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北村 晃寿*; 岡嵜 颯太*; 近藤 満*; 渡邊 隆広; 中西 利典*; 堀 利栄*; 池田 昌之*; 市村 康治; 中川 友紀; 森 英樹*
静岡大学地球科学研究報告, (49), p.73 - 86, 2022/07
静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で、2021年7月3日に土石流が発生し、大量の堆積物が流下した。その後の調査で、逢初川の源頭部には盛土があり、そのうちの約55,500mが崩落し、流下したことが判明した。本研究では、源頭部の崩壊していない盛土の黒色土砂と褐色土砂、3か所の土石流堆積物、2か所の土壌の堆積物試料について、泥質物と砂質物ごとに地球化学・粒子組成分析を行った。その結果、土石流堆積物の組成は、盛土の黒色土砂と褐色土砂の混合で説明される試料もあるが、それでは説明できない試料もある。後者は、盛土の組成の不均一性を示唆する。本研究では盛土の黒色土砂と土石流堆積物が放散虫チャートを含むことを発見した。このチャート片は、黒色土砂のトレーサー物質として有用である。さらに、放散虫チャートの堆積年代はペルム系/三畳系境界付近とそれ以降のジュラ紀、ないし前期白亜紀までに及ぶことが判明した。これは、黒色土砂の供給源の特定に重要な知見となる。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; 深谷 有喜; et al.
European Physical Journal D, 66(2), p.37 - 40, 2012/02
被引用回数:38 パーセンタイル:85.19(Optics)本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。はじめに、低速陽電子ビームを生成するためのコンバータ・モデレータアッセンブリの改良を行った。具体的には、コンバータ・モデレータのフレームをタンタルで作製し、モデレータ内部ではタングステン薄膜を井桁状に2セット組み、2段に配置した。この改良により、低速陽電子のビーム強度が以前のものに比べて一桁増大するに至った。この高強度陽電子ビームを用いて、二つの新たな研究が進展した。一つは、ポジトロニウム負イオンの光脱離実験を行い、レーザーによるポジトロニウムの中性化に成功した。二つ目は、反射高速陽電子回折(RHEPD)装置を開発し、これまでの線源法に比べて5-10倍の反射強度を得ることに成功した。今後、両実験のさらなる発展が見込まれる。
松川 誠; 菊池 満; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 林 孝夫; 東島 智; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井手 俊介; 石田 真一; et al.
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.795 - 803, 2008/12
被引用回数:17 パーセンタイル:72.65(Nuclear Science & Technology)JT-60SAは、日欧の幅広いアプローチの下で建設する完全超伝導トカマク装置で、ITERや原型炉への貢献を目指している。2007年の両極の国会批准後、実質的には既に建設段階に移行している。JT-60SAは、既存の建屋,電源,プラズマ加熱装置,計測装置などの、JT-60U設備の最大限の有効利用が前提であり、完全に新作する主たる機器は本体装置のみである。最大プラズマは電流5.5MAで、プラズマ主半径3.06m,アスペクト比2.65,非円形度1.76,三確度0.36である。最大プラズマ加熱入力41MW,プラズマ電流のフラットトップ時間は100秒間である。本論文では、トカマク装置本体だけでなく、プラズマ加熱装置や遠隔保守装置の設計などについても言及するとともに、EUとの技術的な議論を踏まえて行った超伝導導体に関する最近の設計変更案などを紹介し、装置の全体像を明らかにする。
池田 佳隆; 秋野 昇; 海老沢 昇; 花田 磨砂也; 井上 多加志; 本田 敦; 鎌田 正輝; 河合 視己人; 椛澤 稔; 菊池 勝美; et al.
Fusion Engineering and Design, 82(5-14), p.791 - 797, 2007/10
被引用回数:22 パーセンタイル:80.6(Nuclear Science & Technology)ITERや原型炉に向けた研究を強化するため、JT-60Uを超伝導化するJT-60SA計画が進められている。この計画におけるNBI加熱装置は、入射パワーは1基あたりの入射パワー2MW(85keV)の正イオンNBI加熱装置が12基、入射パワー10MW(500keV)の負イオンNBI加熱装置が1基から構成され、総計34MW,100秒のビーム入射を行う予定である。一方、これまでにJT-60Uにおいては、正イオンNBIで2MW(85keV),30秒、負イオンNBIで3.2MW(320keV),20秒入射を既に達成している。これらの運転において両イオン源の加速電極の冷却水温度上昇は約20秒以内で飽和していることから、改修計画に向けては、電源の容量強化や負イオンNBIの加速エネルギー向上が鍵となると考えられる。本論文では、JT-60SA計画における、NBI加熱装置の増力に関する工学設計を報告する。
二宮 博正; 秋場 真人; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 林 伸彦; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井上 信幸; et al.
