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内山 雄介*; 徳永 夏樹*; 東 晃平*; 上平 雄基; 津旨 大輔*; 岩崎 理樹*; 山田 正俊*; 立田 穣*; 石丸 隆*; 伊藤 友加里*; et al.
Science of the Total Environment, 816, p.151573_1 - 151573_13, 2022/04
被引用回数:9 パーセンタイル:67.74(Environmental Sciences)福島県新田川を対象に、台風201326号に伴う出水イベントに着目し、台風通過直後に実施された海底堆積調査結果と、高解像度海洋モデルを併用することによって新田川起源の懸濁態放射性核種の海底での堆積状況を評価した。数値モデルによる底面せん断応力、残差流による懸濁質輸送、局所的土砂収支に対応する侵食・堆積パターンは、現地観測結果を定性的によく説明しており、モデルの妥当性を示すとともに観測による懸濁態Cs分布パターンの形成機構について明確な解釈を与えた。
乙坂 重嘉*; 神林 翔太*; 福田 美保*; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 鈴木 崇史; 青野 辰雄*
Environmental Science & Technology, 54(21), p.13778 - 13785, 2020/11
被引用回数:15 パーセンタイル:56.07(Engineering, Environmental)2015年から2018年にかけて、福島周辺の沿岸域から採取した海水,海底堆積物,間隙水中のCs濃度を調査し、福島第一原子力発電所事故によって海底に沈着した放射性セシウムの海水中への放出の効果を評価した。間隙水中のCs濃度は33から1934mBq Lで、海底直上水(海底から約30cmまでの間の海水)の10から40倍であった。多くの観測点で、海底直上水と間隙水との間にはCs濃度に正の相関がみられた。間隙水と堆積物間の見かけの分配係数は、0.9-1410 L kgであり、採取年による差は見られなかった。これらの結果は、間隙水と堆積物間でのCsの平衡が比較的短期間で成立された後、間隙水中のCsが海底上に徐々に拡散することが示唆された。これらの観測結果に基づく海底付近でのCsの収支計算から、堆積物中のCsの約6%が一年間に脱離・拡散すると推定された。
五十嵐 淳哉*; Zheng, J.*; Zhang, Z.*; 二宮 和彦*; 佐藤 志彦; 福田 美保*; Ni, Y.*; 青野 辰雄*; 篠原 厚*
Scientific Reports (Internet), 9(1), p.11807_1 - 11807_10, 2019/08
被引用回数:22 パーセンタイル:64.15(Multidisciplinary Sciences)TEPCO福島第一原子力発電所(福島原発)事故によって放射性微粒子が放出された。この粒子の生成過程を解明するために、この粒子中の化学組成に関してこれまで多くの研究が行われてきた。しかし、この粒子中に核燃料由来の放射性物質が含まれているかまで、明らかにされていなかった。そこで、放射化学法とICP-MSを用いて、粒子中のプルトニウム(Pu)の測定を行った。結果、放射性粒子中のPuとPu濃度範囲は、それぞれ(1.70-7.06)10Bqと(4.10-8.10)10Bqであった。Pu/PuとPu/Puの同位体原子比は、ORIGENコードを用いたシミュレーションの結果やこれまでに福島原発事故後に様々な環境試料の測定結果の範囲にあった。また土壌中の放射性微粒子(SP)は、Cs/Cs放射能比等から2と3号機由来の粒子と特定できたが、Puは検出されなかった。ダスト中の放射性微粒子(DP)は、Cs/Cs放射能比から福島原発1号機由来と特定でき、さらにDP3粒子中2粒子からPuが検出され、これは福島原発事故由来のPuであった。
福田 美保*; 青野 辰雄*; 山崎 慎之介*; 石丸 隆*; 神田 譲太*; 西川 淳*; 乙坂 重嘉
Geochemical Journal, 52(2), p.201 - 209, 2018/00
被引用回数:3 パーセンタイル:15.22(Geochemistry & Geophysics)福島県沿岸における海底堆積物中の放射性セシウムの最近の挙動を明らかにするため、2013年から2015年にかけて、同海域の12観測点において堆積物中の放射性セシウムの水平、鉛直分布を調査した。表層堆積物(0-3cm)では、水深100m付近の観測点で比較的高いCs濃度が観測された。これらの観測点では粒径が小さく、有機物を多く含む堆積物が支配的であったことから、堆積物表層におけるCs分布は、堆積物粒子の移動性を反映すると推測された。福島第一原子力発電所東方の一部の観測点では、2014年の観測において、中層(5-16cm層)に高いCs濃度が見られた。この比較的高いCs濃度は、堆積物の粒径との間に有意な関係は示さなかった。また、このようなCsの局所的な分布は、2015年には見られなかった。上記の結果から、堆積物中のCsの分布は、表層付近での堆積物粒子の水平輸送ばかりでなく、中層にかけての鉛直混合によって決定づけられていることがわかった。
福田 美保*; 青野 辰雄*; 山崎 慎之介*; 西川 淳*; 乙坂 重嘉; 石丸 隆*; 神田 譲太*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 311(2), p.1479 - 1484, 2017/02
