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論文

Neutron scattering on an aqueous sodium chloride solution in the gigapascal pressure range

山口 敏男*; 吉田 亨次*; 町田 真一*; 服部 高典

Journal of Molecular Liquids, 365, p.120181_1 - 120181_10, 2022/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)

3mol/kg NaCl重水溶液を0.1MPa/298K, 1GPa/298K, 1GPa/523K, 4GPa/523Kの温度圧力条件において中性子散乱測定した。また、得られたデータにEmpirical potential structure refinement法を適用し、対相関関数,配位数分布,角度分布(配向相関),空間密度関数(3次元構造)を抽出した。それらの結果から、イオンの溶媒和と会合、溶媒水構造の圧力と温度依存性を議論した。

論文

Hydrogen vibration excitations of ZrH$$_{1.8}$$ and TiH$$_{1.84}$$ up to 21 GPa by incoherent inelastic neutron scattering

服部 高典; 中村 充孝; 飯田 一樹*; 町田 晃彦*; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 有馬 寛*; 大下 英敏*; 本田 孝志*; 池田 一貴*; et al.

Physical Review B, 106(13), p.134309_1 - 134309_9, 2022/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

量子調和振動子(QHO)で近似できる蛍石型のZrH$$_{1.8}$$とTiH$$_{1.84}$$の水素の振動励起を非弾性非干渉性中性子散乱によって21GPaおよび4GPaまで調べた。第一励起の振動エネルギー$$E_1$$はそれぞれ$$E_1$$(meV) = 141.4(2) + 1.02(2)$$P$$(GPa)および$$E_1$$(meV) = 149.4(1) + 1.21(8)$$P$$(GPa)で表され、圧力とともに上昇した。格子定数の圧力変化と組み合わせて得られた金属水素原子間距離($$d_{M-H}$$)と$$E_1$$の関係は、$$E_1$$(meV) = 1.62(9)$$times$$ 10$$^3$$ $$d_{M-H}^{-3.31(8)}$$($AA)$および$$E_1$$(meV) = 1.47(21)$$times$$ 10$$^3$$ $$d_{M-H}^{-3.5(2)}$$($AA)$であった。これらのカーブの傾きは、様々な蛍石型の金属水素化物の常圧下のトレンドに比べ、急峻であった。$$E_1$$から得られた水素波動関数の広がりは、格子間サイトよりも縮み易いことが分かった。高圧下における水素の波動関数の優先的な収縮や小さな$$d_{M-H}$$における$$E_1$$の急峻な立ち上がりは金属原子のイオンコアが水素原子よりも堅いために水素原子が高圧下でより狭い領域に閉じ込められるために起こると考えられる。

論文

Magnetic and structure transition of Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$ solid solutions under high-pressure and high-temperature conditions

山中 高光*; 平尾 直久*; 中本 有紀*; 三河内 岳*; 服部 高典; 小松 一生*; Mao, H.-K.*

Physics and Chemistry of Minerals, 49(10), p.41_1 - 41_14, 2022/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Materials Science, Multidisciplinary)

Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$固溶体の磁性と結晶構造を高温高圧下で中性子回折と放射光メスバウアー分光によって調べた。Mn$$_2$$FeO$$_4$$スピネルのフェリ磁性-常磁性転移は100$$^circ$$C、正方晶-立方晶転移は180$$^circ$$Cで起こり、これら2つの転移は直接関連していないことが分かった。構造相転移の転移温度は圧力とともに減少する。メスバウアー分光と中性子回折から、四面体サイトでのFe$$^{2+}$$の占有率が圧力とともに増加することがわかり、Mn$$_2$$FeO$$_4$$相は逆スピネルに近づくことが示唆された。磁気構造解析により、MnFe$$_2$$O$$_4$$とMn$$_2$$FeO$$_4$$の常磁性とフェリ磁性の構造を明らかにした。これらのスピネルはそれぞれ18.4GPaと14.0GPaで斜方高圧相に変化し、Mn含有量の増加とともに転移圧力が低下することがわかった。

論文

Atomic distribution and local structure in ice VII from in situ neutron diffraction

山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fern$'a$ndez-D$'i$az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)

氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。

論文

Enhancement of electrical conductivity to metallization of Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$ spinel and postspinel with elevating pressure

