Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Efthimiopoulos, I.*; Klotz, S.*; Kunc, K.*; Baptiste, B.*; Chauvigne, P.*; 服部 高典
Physical Review B, 111(13), p.134103_1 - 134103_13, 2025/04
X線回折、中性子回折、ラマン散乱、第一原理計算を用いて、ReOの高圧力下での挙動を15GPaまで包括的に調べた。常圧
=3
構造は0.7GPaで空間群
=3の立方晶相に連続的に相転移し、その後少なくとも15GPaまで安定であることがわかった。過去この圧力領域で報告されていた単斜晶
構造や菱面体晶
=3
構造への転移は、試料に高輝度放射光X線を照射したことによる試料の劣化によるものであり、人工的なものであることが分かった。また今回、
=3相の構造の圧力依存性と正確な状態方程式および天然試料と同位体濃縮
O試料のラマン散乱データを示した。このデータから、リジッドなReO
八面体が圧力とともに回転することによって、相転移および高密度化が起こることが分かった。
Wang, Y.*; Zeng, X.-T.*; Li, B.*; Su, C.*; 服部 高典; Sheng, X.-L.*; Jin, W.*
Chinese Physics B, 34(4), p.046203_1 - 046203_6, 2025/03
被引用回数:0二次元ファンデルワールス強磁性体FeGeTe
(FGT)は、その高いキュリー温度、容易な調整性、空気中での優れた構造安定性から、スピントロニクスデバイスへの応用に大きな可能性を秘めている。理論的研究により、外部パラメータとしての圧力が強磁性特性に大きく影響することが示されている。本研究では、5GPaまでの高圧中性子粉末回折(NPD)実験を行い、FGTの静水圧による構造及び磁気特性の変化を調べた。NPDデータは、静水圧による見かけ上の抑制にもかかわらず、FGTにおける強磁性の頑健性を明らかにした。圧力が0から5GPaまで増加すると、キュリー温度は225(5)Kから175(5)Kまで単調減少し、Feの秩序モーメントが劇的に抑制されることがわかった。圧力による構造相転移は5GPaまで観測されなかったが、結合長と結合角の変化を定量的に解析した結果、交換相互作用が大きく変化していることがわかった。
岡崎 伸生*; 服部 高典
CROSS Reports(インターネット), 3, p.001_1 - 001_8, 2025/02
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)のBL11に設置されているビームラインPLANETでは、これまで測定したデータをリモート解析したいという要望があったが、それを定常的に行える仕組みが整備されていなかった。この要望に応えるため、リモートデスクトップ接続環境として広く使われているNoMachineを用い、リモート解析が行える仕組みを構築した。このシステムはクラウド上に構築されており、ユーザーはNoMachineクライアントを利用することで、インターネット環境さえあればどこからでも解析することが可能となった。
Yang, X.*; Che, G.*; Wang, Y.*; Zhang, P.*; Tang, X.*; Lang, P.*; Gao, D.*; Wang, X.*; Wang, Y.*; 服部 高典; et al.
Nano Letters, 25(3), p.1028 - 1035, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)飽和sp-カーボンナノスレッド(CNTh)は、その高いヤング率と熱伝導率が予測され、大きな関心を集めている。中心環へのヘテロ原子の導入がCNThの形成に影響を与え、化学的に均質な生成物が得られることが示されているが、ペンダント基が重合プロセスに与える影響については、まだ未解明である。本研究では、フェノールの圧力誘起重合を調べ、0.5GPaと4GPa以下で起こる2つの相転移を明らかにした。20GPa以上では、フェノールは水酸基とカルボニル基を持つ重合度4のCNTに重合する。ヒドロキシル基の水素移動は、重合度6のナノスレッドの形成を妨げることがわかった。この発見は、さらなるカラム内重合を阻止する水酸基の重要な役割を浮き彫りにし、今後のメカニズム研究やナノ材料合成に貴重な示唆を与えるものである。
Che, G.*; Fei, Y.*; Tang, X.*; Zhao, Z.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Wang, X.*; Ju, J.*; Dong, X.*; Wang, Y.*; et al.