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S428 - S432, 2006/12
現在検討が進められているJT-60のコイルを超伝導コイルに置き換える計画(トカマク国内重点化装置計画)の概要について述べる。本計画はITER及び原型炉への貢献を目指しているが、その位置づけ,目的,物理設計及び装置設計の概要,今後の計画等について示す。物理設計については、特に高い規格化ベータ値を実現するためのアスペクト比,形状因子及び臨界条件クラスのプラズマや完全非誘導電流駆動のパラメータ領域等について、装置については物理設計と整合した設計の概要について示す。
菊池 満; 松田 慎三郎; 吉田 直亮*; 高瀬 雄一*; 三浦 幸俊; 藤田 隆明; 松川 誠; 玉井 広史; 櫻井 真治; 池田 佳隆; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 82(8), p.455 - 469, 2006/08
JT-60SA計画は、核融合エネルギーの実現に向けて実験炉ITERを支えつつ、我が国独自の魅力あるトカマク型原型炉の実現を目指すトカマク国内重点化装置計画と、ITER計画の主要参加国である欧州と日本の共同計画としてのサテライト・トカマク計画との合同計画である。JT-60SA計画の経緯,目的と意義,装置設計,運営形態について述べる。
菊池 満; 玉井 広史; 松川 誠; 藤田 隆明; 高瀬 雄一*; 櫻井 真治; 木津 要; 土屋 勝彦; 栗田 源一; 森岡 篤彦; et al.
Nuclear Fusion, 46(3), p.S29 - S38, 2006/03
被引用回数:13 パーセンタイル:41.68(Physics, Fluids & Plasmas)トカマク国内重点化装置(NCT)計画は、大学における成果を取り込みつつJT-60Uに引き続き先進トカマクを進めるための国内計画である。NCTのミッションは発電実証プラントに向けて高ベータ定常運転を実現するとともに、ITERへの貢献を図ることである。高ベータ定常運転を実現するために、装置のアスペクト比,形状制御性,抵抗性壁モードの帰還制御性,電流分布と圧力分布の制御性の機動性と自由度を追求した。
土屋 勝彦; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; et al.
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1599 - 1605, 2006/02
被引用回数:1 パーセンタイル:9.94(Nuclear Science & Technology)JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)は、経済的な核融合炉の実現を目指した定常高ベータプラズマ運転の実証が重要なミッションの一つである。現在、プラズマ形状及びアスペクト比について広いパラメータ領域で研究を行えるように、装置の物理的・技術的設計検討を進めている。本装置の目標とする高ベータプラズマは、自由境界MHD安定性限界を超えた領域にあるため、電子サイクロトロン加熱による新古典テアリングモードの抑制に加えて、安定化板及び容器内コイルを用いた壁不安定性モードの抑制など、さまざまなMHD不安定性の制御手法を駆使する必要がある。それらを踏まえて、今回は、高ベータと臨界条件クラスのプラズマを同時に達成できるプラズマパラメータの解析評価、及び自由境界MHD安定性限界を超えた高ベータプラズマの非誘導電流駆動制御シナリオの検討結果について報告する。また、広いパラメータ領域で定常高ベータプラズマ運転を実現させるための装置設計の現状に関して、超伝導コイル及び放射線遮へい材を中心に報告する。
梶原 健; 池田 佳隆; 坂本 慶司; 春日井 敦; 関 正美; 森山 伸一; 高橋 幸司; 今井 剛; 満仲 義加*; 藤井 常幸
Fusion Engineering and Design, 65(4), p.493 - 499, 2003/07