山中 高光*; Rahman, S.*; 中本 有紀*; 服部 高典; Jang, B. G.*; Kim, D. Y.*; Mao, H.-K.*

Journal of Physics and Chemistry of Solids, 167, p.110721_1 - 110721_10, 2022/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:57.86(Chemistry, Multidisciplinary)

高圧下中性子回折実験により、立方晶MnFe$$_2$$O$$_4$$スピネルと正方晶Mn$$_2$$FeO$$_4$$はそれぞれ18GPaと14GPa以上でCaMn$$_2$$O$$_4$$型の構造に変化することが分かった。Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$固溶体の転移圧力はMn含有量の増加とともに低下することがわかった。放射光X線M$"{o}$ssbauer実験により、スピネル構造の四面体サイト(A)と八面体サイト(B)におけるFe$$^{2+}$$とFe$$^{3+}$$分布が圧力によって変化することを明らかにした。MnFe$$_2$$O$$_4$$とMn$$_2$$FeO$$_4$$は常温ではフェリ磁性体である。CaMn$$_2$$O$$_4$$型相は常磁性であった。電気抵抗の温度依存性から、このスピネルはA,Bサイトのカチオン間の電子ホッピングによって電気伝導を起こす半導体であることが示唆された。圧力によってB-B間距離が短くなると、隣接するBカチオン間の電子移動度が大きくなり、伝導が促進される。MnFe$$_2$$O$$_4$$のBサイトにおけるFe$$^{2+}$$とFe$$^{3+}$$の占有率はMn$$_2$$FeO$$_4$$のそれよりもずっと大きいことが明らかになった。CaMn$$_2$$O$$_4$$型は金属相である。理論計算の結果、金属的な性質が確認され、Feのd軌道がMnのd軌道に比べて強く適合されていることがわかった。

論文

六軸型マルチアンビルプレス「圧姫」を用いたJ-PARC PLANETにおける高圧下中性子実験

服部 高典

油空圧技術, 61(7), p.29 - 35, 2022/07

油圧技術の応用例として、6軸型マルチアンビルプレス「圧姫」とそれを擁するJ-PARC超高圧中性子回折装置PLANET、そこで行われた地球中心核の水素に関する研究を紹介する。

論文

Structure of basaltic glass at pressures up to 18 GPa

大橋 智典*; 坂巻 竜也*; 舟越 賢一*; 服部 高典; 久野 直樹*; 阿部 淳*; 鈴木 昭夫*

American Mineralogist, 107(3), p.325 - 335, 2022/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Geochemistry & Geophysics)

マグマの物性を知るために、室温で加圧されたバサルトガラスの構造をX線および中性子回折により約18GPaまで調べた。加圧によりバサルトガラスは圧縮挙動を変化させた。つまり約2-4GPaにおいて、平均酸素間距離(r$$_textrm{OO}$$)を保ったまま、酸素の平均配位数(CN$$_textrm{OO}$$)は上昇しはじめる。さらに加圧すると9GPaでCN$$_textrm{OO}$$の上昇はとまり、Al周りの酸素配位数(CN$$_textrm{AlO}$$)を上昇させながら、r$$_textrm{OO}$$が縮み始める。9GPaでの変化は ガラスの圧縮機構が、四面体ネットワークの変形から、CN$$_textrm{AlO}$$の増大を伴った酸素充填率の上昇に変わることで解釈できる。高圧下の酸素の充填率($$eta_textrm{O}$$)を解析すると、その値がデンスランダムパッキングの限界値を超えることが分かった。このことは、石英やケイ酸塩ガラスの構造相転移が酸素充填限界説では説明できないことを示している。2-4GPaに見られたCN$$_textrm{OO}$$の上昇は四配位ケイ酸塩ガラスのソフト化と対応しており、過去にLiu and Lin (2014)によって報告された約2GPaでのバサルトガラスの弾性異常の起源であるかもしれない。

論文

Structure of an aqueous RbCl solution in the gigapascal pressure range by neutron diffraction combined with empirical potential structure refinement modeling

Zhang, W. Q.*; 山口 敏男*; Fang, C. H.*; 吉田 亨次*; Zhou, Y. Q.*; Zhu, F. Y.*; 町田 真一*; 服部 高典; Li, W.*