Physical Chemistry Chemical Physics, 27(2), p.1112 - 1118, 2025/01
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)芳香族分子の圧力誘起重合(PIP)は、様々な炭素系材料を合成するための効果的な方法として浮上してきた。目的とする構造や機能を得るためには、適切な官能基化された分子前駆体の選択が極めて重要である。本研究では、1,4-ジフルオロベンゼン(1,4-DFB)をPIPの構成要素として選択した。1,4-DFBをその場高圧で調べた結果、約12.0GPaで相転移が起こり、18.7GPaで不可逆的な化学反応が起こることがわかった。生成物の構造解析と反応のカイネティクスから、直線的な成長を伴う擬六方晶積層フッ素ダイヤモンドナノスレッドの形成が明らかになった。高圧下のベンゼンの結晶構造と比較して、1,4-DFBは[001]軸に沿って高い圧縮を示す。この異方的な圧縮は、[01]軸に沿ったより強いH
相互作用と、[100]軸と[010]軸に沿った潜在的な圧縮阻害H
F相互作用に起因し、[01
]軸に沿った可能な反応経路を促進する。この研究は、分子スタッキングを調節し、反応経路に影響を与える官能基化の重要な役割を強調している。
Xu, J.*; Lang, P.*; Liang, S.*; Zhang, J.*; Fei, Y.*; Wang, Y.*; Gao, D.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Dong, X.*; et al.
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), p.2445 - 2451, 2025/00
被引用回数:0アルダー-エン反応は、アルケンとアリル水素との化学反応であり、C-C結合を構築する効率的な方法である。従来、この反応には触媒、高温、あるいは光触媒が必要であった。本研究では、触媒を用いずに室温下で加圧することで成功した1-ヘキセンのアルダー-エン反応を報告する。1-ヘキセンは4.3GPaで結晶化し、18GPaで重合してオレフィンを形成する。ガスクロマトグラフィー-質量分析法により、1-ヘキセンが高圧下でのアルダー-エン反応により二量体を生成することを発見した。その場中性子回折から、この反応過程はトポケミカル則に従わないことがわかった。理論計算により、1つのC-H 結合と2つのアルケン
結合を含む6員環遷移状態が示され、そのエネルギーは20GPaまで圧縮すると明らかに減少した。本研究は、触媒を用いずに室温でアルダー-エン反応を実現する新規かつ有望な方法を提供し、この重要な反応の応用を拡大するものである。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 80(6), p.695 - 705, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)これまで、水に富む塩化マグネシウム水和物系列(MgClH
O)では奇数の水和数nを持つものは欠落していた。本研究において、2GPa以上の高圧と300K以上の高温で生成する塩化マグネシウム七水和物、MgCl
7H
O (or MgCl
7D
O)を同定した。その結晶構造は、2.5GPa, 298Kでのその場単結晶X線回折と3.1GPa, 300Kでのその場粉末中性子回折の組み合わせによって決定された。単結晶試料では、望ましくない結晶相の核生成を防ぐためにアルコールを混合して成長させた。得られた結果は、水分子の配向乱れを示しており、密度汎関数理論計算によっても検証された。この乱れには水素結合の再結合が関与しており、水の高圧氷相や既知の乱れた塩水和物とは異なっていた。圧縮による収縮は主に一方向に起こる。この最も圧縮しやすい方向に垂直な面では、酸素原子と塩素原子が六角形状に配列していた。
服部 高典; 小松 一生*
日本原子力学会誌ATOMO, 66(12), p.618 - 622, 2024/12
超高圧中性子回折装置PLANETは、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に建設された国内初の高圧中性子実験専用のビームラインである。パルス中性子を用いたエネルギー分散型データ測定および最新の光学機器、高圧発生装置を導入することにより、これまでにない高い精度で、広い圧力温度範囲にわたる結晶・液体・ガラスの構造を解析できるようになっている。本稿では、どのようにしてそれが実現されたか紹介するとともに、最近発表された氷の水素結合の対称化の成果に関して紹介する。
