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福田 将眞; 岡本 晃*; Kohn, B.*; 新正 裕尚*; 末岡 茂; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (37), p.8 - 10, 2024/12
四国山地はフィリピン海プレートの沈み込み帯に平行に分布する非火山性の隆起帯であり、その山地形成過程の解明は南海トラフにおける長期の歪の蓄積・解放メカニズムの制約に資すると期待される。本研究では、地殻浅部(2-6km深度)の熱史・削剥史を推定可能な熱年代法であるアパタイト・ジルコン(U-Th)/He(それぞれ、AHe, ZHe)法およびアパタイトフィッション・トラック(AFT)法を用い、四国山地に分布するペルム紀から中新世の花崗岩類計9点について熱年代分析を試みた。AHeおよびZHe年代測定はメルボルン大学で、AFT年代測定は東濃地科学センターで実施した。年代測定の結果として、8点のAHe年代は約55-7Ma、5点のAFT年代は約90-70Ma、9点のZHe年代は約200-70Maの範囲を示した。これらの値は各手法の閉鎖温度を考えると整合的な関係を示した。また、既往研究で報告されているZFT年代、黒雲母K-Ar年代、およびAHe年代・AFT年代・ZHe年代とも概ね整合的である。
長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 横山 立憲; Wall, C. J.*; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (37), p.11 - 13, 2024/12
近年、分析技術の発達により100万年以降の若い地質単元でもジルコンによるU-Th-Pb年代測定が可能となりつつある。しかしながら、その分析を評価しうる若い標準試料はほとんどない。本研究では、著者らが研究をすすめている100万年オーダーのジルコン試料(TRG04とOGPK)を対象に、同位体希釈表面電離質量分析(ID-TIMS)法によるU-Pb年代測定を試みた。その結果、それぞれ予察的に2.66540.0016Maおよび1.1266
0.0014MaのU-Pb年代を得た。
丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 石原 隆仙; 箱岩 寛晶; 浅森 浩一; 村上 理; 福田 将眞; 小北 康弘; 鏡味 沙耶; et al.
JAEA-Research 2024-013, 65 Pages, 2024/11
本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和5年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。
丹羽 正和; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 中嶋 徹; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; et al.
JAEA-Review 2024-035, 29 Pages, 2024/09
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和6年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 仁木 創太*; 河上 哲生*; 檀原 徹*; 田上 高広*
Geochronology (Internet), 6(3), p.313 - 323, 2024/07
本研究ではモナズ石の化学組成と放射線損傷がフィッション・トラックのエッチング時間に与える影響を調べた。モナズ石のフィッション・トラック年代測定法は超低温熱年代としての応用が期待されているが、モナズ石の化学組成や放射線損傷がフィッション・トラックのエッチング時間に与える影響は明らかになっておらず、分析方法が確立していない。私たちはモナズ石のラマン分光分析と化学組成の定量分析から、日本国内のモナズ石試料について放射線損傷の蓄積レベルを見積もった。またフィッション・トラックのエッチング実験を行い、これらの変数がエッチングの時間に与える影響を調べた。
石川 法人; 福田 将眞; 中嶋 徹; 小河 浩晃; 藤村 由希; 田口 富嗣*
Materials, 17(3), p.547_1 - 547_21, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:65.10(Chemistry, Physical)340-MeV Auイオンビームを照射した天然ジルコニアにおいて形成されたイオントラックとナノヒロックを透過型電子顕微鏡で微細観察した。ナノヒロックの寸法が10nm程度であり、局所溶融した領域の寸法と同程度であることが分かった。したがって、一旦溶融した結果としてイオントラックとナノヒロックが形成されたことが分かる。次に、イオントラックを観察すると長方形の断面形状をしており、かつ結晶構造が大きく溶融前と変化していないことが分かった。したがって、他のセラミックスと異なり、ジルコニアにおいては、局所溶融後に、結晶構造を反映した異方的な再結晶化が起きていることが強く示唆される。一方で、イオントラックの中心部には、飛跡に沿った低密度のコア領域が形成されており、イオンビームが入射した表面への物質移動により物質欠損が形成されていることも判明した。物質欠損を伴う条件では再結晶化が不十分となり、飛跡のごく近くでは低密度コア領域が形成されていると説明できる。
福田 将眞; 鏡味 沙耶
フィッション・トラックニュースレター, (36), p.14 - 18, 2023/12
