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論文

Atmospheric ammonia deposition and its role in a cool-temperate fragmented deciduous broad-leaved forest

堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大

Atmospheric Environment, 298, p.119640_1 - 119640_12, 2023/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:58.15(Environmental Sciences)

Moderately elevated reactive nitrogen (Nr) deposition due to anthropogenic activities can have an impact on forest production via throughfall and canopy retention processes. Forest fragmentation can increase dry deposition of atmospheric ammonia volatilized from agricultural areas, and consequently increase spatial variability of Nr deposition even within the same forest (edge effect). However, little is known about the edge effect and its impact on forest production in a deciduous broad-leaved forest in Asian countries. Here, we performed the field observations of atmospheric concentration and deposition of inorganic Nr gases and particles in a Japanese fragmented forest from May 2018 to April 2019. The results demonstrated that annual dry deposition of ammonia was dominant in the annual total dissolved inorganic Nr deposition at the forest edge, including the edge effect. Additionally, agricultural activities such as fertilization in the area surrounding the forest likely enhanced the potential of canopy retention of NH$$_{4}$$$$^{+}$$, known as Nr species readily absorbed by tree canopy.

論文

Soil microbial community responding to moderately elevated nitrogen deposition in a Japanese cool temperate forest surrounded by fertilized grasslands

永野 博彦; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 久保田 智大*; 舘野 隆之輔*; et al.

Soil Science and Plant Nutrition, 67(5), p.606 - 616, 2021/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:19.73(Plant Sciences)

北海道の牧草地に囲まれた冷温帯林において、大気からの窒素沈着量と土壌の微生物群集特性との関係を調査した。窒素沈着量の緩やかな増大(年間10kg N/ha未満)が土壌微生物群集に及ぼす影響について明らかにすることを本研究の目的とした。調査対象の森林において6つの実験区画を設置し、そのうち3つを草地に隣接した林縁、他の3つを草地から少なくとも700m離れた林内に設置した。2018年5月から11月まで、各プロットでの窒素沈着を測定した。2018年8月には、すべての実験区画からリター層と表層土壌(深さ0-5cm)を収集し、微生物活性の指標として正味の窒素無機化と硝化速度、また微生物量の指標として微生物バイオマス炭素・窒素およびさまざまな微生物の遺伝子量(すなわち、細菌16S rRNA,真菌のITS,細菌のamoA、および古細菌のamoA遺伝子)を測定した。森縁の窒素沈着量は、林内の窒素沈着の1.4倍多かった一方、最も沈着量が多い場合でも3.7kg N/haであった。窒素沈着は、正味の窒素無機化および硝化速度、16S rRNAおよび細菌のamoA遺伝子の存在量と有意に相関していた。環境DNA解析に基づく土壌微生物群集構造は、リター層と表層土壌で異なっていたが、林縁と林内では類似していた。土壌の炭素/窒素比、および硝酸とアンモニウムの含有量に対する窒素沈着の有意な相関も観察された。以上より、窒素可給性の低い森林では、林縁における緩やかな窒素沈着の増大が土壌微生物の活性と存在量を増大させることが示された。

論文

Molecular gyrotops with a five-membered heteroaromatic ring; Synthesis, temperature-dependent orientation of dipolar rotors inside the crystal, and its birefringence change

増田 敏幸*; Arase, Junko*; 稲垣 佑亮*; 川幡 正俊*; 山口 健太郎*; 大原 高志; 中尾 朗子*; 門馬 洋行*; Kwon, E.*; 瀬高 渉*

Crystal Growth & Design, 16(8), p.4392 - 4401, 2016/08

 被引用回数:27 パーセンタイル:87.56(Chemistry, Multidisciplinary)

Three-dimensional arrays of dipolar rotors were constructed as single crystals of molecular gyrotops, which are macrocage molecules with a bridged dipolar rotor. In this study, we synthesized novel molecular gyrotops with a five-membered heteroring, i.e., furan-diyl, thiophenediyl, and selenophene-diyl, and investigated the temperature-dependent orientation and rotation of the dipolar rotors inside the crystal.

