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片岡 隆浩*; 徳永 力三*; 迫田 晃弘; 川辺 睦*; 花元 克巳*; 山岡 聖典*
Radioisotopes, 61(1), p.1 - 8, 2012/01
今までに、共同開発したラドン吸入装置を用いマウスにラドン吸入をさせた場合、諸臓器中の抗酸化機能が亢進する可能性などを明らかにしてきた。本研究では、ラドン吸入の獣医療への応用の可能性について新たに検討するため、健常なイヌ5頭(オス: 2(1-9才),メス:3(1-5才))及び慢性腎不全症のネコ8頭(オス: 3(2-6才),メス: 5(5-7才))を対象に基礎的な検討をした。すなわち、約5500Bq/mのラドンを1回30分で隔日に30分間(計15回)それぞれ吸入させた。その結果、イヌにおいて、中性脂肪が減少する可能性が示された。また、その効果は吸入開始20-30日後に現れることも示唆できた。他方、ネコにおいて、飲水量が改善し血清中クレアチニンが基準内に減少する症例が見られるなど、慢性腎不全症に対し一定の効果が期待できる可能性が示唆された。
片岡 隆浩*; 迫田 晃弘*; 吉本 雅章*; 豊田 晃章*; 山本 祐紀*; 石森 有; 花元 克巳*; 川辺 睦*; 光延 文裕*; 山岡 聖典*
Radiation Safety Management, 10(1), p.1 - 7, 2011/12
マウスの肝臓と脳の急性アルコール性酸化障害に対する連続ラドン吸入の効果を検討した。抗酸化機能の分析より、アルコールを投与したマウスの肝臓と脳の過酸化脂質のレベルは、生理食塩水を投与したマウスより有意に高いことがわかった。しかし、アルコール投与マウスの肝臓中の過酸化脂質のレベルはラドン吸入によって有意に減少した。一方、生理食塩水投与マウスの脳中の過酸化脂質のレベルはラドン吸入によって有意に増大した。これらの結果は、ラドン吸入が抗酸化機能を亢進し、肝臓のアルコール性酸化障害を抑制すること、脳のラドン吸入効果は1週間だけ続くことを示唆している。
片岡 隆浩*; 迫田 晃弘*; 吉本 雅章*; 中川 慎也*; 豊田 晃章*; 西山 祐一*; 大和 恵子*; 石森 有; 川辺 睦*; 花元 克巳*; et al.
Radiation Protection Dosimetry, 146(1-3), p.360 - 363, 2011/07
被引用回数:6 パーセンタイル:44.28(Environmental Sciences)これまでの研究では、抗酸化機能の活性化が、生活習慣病に関連するさまざまな酸化障害を軽減する可能性が示された。低線量のX線照射は、スーパーオキシドジスムターゼを活性化させ、虚血-再灌流障害による浮腫を抑制することを確認した。移植による虚血-再灌流障害を軽減するために、臓器摘出直後に低線量X線照射をした移植肝の抗酸化機能の変化を調べた。移植肝が、照射の結果として抗酸化機能を活性化することを確認した。また、ラドン吸入は幾つかの臓器で抗酸化機能を向上させ、そして、マウスの肝臓の、アルコール性酸化障害を軽減する。さらに、最も効果的なラドン吸入条件を決定するために、マウスに四塩化炭素(CCl)を投与する前又は後にラドンを吸入させた。ラドン吸入が四塩化炭素による肝障害を軽減し、特に事前の吸入でその効果が大きいことを確認した。低線量照射による抗酸化機能の適度な活性化が、生活習慣病に関連する酸化障害の防止、あるいは軽減に貢献する可能性が高い。
迫田 晃弘*; 石森 有; 花元 克巳*; 川辺 睦*; 片岡 隆浩*; 永松 知洋*; 山岡 聖典*
Applied Radiation and Isotopes, 68(10), p.2013 - 2015, 2010/10
被引用回数:1 パーセンタイル:9.99(Chemistry, Inorganic & Nuclear)イメージングプレート(IP)の性能は、0Cより低い温度では研究されていなかった。IPのその基本的な特性を決定するため-80Cから30Cの範囲で鉱物質モナザイトからの線を照射した。照射の関数としてのIPの応答時間は、線形であることが判明し、IPが低温で適切に機能することを確認した。0C以上の温度で考慮すべきフェーディングの影響は、-30Cと-80Cでは観察されなかった。さらに-80Cで照射されたIPのPSL値は、フェーディング補正されたほかの温度(30, 5Cと-30C)のときより低かった。これは熱刺激ルミネセンス(TSL)によって説明できる。-80Cから30Cの温度範囲では、強いTSLピークは約-43Cに存在するだけなので、放射線イメージを蓄積する前のTSLのプロセスの際に、F中心にとらえられた幾つかの電子は正孔と再結合する。この調査結果は、-80CでのIPの見かけの感度係数は、-30Cから30Cの間の感度は同じであるが、より低いことを示唆する。この低い感度係数は定量的な測定のために修正すべきだ。
迫田 晃弘*; 石森 有; 川辺 睦*; 片岡 隆浩*; 花元 克巳*; 山岡 聖典*
Journal of Nuclear Science and Technology, 47(8), p.731 - 738, 2010/08
被引用回数:42 パーセンタイル:93.07(Nuclear Science & Technology)これは、マウスとラットの、ラドン自身の吸入に起因する放射線線量を提供する最初の報告である。マウス,ラット及びヒトの臓器と組織に吸収された線量を数値化するため、生理に基礎を置いた薬物動態学的(PBPK)モデルを基準にして、それらの体に吸入されたラドンの挙動を計算した。ガス交換のコンパートメントに入った血液中に溶けたラドンは、任意の組織へ血液循環によって瞬時に運ばれ、組織/血液分配係数に応じて分配されると仮定した。呼吸後の脂肪組織と赤色骨髄中のラドン濃度は、高い分配係数のため、ほかのそれらより、ずっと高く計算された。これまでのラットの実験データとヒトに対するモデル計算を比較し、この計算が有効であることを証明した。臓器と組織への吸収線量率が、すべての種について0.041.4nGy/(Bq/m)/day以内の範囲にあると推定した。線量率はそれほど高くないが、赤色骨髄の線量に放射線防護の観点から注意を払う方が良いかもしれない。より正確な線量評価については、PBPKモデリングの結果を強く左右するラドンの組織/血液分配係数を更新する必要がある。
