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志賀 基之; Thomsen, B.; 永井 佑紀
アンサンブル, 25(4), p.303 - 310, 2023/10
並列分子シミュレーションソフトウェア「PIMD」を紹介する。第一原理経路積分分子動力学による水の構造、リングポリマー分子動力学による金属中水素の量子拡散、超伝導体の機械学習ポテンシャル作成とフォノン物性、メタダイナミクスによる多価アルコール脱水反応などの具体例を通じて、その使用法を解説する。
永井 佑紀; 品岡 寛*
Journal of the Physical Society of Japan, 92(3), p.034703_1 - 034703_8, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)機械学習技術の一つであるスパースモデリング技術は、現在材料科学や固体物性において非常に重要な技術の一つとなっている。本論文では、超伝導体に対する理論にスパースモデリングを適用し、従来よりも100倍近い高速化を達成したことを報告する。従来の理論では自己無撞着にシミュレーションを行う際に必要な無限級数和をある程度カットオフして計算する必要があったが、スパースモデリングを用いることで、情報のスパース性を利用し無限級数和を実質的に数十個の情報で計算できることを示した。その結果、計算時間が劇的に短縮された。
永井 佑紀; 田中 章詞*; 富谷 昭夫*
Physical Review D, 107(5), p.054501_1 - 054501_16, 2023/03
被引用回数:3 パーセンタイル:84.41(Astronomy & Astrophysics)近年我々が開発している自己学習モンテカルロ法は、モンテカルロ法を機械学習によって加速する方法であり、あらゆるマルコフ連鎖モンテカルロ法を加速する可能性を秘める応用範囲の広い手法である。本論文では、数値シミュレーションが極めて難しく計算コストの高い格子量子色力学のモンテカルロシミュレーションに対して、自己学習モンテカルロ法を適用できたことを報告したものである。このシミュレーションではゲージ場を扱うため、通常のモンテカルロシミュレーションよりも複雑である。特に、ゲージ場とフェルミオン場が含まれる際には計算コストが跳ね上がる特徴をもつ。このような数値的にチャレンジングである系に対して、自己学習モンテカルロ法による有効模型構築を実施することに成功した。その結果、自己学習モンテカルロ法の応用範囲が極めて広いことを示すとともに、格子量子色力学モンテカルロシミュレーションを高速化できることを示した。
Wallerberger, M.*; Badr, S.*; Hoshino, Shintaro*; Huber, S.*; Kakizawa, Fumiya*; 是常 隆*; 永井 佑紀; Nogaki, Kosuke*; 野本 拓也*; 森 仁志*; et al.
Software X (Internet), 21, p.101266_1 - 101266_7, 2023/02
被引用回数:8 パーセンタイル:88.45(Computer Science, Software Engineering)有限温度の多体量子系におけるグリーン関数の情報をスパースモデリング技術を用いて効率的に圧縮するsparse-irというパッケージを開発したことを報告する。このパッケージを用いることで、一粒子グリーン関数であれば数十個の情報でグリーン関数の全領域での松原振動数依存性を計算することが可能となる。発表代表者の永井はこのソフトウェアの応用例を示すために、このパッケージを使うことで超伝導状態のシミュレーションが精度よくできることを示した。今後、このパッケージを使うことで、重元素化合物などの強相関電子系の物性を精度よく計算することが可能となる。
町田 理*; 永井 佑紀; 花栗 哲郎*
Physical Review Research (Internet), 4(3), p.033182_1 - 033182_12, 2022/09
重元素化合物や高温超伝導体をはじめとする物性科学における重要な系では、電子の相関効果が非常に重要である。本論文では、超高分解能の走査型トンネル顕微鏡によって、meVスケールの低エネルギー励起状態の磁場依存性を測定することに成功したことを報告する。その測定の結果、系の基底状態のスピン状態の変化を実験によって観測することができた。また、本研究によって、電子のスピンに関する情報を高精度に測定できる手法が確立された。
