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伊藤 裕道*; 大田 克; 川原 啓孝; 小林 哲彦; 高松 操; 長井 秋則
JAEA-Technology 2016-008, 87 Pages, 2016/05
高速実験炉「常陽」では、計測線付実験装置の不具合に起因した燃料交換機能の一部阻害に係る復旧措置の一環として、炉心上部機構交換作業を平成26年3月24日に開始し、同年12月17日に完了した。炉心上部機構は、交換することを前提に設計されたものではなく、これまでに交換した実績も有していないため、旧炉心上部機構を引き抜くことができないリスクがあった。このため、旧炉心上部機構ジャッキアップ試験を実施し、旧炉心上部機構を確実に引き抜ける見通しを得た。引き続き、旧炉心上部機構引抜作業を実施し、当該作業を完遂できた。新炉心上部機構据付作業では、装荷前に仮蓋を案内スリーブに通過させることにより装荷に必要なスペースが確保されていることを確認した。また、位置調整・揺動防止のためのガイドローラー及び所定の位置に精度よく据え付けるための拘束治具を使用した。この結果、有害な干渉がなく装荷され、要求据付精度1.02mmに対し、0.350.1mmの精度で据え付けることができた。
高松 操; 川原 啓孝; 伊藤 裕道; 宇敷 洋; 鈴木 信弘; 佐々木 純; 大田 克; 奥田 英二; 小林 哲彦; 長井 秋則; et al.
日本原子力学会和文論文誌, 15(1), p.32 - 42, 2016/03
高速実験炉「常陽」では、平成19年に「計測線付実験装置との干渉による回転プラグ燃料交換機能の一部阻害」が発生し、原子炉容器内において、計測線付実験装置(以下、MARICO-2(MAterial testing RIg with temperature COntrol 2nd))試料部が炉内ラック内の移送用ポットから突出した状態で変形していること、MARICO-2試料部と炉心上部機構(以下、UCS(Upper Core Structure))の接触により、UCS下面に設置されている整流板等が変形していることが確認された。当該燃料交換機能復旧作業の一環として、「常陽」では、平成26年5月よりUCS交換作業を開始し、同年12月に終了した。高放射線・高温環境のSFRにおける原子炉容器内補修(観察を含む)には、軽水炉にはない技術開発が必要であり、その技術レベルを高め、供用期間中の運転・保守に反映することはSFRの信頼性の向上に寄与することができる。SFRにおけるUCSの交換実績は世界でも数少なく、30年以上使用した原子炉容器内の大型構造物の交換作業の完遂により蓄積された経験・知見は、「常陽」のみならず、SFRにおける原子炉容器内観察・補修技術開発に大きく資するものと期待される。
伊藤 裕道; 鈴木 信弘; 小林 哲彦; 川原 啓孝; 長井 秋則; 坂尾 龍太*; 村田 長太郎*; 田中 淳也*; 松坂 康智*; 立野 高寛*
Proceedings of 2015 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2015) (CD-ROM), p.1058 - 1067, 2015/05
高速実験炉「常陽」では、計測線付実験装置の不具合に起因した燃料交換機能の一部阻害の復旧のため、ナトリウム冷却型高速炉における原子炉容器内保守・補修技術の開発を進めている。炉心上部機構と炉心上部機構案内スリーブのギャップは最小5mmと小さいため、旧炉心上部機構引抜時の水平度管理が十分でない場合、炉心上部機構と炉心上部機構案内スリーブが干渉し、旧炉心上部機構の変形等が生じるリスクがある。当該リスクに対応するため、3点支持構造を有するジャッキアップ治具を開発した。また、各ネジジャッキにロードセルを設置し、旧炉心上部機構が炉心上部機構案内スリーブと干渉した場合に生じる荷重変動を検出することにより、旧炉心上部機構の変形等を防止するとともに、干渉位置を同定する手法を開発した。旧炉心上部機構引抜性確認試験は、2014年5月14日に実施され、旧炉心上部機構が1000mm位置まで許容荷重を超過することなく引き抜くことが可能であることを確認した。本作業で蓄積された稀少な知見・経験は、「常陽」の復旧のみならず、ナトリウム冷却型高速炉の原子炉容器内保守・補修技術の開発に大きく資するものと期待される。
伊藤 裕道; 高松 操; 川原 啓孝; 長井 秋則
JAEA-Technology 2014-024, 28 Pages, 2014/07
回転プラグの案内スリーブ内に挿入された炉心上部機構の交換にあたっては、炉心上部機構と案内スリーブのギャップが最小5mmと小さいため、炉心上部機構引抜時の水平度管理が十分でない場合、炉心上部機構と案内スリーブが干渉し、旧炉心上部機構の変形等が生じるリスクがある。当該リスクに対応するため、(1)高精度な位置・姿勢制御機能を有するジャッキアップ治具、(2)干渉発生時に、当該方位を同定し回避する手法について検討した。(1)では、3本のネジジャッキを有するジャッキアップ治具を開発した。3点支持構造としているため、厳密な水平度管理(約0.039以下)が実現できる。また、(2)では、各ネジジャッキにロードセルを設置し、炉心上部機構が案内スリーブと干渉した場合に生じる荷重変動を検出することにより、旧炉心上部機構の変形等を防止するとともに、その偏荷重から、干渉位置を同定する手法を開発した。これらの機能については、実機大の模擬体を用いた炉外確認試験により、実機作業に適用可能なことを確認した。
