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稲垣 八穂広*; 牧垣 光; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 三ツ井 誠一郎; 野下 健司*
Journal of Nuclear Science and Technology, 49(4), p.438 - 449, 2012/04
被引用回数:19 パーセンタイル:79.52(Nuclear Science & Technology)マイクロチャンネル流水溶解試験法(MCFT法)を用いて、模擬ガラス固化体の初期溶解速度()のpH依存性,温度依存性を評価した。その結果、25Cにおいてはシングルパスフロースルー法(SPFT法)などによる既往の結果と同様にV字型のpH依存性を示すことがわかった。しかしながら、70, 90CにおいてはpHが中性の条件でが一定となるU字型のpH依存性を示し、SPFT法等と異なる結果となった。また、90Cにおいては、pHが8から11の範囲でSPFT法と較べてが大きく、pH依存性の傾きも大きいことがわかった。温度依存性についてはどのpHにおいてもアレニウス則に従うが、pHの増加に伴ってみかけの活性化エネルギーが増加するという結果となり、溶解メカニズムがpHによって変化することが示唆された。
稲垣 八穂広*; 酒谷 圭一*; 山村 由貴*; 三ツ井 誠一郎; 野下 健司*; 三浦 吉幸*; 兼平 憲男*; 越智 英治*; 椋木 敦*; 千葉 保*
第7回再処理・リサイクル部会セミナーテキスト, p.136 - 137, 2011/01
これまでの静的溶解試験では、ガラス溶解に伴い反応溶液の液性が変化するため、任意の液性一定条件での測定評価が困難であった。本研究では、我が国の模擬ガラス固化体であるJAEA-P0798ガラス及びJNFL-KMOCガラスについて、新たに考案したマイクロチャンネル流水試験法を用いた任意の液性一定条件での溶解試験を行い、ガラスの本質的特性の一つである初期溶解速度(: 反応溶液中シリカ濃度がゼロの条件でのガラス溶解速度)を精密に測定し、その温度依存性,pH依存性を体系的に評価した。その結果、いずれのガラス試料についてもは温度とともに増大し、各温度においてpHに関してV字型の依存性を示すことがわかった。
稲垣 八穂広*; 三ツ井 誠一郎; 牧垣 光*; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 馬場 恒孝; 野下 健司*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1193, p.219 - 228, 2009/05
ガラス溶解/変質挙動の速度論的評価を行うため、マイクロリアクタを用いた新しい流水溶解試験法を開発した。この方法では、マイクロ流路(20216mm)を有するテフロン台に板状のガラス試料を設置し、シリンジポンプにより一定の流速でマイクロ流路に溶液を注入させることでガラス試料と反応させる。反応後の溶液を一定の間隔で採取、分析することで溶解/変質速度を得ることが可能となる。この方法は、装置がコンパクトで単純である、反応面積に対して反応溶液量が少ない、高感度で溶解/変質速度が測定できる、試験後試料の表面分析が容易であるなどの特徴を有する。この方法により、P0798ガラスのpH,温度,流速,時間を関数とした試験を行い、ガラス溶解/変質挙動の速度論的評価に必要なデータを取得した。
牧垣 光*; 稲垣 八穂広*; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 三ツ井 誠一郎; 馬場 恒孝; 野下 健司*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1193, p.307 - 314, 2009/05
新たに考案したマイクロリアクタ流水溶解試験により、模擬ガラス固化体(P0798ガラス)について任意の一定溶液,温度条件での溶解試験を行い、ガラスの初期溶解速度を測定した。試験温度を25C、溶液のpHを5.6から12の範囲としたpH依存性試験で得られたケイ素の溶解速度から求めた初期溶解速度は、フランス原子力庁(CEA)が報告しているR7T7ガラスと同様に、V字型のpH依存性を示した。また、pHを5.6、試験温度を25から90Cの範囲とした温度依存性試験による初期溶解速度からは、活性化エネルギーとして51kJ/molを得た。これはCEAが報告しているR7T7ガラスの値に比べてわずかに小さい値である。これらの結果に基づき、P0798ガラスの溶解機構を議論する。
武部 愼一; 木村 英雄; 松鶴 秀夫; 高橋 知之*; 保田 浩志*; 内田 滋夫*; 馬原 保典*; 佐伯 明義*; 佐々木 規行*; 芦川 信雄*; et al.
JAERI-Review 2001-015, 81 Pages, 2001/05
分配係数は環境中における放射性核種の移行挙動を評価するためのさまざまな移行評価モデルに用いられており、放射性廃棄物の処分における安全評価上極めて重要なパラメータである。しかし、測定条件や方法などが既定されておらず、データの相互比較ができないなどの問題が指定されている。分配係数の標準的な測定方法の提案に役立てることを目的にアンケート調査を実施した。本報告は、国内の各研究機関における、試料の採取方法や保管、前処理方法、試料の物理化学的特性に関する分析項目、並びに分配係数の測定方法とその条件等についてアンケート調査した結果をまとめたものである。
高橋 知之*; 武部 愼一; 木村 英雄; 松鶴 秀夫; 保田 浩志*; 内田 滋夫*; 佐伯 明義*; 馬原 保典*; 佐々木 規行*; 芦川 信雄*; et al.