永井 佑紀
Physical Review B, 106(6), p.064506_1 - 064506_10, 2022/08
被引用回数:2 パーセンタイル:34.67(Materials Science, Multidisciplinary)準結晶とは並進対称性と持たない固体である。近年、Al-Zn-Mg準結晶が超伝導となることが報告された。準結晶では、系に並進対称性がないために、運動量が良い量子数とならず、通常の一様系のBCS理論のような波数kと-kのCooperペアを考えることができない。その結果、準結晶中での超伝導状態は本質的に空間的に非一様な超伝導状態であることが知られている。本発表では、2次元準結晶の模型であるPenrose格子とAmmann-Beenker格子に対して、オンサイト引力相互作用を導入しBogoliubov-de Gennes (BdG)方程式を自己無撞着に解くことで超伝導磁束状態を調べた。その際、近年我々が開発したLocalized-Krylov BdG法を用いた。特に、従来よく格子生成に使われるinflation-deflation法ではなく、Dual-Grid法を使うことで、n回回転対称中心を持たない系を生成した。これにより、超伝導磁束が非一様な超伝導体のどこに存在するかを調べることができるようになった。本論文発表では、超伝導体応用の際に重要となる磁束のピン留め効果が準結晶中でどういう振る舞いをするかについて報告する。
永井 佑紀
1週間で学べる! Julia数値計算プログラミング, 244 Pages, 2022/06
本書は、Juliaという習得しやすい高速なプログラミング言語を利用することによって、「誰もが気軽に簡単に数値計算を行う事ができる」ことを目指して書かれた。どのくらい簡単かを示すため、本書は「1週間で学べる!」と銘をうち、7日間で自分が行いたい数値計算をJulia言語で実行できるようになることを目的としている。Juliaは科学技術計算を行うために作られた非常に新しい言語である(2018年にバージョン1がリリース)。Pythonのように書きやすく習得しやすく、Matlabのように簡単な数学のような記述で線形代数が扱え、FortranやCのような計算速度が速い言語である。関数電卓のような簡便さで数式をコードに変えることができるため、プログラミング特有の些事に悩まされることなく目の前の物理の問題に注力することが可能である。講義で習った量子力学や統計力学、固体物理学等を手ではなく計算機で解いてみたい学部生や大学院生、実験データを再現するスペクトル等を理論的に求めたい実験家、ハミルトニアンを解析したい理論家等、物理に関わるあらゆる方がJulia言語による数値計算の恩恵を受ける事ができる。
Kim, H.*; 永井 佑紀; Rzsa, L.*; Schreyer, D.*; Wiesendanger, R.*
Applied Physics Reviews (Internet), 8(3), p.031417_1 - 031417_8, 2021/09
被引用回数:9 パーセンタイル:66.35(Physics, Applied)トポロジカル超伝導体の磁束にはマヨラナ束縛状態と呼ばれるものが生じ、そのマヨラナ束縛状態を使うことで量子コンピューティングができることが提案されており、世界中で精力的に研究がなされている。多くの研究において、マヨラナ束縛状態の有無を調べるための磁束のゼロエネルギー束縛状態の観察が行われている。本研究では、ゼロエネルギー束縛状態の観察が行われたとしてもそれがマヨラナ束縛状態ではないということを実験理論両面から示し、これまでのマヨラナ束縛状態の有無の判別法に問題があることをはっきりと示した。本研究により、マヨラナ束縛状態の有無を調べるには慎重な研究が必要であることがわかった。
小林 恵太; 永井 佑紀; 板倉 充洋; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 155(3), p.034106_1 - 034106_9, 2021/07