被引用回数:11 パーセンタイル:33.33(Nuclear Science & Technology)JT-60の電子サイクロトロン(ECRF)加熱装置において、110GHzジャイロトロンの1.2MW4秒大電力運転を実現した。この加熱装置では、ジャイロトロンを発振させるために電圧一定制御の無い主電源と電圧制御を有する加速電源を組合せている。ジャイロトロンの特徴はダイヤモンド出力窓と寄生発振抑制用の高周波吸収体を内蔵していることであり、JT-60プラズマを負荷として運転を行った。ジャイロトロンの動作条件の最適化等により、従来の高周波吸収体を内蔵しないジャイロトロンでの最大値1MW2秒を大幅に越え、世界最高レベルの発振に成功した。また長パルス運転においては、ジャイロトロンのビーム電流が減少するものの、発振中は出力減少がなく、その間、発振効率が上昇することを明らかとした。今後、プラズマを用いた運転パラメータの最適化により、さらなる進展が期待できる。
坂本 慶司; 春日井 敦; 池田 佳隆; 林 健一*; 高橋 幸司; 森山 伸一; 関 正美; 假家 強*; 満仲 義加*; 藤井 常幸; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.729 - 737, 2003/07
プラズマの加熱電流駆動用大電力ジャイロトロン開発を行った。ITERで要求される周波数170GHzにおいて、準連続運転となる0.9MW/9秒,0.75MW/17秒,0.5MW/30秒,0.3MW/60秒等の出力を達成し、連続出力ジャイロトロンの開発に大きな見通しを得た。パルス幅は内部の冷却強化によりさらに延長可能である。また、JT-60U用110GHzジャイロトロンで1.2MW/4秒等の出力を得た。110GHzジャイロトロンは4MWのJT-60U電子サイクロトロン共鳴加熱電流駆動装置の発振源として使用されている。
寺門 正之; 関 正美; 下野 貢; 五十嵐 浩一*; 満仲 義加*; 諫山 明彦; 安納 勝人; 池田 佳隆
JAERI-Tech 2003-053, 25 Pages, 2003/06
臨界プラズマ試験装置(JT-60U)では、電子サイクロトロン加熱(ECH)装置を用いて、局所的にプラズマを加熱あるいは電流駆動しプラズマの性能向上実験を実施している。また、プラズマの熱伝導率を測定し閉じ込め性能を調べるため、ECH装置の高周波源であるジャイロトロンの高周波出力を数十から数百Hz程度に変調し、プラズマ中へパルス的に入射している。JT-60Uでは、ジャイロトロンのアノード電圧を制御することで高周波出力の変調運転に成功した。アノード電圧を約10%変化させることで、変調度が約80%の出力変調運転を行うことができる。変調周波数は、12.2Hz~500Hzである。なお、出力変調運転中に主モードの発振効率が低下することにより放射器が加熱される。この原因は、放射器入口部における寄生発振と推測される。しかし、放射器の温度を監視することでジャイロトロンを保護することができる。
春日井 敦; 坂本 慶司; 林 健一*; 高橋 幸司; 庄山 裕章*; 梶原 健*; 池田 佳隆; 假家 強*; 満仲 義加*; 藤井 常幸; et al.
JAERI-Research 2002-027, 57 Pages, 2002/11
ジャイロトロン内に発生する不要RFは、ジャイロトロンの長パルス化あるいは高効率化等の性能向上を妨げている要因の1つである。ジャイロトロンの内部に発生する不要RFには、(1)ビームトンネルにおける寄生発振,(2)放射器における寄生発振,(3)ジャイロトロン内部の散乱RFがある。ビームトンネルにおける寄生発振は、ビームトンネルの表面に炭化珪素材を適用することで完全に抑制することができた。その結果、ジャイロトロンの空胴共振器における主モードの発振効率を従来の約20%から30%以上に改善でき、高効率動作の実現を達成した。放射器の寄生発振については、空胴共振器での発振効率を高めることで軽減できることを明らかにした。ジャイロトロン内部の高周波回路の回折損失に起因する散乱RFはジャイロトロン出力の10%以上あることが明らかとなったが、冷却の工夫及びDCブレークの材質の変更により、動作を制限する要因にはなっていない。以上のように、寄生発振を抑制したこと及び散乱RFを管外で処理し、散乱RFに起因する内部加熱に対する冷却の強化により1MW-10秒レベル(0.9MW-9.2秒)の長パルス動作が可能となった。
坂本 慶司; 春日井 敦; 池田 佳隆; 林 健一*; 高橋 幸司; 梶原 健; 森山 伸一; 関 正美; 假家 強*; 満仲 義加*; et al.
