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論文

Synthesis and characterisation of a new graphitic C-S compound obtained by high pressure decomposition of CS$$_2$$

Klotz, S.*; Baptiste, B.*; 服部 高典; Feng, S. M.*; Jin, Ch.*; B$'e$neut, K.*; Guigner, J. M.*; Est$`e$ve, I.*

Carbon, 185, p.491 - 500, 2021/11

二硫化炭素(CS$$_2$$)は、その最も近い類似体であるCO$$_2$$とともに、二重共有結合からなる最も単純な分子系の一つである。高圧下では、この分子構造は分解され、拡張された結晶性またはポリマー性の固体を形成すると考えられる。ここでは、大容量高圧技術を用いて300Kで約10GPa (100kbar)まで圧縮することにより、瞬間的な反応で純粋な硫黄とC$$_2$$Sに近い化学組成を持つ化合物の混合体が得られ、常圧まで回収できることを示している。中性子回折,X線回折,ラマン測定の結果、この物質は硫黄がナノメートルオーダーのsp$$^2$$グラファイト層に結合していることがわかった。電気抵抗の温度依存性からこの化合物は45meVのギャップを持つ半導体であることが明らかになった。200$$^{circ}$$C以上の温度でアニールすることで、硫黄含有量をC$$_{10}$$Sまで減らすことができた。この物質の構造的・電子的特性は、過去に行われたCS$$_2$$の高圧実験で報告された「ブリッジマンブラック」とは根本的に異なる。

論文

Phase transition and chemical reactivity of 1H-tetrazole under high pressure up to 100 GPa

Gao, D.*; Tang, X.*; Wang, X.*; Yang, X.*; Zhang, P.*; Che, G.*; Han, J.*; 服部 高典; Wang, Y.*; Dong, X.*; et al.

Physical Chemistry Chemical Physics, 23(35), p.19503 - 19510, 2021/09

 被引用回数:0

窒素に富む分子の圧力有機相転移や重合は、環境にやさしい高エネルギー密度材料の開発にとって非常に重要であるため、広く注目されている。本論文では、その場ラマン,IR,X線回折,中性子回折、および理論計算をもちい、100GPaまでの1H-テトラゾールの相転移挙動と化学反応の研究を紹介する。2.6GPa以上での相転移が確認され、その高圧構造は、以前に報告されたユニットセル内に2つの分子をもつものではなく、1つの分子をものであることが分かった。1H-テトラゾールは、おそらく窒素-窒素結合ではなく炭素-窒素結合により、100GPa以下で可逆的に重合する。私たちの研究は、1H-テトラゾールの高圧相の構造モデルを更新し、もっともらしい分子間結合の経路を初めて提示した。これにより、窒素に富む化合物の相転移と化学反応の理解が進み、新しい高エネルギー密度材料の設計に役立つと考えられる。

論文

Behavior of light elements in iron-silicate-water-sulfur system during early Earth's evolution

飯塚 理子*; 後藤 弘匡*; 市東 力*; 福山 鴻*; 森 悠一郎*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

Scientific Reports (Internet), 11(1), p.12632_1 - 12632_10, 2021/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Multidisciplinary Sciences)

FeNi合金からなる地球核は、H, C, O, Si, Sなどの軽元素を含んでいると考えられている。その中でHは、宇宙に最も存在する元素であり、最も有望な候補である。これまでの我々の中性子回折実験から、鉄-水系において、水素が他の元素より優先的に鉄に取り込まれることが分かっている。今回、初期地球の組成で水を含んだ鉄-ケイ酸塩系において、Sが及ぼす影響を調べた。その結果、一連の鉄の相転移、含水ケイ酸塩の脱水酸基およびカンラン石・輝石の形成を観察した。またFeの共存相としてFeSが現れた。Hがいる条件でもFeSの格子体積が一定であることから、FeSに水素は入らず、FeSはむしろFeの水素化を阻害することがわかった。高温高圧下から回収された試料を観察すると、FeにはHとSが入っており、HおよびSはFe(H$$_{x}$$)-FeS系の融点を下げる効果があることが分かった。一方回収試料には、C, O, Siなどの他の軽元素は含まれていないため、地球核形成時には、まずFeH$$_{x}$$およびFeSができ、その後さらに高温高圧下でFeHxやFeSが融解した後でないと、それらは核に取り込まれないことが分かった。

