結果、残された課題を発表する。また本手法の地球化学分野における適用可能性(水圏におけるSr分布調査等のニーズや適用可能な環境試料の範囲)についても言及する。
本多 真紀; Martschini, M.*; Marchhart, O.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*; 末木 啓介*
no journal, ,
大気圏内核実験や福島第一原子力発電所の事故由来のSrによる環境・生物への長期的な影響を明らかにするとともに、今後の原子力災害に備え様々な性質をもつ環境試料に対しSrを効率的に分析する必要がある。本研究では、優れた感度と同重体分離能力を有する加速器質量分析(AMS)を用いてSrを測定するための一連の化学処理方法を構築するとともに、その処理方法による標準環境試料のSr分析から測定性能等について報告する。