(U-Th)/He法における親核種の定量には、世界的にはUやTh同位体スパイクを用いた同位体希釈法を用いることが一般的であり、多くの知見が蓄積している。一方、日本国内ではこれらの同位体スパイクの保持および使用が厳格に規制されていることから、同位体希釈法の適用自体が困難である。そこで、アパタイトやジルコンを対象とした湿式法による完全分解ののち、検量線法による親核種の濃度測定法について、その有効性の検証を試みる。分析試料はフィッション・トラック法の年代標準試料としても良く知られる、DurangoアパタイトおよびFish Canyon Tuffジルコンを採用した。本講演では、検量線法を用いた親核種(U, Th, Sm)の定量において、最適な内標準元素(Bi, Tl)を評価し、各鉱物試料における親核種の定量を実施したため、結果の一部を紹介する。
長田 充弘; 中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 八木 公史*; 横山 立憲
フィッション・トラックニュースレター, (36), p.9 - 13, 2023/12
ジルコンを用いた年代測定における標準試料の探求の一環として、石川県白山市南部の下部中新統鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩に注目し、ジルコンのU-Pb年代・FT年代と月長石(サニディン)のK-Ar年代の観点から検討した。本論では、鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩を鷲走ヶ岳層と呼ぶ。3試料より得られたU-Pb年代の加重平均値は約21.9-21.7 Maを示し、誤差範囲で重なる。ジルコンFT年代やK-Ar年代は一部試料が誤差範囲で重なるものの、若い傾向にある。また、ジルコンのトラック長は3試料とも初期長より有意に短いトラック長が確認された。これらの結果から鷲走ヶ岳層のジルコンはU-Pb年代のような閉鎖温度の高い手法に関しては標準試料として有効であるが、FT年代などの閉鎖温度の低い手法には不向きである蓋然性が高い。
中嶋 徹; 長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂
地質学雑誌(インターネット), 129(1), p.503 - 507, 2023/11
本研究では秋田県太平山複合プルトンの花崗岩類についてジルコンのU-Pb年代測定を行った。主併入岩類より採取された2つの花崗閃緑岩のU-Pb年代(206Pb/238U加重平均年代)はそれぞれ103.41.0Maと115.6
1.1Ma(1SE)であった。新期併入岩類より採取された斑状花崗岩のU-Pb年代はそれぞれ11.4
0.1Ma、4.7
0.1Ma、4.8
0.1Ma(1SE)であった。これらのU-Pb年代はそれぞれの試料が採取された地点における花崗岩質マグマの貫入年代と解釈される。本研究で得られた鮮新世のU-Pb年代から、新期併入岩類の仁別岩体が現在地表に露出する深成岩体としては世界的に見ても最も若い岩体の一つであることが示唆された。
丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 藤田 奈津子; 横山 立憲; 小北 康弘; 福田 将眞; 中嶋 徹; 鏡味 沙耶; 小形 学; et al.
JAEA-Review 2023-017, 27 Pages, 2023/10
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和5年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 石原 隆仙; 小川 大輝; 箱岩 寛晶; 渡部 豪; 西山 成哲; 横山 立憲; 小形 学; et al.
JAEA-Research 2023-005, 78 Pages, 2023/10
本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和4年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。
梶田 侑弥*; 末岡 茂; 福田 将眞; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.19 - 21, 2022/12
本講演では、東北日本弧前弧域に分布する北上山地を対象に、白亜紀深成岩類のアパタイトフィッション・トラック(AFT)年代、アパタイトヘリウム(AHe)年代のこれまでの結果に、FT長分布を用いた熱史逆解析結果を加えた熱年代学データの解釈を試みる。AFT年代は東縁部の約130Maから西に向かって70Ma程度まで若くなる。一方AHe年代は西縁部の約80Maを除けば約50-30Maにまとまる。北上山地の白亜紀深成岩類のジルコンU-Pb年代は135-120Maでほぼ均一なので、AFTとAHe年代の傾向は岩体の形成年代が原因ではない。またFT長を用いた熱史逆解析結果はいずれも徐冷を示し、短期的な熱イベントの存在は積極的には支持されない。以上を踏まえると、10年以上のスケールで地殻浅部における熱構造史もしくは隆起・削剥史が東西で異なると考えられる。熱構造史が異なる可能性としては、火山フロントの移動の影響が考えられる。このとき火山フロントはAFT年代の下限である約70MaからAHe年代の上限の約50Maの間に北上山地中央付近にあったと想定されるが、そのような証拠は知られていない。一方で隆起・削剥史が異なる場合、AFT年代からは沿岸部より内陸側を隆起させるような、AHe年代からは東西でほぼ一様な隆起形態が考えられる。10
年以上の前弧域の隆起には底付け付加が支配的な要因の一つとなり得る(underplating model)。このunderplating modelでは、島弧横断方向に隆起量の差が見られ、沿岸部よりやや内陸側に隆起のピークを生じるため、AFT年代の東西傾向は説明可能である。また、沈み込むプレート速度が5cm/yr以下ではunderplating modelの隆起が起きないことも示されている。北上山地ではアダカイト質の浄土ヶ浜流紋岩類の活動時期(44.3Ma)には暖かいプレートが沈み込んでいたと考えられ、この時期の前後には底付け付加の隆起が停止していた可能性が高い。その後、底付け付加による隆起は再開したが、沈み込むプレートが交代したことにより、AHe年代に東西で差をもたらすほどの削剥量の違いを生むに至らなかった可能性が考えられる。
中嶋 徹; 福田 将眞; 長田 充弘; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 末岡 茂