Proceedings of 19th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2002) (CD-ROM), 5 Pages, 2002/10
ITERで要求される周波数170GHzにおいて、準連続運転となる0.9MW9秒,0.75MW17秒,0.5MW30秒,0.3MW60秒,0.2MW133秒等を達成し、連続出力ジャイロトロン開発に大きな見通しを得た。(パルス幅は内部の冷却強化によりさらに延長可能である。)JT-60U用110GHzジャイロトロンで1.2MW4秒の出力を得た。ジャイロトロン4本からなるECRHシステムを建設し、3MW2秒のプラズマ入射に成功し、JT-60Uでの電子温度26keVの達成に貢献した。これら、EC技術のKey要素(ジャイロトロン)とシステム統合の双方で大きな進展を示し、ミリ波帯のECシステムの核融合炉への適用に大きな見通しを与えた。
牛草 健吉; 井手 俊介; 及川 聡洋; 鈴木 隆博; 鎌田 裕; 藤田 隆明; 池田 佳隆; 内藤 磨; 松岡 守*; 近藤 貴; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.255 - 277, 2002/09
被引用回数:10 パーセンタイル:15.15(Nuclear Science & Technology)JT-60における非誘導電流駆動及び高性能定常運転に関する研究成果をまとめた。低域混成波電流駆動(LHCD)により3.5MAの大電流駆動,3.61019m-2A/Wの高効率電流駆動,自在な電流分布制御性を実証した。近接条件,高速電子挙動等の基礎研究によりLHCD物理の解明に貢献した。負イオン源中性粒子ビーム電流駆動(N-NBCD)実験により、中性粒子ビーム電流駆動に関する研究を著しく進展させた。駆動効率1.51019m-2A/Wを達成し、1MAの電流駆動に成功した。弱磁場励起Oモード電子サイクロトロン波による局所電流駆動を実証し、駆動効率0.51019m-2A/W,0.2MAの電流駆動を達成するとともに、新古典テアリング不安定性の抑制に成功した。これらの成果に基づき、高pHモード及び負磁気シアプラズマという2つの高性能定常運転方式を開発した。これらの運転方式は、高い閉じ込め性能を有するほぼ定常状態の電流分布を完全電流駆動の状態で持続できるものである。高い規格化密度や高い核融合積を有する完全電流駆動高性能定常運転方式で達成した。
鎌田 裕; 藤田 隆明; 石田 真一; 菊池 満; 井手 俊介; 滝塚 知典; 白井 浩; 小出 芳彦; 福田 武司; 細金 延幸; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.185 - 254, 2002/09
被引用回数:34 パーセンタイル:48.48(Nuclear Science & Technology)JT-60及びJT-60Uは、ITER及び定常トカマク炉実現へ向けた物理基盤を構築することを目的として、炉心級プラズマにおける高総合性能の実証とその維持を目指した運転概念の最適化を行って来た。等価核融合エネルギー増倍率(=1.25)や核融合積(=1.5E21 m-3skeV)の達成に加えて、高い総合性能(高閉じ込め&高ベータ&高自発電流割合&完全非誘導電流駆動)を実証した。これらは、内部及び周辺部に輸送障壁を持つ高ポロイダルベータHモード及び負磁気シアモードで得られた。最適化の鍵は分布及び形状制御である。多様な内部輸送障壁の発見に代表されるように、JT-60/JT-60U研究はプラズマ諸量の空間分布の自由度と制限を強調して来た。各閉じ込めモードの閉じ込め研究に加えて、輸送及び安定性等によって支配されるコア部及び周辺ペデスタル部のパラメータ相関を明らかにした。これらの研究により、高閉じ込めモードのITERへの適合性を実証するとともに残された研究課題を明らかにした。
庄山 裕章; 坂本 慶司; 林 健一*; 春日井 敦; 恒岡 まさき; 高橋 幸司; 池田 幸治; 假家 強*; 満仲 義加*; 今井 剛
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2, 40(8B), p.L906 - L908, 2001/08
被引用回数:28 パーセンタイル:71.88(Physics, Applied)170GHz大電力ジャイロトロンを用いて安定な1.1MWの発振を達成した。発振モードはTEであり、CW運転可能なモードである。発振効率は32%であり、減速コレクター運転により総合効率として57%に達した。発振効率を低下させるビームトンネル(電子銃とキャビティの間の電子ビームが通過する筒)での寄生発振をRF吸収体を装備することにより抑制した。この結果は核融合装置に求められる1MW長パルスジャイロトロンの開発に大きなインパクトを与えるものである。
春日井 敦; 坂本 慶司; 高橋 幸司; 梶原 健; 庄山 裕章; 池田 幸治; 恒岡 まさき; 池田 佳隆; 藤井 常幸; 假家 強*; et al.
