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中沢 哲也; 内藤 明*; 有賀 武夫; Grismanovs, V.*; 知見 康弘; 岩瀬 彰宏*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1398 - 1403, 2007/08
被引用回数:45 パーセンタイル:92.74(Materials Science, Multidisciplinary)高エネルギーXeイオンを照射したLiTiO
の構造変化をラマン分光法を用いて調べた。Li
TiO
のラマン信号強度が照射により減少した。ラマン信号強度の減少は構造単位(TiO
, LiO
, LiO
)におけるTiやLi周辺の酸素原子の配置に関する秩序の消失、すなわち無秩序化に起因している。このような構造単位の無秩序化は照射量や電子的エネルギー付与量より電子的阻止能と密接に関連していることが示された。
若井 栄一; 菊地 賢司; 山本 春也; 有賀 武夫; 安堂 正巳; 谷川 博康; 田口 富嗣; 沢井 友次; 岡 桂一朗*; 大貫 惣明*
Journal of Nuclear Materials, 318, p.267 - 273, 2003/05
被引用回数:79 パーセンタイル:96.98(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉や核破砕材料のスエリング挙動に及ぼすガス原子の影響を調べるために、He/dpaとH/dpa比をパラメータにしてFeとHeとHまたはFeとHeイオンを同時に照射するシミュレーション実験を行った。照射は500C
620
Cで50dpaまで行い、試料はマルテンサイト鋼のF82Hを用いた。スエリングは530
Cまで2重同時照射に比べて3重同時照射によって増加し、水素はキャビティの成長過程に大きな影響を及ぼした。核融合炉条件では500
Cで最大3.2%になり、照射温度の上昇とともに減少した。また、50%冷間加工や90appmの炭素予注入法によってそれぞれ1.4%と0.5%に低下した。他方、核破砕条件ではキャビテイが高密度に形成し、スエリングは530
C以下で核融合条件に比べて小さく、照射温度とともに減少したが、620
Cでは高濃度に存在するHeのガス圧によって増加した。転位密度は温度上昇とともに減少したが、He/dpaとH/dpaには依存しなかった。これらのスエリング挙動はキャビティの成長速度に対するキャビティと転I位の数密度及びキャビティ内のガス圧を考慮した反応速度論によって定性的に説明できた。
中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.166 - 170, 2003/05
被引用回数:33 パーセンタイル:87.49(Instruments & Instrumentation)高エネルギー酸素イオン照射したLiTiO
の結晶構造及び化学状態等の変化をラマン分,X線回折及び走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。ラマン分光分析からは化学構造の際だった変化は観察されなかった。一方、X線回折からは1.2E+19 ions/m
までの照射で(002)の回折ピークの減少が他のピークと比較して著しいことが観察された。この結果はLi原子とTi原子の部分的なミキシングが照射によって引き起こされていることを示している。このような照射によるミキシングに起因した無秩序化への移行が表面層での粒構造の消失としてSEMによっても観察された。
若井 栄一; 沢井 友次; 古谷 一幸; 内藤 明; 有賀 武夫; 菊地 賢司; 山下 真一郎*; 大貫 惣明*; 山本 春也; 楢本 洋; et al.
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part.1), p.278 - 282, 2002/12
被引用回数:58 パーセンタイル:94.18(Materials Science, Multidisciplinary)F82H鋼は核融合炉構造材や核破砕ターゲット容器材の候補材料である。この鋼は耐スエリング性の高い材料として知られているが、最近、He生成を伴う中性子照射の重損傷領域においてスエリングが無視できないことがわかった。本研究ではF82H鋼のスエリング挙動に対する核変換生成物などの効果を詳細に調べるとともに、スエリング抑制方法を検討した。400から500CまでFe,He,HイオンまたはFe,Heイオンを50dpaまで同時に照射した後、TEM観察による照射欠陥の解析によってスエリングを評価した。核融合炉を模擬したトリプル照射ではF82H鋼のスエリングが照射温度の増加とともに3.2%から0.1%に低下した。一方、水素を注入しない2重照射ではスエリングが0.08%以下となった。他方、核破砕ターゲット容器材料の模擬トリプル照射ではその量が温度とともに増加する傾向にあったが、500
Cで最大1%程度であった。また、後者の照射条件で8at%までの水素を注入した後、
Nの核共鳴反応法によって水素濃度を測定したが、注入領域に残存する水素濃度は測定限界以下になっていた。これらの結果から高温でのトリプル照射によるスエリングの著しい促進作用が400