町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 杉本 秀彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝*; 片山 芳則*; 飯塚 理子*; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.8861_1 - 8861_2, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)前回の論文(Nature Commun. 5, 5063 (2014))では、988Kと6.3GPaで収集した中性子粉末回折パターンのリートベルト精密化によって、fcc Fe金属格子に溶解したD原子のサイト占有率を調べた。fcc金属格子には、八面体サイトと四面体サイトの2つのD原子収容可能な格子間サイトがある。リートベルト精密化により、D原子は主に八面体サイトを0.532占有し、わずかに四面体サイトを0.056占有することがわかった。その後、Antonov (Phys. Rev. Mater. 2019))による密度汎関数理論(DFT)計算の結果、四面体サイトの占有エネルギーは八面体サイトの占有エネルギーよりも著しく高く、988Kの高温でも四面体サイトの占有は起こりにくいことがわかった。消衰補正は粉末回折パターンに適用されることはまれであり、前回の精密化には含まれていなかった。その結果、八面体の占有率は0.60に増加し、四面体の占有率はゼロに減少した。D原子の八面体サイトのみの占有は、以前の結果とは対照的ではあるが、DFT計算と一致している。
町田 真一*; 服部 高典; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 阿部 淳*
高圧力の科学と技術, 34(3), p.134 - 142, 2024/09
J-PARC物質・生命科学実験施設PLANETビームラインにおいて、高圧中性子回折実験用ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を開発した。高圧発生には円錐形状で支持されたダイヤモンドアンビルを用いた。その結果、69.4GPaまでのDO氷の中性子データを得ることに成功した。また、中性子回折測定に適したガスケット材料を検討した。11種類の合金を試験し、SUS304, Inconel718, M2052 (73Mn-20Cu-5Ni-2Fe, at%)合金が優れた性能を示した。特にM2052ヌルマトリクス合金は、入射ビームがガスケットに当たることが避けられない中性子回折実験に有用であることが実証された。われわれは、D
O氷に対して少なくとも43.3GPaまでリートベルト解析が可能な中性子回折プロファイルを得ることができた。
高阪 勇輔*; 大石 一城*; 服部 高典
高圧力の科学と技術, 34(3), p.121 - 126, 2024/09
CrNbS
のカイラルヘリ磁性(CHM)とカイラルソリトン格子の観測により、遷移金属インターカレートジカルコゲナイドが注目されている。CrNb
S
のCHMのらせん周期に与える圧力の影響を調べるため、ピストンシリンダー型圧力セルを用いて1.2GPaまでの中性子小角散乱実験を行った。その結果、圧力の増加とともに磁気転移温度が低下することが観測された。さらに、CHMのらせん周期は圧力の増加とともに減少した。格子定数の減少に比べ、らせん周期の減少は非常に大きい。このことは、圧力を加えることによって、Dzyaloshinski-Moriya相互作用の振幅が弱まることを示している。
Yang, Q.*; Yang, X.*; Wang, Y.*; Fei, Y.*; Li, F.*; Zheng, H.*; Li, K.*; Han, Y.*; 服部 高典; Zhu, P.*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.7778_1 - 7778_9, 2024/09
被引用回数:6 パーセンタイル:84.39(Multidisciplinary Sciences)明るい一重項励起子と三重項励起子を同時に発現する発光材料は、オプトエレクトロニクス、サイネージ、情報暗号化において大きな可能性を秘めている。しかしながら、高性能の白色発光を実現するためには、蛍光と燐光の寄与が不均衡であることが大きな障害となっている。ここでは、水素結合の協同効果による圧力処理エンジニアリングによって、n--
遷移の混合を実現し、イソフタル酸(IPA)中で三重項状態の発光を7%から40%に高めることで、この課題に対処した。加圧処理したIPAでは、蛍光と燐光のハイブリッドに基づく優れた白色発光が得られ、フォトルミネッセンス量子収率は当初の19%(青色発光)から75%に増加した。その場での高圧IRスペクトル、X線回折、中性子回折から、圧力の上昇に伴い水素結合が連続的に強化されることが明らかになった。さらに、この強化された水素結合は、圧力処理後も常圧条件下まで保持され、バランスの取れた一重項/三重項励起子集団のための効率的な系間交差を目的としたIPAに与え、効率的な白色発光をもたらした。この研究は、有機低分子の三重項状態を明るくするルートを提案するだけでなく、一重項励起子と三重項励起子の比率を調節して、高性能の白色発光を構築するものである。
He, X.*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 岡島 元*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 阿部 淳*; 後藤 弘匡*; et al.
