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奈良 禎太*; 加藤 昌治*; 二里 竜平*; 河野 勝宣*; 佐藤 稔紀; 福田 大祐*; 佐藤 努*; 高橋 学*
Pure and Applied Geophysics, 175(3), p.917 - 927, 2018/03
被引用回数:14 パーセンタイル:58.67(Geochemistry & Geophysics)多くの分野で岩石の透水性に関する情報は重要なものである。特に、き裂や間隙が岩石の物理的特性や移行特性に与える影響を把握することは重要である。地下水の浸透により細粒の鉱物がき裂に充填されるが、このような岩石の透水性については十分調査されていない。このため、本研究では、粘土と鉱脈が充填された岩石の透水試験を実施した。その結果、細粒鉱物が充填されたマイクロフラクチャーを含む供試体の透水係数は健岩部のそれと同等の透水係数であった。粘土を含む場合は透水性が高くなるものの、充填物が無いき裂がある供試体よりは透水性が小さかった。
水野 崇; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 山本 祐平; 福田 朱里
日本原子力学会和文論文誌, 12(1), p.89 - 102, 2013/03
本研究では瑞浪超深地層研究所の地下施設である研究坑道の建設に伴う地下水水質の変化を把握するため、研究坑道内において水質モニタリングを実施した。その結果、研究坑道掘削に伴う地下水の流動状態の変化により、水質分布が変化していることがわかった。特に立坑の坑底付近においては、溶存成分濃度が高い深部地下水の上昇による"upconing"現象が生じている。また、地下水のpHは立坑壁面に打設されたセメント等と接触することにより最大で12程度まで上昇し、研究坑道内に流入している。酸化還元電位については、研究坑道掘削前の状態からの変化が推定できるものの、還元環境を維持している。これらの結果は地下施設建設時における地下水水質の変化を把握するための技術基盤が整備されつつあることを示しており、地層処分事業における精密調査を進めるための知見として活用できると考えられる。
福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 伊藤 一誠*; 鈴木 庸平*; 幸塚 麻理子*; 今野 祐多*
no journal, ,
地層処分の安全評価に必要な深部化学環境とその形成プロセス及び長期的変遷の調査技術開発のため、原位置における微生物学的特性を明らかにし、化学環境形成や擾乱からの回復過程における微生物の役割を評価することを目的とし、地球化学分析,微生物群集構造解析,微生物代謝活性の評価を行った。これまでの研究により、土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いことがわかっており、より短期で高感度な代謝活性測定方法の開発及び深度に伴う微生物学的特性の変化の解析を重点的に行った。地球化学分析の結果、酸素,硝酸・亜硝酸イオンは全深度で検出限界未満だったため、硫酸イオン以外の主な電子受容体は乏しいと推測された。微生物群集構造解析から深度に伴う優占微生物種の遷移がみられた。微生物代謝活性の評価により、花崗岩とそれを被覆している堆積岩の境界近傍の深度99mの微生物代謝活性が高く、それ以深は深度とともに低くなる傾向がみられた。本研究により、花崗岩深部において原位置の代謝活動は低いが、地下施設建設等による擾乱で酸素や硝酸が供給された場合、微生物による消費が期待されることが示された。
水野 崇; 萩原 大樹; 青才 大介; 新宮 信也; 山本 祐平; 福田 朱里
no journal, ,
超深地層研究所計画における第2段階での地下水の地球化学研究について、これまでに得られた成果をとりまとめた。その結果、(1)第1段階において構築した地球化学概念モデル妥当性確認方法の提示,(2)第2段階における地球化学概念モデルの構築,(3)地下施設で利用可能な調査技術の開発,(4)研究坑道内での採水調査における品質管理方法の構築、が成果として得られていることを示した。また、これらの成果については、地層処分事業の各調査段階に適切に反映できるほか、安全審査指針へも反映可能であると考えられる。
青才 大介; 萩原 大樹; 新宮 信也; 山本 祐平; 福田 朱里; 鈴木 庸平*; 水野 崇
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価において、地下水の化学環境を把握することは重要である。地下水を対象とした調査研究は、一般的にボーリング孔から採取した地下水試料を対象として行われる。ボーリング孔掘削の過程では、地下水への掘削水の混入は避けられないため、掘削水へトレーサーを添加することにより、掘削水が地下水に混入した場合においても、地下水の主要化学組成や同位体組成を外挿により求めている。ただし、微量元素,微生物,有機物及びコロイド等への適用性は十分に検討されていない。そのため本研究では、おもに溶存酸素(DO)濃度に着目し、ボーリング調査が地下水の化学環境へ与える影響の把握を目的とした検討を行った。その結果、(1)湧水環境下でのボーリング孔掘削においても地下水に酸素が供給されている、(2)ボーリング孔閉塞後にDO濃度を測定することにより、その影響を把握できる、(3)DO濃度の測定では、電極法に加え、Winkler法などの手法も併用することにより信頼性の高い値が得られる、ということがわかった。