C近傍に存在することがわかった。又、照射前の焼き戻し温度と時間や冷間加工法などによってスエリングをある程度抑制できた。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 岡安 悟; 数又 幸生*; 實川 資朗
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 197(1-2), p.94 - 100, 2002/11
被引用回数:9 パーセンタイル:50.42(Instruments & Instrumentation)アルミナ(AlO
),スピネル(MgAl
O
),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデムからの85MeVのヨウ素イオンを1
10
/m
・sの線束で1.2
10
/m
まで室温照射した。透過電顕による観察の結果、スピネルではアルミナより~1
m深くまで非晶質化が認められ、複雑な組成の方が非晶質化し易い傾向を見いだした。MgOでは非晶質化などの損傷は認められなかったが、X線回折の結果、約10
m厚さの表面層で微結晶表面が(100)面に再配列することを新たに見いだした。透過電顕での電子線回折では認められないこれらの変化は、高エネルギーイオンの透過に伴う飛跡に沿って再配列が生じると考えられる。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 實川 資朗
Surface & Coatings Technology, 158-159, p.444 - 448, 2002/09
アルミナ(AlO
),スピネル(MgAl
O
),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデム加速器からの85MeVのヨウ素イオンを1
10
/m
の線束で最高1.2
10
/m
まで室温照射した。1.2
10
/m
まで照射したスピネルでは~6
mの深さまで完全に非晶質化したことが、透過電顕の観察からわかった。しかし結晶粒によっては6.5
mの深さまで非晶質化が起こり、イオンの飛行方向と粒の方位に関係して非晶質化が起こることを指摘した。またスピネルでは、アルミナで認められたような、非晶質化しかかっている粒が、既に非晶質化した表面近くの領域に移動する現象は生じない。さらにスピネルとマグネシアでは照射後3~3.5年で、表面に0.1
m以下の厚さの、金属光沢をもって薄膜が形成された。今後、この形成のメカニズムを明らかにする必要がある。
深堀 智生; 千葉 敏; 柴田 恵一; 池田 裕二郎; 有賀 武夫; 渡辺 幸信*; 村田 徹*; 山野 直樹*; 川合 將義*
Reactor Dosimetry: Radiation Metrology and Assessment (ASTM STP 1398), p.591 - 598, 2001/00
原研核データセンターではシグマ委員会の協力の下、International Fusion Material Irradiation Facility (IFMIF)における照射損傷推定の基礎データであるJENDL PKA/KERMA Fileを整備している。同ファイルには、29元素78核種の一次反跳原子(PKA)スペクトル、KERMA因子、はじき出し断面積(DPA)を10eVから50MeVのエネルギー範囲で格納予定である。中重核に関しては、上記物理量を評価済核データファイルから実行単一粒子放出近似(ESPEA)を用いて計算するために、処理コードシステムESPERANTが開発された。軽核に関しては、PKAスペクトルはSCINFUL/DDXやEXIFONコードを用いて、中性子核データと同時に推定された。本報告では、ESPEAによる処理法の信頼性の検証及びJENDL PKA/KERMA Fileの現状に関して報告する。
片野 吉男*; 有賀 武夫; 山本 春也; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.2), p.942 - 946, 2000/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)電気絶縁材料等として核融合炉で使用されるアルミナで、照射によって生じるH,Heのガス原子と格子からの原子のはじき出しとの相乗効果による損傷機構を調べる目的で、H,He及びOイオンのトリプルビーム、H,He及びAlイオンのトリプルビーム等のビームを照射した試料について、注入H原子の拡散挙動への注入O,Al原子の影響を比較した。HとAlを照射した試料ではH原子の拡散はHイオンだけを注入した場合よりも抑制されることを見いだした。さらにH,He,Alを照射した場合には、AlによるH原子拡散の抑制効果は、同時にOイオンとトリプルで照射した場合とほぼ同程度になり、注入Heが最も支配的であることを見いだした。組織変化も抑制されたH原子の拡散に対応し、Alと同時照射した試料ではキャビティー形成も抑制される。
有賀 武夫; 片野 吉男; 大道 敏彦; 岡安 悟; 数又 幸生