被引用回数:5 パーセンタイル:44.89(Chemistry, Physical)自己学習ハイブリッドモンテカルロ法は機械学習力場を利用することにより、第一原理計算の高速化を可能にする手法である。今回、自己学習ハイブリッドモンテカルロ法をNPTアンサンブルに適用し、液体シリカの解析を行った。本論文では自己学習ハイブリッドモンテカルロ法を用いることにより、厳密に第一原理計算の精度を保ちながら、高速に液体シリカの配置空間のサンプリングが可能であることを示した。また、液体シリカの構造因子の計算を行い実験データとの比較を行ったところ、両者はよい一致を見せた。
松下 太樹*; 永井 佑紀; 藤本 聡*
Journal of the Physical Society of Japan, 90(7), p.074703_1 - 074703_7, 2021/07
被引用回数:3 パーセンタイル:41.09(Physics, Multidisciplinary)物質を特徴付ける新しい方法として、準粒子の寿命に起因した非エルミート有効準粒子ハミルトニアンを用いる方法がある。しかしながら、その非エルミート性に起因する現象がどの物質でどのように現れるかはあまり知られていない。本研究では、ワイル・ディラック半金属と呼ばれる物質群において、これらの物質が高磁場環境下において準粒子スペクトルに非エルミート性を反映した特異な状態が現れることを示した。通常、ハミルトニアンはエルミートであるが、準粒子の有効ハミルトニアンが非エルミートになることによって、例外点と呼ばれる非エルミート行列特有のトポロジカル構造が生じ、その影響によって、高磁場で量子化された準位が潰れることがあることがわかった。このスペクトルの崩壊は角度分解光電子分光などの実験によって観測できることを予言した。本研究により、物質の新しい側面をトポロジーとして見出すことができた。
幸城 秀彦; 永井 佑紀
Journal of the Physical Society of Japan, 90(3), p.034711_1 - 034711_8, 2021/03
被引用回数:4 パーセンタイル:49.47(Physics, Multidisciplinary)希薄磁性模型の一つである希薄二重交換模型における有効相互作用を調べるため、自己学習モンテカルロ法を用いた。希薄二重交換模型とは、格子上にランダムに磁性スピンが点在している模型である。このようなランダム性が強い場合における有効模型の導出が可能であるか、可能であるならばどのような形の相互作用を持つか、ということが問題であった。本研究において、相互作用が強い摂動論が使えない領域における相互作用の形状を自己学習モンテカルロ法を用いて構築した。二重交換模型は元々電子と古典スピンとの相互作用系であるが、構築した有効模型は古典スピンのみの自由度を持ち、シミュレーションを行うための計算時間を非常に短くすることができる。本研究によって、自己学習モンテカルロ法がランダムネスの強い非一様な系においても適用可能であることを示した。
永井 佑紀
固体物理, 56(3), p.145 - 152, 2021/03
超伝導ナノデバイスのシミュレーションを行うためには、磁束の侵入や欠陥導入などの非一様な状況においても高精度に計算する手法を開発することが必要である。しかしながら、ボゴリウボフードジャン法は行列の対角化問題であるために、大きな超伝導体での計算を精度よく高速に行うことは難しかった。この問題を解決するために開発した局所クリロフボゴリウボフードジャン法(LK-BdG法)についての解説を行う。自己無撞着計算であればシステムサイズの1乗、状態密度などの局所量であればシステムサイズに依存しない計算量で実行が可能となった。これにより、5000万次元以上の行列に対する問題を解くことが可能となり、磁束集団などこれまでシミュレーションが不可能であった領域のシミュレーションが可能となった。
品岡 寛*; 永井 佑紀
Physical Review B, 103(4), p.045120_1 - 045120_8, 2021/01