論文

Long-term observation of fog chemistry and estimation of fog water and nitrogen input via fog water deposition at a mountainous site in Hokkaido, Japan

山口 高志*; 堅田 元喜; 野口 泉*; 酒井 茂克*; 渡邊 陽子*; 植松 光夫*; 古谷 浩志*

Atmospheric Research, 151, p.82 - 92, 2015/01

 被引用回数:18 パーセンタイル:48.9(Meteorology & Atmospheric Sciences)

霧沈着による森林地帯への水・窒素供給を定量化するため、2006年から2012年までの植物成長期の日本北部の摩周湖の外輪山における霧化学性および沈着量を調べた。霧水とその粒径分布を自動霧捕集装置と粒径分光計を用いて測定した。過去に行われた酸性霧の暴露実験の結果に基づくと、本研究で観測された霧の酸性度が植物葉の損傷を引き起こすレベルには達していなかった。視程(VIS)と大気中霧水量(LWC)の関係は、夏季と秋季で異なっていた。この関係から経験的にフィッティングしたLWCの予測式と風速および植物パラメータから算出した沈着速度を用いて、この地域の霧沈着量を推定した。植物成長期間の霧による水および窒素沈着量は、それぞれ107-161mmおよび20-41meq m$$^{-2}$$と推定された。

論文

冷温帯林におけるエアロゾル動態および樹木への沈着・洗浄除去状態の把握

渡邊 陽子*; 山口 高志*; 堅田 元喜

エアロゾル研究, 29(S1), p.176 - 182, 2014/04

本研究では、北海道の森林樹木に対するエアロゾルの影響を解明するために、北海道東部のエアロゾル濃度と霧の化学的・物理的性質を分析した。樹木の生育期間中は、大気中エアロゾルは硫酸塩やアンモニウムイオンの濃度が最も高かった。これらのイオンは霧の主成分であった。霧の粒径は他地域より大きく、この地域の霧の沈着速度は大きくなることが示唆された。樹木の葉には、おもに土壌粒子やSを含む粒子やNaClが観察された。洗浄実験から、これらの粒子は降雨により葉表面から洗浄されることが明らかとなった。

論文

Aerosol deposition and behavior on leaves in cool-temperate deciduous forests, 3; Estimation of fog deposition onto cool-temperate deciduous forest by the inferential method

堅田 元喜; 山口 高志*; 佐藤 春菜*; 渡邊 陽子*; 野口 泉*; 原 宏*; 永井 晴康

Asian Journal of Atmospheric Environment, 7(1), p.17 - 24, 2013/03

日本北部の摩周湖周辺の冷温帯落葉樹林への霧水沈着を、霧水量(LWC)と霧水沈着速度のパラメタリゼーションを用いた推計法によって推定した。ヨーロッパでの野外観測と詳細な多層大気-植生-土壌モデルを用いた数値実験に基づいて提案された2つの霧水沈着速度のパラメタリゼーションを試験した。水平視程(VIS)とLWCの関係式を用いて、推計法の入力データであるLWCの1時間値を作成した。VISから計算した週平均のLWCと霧捕集装置によって測定された観測値との間には、良い相関が見られた。LWCと2つのパラメタリゼーションを用いた推計法によって計算された霧水沈着量は、林内雨から計算した霧水沈着量とファクター2から3で一致した。この結果から、推計法によって冷温帯落葉樹林への霧水沈着量を概算値を推定できることが示された。風速,樹冠に捕集された雨・霧粒の蒸発、及び森林の葉面積に関する現在の沈着速度のパラメタリゼーションの問題点を議論した。

論文

Aerosol deposition and behavior on leaves in cool-temperate deciduous forests, 2; Characteristics of fog water chemistry and fog deposition in northern Japan, in 2010

山口 高志*; 野口 泉*; 渡邊 陽子*; 堅田 元喜; 佐藤 春菜*; 原 宏*

Asian Journal of Atmospheric Environment, 7(1), p.8 - 16, 2013/03

2010年5月から11月にかけて、摩周湖における霧の化学特性の測定と林内雨法による霧水沈着量を推定を実施した。NH$$_{4}$$$$^{+}$$とSO$$_{4}$$$$^{2-}$$は、それぞれ最も支配的な陽イオン及び陰イオンであった。霧水のpHは4.2から6.4であり、平均値は5.1であった。観測期間中、霧水中のNH$$_{4}$$$$^{+}$$とSO$$_{4}$$$$^{2-}$$の平衡比は1を超えており、NH$$_{4}$$$$^{+}$$が霧水の中性化の重要な要因であることが示唆された。イベント別の霧水沈着速度と霧水沈着量は、それぞれ0.11mm h$$^{-1}$$及び117mmであった。霧水中に含まれる窒素の沈着量は26.1meq m$$^{-1}$$であり、既報の雨による窒素沈着量を上回った。