論文

Crystal structure of nesquehonite, MgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H(D)$$_{2}$$O by neutron diffraction and effect of pH on structural formulas of nesquehonite

山本 弦一郎*; 興野 純*; 阿部 淳*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(2), p.96 - 103, 2021/04

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.04(Mineralogy)

炭酸マグネシウム水和物nesquehoniteの組成,構造,形成条件を調べるために、中性子回折,ラマン分光、および熱分析を行った。飛行時間型中性子回折により、$$a$$=7.72100(12)$AA, $b$$=5.37518(7)$AA, $c$$=12.1430(3)$AA, $beta$$=90.165(4)$$^circ$$の格子定数, $$P$$2$$_{1}/n$$の空間群を持つ単斜晶であることが明らかとなった。また、構造内では、2つの重水素原子がO1, O2、およびO6原子に配位して水分子を形成していた。構造内に水分子が3つあることは、nesquehoniteの構造式がMg(HCO$$_{3}$$)(OH) $$cdot $$2H$$_{2}$$O.ではなくMgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H$$_{2}$$Oであることを示している。

論文

Observation of dihydrogen bonds in high-pressure phases of ammonia borane by X-ray and neutron diffraction measurements

中野 智志*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 町田 真一*; 小松 一生*; 藤久 裕司*; 山脇 浩*; 後藤 義人*; 亀卦川 卓美*

Inorganic Chemistry, 60(5), p.3065 - 3073, 2021/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

アンモニアボランのX線および中性子回折実験を常圧及び高圧下で行った。常圧下で二水素結合中のH-H距離は、ファンデルワールス半径の2倍(2.4${AA}$)よりも短い。約1.2GPaでの常圧相から第一高圧相への相転移で、半分の水素は原子間距離が延び、二水素結合が壊れた。さらに加圧すると、すべての原子間距離は2.4${AA}$よりも短くなり、二水素結合が再び形成された。さらに、約11GPaで、空間群$$P2_1$$(Z=2)を持つ第二高圧相(HP2)へ転移した。この時、分子軸はより傾き、二水素結合の種類は6から11へと増えた。第3の相転移の直前(18.9GPa)で、最短の二水素結合は1.65${AA}$になった。本研究は、高圧下の構造相転移によりアンモニアボラン中の二水素結合が破壊、再形成するのを実験的に初めて観測したものである。

論文

Pressure-dependent structure of methanol-water mixtures up to 1.2 GPa; Neutron diffraction experiments and molecular dynamics simulations

Temleitner, L.*; 服部 高典; 阿部 淳*; 中島 陽一*; Pusztai, L.*

Molecules (Internet), 26(5), p.1218_1 - 1218_12, 2021/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Biochemistry & Molecular Biology)

全組成域にわたるメタノール水混合系(CD$$_{3}$$OD-D$$_{2}$$O)の全構造因子を中性子回折により約1.2GPaまでの圧力で調べた。最も大きな圧力変化は、$$Q=$$ 5 $AA$^{-1}$$以下の範囲において、第一および第2ピークのシフトとして見られた。この変化の起源を明らかにするために、実験した圧力での分子動力学計算を行った。その結果、ピーク高はあまり再現できなかったものの、ピークシフトは、定量的に再現できた。圧力が隣接分子間の斥力に大きな影響を与えることを考慮すると、実験と計算の一致は満足できるものであると言える。圧力の局所構造への影響を調べるために、計算で得られた構造を水素結合に関係した部分動径分布関数や水素結合環状構造のサイズ分布の観点から解析した。その結果、水リッチおよびメタノールリッチな組成域で、構造の圧力変化に大きな違いがあることが分かった。

論文

Origin of magnetovolume effect in a cobaltite

Miao, P.*; Tan, Z.*; Lee, S. H.*; 石川 喜久*; 鳥居 周輝*; 米村 雅雄*; 幸田 章宏*; 小松 一生*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; et al.

