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前沢 博*; 古沢 佳也*; 小林 克己*; 檜枝 光太郎*; 鈴木 雅雄*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 母里 知之*
Acta Oncologica, 35(7), p.889 - 894, 1997/01
被引用回数:7 パーセンタイル:22.9(Oncology)シンクロトロン放射を単色光源として用い、大腸菌の野性株及び放射線感受性株に対して、リンK殻光吸収による致死効果を測定し、オージェ電子による増感作用を定量した。照射実験は、高エネルギー物理学研究所・フォトンファクトリーのBL-27で行った。リンK殻吸収端付近に現れるDNAの共鳴ピーク波長及びその前後のエネルギーを照射に用いた。いずれの株の場合も、リンの共鳴により致死効率の増感が観測された。それぞれの株の致死効率から、Auger電子あるいは光電子が、DNA周囲の水分子とイオン化しさらにこれら励起水分子がDNAを攻撃することが推測された。リンからのこれら2次電子効果を含めた最終的な標的サイズは、数nmと推定された。
檜枝 光太郎*; 広野 泰亮*; 浅見 彰*; 鈴木 雅雄*; 古澤 佳也*; 前澤 博*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 小林 克己*
International Journal of Radiation Biology, 70(4), p.437 - 445, 1996/10
被引用回数:48 パーセンタイル:95.41(Biology)単色化したシンクロトロン軟X線を用い、DNAの単鎖切断及び二重鎖切断の量子効率を調べた。試料には二鎖のプラスミド(pBR-322)環状DNAの乾燥試料を用いた。単色光源として、高エネルギー物理学研究所・フォトンファクトリーのBL-27を用いた。単鎖切断も二重鎖切断も、リンのK殻共鳴ピークで一番効率良く起こることがわかった。試料に対する吸収線量を、試料吸収スペクトルから計算し、フォトン吸収あたりの鎖切断効率を求めたところ、単鎖切断はエネルギー依存性がそれほど顕著でなかったのに対して、二重鎖切断はピーク波長で効良くおこることがわかった。細胞レベルでの致死・突然変異効率の増感は、この二重鎖切断によることが、これらの結果より推測された。
宗像 信生*; 檜枝 光太郎*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 小林 克己*
Radiat. Res., 131(1), p.72 - 80, 1992/07
被引用回数:16 パーセンタイル:57.92(Biology)0.10.6nmの単色シンクロトロン軟X線と枯草菌に真空中で照射し、致死作用を測定した。得られた線量効果曲線より致死作用断面積のスペクトルを得た。その結果、0.31nmと0.58nmに、ピークがあることがわかった。それぞれカルシウムとリンのK殻吸収端に相当するエネルギーであることから、細胞内のカルシウム及びリンが特異的に光吸収することにより、細胞の致死効率が高まることが推測された。リンは、細胞中DNAの構成元素であることから、リンの内殻吸収による特異的なDNA損傷の生成が考えられる。一方カルシウムはDNA中には含まれておらず、細胞質中のカルシウムの光吸収による致死作用機構の解明が今後待たれる。現在、光照射された細胞中DNAを細胞外に抽出し、突然変異を引きおこす遺伝子の変化を分子レベルで解析中である。
横谷 明徳; 小林 克己*; 宇佐美 徳子*; 山田 裕子*; 檜枝 光太郎*; 石坂 昭三*
真空紫外線(50nm以上)による核酸損傷誘発機構の総合的研究, p.56 - 59, 1992/03
本研究は、真空紫外線(VUV)領域でのアマノ酸の分解過程を調べることを目的とした。イオウを含むアミノ酸に、60nm(20.7eV)と120nm(10.3eV)の単色化したシンクロトロン放射を真空中で照射し、分解生成物をHPLCで分離・同定した。得られた結果は、2.5KeVの軟X線領域の結果と比較・検討された。真空紫外線照射により12種の生成物が観測され、その生成物分布は二つの波長で異なった。真空紫外領域では、フォトン吸収に続く主要なインベントが、励起から電離へ移行すると考えられる。生成物分布の波長依存性は、この移行を反映している可能性が高い、また2.5KeVの単食X線照射による生成物の分布は、60nmのそれとほぼ同じであったことから、60nmでは、アミノ酸の分解に寄与する主要なイベントが、電離である可能性が示された。