論文

Aerosol deposition and behavior on leaves in cool-temperate deciduous forests, 1; A Preliminary study of the effect of fog deposition on behavior of particles deposited on the leaf surfaces by microscopic observation and leaf-washing technique

渡邊 陽子*; 山口 高志*; 堅田 元喜; 野口 泉*

Asian Journal of Atmospheric Environment, 7(1), p.1 - 7, 2013/03

葉面に沈着したエアロゾルの挙動を明らかにするために、走査電子顕微鏡法を用いて北海道札幌市の都市及び郊外で採取したカバノキの葉を分析した。採集した葉は、(1)未処理葉、(2)脱イオン洗浄処理葉、(3)ふき取り処理葉の3種類に区別した。未処理葉の葉面上には、土壌粒子・有機物を含めたさまざまな形の粒子が観測された。都市で採取された葉には、硫黄粒子が検出された。(2)の処理を実施した葉にも粗大粒子は残存していたが、土壌粒子や硫黄粒子は洗浄されていた。(3)の処理をした葉からは、粒子はほとんど見られなかったが、海塩起源と思われる塩化ナトリウム粒子が検出された。これらの結果から、降雨などの環境条件に依存して、粒子が選択的に除去される可能性が示された。

口頭

冷温帯林におけるエアロゾル動態把握及び樹木の応答機構

渡邊 陽子*; 山口 高志*; 堅田 元喜

no journal, , 

冷温帯林における葉の表面に付着するエアロゾルの挙動を調べるために、葉面の顕微鏡観察及び元素分析を実施した。北海道の都市及び都市郊外に生育するシラカンバの葉を定期的に採取した。粒子の観察には、エネルギー分散型X線分光装置を装着した電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いた。降雨に対する挙動を調べるために、都市中心部のシラカンバの葉にイオン交換水で洗浄した後、粒子の観察を行った。いずれの地域で採集した葉にもケイ素を含む粒子が多く付着しており、土壌由来のものであった。これに加えて、都市中心部で採取された葉には硫黄を含む粒子が観察された。また、スポイトによる洗浄処理では、多くの微小粒子が消失していたことから、葉の表面に付着した土壌由来の粒子や硫黄を含む粒子が洗浄により消失したことが示唆された。

口頭

Aerosol deposition and the response to trees in cool-temperate forests

渡邊 陽子*; 山口 高志*; 堅田 元喜

no journal, , 

冷温帯林における葉表面に付着するエアロゾルの挙動を調べるために、夏季の北海道における大気中エアロゾルと霧中濃度の観測、葉面の顕微鏡観察及び元素分析を実施した。霧が多発する北海道の摩周湖において、エアロゾル及び霧中濃度をフィルターパックを用いて週単位で測定した。また、札幌におけるシラカンバの葉を採取し、エネルギー分散型X線分光装置を装着した電界放出形走査電子顕微鏡(SEM-EDX)を用いて粒子を観察した。霧や雨による付着粒子の洗浄効果を調べるために、採取した一部の樹木葉には脱イオン水を流下させた。北海道では、樹木の生育期間の主要なエアロゾルの化学成分は硫酸アンモニウムであることがわかった。札幌で採取された樹木葉には、これに由来すると考えられる硫黄成分を含む混合粒子が観察された。脱イオン水を処理した樹木葉を観察した結果、葉の表面に付着した大部分の土壌及び大気由来の粒子が洗い流されることがわかった。

口頭

降雨洗浄効果が及ぼす樹木葉表面へのエアロゾル沈着への影響

渡邊 陽子*; 山口 高志*; 野口 泉*; 堅田 元喜

no journal, , 

樹木葉に付着した粒子の雨に対する挙動を明らかにするために、降雨前後での樹木の葉表面の粒子の観察、葉に付着したエアロゾル成分の分析、及び数値モデルを用いて樹木へのエアロゾル沈着量の推定を行った。2012年の夏季に北海道札幌市のシラカンバの成木から枝葉を採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて葉表面を観察した。採取した葉の一部をイオン交換水とイオンクロマトグラフィーを用いて葉表面の無機成分の単位葉面積あたりの付着量を測定した。樹木へのエアロゾル沈着量は、植生へのエアロゾルの沈着過程を考慮した多層大気-土壌-植生1次元モデル(SOLVEG)を用いて計算した。葉表面に付着したSO$$_{4}^{2-}$$及びNH$$_{4}^{+}$$は降雨がないときには増加傾向にあり、強い降雨イベントの後に減少する傾向が見られた。同様の傾向はモデル計算によるエアロゾル沈着量の時間変化にも見られ、降水によって付着粒子が洗浄されることが示された。一方、弱い降雨の後には付着量の大きな減少は見られず、SEMによる観察結果にも同様の傾向が見られた。この結果から、降雨による粒子の洗浄効果は降雨強度に依存することが示唆された。