被引用回数:3 パーセンタイル:27.71(Materials Science, Multidisciplinary)核燃料物質であるウラン化合物や高温超伝導体である銅酸化物高温超伝導体などの強相関電子系における物性を評価するための方法の一つとして、問題を大規模量子不純物問題という有限量子多体系の問題に焼き直す手法が有力である。もし大規模量子不純物問題に問題を変換することができれば、通常の計算機ではなく量子コンピュータで問題を解くことも可能となるため、近年盛んに研究がなされている。しかしながら、問題を解く以前の問題として、大規模量子不純物問題に変換する手法の多くが数値的に不安定であった。本論文では、機械学習関連手法の一つであるスパースモデリングを用いることで、保持すべき情報量をしっかりと保持し数値的に安定に大規模量子不純物問題に変換する方法を開発したことを報告する。この手法の開発により、核燃料物質をはじめとする強相関電子系のシミュレーションに、スーパーコンピュータだけでなく量子コンピュータを使うことが可能となる。これらの結果は、広く原子力分野のためのシミュレーション技術開発に資する成果である。
永井 佑紀; Qi, Y.*; 磯部 大樹*; Kozii, V.*; Fu, L.*
Physical Review Letters, 125(22), p.227204_1 - 227204_7, 2020/11
被引用回数:48 パーセンタイル:94.52(Physics, Multidisciplinary)核燃料物質として使われるウランやプルトニウムなどを含む化合物はいわゆる重い電子系と呼ばれ、非常に強い電子間相互作用が多彩な物性を生み出している。また、強い電子間相互作用を持つ物質の性質を理解することは、同じく強い電子間相互作用を持つ銅酸化物高温超伝導体の性質を明らかにするためにも重要である。本論文では、銅酸化物高温超伝導体物質群で普遍的に見られる現象である「フェルミアーク」が、重元素化合物などの重い電子系でも現れることを理論的に示した。特に、ここで現れる「バルクフェルミアーク」は、重い電子系における新しいトポロジーに関する理論である「非エルミートトポロジカル理論」を用いることによって明らかになったものである。本論文によって、重い電子系の物性の理解に、トポロジーというこれまでとは全く異なった視点を用いることができることが示された。
伊藤 悦子*; 永井 佑紀
Journal of High Energy Physics (Internet), 2020(7), p.7_1 - 7_31, 2020/07
被引用回数:2 パーセンタイル:8.09(Physics, Particles & Fields)格子量子色力学(格子QCD)を用いることで、原子核内部のクォークの振る舞いを記述することができる。格子QCDは現代において最も精緻な計算手法であり、分子動力学シミュレーションで用いられるハイブリッドモンテカルロ法など、様々な計算技術が格子QCDの研究を通じて生まれている。本論文発表では、格子QCDの中でも最も困難な課題の一つと考えられている有限温度での振る舞いについて、機械学習手法の一つであるスパースモデリングを用いて有用な情報を引き出すことに成功したことを報告する。その際、固体物理学分野において開発されたスパースモデリング数値解析接続を利用し、有限温度の相関関数から実周波数スペクトルの情報を引き出すことに成功した。本研究により、モンテカルロ法において収集サンプル数が少ない場合においても、有用な情報を引き出すことが可能であることを示し、スパースモデリングが格子QCDにおいても有効であることを示すことができた。
永井 佑紀
Journal of the Physical Society of Japan, 89(7), p.074703_1 - 074703_6, 2020/07
被引用回数:13 パーセンタイル:72.32(Physics, Multidisciplinary)超伝導ナノデバイスのシミュレーションを行うためには、磁束の侵入や欠陥導入などの非一様な状況においても高精度に計算する手法を開発することが必要である。しかしながら、ボゴリウボフドジャン法は行列の対角化問題であるために、大きな超伝導体での計算を精度よく高速に行うことは難しかった。そこで、本研究においては、超伝導秩序変数とグリーン関数の局所性を利用することにより、従来の計算よりも計算量を大幅に削減した手法「局所クリロフボゴリウボフドジャン法(LK-BdG法)」を開発した。この手法により、自己無撞着計算であればシステムサイズの1乗、状態密度などの局所量であればシステムサイズに依存しない計算量で実行が可能となった。これにより、5000万次元以上の行列に対する問題を解くことが可能となり、磁束集団などこれまでシミュレーションが不可能であった領域のシミュレーションが可能となった。
永井 佑紀; 奥村 雅彦; 小林 恵太*; 志賀 基之
Physical Review B, 102(4), p.041124_1 - 041124_6, 2020/07