迫田 晃弘*; 花元 克巳*; 石森 有; 片岡 隆浩*; 川辺 睦*; 山岡 聖典*
Applied Radiation and Isotopes, 68(6), p.1169 - 1172, 2010/06
被引用回数:31 パーセンタイル:88.56(Chemistry, Inorganic & Nuclear)土壌水分率のほかに粒径を考慮して、土壌のラドン散逸能を計算するモデルを改良した。このモデルでは、数学的に計算することが困難であったのでモンテカルロシミュレーションを使用した。粒径は土壌の特性を説明するうえで最も重要な要因の一つであるが、粒径が水分含有量に依存してラドン散逸係数に影響を与えることを確認した。散逸能は、一般に粒径に比例していると考えられるが、モデル計算の結果は、粒径の影響がそれほど単純ではないことを示唆した。
迫田 晃弘*; 西山 祐一*; 花元 克巳*; 石森 有; 山本 祐紀*; 片岡 隆浩*; 川辺 睦*; 山岡 聖典*
Applied Radiation and Isotopes, 68(6), p.1180 - 1184, 2010/06
被引用回数:53 パーセンタイル:95.31(Chemistry, Inorganic & Nuclear)花崗岩質の物質を構成する主要な鉱物間の放射性特性の相違を調査した。鉱物中の自然放射能(UとRa)とラドン散逸係数は、線スペクトロメトリーにより測定した。土壌鉱物のラドン散逸係数(27-43%)は、岩石鉱物のそれら(0.6-4.6%)より高かった。さらに、散逸係数は岩石の場合も土壌の場合も鉱物の種類によって大いに異なった。これらの結果について、表面積と鉱物粒子中のラジウム分布の相違の観点で議論した。岩石と土壌サンプルの石英について、予想外に散逸係数が大きかった。バルクのサンプルから発生するトータルのラドン散逸量へのそれぞれの組成鉱物の寄与を見積もった。結果はラドン散逸係数だけでなく、Ra放射能の強さと鉱物含有量に依存することがわかった。
迫田 晃弘*; 石森 有; 花元 克巳*; 片岡 隆浩*; 川辺 睦*; 山岡 聖典*
Radiation Measurements, 45(2), p.204 - 210, 2010/02
被引用回数:61 パーセンタイル:96.44(Nuclear Science & Technology)土壌のラドン散逸係数に対する水分含有量の影響を説明するため、幾つかのモデルが開発されているが、これらは二つの対向する粒子表面と粒子間の空隙から校正されている。本研究は、水分含有量だけではなく粒径の効果も研究するために、単純なモデル化の方法を提案する。つまり、(1)一つの粒子のモデル,(2)複数の粒子モデルである。後者は、単純な立方構造に詰められた球形の細粒子の形状を示す。一般的な仮定に基づき、モンテカルロシミュレーションによって粒径あるいは水分含有量の関数であるとして計算した。これらの結果から、ラドン散逸能は、ラジウムが付着している粒子と隣接する粒子との間隙の大きさに大幅に依存することがわかった。モデルの妥当性も実験データとの比較によって評価された。
加藤 崇; 辻 博史; 安藤 俊就; 高橋 良和; 中嶋 秀夫; 杉本 誠; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 河野 勝己; 押切 雅幸*; et al.
Fusion Engineering and Design, 56-57, p.59 - 70, 2001/10
被引用回数:17 パーセンタイル:74.85(Nuclear Science & Technology)ITER中心ソレノイド・モデル・コイルは、1992年より設計・製作を開始し、1999年に完成した。2000年2月末に原研に建設されたコイル試験装置への据え付けが終了し、3月より第1回のコイル実験が開始され、8月末に終了した。本実験により、コイルの定格性能である磁場13Tを達成したとともに、コイルに課せられた設計性能が十分に満足されていることを実証することができた。本論文は、上記実験結果につき、直流通電、急速励磁通電、1万回サイクル試験結果としてまとめる。また、性能評価として、分流開始温度特性、安定性特性、クエンチ特性についても言及する。
辻 博史; 奥野 清*; Thome, R.*; Salpietro, E.*; Egorov, S. A.*; Martovetsky, N.*; Ricci, M.*; Zanino, R.*; Zahn, G.*; Martinez, A.*; et al.
Nuclear Fusion, 41(5), p.645 - 651, 2001/05
被引用回数:57 パーセンタイル:83.02(Physics, Fluids & Plasmas)ITERを構成する3群の超伝導コイルでは、中心ソレノイド・コイルが最も高い磁場13Tを0.4T/s以上の速度で急速励起するパルス動作が要求される点で、最も技術的難度の高いコイルである。そこで中心ソレノイド・コイル工学設計の妥当性を確認し、併せてコイルの製作技術を開発する目的で、中心ソレノイド・モデル・コイルの開発が進められてきた。約8年をかけて完成したモデル・コイルの実験がこの程、国際共同作業として原研で実施され、技術開発目標をすべて満足する実験成果と貴重な技術データが得られた。