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 166-167, p.913 - 919, 2000/05
被引用回数:32 パーセンタイル:86.34(Instruments & Instrumentation)電気絶縁体であるセラミック材料の照射損傷機構を解明するため、アルミナ焼結体に85MeV沃素イオン(I)を最高1
10
/m
まで室温で照射し、損傷組織を入射方向に沿って11
mの深さまで観察した。表面から約4
mの深さまでは照射によってほとんど非晶質化し、6.5
mより深い領域では結晶粒組織がほぼ完全に残る。4~6.5
mの間の、結晶-非晶質の遷移領域では非晶質領域を表面に向かって移動したと認められる粒や、その途中で微細化した粒が観察された。従来、セラミック(アルミナ)の非晶質化は、核的エネルギー付与によるはじき出し損傷の関数で整理されてきたが、今回の結果は、はじき出し損傷がピークとなる7~9
mの深さの範囲では非晶質化が認められず、電子系へのエネルギー付与が大きな4
mまでの範囲で顕著な非晶質化を認めた。
有賀 武夫; 片野 吉男*
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.797 - 800, 2000/00
標準の316ステンレス鋼に雰囲気温度で3.0MeVのHeイオンを910
/m
まで照射し、深さ方向の損傷組織が観察できる透過電子顕微鏡用試験片を造り、1MeVの電子線を32dpaまで照射し、Heが分布する深さの範囲の組織変化をその場観察した。Heを照射したままの試料で観察された欠陥集合体の深さ方向の数密度分布は、集合体がHe原子の分布に依存して形成されたことを示し、823Kで32dpaまで電子線照射しても、キャビティの形成は認められなかった。すなわち、~0.1at.%の高濃度で予注入されたHe原子は、照射で造られた空格子点と複合体を形成し、これらの高密度で形成された複合体が照射で造られた点欠陥の消滅場所となり、キャビティの形成を抑えたことを示している。
片野 吉男*; 有賀 武夫; 山本 春也; 中沢 哲也; 八巻 大樹
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.805 - 808, 2000/00
核融合炉において電気絶縁体材料等として使用されるアルミナ(-Al
O
)の照射損傷を調べる目的で、H,HeイオンとNまたはOイオンをトリプルビームで同時照射し、損傷組織を深さ方向に透過電子顕微鏡で観察した。表面から1.4~1.5
mの深さに停止イオンが分布するように、0.25MeVのHイオンと0.6MeVのHeイオンと、さらにこれらの深さを通過しながらはじき出し損傷を与える目的で、4.7MeVのNイオンをトリプルで照射(923K)した試料では、平均~3nmのキャピティが、1.45と1.55
mの深さに帯状に観察された。同量のH,HeをOイオンとともに約1/2のdpa/sで注入した試料ではキャビティーの成長が抑えられた。H,Heのキャビティーの形成に及ぼす損傷速度の効果を定量的に把握するとともに、水素原子の動きに及ぼすHe原子の役割を示した。
中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫; 岩本 昭
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.753 - 756, 2000/00
本論文は高エネルギーイオンに曝されたリチウムタイタネイトセラミックス(LiTiO
)の照射効果に関する研究を扱っている。Li
TiO
セラミックスは核融合炉の固体増殖材料の候補材料である。Li
TiO
における照射欠陥や微細構造の損傷に関する研究はその材料の照射下における性能を評価するのに非常に重要なものである。Li
TiO
セラミックスに対してさまざまな温度(343-873K)でトリプルイオン照射(0.25MeV H
,0.6MeV He
,2.4MeV O
)を行った。それぞれのイオンは1.0
10
ion/m
まで照射した。照射したイオンのエネルギーはともに約2.3
m付近にピークを持つように決めた。さらに、Li
TiO
は高エネルギー酸素イオン(30-120MeV)で2.0
10
ion/m
まで照射した。ラマン分光装置、FT-IR分光装置、走査電子顕微鏡(SEM)とX線解析装置を用いて照射したサンプルを調べた。照射試料の回復挙動を調べるためArガス雰囲気中さまざまな温度で照射サンプルをアニールした。トリプルイオン照射したLi
TiO
表面にTiO
のアナターゼ層が形成されたことがラマン分光分析とX線回折分析で明らかになった。603Kと873Kで照射した試料のラマンスペクトルはアナターゼTiO
のスペクトルとほとんど一致した。しかしながら、343Kで照射した試料のラマンスペクトルはLi
TiO
のラマンスペクトルとアナターゼTiO
のラマンスペクトルを重ね合わせたものである。このことから、照射温度が高いほどアナターゼ層の形成が効果的であることがわかる。この傾向はX線回折パターンからも同様に言える。照射した試料の熱処理は照射によって導入された構造欠陥の熱による回復が約1050Kで始まることを示した。したがって、トリプル照射によって導入された構造欠陥は熱に強いことがわかった。