Physical Review B, 103(9), p.094302_1 - 094302_18, 2021/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

層状ペロブスカイトPrBaCo$$_{2}$$O$$_{5.5}$$は、熱膨張のない複合材料を作るために必要な負の熱膨張(NTE)を示す。NTEは、自発的な磁気秩序と密接に関連していることがわかっていた(磁気体積効果: MVE)。今回、われわれは、PrBaCo$$_{2}$$O$$_{5.5}$$の連続的な磁気体積効果が、本質的には不連続であり、大きな体積を持つ反強磁性絶縁体(AFILV)から、小さな体積をもつ強磁性卑絶縁体(FLISV)への磁気電気的相転移に起因することを明らかにした。また、磁気電気効果(ME)は、温度,キャリアドーピング,静水圧,磁場などの複数の外部刺激に対して高い感度を示した。これは、これまでよく知られている対称性の破れを伴う巨大磁気抵抗やマルチフェロイック効果などのMEとは対照的であり、輝コバルト鉱のMEは同一の結晶構造で起こる。われわれの発見は、MEとNTEを実現するための新しい方法を示しており、それは新しい技術に応用されるかもしれない。

論文

Suppressed lattice disorder for large emission enhancement and structural robustness in hybrid lead iodide perovskite discovered by high-pressure isotope effect

Kong, L.*; Gong, J.*; Hu, Q.*; Capitani, F.*; Celeste, A.*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; Li, N.*; Yang, W.*; Liu, G.*; et al.

Advanced Functional Materials, 31(9), p.2009131_1 - 2009131_12, 2021/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:27.27(Chemistry, Multidisciplinary)

有機-無機ハロゲン化物ペロブスカイトは非常に柔らかいために、圧力などの外部刺激により格子定数を容易に変化させることができ、有用な光電特性を引き出すのに有効である。一方でこの特性は、多少の加圧でも、格子を歪ませてしまい、光と物質の相互作用を弱め、それによる性能の低下を引き起こす。そこで本研究では、代表的な物質であるヨウ化メチルアンモニウム鉛に対して圧力効果および同位体効果を調べ、それらが格子歪を抑制することが分かった。このことは、それらが、これまで得られなかったような光学的,機械的特性を持つ物質を得る手段として有効であることを示している。

論文

Experimental evidence for the existence of a second partially-ordered phase of ice VI

山根 崚*; 小松 一生*; 郷地 順*; 上床 美也*; 町田 真一*; 服部 高典; 伊藤 颯*; 鍵 裕之*

Nature Communications (Internet), 12, p.1129_1 - 1129_6, 2021/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:91.16(Multidisciplinary Sciences)

氷は、非常に多彩な構造多形を示す。これまで報告されていない新しい相に関して実験・理論両面から研究がなされている。水素の秩序-無秩序相に関して、現在知られているような一つの無秩序相に一つの秩序相があるのか、いくつかの秩序相がありえるのかが議論の的になっている。今回の研究で、氷VI相の第2の水素秩序相となる新しい相(氷XIX)を発見した。これは、無秩序相から、いくつかの異なる水素秩序相ができることを示している。このような多重性は他のすべての水素無秩序相にも起こりえるもので、氷の構造探査に新しい視点を与えるものである。このことによって、これまで謎だった問題:水素秩序相の中心対称性の存在や、(反)強誘電性誘起が明らかになる可能性がある。また究極的には、氷の高温高圧相図を完全に解明することにつながる。

論文

Distance-selected topochemical dehydro-diels-alder reaction of 1,4-Diphenylbutadiyne toward crystalline graphitic nanoribbons

Zhang, P.*; Tang, X.*; Wang, Y.*; Wang, X.*; Gao, D.*; Li, Y.*; Zheng, H.*; Wang, Y.*; Wang, X.*; Fu, R.*; et al.

Journal of the American Chemical Society, 142(41), p.17662 - 17669, 2020/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:56.12(Chemistry, Multidisciplinary)

固体トポケミカル重合(SSTP)は機能的な結晶性高分子材料を合成するための有望な方法であるが、溶液中で起こるさまざまな反応とは対照的に、非常に限られたタイプのSSTP反応しか報告されていない。ディールス・アルダー(DA)および脱水素-DA(DDA)反応は、溶液中で六員環を作るための教科書的反応であるが、固相合成ではほとんど見られない。本研究では、固体の1,4-ジフェニルブタジイン(DPB)を10-20GPaに加圧することで、フェニル基がジエノフィルとして、DDA反応することを複数の最先端の手法を用いて明らかにした。臨界圧力での結晶構造は、この反応が「距離選択的」であることを示している。つまり、フェニルとフェニルエチニル間の距離3.2${AA}$は、DDA反応は起こせるが、他のDDAや1,4-付加反応で結合を形成するには長すぎる。回収された試料は結晶性の肘掛け椅子型のグラファイトナノリボンであるため、今回の研究結果は、原子スケールの制御で結晶質炭素材料を合成するための新しい道を開く。