水野 崇; 青才 大介; 新宮 信也; 山本 祐平; 福田 朱里; 萩原 大樹
no journal, ,
本報告では、これまでの研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)の結果に基づき、地表からの調査予測研究段階(第1段階)での調査研究結果の妥当性を評価するとともに、第1段階において用いた調査評価技術(調査手法や手順など)の適用性について考察した。その結果、第1段階での調査研究結果として得られた、地下水の塩分濃度分布,酸化還元環境及びpHの妥当性を第2段階の調査研究によって確認することにより、第1段階において適用した調査技術の信頼性を示すことができた。ただし、第2段階では、第1段階で予測していなかった水質分布の変化が認められたため、今後は、第2段階で得られる知見に基づき、研究坑道掘削に伴う水質分布の変化に関する予測解析手法の信頼性向上を図っていく予定である。
青才 大介; 萩原 大樹; 新宮 信也; 山本 祐平; 福田 朱里; 水野 崇
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価において、地下水中のさまざまな金属元素の挙動にかかわる物理化学パラメータであるpHや酸化還元電位(Eh)を長期に渡るモニタリングによって把握することは重要である。しかしながら、地下水の物理化学パラメータのモニタリングでは、地下水が被圧・嫌気状態で存在するため、試料採取や分析,測定の過程における圧力開放や大気暴露による地下水の状態の変化に伴う測定誤差が生じる。そのため、品質管理を含めた測定手法を体系的に取りまとめる必要がある。本研究では、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で建設中の研究坑道において、pHとEhに加え、酸化還元環境の指標となる溶存酸素濃度(DO)について、複数の条件下でモニタリングを行い、測定方法に応じた測定誤差の程度に関する知見を得たので報告する。
水野 崇; 青才 大介; 新宮 信也; 萩原 大樹; 山本 祐平; 福田 朱里
no journal, ,
本発表は日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市において進めている超深地層研究所計画について、地下水の地球化学に関する調査研究の現状を2010年度の成果を中心に報告するものである。2010年度には、深度400m予備ステージより掘削長約70mの水平孔である10MI26号孔を掘削し、水質観測を開始するとともに、移流分散解析によりこれまでの水質分布の変化を解析的に検討することを行った。これらの結果、研究坑道掘削に伴う水質分布の変化が長期的な水質観測によって把握可能であることを示すことができた。また、水質分布が変化するプロセスを解析的なアプローチにより推定する手法を構築することができた。今後は、実測値に基づく水質分布変化のプロセスに関する概念化及びその概念に基づく移流分散解析により実測値と解析値の乖離を低減させることを課題として取り組んでいく予定である。
福田 朱里; 水野 崇; 青才 大介; 萩原 大樹; 山本 祐平; 新宮 信也; 竹野 直人*; 鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 幸塚 麻理子*
no journal, ,
地層処分の安全評価に必要な深部化学環境及びその変動要因である微生物活動の調査技術開発のため、原位置における微生物代謝活性を空間的に把握し、酸化還元状態及び微生物活動の指標となる溶存ガスを定量的に評価することを目的とし、地球化学的特性と微生物学的特性の調査を行った。これまでの研究により、瑞浪超深地層研究所用地内及び周辺の土岐花崗岩から採取した地下水中の微生物の活性は低いこと、DNAの配列情報では代謝様式が未確定な微生物が優占していること、地下水中の溶存ガスは脱ガスにより定量的な評価が困難であることがわかってきている。そこで、さまざまな代謝様式を同時に評価可能な手法と溶存ガスの定量的な評価のためのサンプリング手法の確立を行った。全菌数測定の結果、全菌数は深度による有意な違いはみられなかった。微生物代謝活性の評価により、地質構造・水理・地球化学要因だけでなくボーリング孔の掘削条件なども大きな影響を与える因子であることが示唆された。また、サンプリング手法の改良により溶存ガスの定量分析が可能となり、溶存ガスの濃度や同位体比を酸化還元状態や微生物活動の指標に用いることが可能となった。
福田 裕平; 荒井 陽一; 菅沼 隆; 比内 浩; 佐野 雄一; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所の多核種除去設備から発生する汚染水処理二次廃棄物の処理・処分方法を検討するために、放射能分析を行う必要がある。放射能および放射能分析を行うためには、分析前処理として二次廃棄物の溶液化が必須となる。そのため、多核種除去設備で使用されている吸着材の一種であるキレート樹脂を対象に、キレート樹脂の除去対象元素(Co)等を吸着させた模擬廃棄物を調製し、加熱処理-酸溶解法および溶離法の2種類の分析前処理(溶液化)方法について、適用性を検討した。加熱処理-酸溶解法では、Coはほぼ回収することができたが、Ruは揮発によって回収率が低くなる結果となった。溶離法では、模擬廃棄物に吸着させた4元素をおおよそ回収することができた。加熱処理-酸溶解法、溶離法どちらの方法についてもRu以外の元素については適用性を確認することができた。