KURRI-KR-44, p.169 - 176, 2000/02
分配係数は原子力施設の安全評価上極めて重要なパラメータである。原研に設けられた環境放射能挙動専念部会・安全評価用パラメータ検討グループでは、分配係数測定値の利用に関して標準的な条件を提言することを目的に各研究機関における相互比較実験等を実施してきた。本報では、各研究機関においてこれまで実施してきた分配係数測定値に与える各種の変動因子による影響について、得られた実験結果を報告するとともに、分配係数の測定条件やその条件の設定に関する考え方等についてのアンケート調査状況、並びに現在問題となっている項目や今後検討すべき課題等について報告する。
内田 雅大; 天野 健治; 濱 克宏; 竹内 竜史; 吉田 拓真*; 野下 健司*; 二口 克人*; 大江 俊昭*; 長崎 晋也*
no journal, ,
従来課題とされてきたさまざまな物質移動特性の同一システムを用いた評価に向けて開発された地質環境診断用マイクロ化学プローブをもとに、同装置のさらなる機能拡張と瑞浪超深地層研究所で計画されている原位置物質移動試験への活用を検討した。
稲垣 八穂広*; 牧垣 光*; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 三ツ井 誠一郎; 馬場 恒孝; 野下 健司*
no journal, ,
高レベルガラス固化体の溶解/変質、及びそれに伴う核種浸出挙動は処分環境条件によって大きく変化する。信頼性の高い性能評価にはさまざまな溶液条件におけるガラス溶解/変質挙動を体系的,速度論的に評価し、環境条件を考慮したガラス固化体性能評価モデルを構築する必要がある。しかしながら、これまでの静的溶解試験(ガラスを一定体積の溶液に浸漬させる試験)ではガラス溶解に伴い反応溶液の組成,pH等が変化するため任意の一定溶液条件における測定評価が困難であった。現在われわれは、pHや溶存ケイ酸濃度等の環境条件を考慮したガラス溶解速度式の作成を進めている。本研究では、新たに考案したマイクロリアクタを用いる流水溶解試験により、模擬ガラス固化体(P0798ガラス)について任意の一定溶液条件での溶解試験を行い、ガラス初期溶解速度のpH依存性を評価した。
濱 克宏; 内田 雅大; 天野 健治; 竹内 竜史; 萩原 大樹; 吉田 拓真*; 野下 健司*; 長崎 晋也*; 大江 俊昭*; 二口 克人*
no journal, ,
岩盤中での物質移行特性をボーリング孔内の原位置にて測定可能な装置(マイクロ化学プローブ)の性能確認試験を実施した。その結果、所定の性能を有することを確認することができた。
稲垣 八穂広*; 牧垣 光*; 三ツ井 誠一郎; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 野下 健司*
no journal, ,
マイクロリアクタを用いた新しい流水溶解試験法を開発し、日本の模擬廃棄物ガラスP0798の溶解速度を測定した。この方法では、マイクロ流路(20mm2mm0.16mm)を有するテフロン台に板状のガラス試料を設置し、シリンジポンプにより一定の流速でマイクロ流路に溶液を注入させることでガラス試料と反応させる。反応後の溶液を一定の間隔で採取,分析することで溶解・変質速度を得ることが可能となる。この方法により、pH及び温度を関数としたガラスの初期溶解速度を測定した。その結果、25Cから90Cの条件において、初期溶解速度が"V字型"のpH依存性を有することが確認された。これは、フランス原子力庁CEAが評価したR7T7ガラス等と同様な傾向である。得られた結果と他のガラスとの比較に基づき、溶解メカニズムについて議論する。
酒谷 圭一*; 稲垣 八穂広*; 牧垣 光; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 三ツ井 誠一郎; 野下 健司*
no journal, ,
新たに考案したマイクロリアクタ流水溶解試験法を用いて、P0798模擬ガラス固化体の初期溶解速度のpH依存性,温度依存性を測定し、体系的に評価した。その結果、各温度において初期溶解速度がV字型のpH依存性を有すること、アレニウス型の温度依存性を有することが確認された。また、触針式表面粗さ計で求めたガラス溶解量は溶液分析結果と一致し、信頼性の高いデータが得られていることが確認できた。
稲垣 八穂広*; 酒谷 圭一*; 三ツ井 誠一郎; 出光 一哉*; 有馬 立身*; 野下 健司*
no journal, ,
地層処分における高レベル廃棄物ガラスの長期挙動のモデル化にあたっては、溶存ケイ酸濃度が飽和に近い条件でのガラス溶解機構の整合的な評価が必要である。評価においては、pH,溶液組成,反応表面積といった多様なパラメタをコントロールした条件で実験を行い、信頼性が高く、正確なデータを得る必要がある。そこで本研究では、我が国の模擬ガラス固化体(P0798)について、マイクロチャンネル流水試験法を用い、幾つかのpH条件で溶存ケイ酸濃度を関数とした溶解試験を行った。その結果、溶存ケイ酸濃度が飽和に近い条件においてもある程度の速度でガラスマトリクスが溶解すること、アルカリ元素のイオン交換だけでなく、アルミニウムもガラス溶解において重要な役割を持つことがわかった。