論文

Practical effects of pressure-transmitting media on neutron diffraction experiments using Paris-Edinburgh presses

服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 大内 啓一*; 吉良 弘*; 阿部 淳*; 舟越 賢一*

High Pressure Research, 40(3), p.325 - 338, 2020/09

 被引用回数:1 パーセンタイル:34.55(Physics, Multidisciplinary)

パリエジンバラプレスを用いた中性子回折実験における圧力伝達媒体の実際的な影響を調べるために、種々の圧力媒体(Pb, AgCl,常温および高温の4:1メタノールエタノール混合液(ME), N$$_2$$, Ar)を用いてMgOの回折パターンを約20GPaまで測定した。MgO 220回折線の線幅から見積もった試料室内の静水圧性は、Pb, AgCl, Ar,室温ME混合液, N$$_2$$, 高温MEの順に良くなる。これは、これまでのダイヤモンドアンビルセルを用いた結果と異なり、高圧下で固化した後も常温MEはArより高い性能を示す(パリエジンバラプレスで用いられたアンビルの窪みの効果と思われる)。これらの結果とより高い性能が期待されるNeが強い寄生散乱をだしてしまうこととを考えると、約20GPaまでの中性子実験においては、ME混合液(できれば高温が良い)が最良の圧力媒体であり、アルコールと反応する試料には液体Arで代替するのが良いことが明らかとなった。

論文

Slow compression of crystalline ice at low temperature

Bauer, R.*; Tse, J. S.*; 小松 一生*; 町田 真一*; 服部 高典

Nature, 585(7825), p.E9 - E10, 2020/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.08(Multidisciplinary Sciences)

氷Ihの100Kでの圧力誘起構造変化を中性子その場観察により調べた。熱力学的安定相への転移を促進するために、長時間をかけてゆっくり加圧した。その結果は、最近Tulk, et.al., Nature 2019らにより報告された、同じ条件での振る舞い(結晶から結晶への逐次晶相転移)とは異なり、1.0GPaで部分的に高密度アモルファス相(HDA)へ、さらに約1.5GPaで氷VII相へと転移することが分かった。また後者の圧力は、これまでのどの報告より低かった。その間の圧力では、結晶氷Ihまたは氷VIIはHDAと共存し、また形成された氷VIIは減圧しても0.1GPaまで安定であった。非常にゆっくりとした加圧はHDA相の中の結晶相の結晶性に大きな影響を与えることがわかる。これまでのすべての研究結果を踏まえ、圧力誘起非晶質化は以下のように説明できる。相転移開始は、氷格子のせん断不安定性によって引き起こされる。同温度圧力で熱力学的に安定相(水素秩序化氷VIII)の代わりに無秩序化した氷VIIが現れるのは、水素無秩序化単一ネットワークから水素秩序化相互貫入結晶ネットワークへの構造変化は、低温下では熱エネルギーが小さいために難しく、そのため水素無秩序化ネットワークがそのまま残される。今回の結果は、低温下で加圧された氷がとる構造は、相転移カイネティクスにコントロールされており、温度に依存することを示す。

論文

Structure refinement of black phosphorus under high pressure

赤浜 裕一*; 宮川 仁*; 谷口 尚*; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 服部 高典

Journal of Chemical Physics, 153(1), p.014704_1 - 014704_5, 2020/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:45.83(Chemistry, Physical)

室温下で3.2GPaまでの圧力における黒リンの構造解析を粉末中性子回折によって行った。高圧下のリン原子の結合距離と結合角を精密に決め、これまでのX線単結晶解析の結果[Brown and Randqvist, Acta Cryst. 19, 684 (1965)]と一致することを確認した。結晶格子は異方的な圧縮を示すが、P1-P2およびP1-P3結合距離は圧力によらずほぼ一定であり、P3-P1-P2結合角のみ顕著に減少した。この結果から、Cartzら[J. Chem. Phys. 71, 1718 (1979)]により報告されている結合距離との顕著なずれは、解消された。我々の構造データは、高圧下における黒リンのDirac半金属状態を明らかにするに役立つ。