Journal of Molecular Liquids, 348, p.118080_1 - 118080_11, 2022/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:60.17(Chemistry, Physical)

3mol/kgのRbCl水溶液におけるイオンの水和・会合と水素結合した水の構造を、298K/0.1MPa, 298K/1GPa, 523K/1GPa, 523K/4GPaにおける中性子回折と経験的ポテンシャル構造精密化モデリングにより調べた。その結果、構造パラメータは温度と圧力に依存していることがわかった。高圧・高温条件では、Rb$$^+$$とCl$$^-$$の第二水和層がより明確になる。第一水和層におけるRb$$^+$$の平均酸素配位数は、配位距離を0.290nmから0.288nmに縮めながら、常圧では6.3だったのが、4GPaでは8.9に増加した。第一水和シェルのCl$$^-$$の平均酸素配位数は、常圧で5.9、4GPaで9.1と圧力により増加し、対応する配位距離は0.322nmから0.314nmへと減少した。Rb$$^+$$と中心の水分子の第一溶媒和シェルにおける水双極子の配向は圧力に敏感であるが、Cl$$^-$$の第一溶媒和シェルにおける水双極子の配向は温度圧力によらずあまり変化しなかった。Rb$$^+$$-Cl$$^-$$の隣接イオンペアの数は、温度が高くなると減少し、圧力が高くなると増加する。水分子は密に詰まっており、極限状態では水分子の四面体水素結合ネットワークはもはや存在しない。

論文

Development of a hybrid piston cylinder cell for quasielastic neutron scattering experiments up to 1 GPa

服部 高典; 河村 聖子; 川崎 卓郎

High Pressure Research, 42(2), p.226 - 235, 2022/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)

約1GPaまでの準弾性中性子散乱実験(QENS)のためのハイブリッドピストンシリンダーセルを開発した。このセルは、高張力鋼(SNCM439)のライナーとAl合金(NA700)のジャケットで構成される押し嵌めシリンダーからなる。性能試験の結果、0.8GPaの圧力に耐えることができ、3.14meV(波長5.10${AA}$)の中性子透過率が従来のCuBeモノブロックシリンダーの4.4倍であることが確認された。多重散乱を抑制するために考案したサンプルアセンブリと組み合わせることで、0.8GPaまでの水の高品質なQENSスペクトルを得ることができた。本研究は、ハイブリッドシリンダーが最大発生圧力を増大させるためだけでなく、発生圧力や信号強度を実験の目的に応じて調整するのに有効であることを示している。

論文

Crystalline fully carboxylated polyacetylene obtained under high pressure as a Li-ion battery anode material

Wang, X.*; Tang, X.*; Zhang, P.*; Wang, Y.*; Gao, D.*; Liu, J.*; Hui, K.*; Wang, Y.*; Dong, X.*; 服部 高典; et al.

Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), 12(50), p.12055 - 12061, 2021/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:48.7(Chemistry, Physical)

置換ポリアセチレンは、ポリアセチレン骨格の化学的安定性,物性,付加機能の向上が期待されるが、その多様性は非常に限られている。今回我々は、固体のアセチレンジカルボン酸に外圧を加えることにより、従来の方法では合成が非常に困難であったトランス-ポリアセチレン骨格上のすべての炭素がカルボキシル基に結合した結晶性のポリ-ジカルボキシルアセチレンができることを報告する。重合は、水素結合を利用したトポケミカル反応であった。このユニークな構造は、カルボニル基の極めて高い含有量とポリアセチレン骨格の高い導電性を組み合わせたもので、リチウムイオン電池(LIB)負極として高い比容量と優れたサイクル/レート性能を示す。我々は、完全に機能化された結晶性ポリアセチレンを紹介し、高分子LIB材料や活性基を多く含む高分子材料合成のために圧力重合が有力な方法であることを提案する。

論文

Synthesis and characterisation of a new graphitic C-S compound obtained by high pressure decomposition of CS$$_2$$

Klotz, S.*; Baptiste, B.*; 服部 高典; Feng, S. M.*; Jin, Ch.*; B$'e$neut, K.*; Guigner, J. M.*; Est$`e$ve, I.*

Carbon, 185, p.491 - 500, 2021/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Physical)