奥田 英二; 伊藤 裕道; 吉原 静也
UTNL-R-0486, p.6_1 - 6_10, 2014/03
高速実験炉「常陽」では、平成19年に「計測線付実験装置との干渉による回転プラグ燃料交換機能の一部阻害」が発生し、原子炉容器内において、(1)計測線付実験装置(以下、MARICO-2)試料部が炉内ラック内の移送用ポットから突出した状態で変形していること、(2)MARICO-2試料部と炉心上部機構(以下、UCS)の接触により、UCS下面に設置されている整流板等が変形していることが確認された。当該燃料交換機能を復旧するため、「常陽」では、UCS交換作業及びMARICO-2試料部回収作業を実施する。本報告では、当該燃料交換機能復旧作業のうち、UCS交換作業の準備状況について述べる。
伊藤 裕道; 川原 啓孝; 高松 操; 豊吉 晃*; 坂尾 龍太*; 村田 長太郎*
no journal, ,
高速実験炉「常陽」では、平成19年に発生した炉内干渉物による燃料交換機能の一部阻害を契機とし、炉心上部機構(UCS)の交換等にかかわる原子炉容器内観察・補修技術開発を進めている。今後実施するUCSの交換に向け、「常陽」の旧UCSジャッキアップに使用する治具を整備し、炉外機能確認試験を実施することで、設置以来30年以上交換した実績のない旧UCSのジャッキアップにこれらの治具が適用できる見通しを得た。
鈴木 信弘; 伊藤 裕道; 佐々木 純; 大川 敏克; 川原 啓孝; 小林 哲彦; 坂尾 龍太*; 村田 長太郎*; 田中 淳也*; 松坂 康智*; et al.
no journal, ,
高速実験炉「常陽」における炉心上部機構(UCS)の交換作業は、世界的にも例の少ない大型炉内構造物の補修作業である。UCSは、交換することを前提に設計されたものではなく、これまでに交換した実績も有していない。そのため、旧UCS引抜に際しては、(1)旧UCSと案内スリーブのギャップに存在する蒸着ナトリウムのせん断により生じる抵抗、(2)旧UCSと案内スリーブの干渉・接触により生じる抵抗により、機器の変形等が生じるリスクが懸念された。「常陽」では、UCS交換作業を確実に推進するため、その開始に先立って、精密な荷重管理・水平度管理を行うために開発したジャッキアップ治具を用いた旧UCSジャッキアップ試験を実施し、旧UCS引抜に係るデータを取得することで、これらのリスクを排除し、UCS交換作業を確実に推進できる見込みを得た。
大田 克; 伊藤 裕道; 宇敷 洋; 吉原 静也; 飛田 茂治; 川原 啓孝; 原 正秀*; 岡崎 弘祥*; 田中 淳也*; 立野 高寛*
no journal, ,
高速実験炉「常陽」における炉心上部機構(UCS)交換作業は、世界的にも例の少ない大型炉内構造物の補修作業である。UCS交換作業は、(1)旧UCS引抜・収納・保管作業及び(2)新UCS装荷作業に大別される。これらの作業では、ビニルバッグ/ガイド筒/ドアバルブ/キャスクによりバウンダリを構成した上で、ネジジャッキシステムの開発成果を踏まえて、設計・製作したワイヤジャッキシステム(3点支持構造)により旧UCS引抜/新UCS装荷を実施した。平成26年5月22日6月4日に旧UCS引抜・収納・保管作業を実施し、MARICO-2試料部回収作業終了後の11月21日に新UCSの装荷を完了した。12月1215日に新UCSの据付状況(リークチェック等)を確認し、12月17日に後片付けを含めた全て作業を終了した。本作業により得られた知見は、今後のナトリウム冷却型高速炉の原子炉容器内観察・補修技術の開発に大きく資するものと考えている。
宇敷 洋; 伊藤 裕道; 奥田 英二; 鈴木 信弘; 佐々木 純; 大田 克; 川原 啓孝; 高松 操; 長井 秋則; 大川 敏克
no journal, ,
高速実験炉「常陽」では、平成19年に「計測線付実験装置との干渉による回転プラグ燃料交換機能の一部阻害」が発生し、原子炉容器内において、(1)計測線付実験装置(以下、MARICO-2(MAterial testing RIg with temperature COntrol 2nd))試料部が炉内ラック内の移送用ポットから突出した状態で変形していること、(2)MARICO-2試料部と炉心上部機構(以下、UCS(Upper Core Structure))の接触により、UCS下面に設置されている整流板等が変形していることが確認された。当該燃料交換機能復旧作業の一環として、「常陽」では、平成26年5月よりUCS交換作業を開始し、同年12月に終了した。高放射線・高温環境のSFRにおける原子炉容器内補修(観察を含む)には、軽水炉にはない技術開発が必要であり、その技術レベルを高め、供用期間中の運転・保守に反映することはSFRの信頼性の向上に寄与することができる。SFRにおけるUCSの交換実績は世界でも数少なく、30年以上使用した原子炉容器内の大型構造物の交換作業の完遂により蓄積された経験・知見は、「常陽」のみならず、SFRにおける原子炉容器内観察・補修技術開発に大きく資するものと期待される。