Journal of Molecular Structure, 1310, p.138271_1 - 138271_8, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)重水素化ヒドロキシフルオロマグネシウム[理想組成はMg(OD)F]のO-DF水素結合の高圧応答を中性子粉末回折とラマン分光法を用いて調べた。常温でのリートベルト解析の結果、化学組成はMg(OD)
F
であり、結晶構造中で水酸基/フッ素(OD/F)が無秩序化して、2つの水素結合配置が生じていることが分かった。構造解析の結果、水素結合配置は9.8GPaまで維持され、圧力による水素結合の強化は見られなかった。常圧でのラマンスペクトルでは、2613, 2694, 2718cm
に3つの水酸基伸縮バンドが観測された。O-D伸縮モードの周波数が高いことから、ヒドロキシル基は弱い水素結合相互作用、あるいは水素結合を持たないことが示唆された。20.2GPaまでは、2694cm
を中心とするモードは圧力によってブルーシフトを示し、水素結合は圧縮されても強化されないことが明らかになった。これは、中性子回折の結果と一致した。水素結合の存否と、常圧および高圧での水酸基のブルーシフトの原因について議論した。
Zhang, Z.*; 服部 高典; Song, R.*; Yu, D.*; Mole, R.*; Chen, J.*; He, L.*; Zhang, Z.*; Li, B.*
Journal of Applied Physics, 136(3), p.035105_1 - 035105_8, 2024/07
被引用回数:1 パーセンタイル:53.26(Physics, Applied)バロカロリック材料を用いた固体冷凍は、環境に優しく高効率であるため、過去10年間にわたり世界的に注目されてきた。ここでは、室温付近で立方晶から菱面体晶への相転移を起こすヘキサフルオロ燐酸ナトリウム(NaPF)とヘキサフルオロ砒酸ナトリウム(NaAsF
)における巨大バロカロリック効果を報告する。われわれは中性子粉末回折により、NaPF
の低温相の構造が空間群R
の菱面体構造であることを明らかにした。NaPF
とNaAsF
には3つのラマン振動モード(F
, E
, A
)が存在する。相転移温度はNaPF
及びNaAsF
においてそれぞれdT
/dP=250K/GPa及び310K/GPaの割合で圧力とともに変化する。NaPF
とNaAsF
の圧力誘起エントロピー変化は、それぞれ約45.2Jkg
K
と35.6Jkg
K
と決定された。飽和駆動圧力は約40MPaであった。高圧下の中性子粉末回折から、バロカロリック効果は立方晶から菱面体晶への圧力誘起相転移に関係していることが示唆された。
服部 高典; 鈴木 浩二*; 三代 達也*; 伊藤 崇芳*; 町田 真一*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1064, p.169448_1 - 169448_9, 2024/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)著者らは、抄録と要約で標準的なダブルトロイダルアンビルのカップ径が1.5mmであると説明していることを遺憾に思う。これは誤りで、標準的な直径は4.0mmである。ご迷惑をおかけしたことをお詫びする。
小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06
被引用回数:3 パーセンタイル:63.31(Multidisciplinary Sciences)水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。
服部 高典; 鈴木 浩二*; 三代 達也*; 伊藤 崇芳*; 町田 真一*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1059, p.168956_1 - 168956_9, 2024/02