二硫化炭素(CS$$_2$$)は、その最も近い類似体であるCO$$_2$$とともに、二重共有結合からなる最も単純な分子系の一つである。高圧下では、この分子構造は分解され、拡張された結晶性またはポリマー性の固体を形成すると考えられる。ここでは、大容量高圧技術を用いて300Kで約10GPa (100kbar)まで圧縮することにより、瞬間的な反応で純粋な硫黄とC$$_2$$Sに近い化学組成を持つ化合物の混合体が得られ、常圧まで回収できることを示している。中性子回折,X線回折,ラマン測定の結果、この物質は硫黄がナノメートルオーダーのsp$$^2$$グラファイト層に結合していることがわかった。電気抵抗の温度依存性からこの化合物は45meVのギャップを持つ半導体であることが明らかになった。200$$^{circ}$$C以上の温度でアニールすることで、硫黄含有量をC$$_{10}$$Sまで減らすことができた。この物質の構造的・電子的特性は、過去に行われたCS$$_2$$の高圧実験で報告された「ブリッジマンブラック」とは根本的に異なる。

論文

Phase transition and chemical reactivity of 1H-tetrazole under high pressure up to 100 GPa

Gao, D.*; Tang, X.*; Wang, X.*; Yang, X.*; Zhang, P.*; Che, G.*; Han, J.*; 服部 高典; Wang, Y.*; Dong, X.*; et al.

Physical Chemistry Chemical Physics, 23(35), p.19503 - 19510, 2021/09

 被引用回数:4 パーセンタイル:60.18(Chemistry, Physical)

窒素に富む分子の圧力有機相転移や重合は、環境にやさしい高エネルギー密度材料の開発にとって非常に重要であるため、広く注目されている。本論文では、その場ラマン,IR,X線回折,中性子回折、および理論計算をもちい、100GPaまでの1H-テトラゾールの相転移挙動と化学反応の研究を紹介する。2.6GPa以上での相転移が確認され、その高圧構造は、以前に報告されたユニットセル内に2つの分子をもつものではなく、1つの分子をものであることが分かった。1H-テトラゾールは、おそらく窒素-窒素結合ではなく炭素-窒素結合により、100GPa以下で可逆的に重合する。私たちの研究は、1H-テトラゾールの高圧相の構造モデルを更新し、もっともらしい分子間結合の経路を初めて提示した。これにより、窒素に富む化合物の相転移と化学反応の理解が進み、新しい高エネルギー密度材料の設計に役立つと考えられる。

論文

Behavior of light elements in iron-silicate-water-sulfur system during early Earth's evolution

飯塚 理子*; 後藤 弘匡*; 市東 力*; 福山 鴻*; 森 悠一郎*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

Scientific Reports (Internet), 11(1), p.12632_1 - 12632_10, 2021/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:41.71(Multidisciplinary Sciences)

FeNi合金からなる地球核は、H, C, O, Si, Sなどの軽元素を含んでいると考えられている。その中でHは、宇宙に最も存在する元素であり、最も有望な候補である。これまでの我々の中性子回折実験から、鉄-水系において、水素が他の元素より優先的に鉄に取り込まれることが分かっている。今回、初期地球の組成で水を含んだ鉄-ケイ酸塩系において、Sが及ぼす影響を調べた。その結果、一連の鉄の相転移、含水ケイ酸塩の脱水酸基およびカンラン石・輝石の形成を観察した。またFeの共存相としてFeSが現れた。Hがいる条件でもFeSの格子体積が一定であることから、FeSに水素は入らず、FeSはむしろFeの水素化を阻害することがわかった。高温高圧下から回収された試料を観察すると、FeにはHとSが入っており、HおよびSはFe(H$$_{x}$$)-FeS系の融点を下げる効果があることが分かった。一方回収試料には、C, O, Siなどの他の軽元素は含まれていないため、地球核形成時には、まずFeH$$_{x}$$およびFeSができ、その後さらに高温高圧下でFeHxやFeSが融解した後でないと、それらは核に取り込まれないことが分かった。

論文

Crystal structure of nesquehonite, MgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H(D)$$_{2}$$O by neutron diffraction and effect of pH on structural formulas of nesquehonite