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.34 - 36, 2022/12
本発表ではバデリアイトのフィッション・トラック(FT)年代測定の実用化に向け行ったFTエッチング実験の結果と、その簡単な考察を行う。本研究では檀原ほか(1999)で用いられたものと同一試料のバデリアイト(第一稀元素化学工業提供試料)を使用し、NaOH-KOH共融混合液を用いて228度の温度条件で50時間まで段階的なエッチングを行った。その結果、檀原ほか(1999)の報告と同様に研磨痕の拡大、表面の粗面化などバデリアイトがエッチングされる様子が観察された一方で、FTと思しき組織は観察されなかった。研磨痕は拡大する一方でFTがエッチングされなかったことから、バデリアイトのFTは何らかの要因によりエッチングされにくいことが予想される。バデリアイトのFTを観察した研究としてO'Connell et al. (2020)がある。この研究ではTEM観察により、Xeイオントラックが単斜晶系から正方晶系への線状相転移領域(約2.5nm幅)として認定されることを報告している。本研究でFTがエッチングされなかったことは、バデリアイトのFTがアモルファス化しておらず、エッチングされにくいことが原因として考えられる。以上を踏まえると、ジルコンと同様の方法でのバデリアイトFTのエッチングは困難であると予想されるが、TEMやAFMによるlatent trackの観察などFT密度を計測することができれば、熱年代計として使用できる可能性がある。今後もバデリアイトFT法の確立へ向けて可能性を探ってゆく。
福田 将眞; Kohn, B. P.*; 末岡 茂; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.7 - 10, 2022/12
ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料を確立する目的で、4つのジルコン試料について(U-Th)/He年代分析を実施した。令和2年度に報告した仁左平ジルコンに引き続いて、3年度は国内の地質試料として、濃飛流紋岩,鷲走ヶ岳月長石流紋岩およびフィッション・トラック法およびU-Pb法の年代標準試料であるMt. Dromedary, OD-3を採用した。結果として、濃飛流紋岩については二次加熱を示唆する年代の若返りが観察されたが、残り3試料については先行研究の既往年代と整合的なデータが得られた。これまで得られている7つのZHeデータを総評すると、先行研究で測定した歌長流紋岩のジルコンが最も単粒子年代のばらつきが小さく、標準試料として適切であると考えられる。今後は、年代のばらつきの原因の探求のため、ジルコン粒子の化学分析や組織観察を行う予定である。
南 沙樹*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 梶田 侑弥*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.22 - 26, 2022/12
一般的に花崗岩は、地下数kmから数十kmの深部で形成される。したがって、最近形成された若い花崗岩が、現在地表に露出する地域では、極めて急速な隆起・削剥が起きている可能性がある。世界的に見ると、約5Maより若い花崗岩の分布は、変動帯に集中している。変動帯にある日本列島でも、飛騨山脈の黒部川花崗岩や、南部フォッサマグナ地域の丹沢トーナル複合岩体などで、ジルコンU-Pb年代測定(閉鎖温度900C以上)により数Ma以内の若い形成年代が報告されている。本研究の対象地域である谷川岳地域は、東北日本弧南部の背弧側に位置し、その地質は主に、後期白亜紀-古第三紀の花崗岩類と、これらに貫入する鮮新世の谷川岳花崗岩類(赤湯岩体・谷川岩体・巻機岩体)から成る。先行研究では、谷川岳花崗岩類について、形成年代を表すジルコンU-Pb年代(約4.0-3.2Ma)と、約280
C付近の冷却年代を表す、ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代(約3.3-2.9Ma)及び、350-400
C付近の黒雲母K-Ar年代(約3.9-3.1Ma)などが報告されている。しかし、約280
Cより低温域における熱史は不明である。本研究では、後期白亜紀水上石英閃緑岩と谷川岳花崗岩類について、未測定の地点にU-Pb年代測定を実施し、約200
C以下の低温側の熱史・削剥史を推定するためにジルコンとアパタイトの(U-Th)/He年代測定(ZHe年代: 閉鎖温度160-200
C、AHe年代: 閉鎖温度55-80
C)を実施した。その結果、谷川岳花崗岩類は、ジルコンU-Pb年代測定により、約6.0-3.2Maの間に少なくとも3回の異なる時代の貫入によって形成されたことが明らかとなった。また、最近の山地形成に関連した削剥を最も反映していると期待される、AHe年代の閉鎖温度から地表温度(10
C)の平均冷却速度は、山頂稜線の東側に位置する巻機岩体と水上石英閃緑岩で13-36
C/Ma、稜線西側の谷川岩体の1地点(AHe年代: 約1.2Ma)で36-60
C/Maと推定された。稜線東側では、AHe年代が約3.0-2.0Ma頃に集中しており、この時期の急速な削剥が示唆される。AHe年代から得られた削剥速度について、丹沢山地や東北日本弧と比較すると、谷川岳地域の削剥速度は、島弧-島弧衝突帯の丹沢山地や、歪の集中で知られる奥羽脊梁山地のような地殻変動が活発な地域に匹敵することが示唆された。
福田 将眞; 鏡味 沙耶
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.11 - 14, 2022/12
本研究では、ジルコンのU-Th濃度の定量法として、東濃地科学センターにおいて初めて高温加圧酸分解による湿式分析を試みた。初めにジルコンを900Cで48時間アニーリングさせて、放射線損傷を回復させ、29Mのフッ酸に浸漬させて220