片野 吉男; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1842 - 1847, 1998/00
被引用回数:6 パーセンタイル:48.61(Materials Science, Multidisciplinary)AlO
中のH,Heによる損傷効果を評価する目的から、酸素(O)イオン(4.7MeV)をはじき出し損傷関数(dpa)として利用し、H,He/dpaとスエリングの関係を調べた。照射実験には高崎研TIARAのトリプルビーム照射装置を用い、650
Cの照射温度で最大損傷量7.6dpaまで行い、照射後電子顕微鏡観察により損傷組織を入射イオンの深さ方向からの関数として評価した。その結果、Oイオンによる損傷は2.7
mの深さまで形成し、表面近傍には~150nm大きさの転位ループが分布した。一方キャビティは、H(0.25MeV)、He(0.9MeV)及びOイオンの各飛程(1.4,2.1及び2.6
m)付近にピークを持って分布し、これらによるスエリングは各々0.2,0.3及び1%であった。これらは照射後焼鈍(1000
C
1h)によって、He及びOイオン領域では50~80nmに成長したキャビティが形成され、それらによるスエリングは5.8及び8%に増大した。これらの挙動から、HeやO原子は、はじき出し損傷によって生成した欠陥集合体がキャビティ成長を促進する。H原子は転位の上昇運動によって消滅し易い。
片野 吉男; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治; 山本 春也
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 140(1-2), p.152 - 158, 1998/00
本研究では、電気絶縁材料であるAlO
について多重イオン同時照射に伴う損傷特性について透過電子顕微鏡組織断面観察から評価した。実験では、照射温度650
Cで3.6dpaまで照射したトリプル(O,He,H)イオン同時照射材と10.2dpaまでデュアル(O,H)照射材、さらに再試料を1273K
1
照射後焼鈍し、注入イオンの深さ方向に転位ループの生成、キャビティの成長を比較検討した。その結果、転位ループ生成挙動では、トリプル照射材は深さ1.5
mの損傷ピークまで欠陥集合体の転位が深の関数で増加する。しかしデュアル照射材では損傷が最も大きい1.4
mから1.6
mで格子間原子の集合体である転位が希薄な領域が認められた。この領域では照射に伴うH電子が点欠陥の消滅に寄与していることを示している。一方、両照射材の照射後焼鈍では、いずれも損傷ピーク付近で著しいキャビティの成長が認められた。この結果、Al
O
は1000
Cで熱的に活性化し、注入イオンや空孔の移動・再結合が促進されることが分かった。
片野 吉男; 北條 喜一; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 141(1-4), p.411 - 418, 1998/00
被引用回数:6 パーセンタイル:48.91(Instruments & Instrumentation)酸化アルミニウム(AlO
)におけるH及びHe原子とによるキャビティ形成挙動を調べる目的からH,He及びOイオンを同時照射し、損傷組織を入射イオンの深さ方向からの関数として評価した。照射温度650
Cでトリプル(0.25MeV-H,1.1MeV-He,2.4MeV-O)イオンビームを同時照射した結果、深さ1.4-1.8
m及び2.2-2.5
mの二つの領域で、それぞれ平均=20及び8nmの大きさのキャビティが3
10
/m
並び2
10
/m
の数密度で形成した。これは計算で求めたO-HとHイオン飛程の領域で、良い一致を示した。さらに、O-Hイオン飛程近傍では不規則なキャビティの分布を持って観察された。この領域(1.5
m)は、損傷が最も受けたと予測される領域で、格子間原子の集合体(転位ループ)の密度が希薄になる傾向を示した。これは、H原子と格子間原子との相互作用がHe原子と比べ弱いため、転位の発達及びキャビティ形成が促進されたものと考えられる。この結果、Al
O
中でのH及びHe原子によるキャビティ形成挙動が大きく異なることが判った。
八巻 大樹; 有賀 武夫; 谷藤 隆昭*; 實川 資朗
no journal, ,
核融合炉ブランケット材料の健全性評価には、構造材料及び機能性材料間の両立性等の評価が必要となる。そのためには、核融合炉環境下における材料特性変化の原因となる微細構造変化について理解する必要がある。核融合炉における照射環境を模擬するものとして、酸素,水素,ヘリウム各イオンを同時に照射する多重イオン照射実験を、核融合炉用固体増殖材料候補であるリチウムタイタネイトに対して行い、その微細構造変化についてFTIR-PASを用いて観察した。その結果、照射によってTiOの分離生成や、表面近傍のOH
基の生成が観測され、それぞれの生成量は照射によるはじき出し損傷量や照射方法に強く影響されることがわかった。このことは、照射によるリチウムタイタネイト中の微細構造変化が、核反応によって生成するトリチウムの放出挙動や、ブランケット構造材料との両立性に大きな影響を及ぼす可能性を示唆している。