山本 弦一郎*; 興野 純*; 阿部 淳*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(2), p.96 - 103, 2021/04

 被引用回数:3 パーセンタイル:57.65(Mineralogy)

炭酸マグネシウム水和物nesquehoniteの組成,構造,形成条件を調べるために、中性子回折,ラマン分光、および熱分析を行った。飛行時間型中性子回折により、$$a$$=7.72100(12)$AA, $b$$=5.37518(7)$AA, $c$$=12.1430(3)$AA, $beta$$=90.165(4)$$^circ$$の格子定数, $$P$$2$$_{1}/n$$の空間群を持つ単斜晶であることが明らかとなった。また、構造内では、2つの重水素原子がO1, O2、およびO6原子に配位して水分子を形成していた。構造内に水分子が3つあることは、nesquehoniteの構造式がMg(HCO$$_{3}$$)(OH) $$cdot $$2H$$_{2}$$OではなくMgCO$$_{3}$$ $$cdot$$ 3H$$_{2}$$Oであることを示している。

論文

High-pressure and high-temperature neutron-diffraction experiments using Kawai-type multi-anvil assemblies

佐野 亜沙美; 柿澤 翔*; 市東 力*; 服部 高典; 町田 真一*; 阿部 淳*; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

High Pressure Research, 41(1), p.65 - 74, 2021/03

 被引用回数:2 パーセンタイル:45.66(Physics, Multidisciplinary)

高温高圧下における中性子散乱実験のために、河合型マルチアンビルセル(MA6-8)を開発した。信号強度を確保しするために、1段目アンビルにはスリットおよびテーパーを施して開口角を確保した。中性子の透過率の高いSiCバインダーの焼結ダイアモンドを2段目アンビルに使用することで、最高23.1GPaにおいて充分な強度の信号を取得することに成功した。また超硬合金を2段目アンビルに使用した実験では16.2GPa, 973Kでのデータ取得に成功し、超硬合金製アンビルの有用性を示した。本研究により、J-PARCのPLANETにおいてこれまで利用されてきたMA6-6では到達できなかった温度・圧力条件をMA6-8が達成できることが示された。

論文

Observation of dihydrogen bonds in high-pressure phases of ammonia borane by X-ray and neutron diffraction measurements

中野 智志*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 町田 真一*; 小松 一生*; 藤久 裕司*; 山脇 浩*; 後藤 義人*; 亀卦川 卓美*

Inorganic Chemistry, 60(5), p.3065 - 3073, 2021/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:84.3(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

アンモニアボランのX線および中性子回折実験を常圧及び高圧下で行った。常圧下で二水素結合中のH-H距離は、ファンデルワールス半径の2倍(2.4${AA}$)よりも短い。約1.2GPaでの常圧相から第一高圧相への相転移で、半分の水素は原子間距離が延び、二水素結合が壊れた。さらに加圧すると、すべての原子間距離は2.4${AA}$よりも短くなり、二水素結合が再び形成された。さらに、約11GPaで、空間群$$P2_1$$(Z=2)を持つ第二高圧相(HP2)へ転移した。この時、分子軸はより傾き、二水素結合の種類は6から11へと増えた。第3の相転移の直前(18.9GPa)で、最短の二水素結合は1.65${AA}$になった。本研究は、高圧下の構造相転移によりアンモニアボラン中の二水素結合が破壊、再形成するのを実験的に初めて観測したものである。

論文

Pressure-dependent structure of methanol-water mixtures up to 1.2 GPa; Neutron diffraction experiments and molecular dynamics simulations

Temleitner, L.*; 服部 高典; 阿部 淳*; 中島 陽一*; Pusztai, L.*

Molecules (Internet), 26(5), p.1218_1 - 1218_12, 2021/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Biochemistry & Molecular Biology)

全組成域にわたるメタノール水混合系(CD$$_{3}$$OD-D$$_{2}$$O)の全構造因子を中性子回折により約1.2GPaまでの圧力で調べた。最も大きな圧力変化は、$$Q=$$ 5 $AA$^{-1}$$以下の範囲において、第一および第2ピークのシフトとして見られた。この変化の起源を明らかにするために、実験した圧力での分子動力学計算を行った。その結果、ピーク高はあまり再現できなかったものの、ピークシフトは、定量的に再現できた。圧力が隣接分子間の斥力に大きな影響を与えることを考慮すると、実験と計算の一致は満足できるものであると言える。圧力の局所構造への影響を調べるために、計算で得られた構造を水素結合に関係した部分動径分布関数や水素結合環状構造のサイズ分布の観点から解析した。その結果、水リッチおよびメタノールリッチな組成域で、構造の圧力変化に大きな違いがあることが分かった。