Cで70時間加熱して溶液化させた。完全に分解されたことを確認するため、ICP-MS(Agilent 7700x)で検量線法を用いてZr濃度を測定した。結果として、理論値に近いZr濃度が得られたことから今回の条件下で完全に分解されたと考えられる。今後はブランクレベルの低減のため、クリーンブースでの作業や分析器具・条件の選定などについて再検討し、ジルコン(U-Th)/He法におけるU-Th濃度定量の技術整備を目指す。
笹尾 英嗣; 石丸 恒存; 丹羽 正和; 島田 顕臣; 島田 耕史; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; 小北 康弘; et al.
JAEA-Review 2022-022, 29 Pages, 2022/09
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和4年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 梶田 侑弥*; 南 沙樹*; 岡本 晃*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.15 - 18, 2022/09
ジルコンを用いた年代測定の標準試料の探求の一環として、照来層群歌長流紋岩中のジルコンについて、U-Pb年代測定を実施した。歌長流紋岩からは、先行研究により約2.30-2.77Maのジルコンフィッション・トラック年代,ジルコン(U-Th)/He年代、および黒雲母K-Ar年代が報告されていた。ジルコンは短柱状から長柱状の自形を呈し、カソードルミネッセンス像観察では明瞭なコア・リム構造や累帯構造を示さない。レーザーアブレーション・マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置を用いてU-Pb同位体を測定した。2試料より得られたU-Pb年代は、いずれも2.5-3.0Maを示し、それぞれ2.650.16Maおよび2.66
0.15Maの
U-
Pb加重平均値を得た。得られた年代は、先行研究による閉鎖温度の異なる年代と整合的であるため、歌長流紋岩中のジルコンが標準試料として有効である可能性がある。今後、更なる各種年代、U, Th,希土類元素などの元素濃度の測定から標準試料として適切か検討する。
末岡 茂; 小林 侑生*; 福田 将眞; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 佐野 直美*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*
Tectonophysics, 828, p.229231_1 - 229231_17, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:11.91(Geochemistry & Geophysics)島弧衝突帯における山地形成史の解明を目的に、中部日本の南部フォッサマグナ地域に低温領域の熱年代学を適用し、冷却・削剥史を推定した。
南 沙樹*; 長田 充弘; 末岡 茂; 福田 将眞; 梶田 侑弥*; 小北 康弘; 鏡味 沙耶; 横山 立憲; 田上 高広*
Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.231_1 - 231_7, 2021/12
被引用回数:1 パーセンタイル:5.68(Geosciences, Multidisciplinary)We performed zircon U-Pb dating on the Pliocene Tanigawa-dake granites (Makihata and Tanigawa bodies) and the Cretaceous Minakami quartzdiorite, Northeast Japan Arc. Concordia ages were estimated to be 3.95 0.11 Ma (
2 sigma) for the Makihata body, 3.18
0.13 Ma and 3.32
0.15 Ma for the Tanigawa body, and 109.4
2.2 Ma for the Minakami quartzdiorite. The Minakami quartzdiorite is possibly correlated to the bedrock in the Ashio belt because the age of the Minakami quartzdiorite is consistent with the zircon U-Pb ages of the earliest Tadamigawa granites (107-62 Ma) which are distributed to the northeast of the Tanigawa-dake region and belong to the Ashio belt. All the zircon U-Pb ages of the Tanigawa-dake granites are older than the previously reported cooling ages, i.e., K-Ar ages and zircon fission-track ages, being consistent with their difference in closure temperature. On the basis of these results, we concluded that the intrusive ages of the Tanigawa-dake granites are ~4-3 Ma, which are among the youngest exposed plutons on Earth. The U-Pb ages of the Makihata body and the Tanigawa body are different significantly in the 2 sigma error range. Thus, the Tanigawa body intruded later than the Makihata body by ~0.7 Myr.