被引用回数:2 パーセンタイル:51.90(Instruments & Instrumentation)見込み幅0.5mmのラジアルコリメータを高圧中性子回折実験用に特別に設計し、その性能と有効性を調べた。0.75mm, 1.5mm, 3.0mmのラジアルコリメータはそれぞれ0.50mm, 1.07mm, 2.78mmのみこみ幅を示した。3つのラジアルコリメータの透過率はすべて同等であった。Paris-Edinburgh(PE)プレスとdiamond anvil cell (DAC)を使用した評価では、見込み幅0.5mmラジアルコリメータを使用した場合、アンビル散乱はかなり減少し、サンプル/アンビル信号比はPEプレスとDACでそれぞれ0.5と2.0に達した。これらの結果は、見込み幅0.5mmラジアルコリメータが意図したとおりに製作され、高圧中性子回折実験(特に30GPaを超える実験)に有効であることを示している。今回作成されたラジアルコリメータの見込み幅は、これまで世界の中性子散乱実験用に製作されたものの中で、最も小さい見込み幅を持つものである。
山中 高光*; 中本 有紀*; 坂田 雅文*; 清水 克哉*; 服部 高典
Physics and Chemistry of Minerals, 51(1), p.4_1 - 4_10, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)FeTiOイルメナイトの中性子及び放射光X線回折と電気伝導度測定を高圧下で行った。イルメナイトの構造は28GPaまで保持された。構造解析の結果、8GPa以下ではFeO
は圧縮され、TiO
はほとんど圧縮されないことが分かった。抵抗率は、金属イオン対の中で原子間距離が最も短いFe-Ti方向で最も小さかった。c軸に垂直な方向の抵抗率は圧力とともに単調減少するが、c軸に沿った抵抗率は圧力とともに山なりとなった。最大エントロピー解析の結果、Fe
(3
)の電子配置はTi
(3
)よりも圧縮下で大きく変化することがわかった。異方的な電気伝導度とFe-Ti原子間距離の非一様な圧縮は、Feイオンの高スピン状態から中間スピン状態へのスピン転移によって説明できるかもしれない。
岡崎 伸生*; 服部 高典
CROSS Reports(インターネット), 1, p.001_1 - 001_9, 2023/12
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)に設置されているビームラインBL11 PLANETでは、ユーザーがJ-PARCエリア外から実験状況を確認することができなかった。この問題を解決するために、装置制御用計算機(PC)のスクリーンショットを外部端末から取得できる仕組み(RemoShot)を導入した。この仕組みはスクリーンショット制御サーバー、およびMLF側PCとクラウドから構成されており、一連の動作は以下のようになる。1)ユーザーは装置制御用PC上でスクリーンショット制御サーバーを起動する、2)スクリーンショットのリクエストを受けて、スクリーンショット制御サーバーがMLF側PC(測定制御用PC)にSecure Shell(SSH)認証でアクセスし、スクリーンショットを取得、3)取得したスクリーンショットをクラウドストレージに格納、4)ユーザーは認証後、クラウドのスクリーンショットを確認、というように動作する。RemoShotを用いることによって、ユーザーはスマートフォンなどを使い、遠隔地からでも実験状況を確認できるようになり、測定エラーへの対応、想定外のビーム停止によるシーケンスの遅延に対し、いち早く実験計画の見直しが行えるようになった。あわせて、セキュリティや運用コストに関する考察を行った。
小林 大輝*; 小松 一生*; 伊藤 颯*; 町田 真一*; 服部 高典; 鍵 裕之*
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), 14(47), p.10664 - 10669, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:32.17(Chemistry, Physical)氷IVは、水分子が配向乱れを示す氷の準安定高圧相である。配向秩序は他の氷相ではよく観測されるが、氷IVでは報告されていない。われわれは、DClを添加したDO氷IVのその場粉末中性子回折実験を行い、氷IVにおける水素秩序を調べた。その結果、単位胞体体積の温度微分dV/dTが約120Kで急激に変化することを発見し、またリートベルト解析により低温でわずかに水素が秩序化することを明らかにした。D1サイトの占有率は0.5から外れており、そのずれは試料をより高い圧力で冷却すると増加し、2.38GPa, 58Kで0.282(5)に達した。この結果は、氷IVに対応する低対称の水素秩序状態の存在を証明するものである。しかしながら、高圧下での徐冷によって、完全に水素が秩序化した氷IV相を実験的に生成することは難しいようである。