福田 裕平; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所では、汚染水中の放射性核種の除去を目的として多核種除去設備が運転されている。多核種除去設備の前処理設備からは、高線量の鉄共沈スラリーおよび炭酸塩スラリー廃棄物が発生する。これらのスラリー廃棄物は、長期保管においての漏えいなどのリスク低減のため、固液分離し、水分除去を行うことが望ましい。固液分離技術の一つとしてろ過法があり、その適用性を検討する上でスラリー廃棄物の粒子径データの取得が必須である。今回、スラリー廃棄物の粒度分布測定法として、マイクロスコープによる非接触測定を活かし、測定機器(マイクロスコープ)の汚染要因を排除した、画像解析法による粒度分布測定法を構築し、多核種除去設備から採取した実際の炭酸塩スラリーの粒度分布および平均粒子径のデータを取得した。その結果、平均粒子径(個数基準)は3.62m、メジアン径(個数基準)は2.36m、検出された最大粒子径は23.2mであった。この結果は、今後、スラリー廃棄物の固液分離技術を設計検討する上での指標となると考えられる。
福田 裕平; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
既設多核種除去設備及び増設多核種除去設備の前処理設備から発生した炭酸塩スラリー廃棄物を採取し、その性状を調査するためICP-AESによる元素濃度分析と粒度分布測定を行った。ICP-AESによる元素濃度分析では、前処理設備の除去対象元素であるCa, Mgを高い濃度で検出し、この他に有意量のNa, Si, Fe及びSrを検出した。試料間において、Ca/Mg濃度比に最大約2倍の差が認められたが、これは、処理水(供給水)の組成の違いによるものと推定される。また、粒度分布測定の結果、今回までに試料採取した範囲では、設備の違いや処理水の組成によらず同程度の粒子径のスラリー廃棄物が発生していることがわかった。これらのデータは、スラリー廃棄物の安定保管の検討に資するものである。
福田 裕平; 比内 浩; 柴田 淳広; 野村 和則; 池田 昭*; 小畑 政道*; 市川 真史*; 高橋 陵太*; 平山 文夫*
no journal, ,
既設多核種除去設備及び増設多核種除去設備の前処理設備から発生した炭酸塩スラリー廃棄物を採取し、その性状比較を行うため、放射化学分析, pH測定, SEM-EDX分析を行った。放射化学分析の結果、H-3, Mn-54, Co-60, Sr-90, Sb-125, Cs-134, Cs-137が検出された。既設・増設のどちらのスラリーについてもSr-90が支配的であり、Sr-90濃度は、既設スラリー: 710 Bq/cm、増設スラリー: 610 Bq/cmであった。この既設・増設のスラリーの性状の違いは、既設・増設の処理工程の違いである鉄共沈工程の有無の差や処理を行った汚染水の組成の違いによるものと推定される。
福田 裕平; 荒井 陽一; 比内 浩; 野村 和則; 池田 昭*; 小畑 政道*; 市川 真史*; 高橋 陵太*; 平山 文夫*
no journal, ,
増設多核種除去設備の前処理設備にて発生し、約5か月間高性能容器(HIC)に保管されていた炭酸塩スラリーを、深さ位置を変えて3点(深さ60cm, 100cm, 150cm)採取し、ICP-AESによる元素濃度分析及び放射能分析等の各種分析を行い、炭酸塩スラリーの性状と採取深さ位置の関係を調べた。元素濃度分析の結果、Mg, Ca, Na等が検出されたが、各試料の金属元素組成比に違いは認められず、採取深さに関係なく試料中の固体成分の組成は同一であると推察する。しかし、固体成分の割合は、採取深さ60cmの試料に比べて、100cmと150cmの試料が大きい結果となった。また、Sr-90放射能濃度の結果も同様の傾向となった。スラリー中の粒子が沈降することにより、固体成分の割合が上昇し、その結果、放射能濃度が高くなったと推定される。これらの結果は、スラリー試料のインベントリ評価や、今後の評価の際のスラリー採取位置の検討に役立てられる。
比内 浩; 荒井 陽一; 福田 裕平; 黒澤 明; 駒 義和; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所には、放射性汚染水中の放射性核種の除去を目的とした多核種除去設備(MRRS)が運転されている。MRRSは2つの前処理設備(鉄共沈処理設備と炭酸塩沈殿処理設備)と吸着塔から構成されており、トリチウムを除くほとんどの核種を取り除くことができる。しかし、この汚染水処理に伴い高線量の二次廃棄物(スラリー、廃吸着材)が発生し、高性能容器(HIC)に一時保管されている。これらの二次廃棄物の処理処分方法を検討するため、様々な性状を詳細に把握することが必要となる。このため炭酸塩沈殿スラリーの採取を行い、核燃料サイクル工学研究所に輸送し、各種分析を実施した。炭酸塩スラリーから高濃度のSr-90(1.310[Bq/cm])が検出され、汚染水のSr-90が炭酸沈殿工程で濃縮されていることが示唆された。また、微量の線核種が検出された。ICP-AESでの元素分析の結果、スラリーのほとんどはCaCOとMg(OH)に占められていると推定され、炭酸沈殿工程が正常に機能していることが示された。また、炭酸塩スラリーの粒子サイズを画像解析法により測定し、メディアン径が数m程度であることが分かった。