口頭

Fog chemistry and droplet size distribution at Lake Mashu, northern Japan

山口 高志*; 渡邊 陽子*; 堅田 元喜; 野口 泉*

no journal, , 

2012年の夏季に摩周湖の外輪山で霧の化学組成と粒径分布を測定した。霧水は霧水捕集装置を用いて日単位で測定した。降雨をバルクサンプラーで採取し、霧水とともにイオンクロマトグラフィーを用いて分析した。霧の粒径分布を光学的粒径モニターを用いて深夜0時から4時まで測定した。霧水中の全窒素イオン(NO$$_{3}^{-}$$+NH$$_{4}^{+}$$)の期間中平均濃度は、降雨中濃度に比べて5.4倍高かった。酸性度が高い霧がしばしば観測され、人為起源の大気汚染や活火山の影響が示唆された。10月には、ほかの月に比べて大きな粒径を持つ霧水の量が明らかに少なかった。この原因として、日本海から輸送されてきた海塩粒子が増加したことが考えられる。

口頭

霧の物理化学観測に基づく北海道摩周湖の霧による窒素沈着量の推定

山口 高志*; 堅田 元喜; 野口 泉*; 渡邊 陽子*; 古谷 浩志*; 植松 光夫*

no journal, , 

北海道摩周湖の外輪山周縁でダケカンバの衰退が観察されており、大気から衰退林への窒素沈着が懸念されている。本研究では、摩周湖における霧の粒径分布と霧中窒素濃度を測定し、簡易霧沈着式を用いて窒素沈着量を推定した。2009年から2013年の開葉期に摩周湖外輪山で霧の化学分析や粒径分布の測定を実施し、これらと連続的かつ高時間分解能でモニタリングされている視程データと植生への霧水沈着速度の推定式を組み合わせて、ダケカンバ林への霧による窒素沈着量を算出した。霧の粒径分布は二山型の分布を示し、夏に比べ秋には粗大な霧粒が減少傾向にあった。開葉期の積算霧水沈着量は107-140mmと推定され、同期間の降水量の20%程度であった。また、窒素沈着量は26-30mmol m$$^{-2}$$であり、その大部分がアンモニア態であることがわかった。降水量と比較した結果、夏から秋にかけての霧による窒素供給量は無視できない可能性が明らかになった。

口頭

Spatial variation in fogwater deposition and rainfall in mountainous forest

堅田 元喜; 山口 高志*; 堀江 洋佑*; 平木 隆年*; 小林 禧樹*; 藍川 昌秀*

no journal, , 

霧水沈着は山地森林の水・物質循環に重要な役割を果たしている。林縁での霧水沈着量は林内に比べて特に大きいことが知られているが、霧水沈着の森林構造への依存性は明らかになっていない。本研究では、日本の針葉樹林で多数の雨量計を用いて霧水沈着量を測定し、航空レーザー観測による地形および森林キャノピーのデータと比較しながら解析する。2015年10月には、わずか6時間の間に最大で30mmもの水量が霧水沈着によって林床に供給されていた。2か月間の積算霧水沈着量は、林外で測定した積算降水量の7割に達していた。積算霧水沈着量の観測値をすべての地点で平均すると、積算雨量の4割に達しており、この大きさはこの地域の林縁部を代表していると考えられる。観測された霧水沈着量は、いくつかのLiDARによる地形パラメータとの相関が見られた。今後、より長期間のデータを取得することによって、霧水沈着量と植物構造の関係を明らかにする必要がある。