論文

Origin of magnetovolume effect in a cobaltite

Miao, P.*; Tan, Z.*; Lee, S. H.*; 石川 喜久*; 鳥居 周輝*; 米村 雅雄*; 幸田 章宏*; 小松 一生*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; et al.

Physical Review B, 103(9), p.094302_1 - 094302_18, 2021/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

層状ペロブスカイトPrBaCo$$_{2}$$O$$_{5.5}$$は、熱膨張のない複合材料を作るために必要な負の熱膨張(NTE)を示す。NTEは、自発的な磁気秩序と密接に関連していることがわかっていた(磁気体積効果: MVE)。今回、われわれは、PrBaCo$$_{2}$$O$$_{5.5}$$の連続的な磁気体積効果が、本質的には不連続であり、大きな体積を持つ反強磁性絶縁体(AFILV)から、小さな体積をもつ強磁性卑絶縁体(FLISV)への磁気電気的相転移に起因することを明らかにした。また、磁気電気効果(ME)は、温度,キャリアドーピング,静水圧,磁場などの複数の外部刺激に対して高い感度を示した。これは、これまでよく知られている対称性の破れを伴う巨大磁気抵抗やマルチフェロイック効果などのMEとは対照的であり、輝コバルト鉱のMEは同一の結晶構造で起こる。われわれの発見は、MEとNTEを実現するための新しい方法を示しており、それは新しい技術に応用されるかもしれない。

論文

Suppressed lattice disorder for large emission enhancement and structural robustness in hybrid lead iodide perovskite discovered by high-pressure isotope effect

Kong, L.*; Gong, J.*; Hu, Q.*; Capitani, F.*; Celeste, A.*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; Li, N.*; Yang, W.*; Liu, G.*; et al.

Advanced Functional Materials, 31(9), p.2009131_1 - 2009131_12, 2021/02

 被引用回数:17 パーセンタイル:81.17(Chemistry, Multidisciplinary)

有機-無機ハロゲン化物ペロブスカイトは非常に柔らかいために、圧力などの外部刺激により格子定数を容易に変化させることができ、有用な光電特性を引き出すのに有効である。一方でこの特性は、多少の加圧でも、格子を歪ませてしまい、光と物質の相互作用を弱め、それによる性能の低下を引き起こす。そこで本研究では、代表的な物質であるヨウ化メチルアンモニウム鉛に対して圧力効果および同位体効果を調べ、それらが格子歪を抑制することが分かった。このことは、それらが、これまで得られなかったような光学的,機械的特性を持つ物質を得る手段として有効であることを示している。

論文

Experimental evidence for the existence of a second partially-ordered phase of ice VI

山根 崚*; 小松 一生*; 郷地 順*; 上床 美也*; 町田 真一*; 服部 高典; 伊藤 颯*; 鍵 裕之*

Nature Communications (Internet), 12, p.1129_1 - 1129_6, 2021/02

 被引用回数:16 パーセンタイル:87.13(Multidisciplinary Sciences)

氷は、非常に多彩な構造多形を示す。これまで報告されていない新しい相に関して実験・理論両面から研究がなされている。水素の秩序-無秩序相に関して、現在知られているような一つの無秩序相に一つの秩序相があるのか、いくつかの秩序相がありえるのかが議論の的になっている。今回の研究で、氷VI相の第2の水素秩序相となる新しい相(氷XIX)を発見した。これは、無秩序相から、いくつかの異なる水素秩序相ができることを示している。このような多重性は他のすべての水素無秩序相にも起こりえるもので、氷の構造探査に新しい視点を与えるものである。このことによって、これまで謎だった問題:水素秩序相の中心対称性の存在や、(反)強誘電性誘起が明らかになる可能性がある。また究極的には、氷の高温高圧相図を完全に解明することにつながる。

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