被引用回数:6 パーセンタイル:48.39(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所(福島第一原発)近傍における海水中の放射性セシウム分布の決定要因を明らかにするため、2013年から2015年にかけて福島第一原発から10km圏内の7観測点で得られた海水中のCs濃度と、海水の特性(塩分、水温、ポテンシャル密度)との関係についてまとめた。海水中のCs濃度は原発近傍で高く、また比較的低密度の海水で高かった。この結果から、河川水や福島第一原発港湾内からの海水の流入が、局所的に高いCs濃度の増加をもたらしたと推測される。なお、これらの比較的高いCs濃度を持つ海水は、より低密度の海水の下層へと貫入することにより、水深2050m付近まで運ばれる場合があることが明らかになった。
坂中 章悟*; 明本 光生*; 青戸 智浩*; 荒川 大*; 浅岡 聖二*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.2338 - 2340, 2010/05
日本においてERL型放射光源を共同研究チームで提案している。電子銃,超伝導加速空洞などの要素技術開発を進めている。また、ERL技術の実証のためのコンパクトERLの建設も進めている。これら日本におけるERL技術開発の現状について報告する。
坂中 章悟*; 吾郷 智紀*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; 原田 健太郎*; 平松 成範*; 本田 融*; et al.
Proceedings of 11th European Particle Accelerator Conference (EPAC '08) (CD-ROM), p.205 - 207, 2008/06
コヒーレントX線,フェムト秒X線の発生が可能な次世代放射光源としてエネルギー回収型リニアック(ERL)が提案されており、その実現に向けた要素技術の研究開発が日本国内の複数研究機関の協力のもと進められている。本稿では、ERL放射光源の研究開発の現状を報告する。
乙坂 重嘉; 福田 美保*; 青野 辰雄*
no journal, ,
福島第一原子力発電所から1105km離れた海域において採取した海底直上水(海底から高さ30cm程度までの海水)と堆積物間隙水中のCs濃度の分布から、海底付近における放射性セシウムの挙動について考察する。2015年から2017年に得られた間隙水中のCs濃度は331186mBq/Lで、海底直上中の濃度に比べて10から40倍高かった。海底直上水中のCs濃度は、限外ろ過(1kDa)処理をしてもその値に変化がなかった。これらの結果から、海底堆積物中の放射性セシウムが、間隙水に溶存し、底層付近に拡散していることが裏付けられた。表層堆積物中の間隙水に含まれるCsの存在量は、堆積物固相中のCs存在量の0.10.6%に相当した。間隙水と堆積物の間の見かけの分配係数は[0.94.2]10L/kgで、試料の採取年による違いはみられなかった。これらのことから、観測を実施した期間においては、間隙水と堆積物の間でCsが概ね平衡状態にあると推察された。
青野 辰雄*; 西川 淳*; 乙坂 重嘉*; 高田 兵衛*; 御園生 敏治; 中西 貴宏; 三浦 輝*; 福田 美保*; 神林 翔太*; 櫻田 正宣*; et al.
no journal, ,
2016年から2020年にかけて、福島周辺海域の放射性物質の動態を調査する航海が4回実施された。福島第一原子力発電所(FDNPS)沖の海域で、海水や堆積物等の採取が行われた。海洋環境の状況を把握するために、福島沖の海水と堆積物中の放射性セシウム(Cs)濃度を調査した。その結果、海水,堆積物ともに2016年から2020年にかけて大きな変動はみられなかった。
青野 辰雄*; 西川 淳*; 乙坂 重嘉*; 高田 兵衛*; 御園生 敏治; 中西 貴宏; 三浦 輝*; 神林 翔太*; 福田 美保*; 櫻田 正宣*; et al.
no journal, ,
2016年から2020年に東北海洋生態系調査研究船「新青丸」による福島周辺の放射性核種の動態と生物利用性等の調査航海が4回実施され、福島第一原子力発電所(FDNPS)周辺海域を中心に、海水,堆積物や生物等の採取が行われた。調査航海の目的はFDNPS事故によって海洋に放出された放射性核種の沿岸域における放射性核種のフラックスの観測や放射性核種の生物利用性の把握等である。海洋環境の状況を把握するために、福島沖の海水と堆積物中の放射性セシウム(Cs)濃度を調査した。その結果、2016年から2018年のFDNPS近傍の表層海水中の溶存態Cs-137濃度範囲は10-23mBq/Lであったが、2020年には7mBq/Lに減少し、その他の観測点でも年々溶存態Cs-137濃度が減少する傾向にあった。一方、堆積物では2016年から2017年ではCs-137濃度は、表層(0-2cm)が高く、深さと共に減少する傾向にあったが、2018年以降は表層よりもその下層でCs-137濃度が高くなる傾向が観測されたが、堆積物中のCs-137濃度も年々減少する傾向にあった。本報では、福島沖における海水と堆積物中の放射性Csの濃度変動やその特性について報告する。
乙坂 重嘉*; 青野 辰雄*; 福田 美保*; 神林 翔太*; 御園生 敏治; 土肥 輝美; 鶴田 忠彦; 鈴木 崇史; 高橋 嘉夫*; 杉原 奈央子*; et al.