口頭

霧と雨による山地森林への水・物質流入量の空間変動解析

堅田 元喜; 山口 高志*; 堀江 洋佑*; 小林 禧樹*; 藍川 昌秀*; 平木 隆年*

no journal, , 

霧が頻発する海岸付近や山岳地帯では、霧が樹木葉に付着して大きな水滴となり林床へと落下する「霧水沈着」が森林の水・物質循環に影響を与える。特に、林縁部ではスポット的に高い霧水沈着量が観測されるが、同一森林内での霧水沈着量の空間的なばらつきを定量的に評価した例は少ない。本研究では、霧水沈着の空間分布を把握するために、2015年9月から兵庫県六甲山地のスギ林内の12地点(主に林縁部)で林内雨量の測定を行った。得られた林内雨量から降水量(林外雨)を差し引くことによって、霧水沈着量を計算した。その結果、林縁木の林床には、わずか6時間で30mmもの水が供給されたことがわかった。この結果は、過去に同スギ林で観測された最大の日積算霧水沈着量19mmを大きく上回る。2015年9月から10月の同地点の積算霧水沈着量は、降水量の7割に達した。霧水沈着が森林生態系の物質循環にどのような影響を及ぼしているかを解明するためには、より多くのデータを蓄積し、山地森林での林内雨量のばらつきを定量化する必要がある。

口頭

森林源流域から進行する窒素飽和メカニズムの解明と森林炭素蓄積能力への影響評価

堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 小嵐 淳; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 舘野 隆之輔*

no journal, , 

地球規模で問題となっている大気中の反応性窒素の生態系への過剰負荷による窒素飽和は、自然の窒素循環を乱して富栄養化をもたらすだけでなく、森林の炭素蓄積機能にも影響を及ぼす。しかし、森林への窒素負荷をもたらす窒素沈着量は、集水域内でも空間的ばらつきが極めて大きく、従来のように限られた一地点でのモニタリングから窒素負荷の影響を評価することは難しい。本プロジェクトでは、源流域から窒素飽和が進んでいる森林集水域において、大気・土壌・植生・河川を包括した窒素・炭素循環の多地点同時観測を行い、大気から森林への窒素負荷の空間分布を評価する。さらに、窒素負荷と渓流水質の関係に基づいて窒素飽和の進行メカニズムを解明し、窒素負荷の度合いに応じて樹木や土壌の炭素蓄積機能がどのように変化するかを明らかにすることを目指す。発表では、北海道東部の京都大学フィールド科学教育研究センター標茶研究林にある放牧地に隣接した森林集水域での大気アンモニア濃度・林内雨・渓流水質の多地点観測の結果を示すとともに、林内と放牧地に面する林縁部における違いを議論する。

口頭

落葉広葉樹林における窒素沈着量と土壌微生物特性の関係

永野 博彦; 安藤 麻里子; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 舘野 隆之輔*; 小嵐 淳

no journal, , 

窒素沈着量と土壌微生物特性の関係を明らかにするため、周囲を牧草地に囲まれ窒素沈着量が空間的に変動する落葉広葉樹林(北海道標茶町)において調査を行った。調査対象である森林の林縁部と林内部で、調査プロットを3か所ずつ選定し、2018年8月にリター層と表層土壌(0-5cm)を採取した。各試料の微生物バイオマス炭素・窒素を測定するとともに、試料から抽出したDNAについて、全細菌と全真菌のそれぞれに特異的な遺伝子領域の存在量をリアルタイムPCR法によって測定し、細菌量と真菌量の指標とした。5月から6月までの2か月間での窒素沈着量は、200から300mg m$$^{-2}$$程度で、林内部よりも林縁部で多い傾向を示した。調査した微生物特性のうち、表層土壌の細菌量は、窒素沈着量に対して正の相関を示し、変動の80%以上が窒素沈着量によって説明された。表層土壌の真菌量も窒素沈着量に対して正の相関を示したが、窒素沈着量によって説明された変動は全変動の30%程度であった。以上より、窒素沈着の増大は少なくとも表層土壌の細菌量を増加させる可能性があることが示唆された。今後、より詳細な解析を行うことで、窒素沈着量と細菌量の比例関係が成立したメカニズムを解明する。

口頭

空間的に不均一な窒素沈着は落葉広葉樹林の窒素・炭素動態に影響するか?

堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 小嵐 淳; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 永野 博彦; 中山 理智*; 舘野 隆之輔*

no journal, , 

大気中の反応性窒素の生態系への過剰負荷による窒素飽和は、植物-土壌間での窒素動態だけでなく、森林の炭素蓄積機能にも影響を及ぼす。発表者らは、過去のデータからこのような影響は反応性窒素の乾性沈着の空間的不均一性に依存するという仮説を立て、大気・土壌・植物・陸水等の複数分野の専門家で構成される新しいプロジェクトを立ち上げた。研究対象地域として、源流域から窒素飽和が進行している可能性がある北海道標茶町の北海道研究林(落葉広葉樹林)の林内部と農畜産由来の大気アンモニアの沈着の影響を受けやすい林縁部に複数の調査区を設けた。2018年生育期の観測結果により、以下のことが明らかになった:林縁部では林内部に比べて、(1)大気アンモニアの地上濃度とその窒素沈着量は高く、(2)O層における有機物の炭素貯留量とC/N比は低かったが$$delta$$$$^{15}$$Nは高く、(3)表層土壌(0-5cm層)の細菌量が多く、(4)土壌中の硝酸態窒素の現存量と硝化活性がO層および表層土壌で高く、(5)立木の胸高断面積合計の増加量が高かった。発表では、これらの結果を紹介しながら本プロジェクトの仮説の妥当性を議論する。

口頭

林縁と林内の窒素沈着量の違いが森林の生産性と光合成窒素利用特性に与える影響

渡辺 誠*; 則定 優成*; 黄瀬 佳之*; 山口 高志*; 中山 理智*; 福島 慶太郎*; 舘野 隆之輔*; 永野 博彦; 小嵐 淳; 堅田 元喜*

no journal, , 

近年問題となっている人為起源の反応性窒素の大気から森林生態系への沈着は、自然の窒素循環を乱して富栄養化をもたらすだけでなく、森林の生産性にも影響をおよぼす。一方、森林における窒素沈着には空間的な不均一性がある。特に風上側の林縁においては乾性沈着や霧沈着による窒素沈着が多くなることが指摘されている。そのため、林縁では森林の中心部分(林内)に比べて、森林の生産性や樹木の窒素利用特性が異なる可能性がある。そこで本研究では畜産地域に隣接し、窒素沈着の影響を受けやすいと考えられる森林の林縁と林内において、窒素沈着量の違いが森林の生産性および立木の窒素利用特性に与える影響に関する比較調査を行った。北海道標茶町のミズナラが優占する落葉広葉樹林を調査対象とした。この森林の中で畜産地帯に隣接した林縁部と林内部に、調査区(10m$$times$$40m)を3か所ずつ設置した。2018年5月から11月まで各調査区で林内雨による窒素沈着量および大気アンモニア濃度の観測を行った。5月と10月に各調査区において立木の胸高直径測定を行い、1成長期間における胸高断面積合計の増加量を算出した。また林床植生であるササの乾重量を測定した。7月に各調査区のミズナラ成木(平均樹高16m)に登はんし、樹冠内の5高度から、当年に伸張したシュート(枝および葉)を採取した。採取したシュートについて、乾重量、単位葉面積あたりの葉乾重量(LMA)、および葉のRubisco、クロロフィルおよび窒素の各濃度を測定した。林縁部の窒素沈着量および大気アンモニア濃度は林内に比べて有意に高かった。また立木の胸高断面積合計の増加量とササの乾重量も林内よりも林縁で高く、特に胸高断面積合計の増加量は窒素沈着量と有意な正の相関を示した。ミズナラのシュート乾重量およびRubiscoへの窒素分配割合は樹冠下部から上部にかけて増加し、葉の窒素濃度およびクロロフィル濃度への窒素分配割合は樹冠上部から下部にかけて低下した。しかし、LMAと森林位置(林縁・林内)を説明変数とした逸脱度分析の結果、いずれのパラメータについても、林縁と林内の間に有意な違いは認められなかった。以上より、調査対象とした畜産地帯に隣接した落葉広葉樹林において、(1)林縁の窒素沈着量は林内に比べて高いこと、(2)窒素沈着量の違いはミズナラの光合成の窒素利用特性に影響を与えないが、林分レベルのバイオマス生産を増加させることが明らかになった。

口頭

放牧・耕作地由来の窒素が分水嶺を超えて森林渓流水質に与える影響

福島 慶太郎*; 岩崎 健太*; 小田 義也*; 境 優*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 中山 理智*; 久保田 智大*; 永野 博彦; 渡辺 誠*; et al.

no journal, , 

森林における水・窒素の流出および収支を定量的に把握する上で、「集水域」が空間スケールの最小単位となる。大気から集水域内に流入した反応性窒素が、植物-土壌間の内部循環系に取り込まれ、その一部が渓流を通して集水域外へと流出する。この流入と流出のバランスをもって、生態系内の窒素保持機能が評価される。本発表では、集水域の水収支が閉じていない可能性のある森林における、渓流水の窒素濃度の形成メカニズムについて考察する。

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