被引用回数:13 パーセンタイル:66.36(Materials Science, Multidisciplinary)第一原理計算で得られたポテンシャルを再現するようなニューラルネットワーク(ANN)を構築して分子動力学を実行するのが機械学習分子動力学法である。ANNを構築する際の最適なトレーニングデータは、元々の第一原理分子動力学法で生成される原子配置とそのポテンシャルである。通常は、様々な原子配置とそのポテンシャルデータを大量に作成することで、目的の機械学習分子動力学法と同じようなポテンシャルを生成するANNを構築している。しかしながら、構築されたANNが元々の第一原理計算のポテンシャルを再現するという保証はない。さらに、4元素以上で構成されるような系の場合には、長時間の機械学習分子動力学法では計算が不安定になることがあり、機械学習分子動力学法の計算の精度や妥当性については常に慎重な議論が必要であった。本論文発表では、自己学習モンテカルロ法のアイディアを用いることで、得られた結果が統計的に厳密にオリジナルの第一原理計算分子動力学法の計算結果と等しい手法を開発したことを報告する。
Kheirkhah, M.*; Yan, Z.*; 永井 佑紀; Marsiglio, F.*
Physical Review Letters, 125(1), p.017001_1 - 017001_8, 2020/07
被引用回数:46 パーセンタイル:94.52(Physics, Multidisciplinary)近年、高次トポロジカル物質と言われる、今までにない新しいタイプのトポロジカル物質が注目を集めている。特に、超伝導体と半導体を接合させた場合、高次トポロジカル超伝導状態が現れると期待され、そしてトポロジカル量子コンピューティングが可能な新しいマヨラナ状態が出現するということで盛んに研究が行われている。本研究では、固体物理における基本的な模型である拡張ハバード模型にスピン軌道相互作用が存在するとき、温度とキャリアドープ量によって1次トポロジカル超伝導と2次トポロジカル超伝導および通常の超伝導の複数の相が現れることを明らかにした。本研究では、高次トポロジカル超伝導状態が容易に実現する方法を提案したことになる。
Kheirkhah, M.*; 永井 佑紀; Chen, C.*; Marsiglio, F.*
Physical Review B, 101(10), p.104502_1 - 104502_9, 2020/03
被引用回数:25 パーセンタイル:84.2(Materials Science, Multidisciplinary)近年、高次トポロジカル物質と言われる、今までにない新しいタイプのトポロジカル物質が注目を集めている。特に、超伝導体と半導体を接合させた場合、高次トポロジカル超伝導状態が現れると期待され、そしてトポロジカル量子コンピューティングが可能な新しいマヨラナ状態が出現するということで盛んに研究が行われている。本研究では、この高次トポロジカル超伝導体に対して電場を印加した場合についての挙動を理論的に調べた。その結果、なだらかに変化をする電場を印加すると、マヨラナコーナーフラットバンドという新しい状態が出現することを理論的に明らかにした。これは、電場印加という外的要因による新しい量子状態の出現を意味している。
永井 佑紀; 奥村 雅彦; 田中 章詞*
Physical Review B, 101(11), p.115111_1 - 115111_12, 2020/03
被引用回数:17 パーセンタイル:74.78(Materials Science, Multidisciplinary)モンテカルロ法は原子力分野以外にも様々な分野で利用される極めて汎用的な手法である。近年、機械学習の手法を取り込むことで、高速なモンテカルロ法が開発されている。本稿では、銅酸化物高温超伝導体をはじめとする様々な物質のシミュレーションにおいて汎用的に用いられている連続時間量子モンテカルロ法に対して機械学習の手法を適用した結果を報告する。なお、上記課題の解決にあたり、モンテカルロ法でネックの一つとなる次の配置をどう決めるか、という問題に対して、ニューラルネットワークを用いた構築した有効模型を用いて自動的に決定するという手法を提案した。この手法の開発により、より高精度な超伝導体シミュレーションや、ウランなどの重い元素を含む第一原理計算の高速化が期待できる。