Fusion Engineering and Design, 53(1-4), p.399 - 406, 2001/01
被引用回数:17 パーセンタイル:74.75(Nuclear Science & Technology)原研ではITER R&Dのもとで、ITER用170GHzジャイロトロンの開発を行っている。これまでに、ダイヤモンド窓の開発などにより、世界のトップデータとなる出力約0.5MWで8秒間の出力を達成した。次のステップとしてジャイロトロンのビームトンネルを改良し、発振効率を28%まで改善させた。さらに、1MW-10秒を目標とした次期170GHzジャイロトロンを製作し、現在発振実験を行っている。また170GHzジャイロトロンの開発をベースに、JT-60Uでの電子サイクロトロン加熱/電流駆動のための、周波数110GHz、ダイヤモンド窓搭載ガウシアンビーム出力ジャイロトロンを製作し、プラズマへの応用を開始した。これまでに出力1MWで0.6秒の発振が得られている。
庄山 裕章; 坂本 慶司; 林 健一*; 春日井 敦; 高橋 幸司; 恒岡 まさき; 池田 幸治; 假家 強*; 満仲 義加*; 今井 剛
信学技報, 100(506), p.39 - 44, 2000/12
ITER,JT-60U等の大型核融合装置における電子サイクロトロン共鳴加熱及び電流駆動装置の発振源として大電力、長パルス、高効率の100GHz帯ジャイロトロンの開発を行い、これまでにエネルギー回収運動による効率50%発振、超高次モードを用いた1MW発振、数MW/連続出力で使用可能な人工ダイヤモンド出力窓の開発等の成果を得てきた。最近では、長パルス化に向けてさらなる発振効率の向上を図るために、SiCビームトンネル付170GHzジャイロトロンを開発し、1.1MW/57%の発振を達成した。
今井 剛; 坂本 慶司; 春日井 敦; 恒岡 まさき; 高橋 幸司; 庄山 裕章; 池田 幸治; 池田 佳隆; 梶原 健; 藤井 常幸; et al.
平成12年度電気学会原子力研究資料(NE-00-4), p.19 - 24, 2000/09
原研が、ITER及びJT-60U用に開発しているミリ波(100-200GHz帯)の大電力、長パルス、高効率ジャイロトロンの開発成果について報告する。人工ダイヤモンド窓により、大電力、長パルスが可能となり、また、エネルギー回収により、高効率が可能となった。これらの技術を最適化して、170GHz、1MWで50%の発振を達成し、また、長パルスでは、110GHzで、1MW,3秒,170GHzでは、約500kWで8秒の出力を得ている。
坂本 慶司; 春日井 敦; 庄山 裕章; 林 健一*; 高橋 幸司; 恒岡 まさき; 池田 幸治; 池田 佳隆; 梶原 健; 森山 伸一; et al.
25th International Conference on Infrared and Millimeter Waves Conference Digest, p.11 - 12, 2000/00
110GHzジャイロトロンは、JT-60UでITERの物理R&Dとなる加熱電流駆動や、新古典論テアリング不安定性の抑制、プラズマの立ち上げに使用されるもので、これまでに短パルスで1.2MW,1MWでは3秒、0.5MWでは6秒までの発振を得た。これまで3本のジャイロトロンを製作しJT-60UのECH加熱電流駆動装置に装着した。約50mの伝送系にジャイロトロンを接続して実際に1MW発振でのプラズマ入射にも成功し、最大15keVの電子温度上昇を得ている。RFの抵抗損失による最も熱負荷の厳しい空胴共振器は、設計通り1秒で定常状態に落ち着いた。出力窓の中心部の温度上昇は、1MW出力に対し約25度で定常状態になっており、設計値と良く一致する。この結果は、170GHzの場合、約45度の温度上昇に対応する。また、コレクタも設計通りの温度上昇を示しており、約5秒で定常状態に達する。このようにジャイロトロン内の主要コンポーネントについて長パルス化に関する見通しが得られた。ITER用ジャイロトロン開発では、これまで世界で初めて低損失人工ジャイヤモンド窓を装着して0.5MWで8秒の出力に成功しているが、新たに電子ビームの不安定性を抑制する機構を設けることにより、出力1.2MW、発振効率33%、エネルギー回収を含めた総合効率で52%を達成した。現在、これらの成果を取り入れ、連続出力を目指した長パルス化研究を継続している。