論文

Neutron diffraction study on the deuterium composition of nickel deuteride at high temperatures and high pressures

齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*

Physica B; Condensed Matter, 587, p.412153_1 - 412153_6, 2020/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:25.65(Physics, Condensed Matter)

重水素を含んだfcc Niを、3.36GPaで1073Kから300Kへ冷却した際の、構造中の重水素(D)の席占有率を中性子その場観察により調べた。多くの重水素はfccの金属格子の八面体サイトを占め、またわずかながら四面体サイトへの占有も見られた。八面体サイトの占有率は、1073Kから300Kへの冷却で0.4から0.85へ増大した。一方、四面体サイトの占有率は約0.02のままであった。この温度に依存しない四面体サイトの占有率は普通でなく、その理由はよくわからない。水素による膨張の体積と水素組成の直線関係から、重水素の侵入による体積膨張は、2.09(13) ${AA $^{3}$/D}$原子と求められた。この値は、過去NiやNi$$_{0.8}$$ Fe$$_{0.2}$$合金で報告されている2.14-2.2 ${AA $^{3}$/D}$原子とよく一致している。

論文

Crystal and magnetic structures of double hexagonal close-packed iron deuteride

齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 飯塚 理子*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*

Scientific Reports (Internet), 10, p.9934_1 - 9934_8, 2020/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)

4-6GPaの圧力で1023-300Kに降温中の鉄重水素化物の中性子回折パターンを測定した。二重六方晶構造を持つ$$varepsilon$$'重水素化物は温度圧力に応じて他の安定または準安定相と共存し、673K, 6.1GPaではFeD$$_{0.68(1)}$$、603K, 4.8GPaではFeD$$_{0.74(1)}$$の組成を持つ固溶体を形成した。300Kに段階的に降温する際、D組成は1.0まで上昇し、一重水素化物FeD$$_{1.0}$$を生成した。4.2GPa, 300Kにおけるdhcp FeD$$_{1.0}$$において溶け込んだD原子は、中心位置から外れた状態で二重六方格子の八面体空隙のすべてを占めていた。また、二重六方晶構造は12%の積層欠陥を含んでいた。また磁気モーメントは2.11$$pm$$0.06B/Feであり、Feの積層面内で強磁性的に並んでいた。

論文

Anomalous hydrogen dynamics of the ice VII-VIII transition revealed by high-pressure neutron diffraction

小松 一生*; Klotz, S.*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 鍵 裕之*

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 117(12), p.6356 - 6361, 2020/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:46.19(Multidisciplinary Sciences)

多くの多形が知られる氷も、2GPa以上ではその数が少なくなり、約60GPaでは氷VIIとVIIIのみとなる。両相は、共通の酸素骨格を持ち、水素の秩序状態が異なっている。今回約15GPaまでの低温高圧中性子回折実験により、VII-VIII転移における水素の秩序化の速度が圧力により減少し、10GPaでは分オーダーになることがわかった。さらに加圧すると、驚くべきことにその速度は再び早くなった。このような異常な振る舞いは、これまで言われていた「加圧による水分子の回転運動の鈍化と同時に起こる水素の併進運動の活性化」により説明できる。今回観測されたこの水素ダイナミックスのクロスオーバーは、これまでラマン散乱, X線回折,プロトン伝導により報告されてきた10-15GPaにおける氷VII相の異常の起源であると思われる。

論文

Developments of nano-polycrystalline diamond anvil cells for neutron diffraction experiments

小松 一生*; Klotz, S.*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山下 恵史朗*; 入舩 徹男*

High Pressure Research, 40(1), p.184 - 193, 2020/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:66.38(Physics, Multidisciplinary)

ナノ多結晶アンビルを用いた中性子回折実験のための新しい高圧セルを紹介する。このセルのデザインやオフライン圧力発生テスト,ガス圧媒体の装填方法が書かれている。その性能は、氷II相の約82GPaまでの中性子回折パターンによって図示されている。またこのセルを用いた常圧におけるFe$$_{3}$$O$$_{4}$$の単結晶中性子回折実験のテストを紹介し、現在の限界と将来の開発を示す。