no journal, ,
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故によるセシウム-137(Cs: 半減期30.1年)の海底への蓄積量は、海洋に運ばれたCsの総量の12%程度(0.10.2PBq)に過ぎないものの、特に沿岸域では長期にわたってとどまることが明らかにされている。その一方で、放射性セシウムの海底付近での中・長期的な移行過程や、それに伴う海底付近の生態系への影響については、不確かな点が残されている。本講演では、特に福島沿岸の海底でのCsの分布と挙動について概観するとともに、事故から約10年が経過した現在、特に注目すべきプロセスについて、最新の結果を報告する。
青野 辰雄*; 福田 美保*; 櫻田 正宣*; 高橋 博路*; 山崎 慎之介*; 神林 翔太*; 御園生 敏治; 中西 貴宏; 三浦 輝*; 西川 淳*; et al.
no journal, ,
2016年から2020年に東北海洋生態系調査研究船新青丸による福島周辺海域の放射性核種の動態と生物利用性等の調査航海が4回実施され、福島第一原子力発電所(FDNPS)周辺海域を中心に、海水,堆積物や生物等の採取が行われた。調査航海の目的はFDNPS事故によって海域に放出された放射性核種の沿岸域における放射性核種のフラックスの観測や放射性核種の生物利用性の把握等である。海洋環境の状況を把握するために、福島沖の海水と堆積物中の放射性セシウム濃度を調査した。今回は、FDNPS近傍の海水と堆積物中の放射性セシウムの濃度分布や変動について報告する。
五十嵐 淳哉*; Zheng, J.*; Zhang, Z.*; 二宮 和彦*; 佐藤 志彦; 福田 美保*; Ni, Y.*; 青野 辰雄*; 篠原 厚*
no journal, ,
Puは原子力災害において最も注目される放射性核種の一つであり、2011年に起こった福島原発事故後にもPuの調査が行われている。本研究では、放射化学的手法とICP-MS質量分析により、不溶性粒子からのPuの定量を行った。採取した不溶性粒子をアルカリ溶融により溶液化し、TEVA,UTEVA,DGAレジンを用いたカラム分離を行い、Puの分離を行った。分離溶液について、SF-ICP-MSにより質量数が239,240,241の領域を測定することにより、Pu同位体(Pu,Pu,Pu)を定量した。4個の不溶性粒子の分析を行った結果、3つの粒子でPuが検出され、同位体比は、Pu/Puで0.330-0.415、Pu/Puで0.161-0.178が得られた。これはGF由来の値よりも大きく、福島原発の炉内インベントリーの計算値やこれまで報告されている福島原発付近で採取された、落ち葉などの一部の環境試料の値良い致を示していることがわかった。不溶性粒子に含まれるPuの量は、Pu/Csで10のオーダーであったが、由来とする原子炉が異なる粒子同士で差があることが分かった。
乙坂 重嘉; 福田 美保*; 青野 辰雄*
no journal, ,
2015年から2016年にかけて福島沖合(福島第一原子力発電所から170km圏内)の14観測点で得た海底直上水(海底から高さ30cm程度までの海水)と、3観測点で得た間隙水中のCs濃度の分布から、海水-堆積物境界における放射性セシウムの挙動について考察する。観測された海底直上水中のCs濃度は5283mBq/Lの範囲で、堆積物中の濃度が高い観測点ほど高かった。また、海底直上水中のCs濃度は、中層(海底の約5m上層)の海水中の濃度に比べて23倍高かった。間隙水中のCs濃度は、511183mBq/Lで、海底直上水に比べて1030倍高かった。一部の観測点を除き、各観測点における海底直上水中のCs濃度は、限外ろ過(1kDa)処理をしてもその値に変化がなかったことから、海底直上水中の放射性セシウムは溶存しており、堆積物が微粒子化したものではないことがわかった。以上より、堆積物の間隙に溶存する事故由来の放射性セシウムが、時間経過とともに海底直上へと拡散移動していると推測された。ただし、間隙水から底生生物への放射性セシウムの移行による、これらの生物中の放射性セシウム濃度の増加は限定的であると考えられる。