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近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにてFからの1陽子ノックアウト反応によってOを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Himpe, P.*; Neyens, G.*; Balabanski, D. L.*; Blier, G.*; Daugas, J. M.*; de Oliveira Santos, F.*; De Rydt, M.*; Flanagan, K. T.*; Matea, I.*; Morel, P.*; et al.
Physics Letters B, 658(5), p.203 - 208, 2008/01
被引用回数:43 パーセンタイル:89.18(Astronomy & Astrophysics)フランスGANILにて中性子過剰核Alを生成し、その因子の絶対値()を初めて測定した。その因子の大きさとこれまでのベータ崩壊のデータを照らし合わせて、Alの基底状態のスピンパリティはが妥当であることが示された。この因子を殻模型計算と比較した結果、中性子数20の殻ギャップから中性子が励起しないと仮定した計算では説明できず、この核はいわゆる「逆転の島」に入ることがわかった。さらにモンテカルロ殻模型によって励起を取り入れた計算をしたところ、この因子は、中性子数20のギャップのみならず軌道と軌道間のギャップである中性子数28の殻ギャップの大きさにも敏感であることがわかった。
Belleguic, M.*; Azaiez, F.*; Dombrdi, Zs.*; Sohler, D.*; Lopez-Jimenez, M. J.*; 大塚 孝治*; Saint-Laurent, M. G.*; Sorlin, O.*; Stanoiu, C.*; 宇都野 穣; et al.
Physical Review C, 72(5), p.054316_1 - 054316_7, 2005/11
被引用回数:40 パーセンタイル:89.59(Physics, Nuclear)原子核の殻構造が不安定核で変化する可能性が指摘されているが、その是非を明らかにするにはいわゆる侵入者状態の励起エネルギーを系統的に調べることが必要である。この論文では、GANIL研究所で不安定核Neの新たな準位を見つけ、その結果を原研らのグループによってなされたモンテカルロ殻模型計算の結果と比較したものである。これらの不安定核をSビームの入射核破砕反応によって生成し、脱励起線を観測することにより、新しい準位を見つけた。Neにおいては、観測された準位は殻を仮定した殻模型計算の結果とよく一致し、低励起状態において侵入者状態は見つからなかった。一方、この実験で新たに見つかったNeにおける2.24MeVの状態は、旧来の殻模型で対応するものが存在しないため、侵入者状態が支配的と考えられる。実際、モンテカルロ殻模型計算によって2.2MeV付近にこのような状態があると予言される。この実験で得られたN=18核における非常に低い状態の存在は、不安定核においてN=20の殻ギャップが非常に狭まっていなくては説明できず、不安定核で魔法数が消滅するメカニズムの解明に大きな知見を与えるものである。