論文

Ice I$$_{rm c}$$ without stacking disorder by evacuating hydrogen from hydrogen hydrate

小松 一生*; 町田 真一*; 則武 史哉*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山根 崚*; 山下 恵史朗*; 鍵 裕之*

Nature Communications (Internet), 11(1), p.464_1 - 464_5, 2020/02

 被引用回数:13 パーセンタイル:89.93(Multidisciplinary Sciences)

水は、0$$^{circ}$$Cで六方晶積層をもった通常の氷I$$_{rm h}$$に凍結する。一方、ある条件では、立方晶積層を持った氷I$$_{rm c}$$になるが、積層欠陥のない氷Icはごく最近まで作れなかった。今回、我々は、氷I$$_{rm c}$$と同じフレームワークを持った水素ハイドレートの高圧相C$$_{2}$$から水素を脱ガスすることによって積層欠陥のない氷I$$_{rm c}$$を作る方法を発見した。これまで同様の方法で作られたネオンハイドレートからの氷XVIや水素ハイドレートからの氷VXIIの生成と異なり、今回の氷I$$_{rm c}$$は、C$$_{2}$$ハイドレートから中間非晶質相やナノ結晶相をへて形成された。得られた氷I$$_{rm c}$$は、積層欠陥がないために、これまで得られているものに比べ高い熱安定性を示し、氷I$$_{rm h}$$に相転移する250Kまで安定に存在する。積層欠陥のない氷I$$_{rm c}$$の発見は、I$$_{rm h}$$のカウンターパートとして、氷の物性に与える積層欠陥の影響を調べるうえで役立つことが期待される。

論文

Crystal structure and magnetism of MnO under pressure

Klotz, S.*; 小松 一生*; Polian, A.*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; Iti$'e$, J.-P.*; 服部 高典

Physical Review B, 101(6), p.064105_1 - 064105_6, 2020/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

マンガン酸化物(MnO)は、反強磁性モット絶縁体の典型物質である。今回、我々は、高圧下においてネール温度$$T_{N}$$を挟んだ温度域で磁気秩序と格子歪の相互作用を、X線および中性子回折により調べた。その結果、体積歪は圧力に対して鈍感であること、$$T_{N}$$$$T_{N}/dP$$=+4.5(5)K/GPaで上昇すること、格子歪$$alpha$$$$dalpha/dP$$=+0.018$$^{circ}$$/GPaで増大することがわかった。これらの結果は、$$J_{1}$$, $$J_{2}$$相互作用定数の原子間距離への影響を調べることや、また第一原理計算による理論予測と比較を可能にする。反強磁性相互作用に起因する散漫散乱は、$${approx}$$1.2$$T_{N}$$まで観測され、長距離秩序は、室温では42GPaで現れる。

論文

X-ray and neutron study on the structure of hydrous SiO$$_{2}$$ glass up to 10 GPa

浦川 啓*; 井上 徹*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 小原 真司*; 若林 大佑*; 佐藤 友子*; 船守 展正*; 舟越 賢一*

Minerals (Internet), 10(1), p.84_1 - 84_13, 2020/01

 被引用回数:3 パーセンタイル:75.42(Geochemistry & Geophysics)

含水SiO$$_{2}$$ガラスの構造は、酸化物ガラスやマグマの物理化学的性質に対する水の影響を調べるために基礎的な情報である。D$$_{2}$$Oを13重量%濃度含む含水SiO$$_{2}$$ガラスを、高温高圧下で合成し、その構造を小角X線散乱、X線回折、中性子回折により、室温10GPaまでの範囲で調べた。この含水ガラスはSiO$$_{2}$$が卓越した主成分とD$$_{2}$$Oが卓越した少量の成分に相分離していることが分かった。またその中距離構造は、含水化でSi-OH水酸基ができたことによりSiO$$_{4}$$連結が壊れ、無水のガラスより縮んでいた。その一方で、高圧下での挙動に違いは見られなかった。また、多くのD$$_{2}$$O分子は、小さな領域にかたまっており、その主成分であるSiO$$_{2}$$ガラス相へは侵入していないと思われる。

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